「・・・まぁ、これでいい筈だが・・・」
「胡散臭いわね・・・」
時間は既に明け方に近い。
駄々を捏ねる雪菜は郁によって強制連行されて行った。
真司は少女を連れ自分の部屋へと帰るなり、郁に指示されたとおりの位置に札を貼り、結界術を行使する。
これで四隅に札が貼られているこの部屋では少女に触れることが出来る筈だった。
今まで試したことがない真司もまた少女と同じく半信半疑だ。
そんな互いにイマイチ確信が持てないまま二人は部屋の中央で見つめあっていた。
「・・・手を出してみ?」
「・・・こう?」
とりあえず成功の是非を確認すべく、握手でもしてみることにした。
ぎゅっ
「「お・・・」」
人間同士のようにがっちりと握手が出来た。
「おぉ、すげぇな・・・これでしばらくは結界内なら生前と同じ感じで生活できるぜ」
「・・・」
郁から聞いた話では結界術が解けてしまえば効果は解消されてしまうらしい。
札の使いまわしは効かないため、真司の霊力では数時間が限界とのことだった。
明日は土曜日で学校は休みだったが、真司は出来るならばサクッと終わりにしたかった。
「・・・アンタの名前、何ていうの?」
「あぁ、言ってなかったな。真司だよ」
「・・・ふぅん・・・私の名前は凛香よ」
「へぇ・・・じゃ、よろしくな凛香」
少女、凛香の願いは分かっているのでこれからすべきことも二人は分かっている。
流石にお互いに名前も知らないのでは気まずいとは思っていたので内心先に聞かれてホッと一息と言ったところだ。
「よ、よろしく・・・」
「何だ、自分から言っておいて緊張しているのか・・・?」
「そ、そんなことないわよッ」
言葉とは裏腹に触れるという事実が分かってからの凛香は明らかに態度が違う。
妙にそわそわして落ち着かない様子だ。
(・・・まぁ、当然といえば当然か・・・)
真司と違い、今回が初めての経験となる凛香。
緊張しない分けがない。
そうなればここは真司の腕の見せ所だった。
(まぁ幸い強気なようだし・・・何とかなるかなぁ・・・)
時間も惜しいので多少強引に攻めることにした。
「早速だがー・・・時間が余りなくてな。覚悟は出来てるか?」
「と、当然でしょ!?」
「そうか、なら・・・」
言いつつ手の届く範囲に居た凛香の身体を抱き寄せる。
多少低めならがも体温は感じられ、頬を撫でる髪の毛が今だけは普通の人間と同じだと確認できる。
再度確認を済ませたところでちゃっちゃっとコトを済ませたかった真司だが・・・
「・・・?どうした?」
凛香は抱きついたまま腕をしっかりと背中まで回し、離れようとしなかった。
「・・・ごめん、もう少しだけ・・・このままで・・・」
「・・・気の済むまで」
表情こそ見えはしないが、声色から、背中に回された腕から凛香の気持ちが伝わってくる。
いったい人に触れたのはどれくらいぶりなのだろうか。
どれほどこうして人の温もりを感じたかったのだろうか。
そう考えると無下に急かす事も出来なくなってしまった。
(・・・まぁ・・・いいか・・・)
心の中で軽くため息を吐き、真司も優しく抱きしめてあげた。
「・・・キスくらいはあるよな・・・?」
「ば、馬鹿にしないでよ!!それくらい、あ、あるわよ!!」
しばらく抱き合っていたが、凛香が少し離れた時を見計らってベッドへゆっくりと押し倒した。
「ならいいか」
「い、いいって・・・なっ・・・んぅ・・・!?」
凛香の質問を最後まで聞くことなく、唇を唇で塞ぐ。
キスは初めてではないと聞いておいたので、初めから、軽い口付け・・・ではなかった。
歯、歯茎、舌先と口内のあらゆる部分を舌で味わい、撫でるように刺激していく。
BGMも一切無しの部屋では二人の絡み合う舌と唇から生じる水音だけが聞こえてくる。
キスにも慣れていなかったのか、徐々に凛香の呼吸が荒くなってくる。
「ちょ・・・そんな、少し・・・ぅん・・・ッぅ」
凛香は呼吸が苦しくなり、一時的に首を振り、唇を離すもすぐにまた口を塞がれる。
そうして相手の意識がキスに向いている隙に手早く衣服に手をかける真司だった。
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