No.285851

【まどか☆マギカ】ラジオ【ほむあん】

fujiyamasanさん

魔獣出現後のほむほむと杏子なお話です。あんこ視点。「ラジオ」(倉橋ヨエコ)を聞いたことがあるとモアベターな予感がします。普段より暴力表現マシマシですのでそのあたりご了承を。

2011-08-27 02:40:04 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:707   閲覧ユーザー数:707

 

 

 

午後0時30分現在の東名高速道路情報をお知らせします

東京方面に向かっている方に渋滞の情報です

首都高速3号線のぼり池尻を先頭に

東名の料金所付近まで11キロ渋滞しています

 

 

 

きっかけは、何だったんだろう。

ま、そんなことを考えても仕方ない。

あたしは床に倒れたほむらに馬乗りになっていて、

ほむらは切れた唇の端をちょっぴり歪めて

あたしをあざ笑っている。

 

なにも言わずに、もう一発殴った。

 

「言っただろう、あたしの前で」

拳をふりあげて、

 

「あたし以外の女の話をするなって」

拳を振り下ろす。

 

じめっとした空気が篭った部屋に、

みしり、と鈍い音が響いた。

 

「……あなただって」

 

もごもごとほむらが呻き、

あたしは拳を振り上げた。

 

「巴マミが、大事なんでしょう?」

 

拳を振り下ろす。

ほむらの歯が折れた感触が、拳に伝わってきた。

 

「――それとも、やっぱり美樹さやか?」

 

平手で思い切り頬を張った。

ほむらの白い頬が、朱に染まる。

 

 

 

6号向島線のぼり方向の情報です

浜町付近を頭に

4キロほど渋滞しています

続いて中央環状王子線内回りの情報です

事故のため板橋ジャンクションを頭に

4キロほど渋滞しています

 

 

 

「お前が!」

 

拳を固め、ほむらの鼻に叩き下ろす。

 

「お前が、マミを殺したんだ!」

 

もう一発。

右の拳に、鼻血が粘りついた。

 

「……そう、よ――

 私が……

 巴、マミを――殺した――」

 

自分が無茶苦茶を言ってるのは、分かってる。

あたしは肩で息をつきながら、

もう一度拳を振り上げ、振り下ろす。

 

巴マミは自殺したのであって、

暁美ほむらが殺したんじゃない。

そんなことくらい、よく分かってる。

 

「――お前なら……

 お前を選んだなら、仕方ない。

 そう思った」

 

ほむらの胸ぐらをつかみ、絞り上げる。

 

「お前なら、マミさんを守れる、そう思った。

 あの人の孤独を癒せる、そう信じた!」

 

 

 

 

はじめに高速道路の状況です

和歌山県内の阪和道

松原へ向かう北向き

長嶺トンネルから岩佐五号道路にかけては11キロ

兵庫県内山陽道

大阪へ向かう上り線

赤穂インター付近では

事故の処理が路肩で行われています

渋滞は備前インターを越えて12キロ伸びています

 

 

 

ほむらの頭を、床に叩きつける。

襟首を掴んだ手が痛む。

 

「なのに、お前は――!

 お前が……!」

 

ほむらの喉がごぼっと鳴って、

あいつはしゃがれた声をひねり出す。

 

「私が――殺した……」

 

あたしはほむらの頭をもう一度床に叩きつけると、

拳を固く握りしめて、あいつをしたたかに殴打した。

息苦しくなってきたあたしは、胸元を少し緩める。

 

「でも……巴マミは、

 死んだんじゃあ、ない――」

 

懲りずに呟き続けるほむらに向かって、

あたしは拳を振り上げる。

 

「巴マミは、

 まどかの……ところ――」

 

全力で、殴った。

何度も、何度も、

全力で、ほむらを殴った。

 

「……ま――ど、か……」

 

殴った。

 

「……か――」

 

殴った。

 

「……」

 

殴った。

 

 

 

 

 

 

中国道、吹田へ向かう上り線

宝塚西トンネルで1キロ

この先、中国豊中インター付近でも2キロ混み合っています

かわって阪神高速道路

大阪兵庫ともに

この時間は1キロを超える渋滞はなく

全線走りやすい状況です。

 

 

 

ほむらがようやく静かになったので、

あたしは痛む右手をさすりつつ立ち上がる。

こりゃあ、確実に拳を痛めたな。とんだ魔力の無駄遣いだ。

 

少しして、ほむらものそりと床から起き上がると、

ずるずるとソファに腰をおろした。

 

当たり前のことだけど、

もしあたしが本当に本気を出してほむらを殴れば、

あいつの頭は一発で熟れ過ぎたスイカみたいになるだろう。

 

そしてもし、ほむらが本気で身を守れば、

あたしの拳は最初の一発で砕けてるだろうし、

そもそもあたしがあいつに触れられるかどうかも怪しい。

 

とんだ、魔力の、無駄遣い。

 

 

 

 

 

 

おしまいに一般道路では

国道26号線の北行き

岸和田警察署東交差点で行われていた

事故の処理は終わっています。

 

 

 

あたしは緩めた胸元を直すと、

机の上に転がっていたほむらの財布を手に取る。

「コンビニ行ってくる。

 何か買ってきて欲しいもの、あるか?」

ほむらは腫れあがった瞼を手で押さえながら、ちらりとあたしを見る。

「……タバコ。セブンスター」

「今度の男のタバコはセブンスターか」

「1箱で……いいわ。

 私のジャケット――取って」

壁にかけてあったサマージャケットを取って、ほむらに投げる。

 

あいつは器用に片手でジャケットをキャッチすると、

ポケットからタバコとライターを取り出した。

紫と赤に染まった唇にタバコを咥え、

ライターで火をつけると、

深々とケムリを吸い込んで、

ゆっくりと吐き出す。

 

あたしはそんなほむらに背を向け、

玄関のドアを開ける。

 

 

 

「――生きてる」

 

そんな満足気な呟きがあたしの背中を撃ったけれど、

あたしはそれを無視してコンビニに向かった。

 

 

 

 

それではこの後も

安全運転をお続けください。

 

 

 

 

参考

「ラジオ」 倉橋ヨエコ  http://www.youtube.com/watch?v=3iJ_AGySHQA


 
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