No.284551

ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎 #7 謎の壁、壊れる

enarinさん

○ボーカロイド小説シリーズ第3作目の” ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎“シリーズの第7話です。
☆解明編です!
○雑誌記者ミクが取材で訪れた温泉郷で起こる謎解きミステリー!

2011-08-25 18:50:47 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:513   閲覧ユーザー数:511

<問題部分>

 

遺言

 

以下に示すとおりに、私の財産を分与する。

 

但し、以下の内容を完全に説明でき理解した者が現れるまでは、私の遺産には一切、公私共に手を着けてはならないものとする。

 

是非とも私の最後の遊戯につきあって欲しい。

 

きのこ温泉郷 領主    咲音 望日郎

 

内容

 

横に広がる48の山々、“色は緑”

縦にそびえるは、“五重塔”、その数11基也

 

め→り↑ろ←お←せ↑き↓゛そ←ち↑さ↓゛す→あ→゛あ↓わ←

う↑や←す←ろ←せ↑を←ち↑ゆ→

あ↓よ←お←た←い↓ぬ↑を→れ←す↑ね↓き←゛ろ←あ→す→る→

ひ↓゛す→か→せ↑を←

ふ↓゛す→き↑゛や←く→ゆ←゛み→゛き→小ね←け↓む→す↑゛か→小む→ね↓れ←も↑な↓

れ←あ↓そ↑そ→ほ←そ→わ→て↑小あ←に→す↑う↑

 

き↑わ→゛し←ぬ↓る↓す→ほ← え←゛へ↑゛す→お←う↑り←

よ←わ→゛め→ぬ↓ぬ←す→ほ← け↓゛ひ↓゛す→お←ろ←た↓

ゆ→き↓゛ち→つ→り↓わ→は→ さ↓゛め←小い↓へ↑゛す→ね↓ろ←た↓

え↓す→も→す→か↓か→小む→ね↓み→た←小い↓よ←゛ね←小け↓え↑ほ←

さ↓゛き→小い↓こ←゛す→ね↓ろ←つ↑

(き↑お→わ→゛ち↓小ふ→む→は→さ→す→ち←い↓は→を→く↓れ↑え←て↓)

<ゆけむり旅情・きのこ温泉郷の謎 第7話 謎の壁、壊れる>

 

(午後3:00付近・ミクの部屋)

 

ミクは先ほどから、うなっていた。いざ解明すると言った物の、やはりそんな簡単には行かなかったのである。

 

ミク:ミクミクミクぅ~。前回と同じトリックかと思って、同じ箇所を同じようにしてみたものの、“いろはみどり”、“ごじゅうのとう”、ね~。前のトリックとは明らかに違うわね。“横”とか“縦”とかって書いてあるんだから、50音表トリックと思ったんだけど、横が48で、縦が五重でそれが11基。数も50音表の縦横に合わないわね。ミクぅ~

 

ミク:横が48で、“いろはみどり“、縦長の五重のものが11基・・・・ミクミク・・・

 

ぐぅ~

 

ミク:ミクぅ!、たはは、お腹空いちゃった・・・。えっと原本は部屋の金庫に閉まってあるから大丈夫ね。今回のメモを鞄に入れてっと。よし!、腹ごしらえと“3時のおやつ”って事で、ミリアムさんの休憩所に行ってこよ♪

 

***

 

(休憩所“透音”)

 

ミクは休憩所に到着し、店内に入って挨拶した。

 

ミク:こんにちは~!

ミリアム:あら、ミクさん! 時間的に、“3時のおやつ”、ね

ミク:はい、ちょっと小腹が空いてしまって・・・、えっと、みたらし団子5本とごま団子6本ください!

ミリアム:かしこまりました、少々お待ち下さいませ。あ、これお茶とお菓子です

 

ミリアムはミクのテーブルに熱いお茶と小さいお煎餅のお菓子を持ってきた。

 

ミク:ごくん、はぁ~、美味しいお茶! 頭脳労働はお腹が空くのよね~。ラーメン10秒で食べたから昼食をとった気分がしないのよね~

 

ミクは団子が来るまで、店内をゆっくり見て回る事にした。

 

ミク:あ!、この50音表のおもちゃ、まだ売っているんだ(そういえば、アレは、これを使ったトリックだったわね・・・)

 

ミクはさらに見て回った。

 

ミク:あれ? これって・・・・

ミリアム:あ、それは“いろはかるた”よ。“いろは順”を使ったかるた

ミク:いろは順?

ミリアム:『いろはにほへと なんたらかんたら』って“かぶらないひらがな48個”で構成された、昔の人が使っていたやつね。亡くなった望日郎おじいさんは、子供が好きだったし、教育とかに力を入れていたから、知育玩具の製作にも助力してくれたの。この『ひらがな50音表パズル』と、『いろはかるた』は、今でも意外に人気商品なのよ。あ、お団子、出来ました。テーブルの上に置いておきますね

ミク:有り難う御座います

 

ミクはテーブルに戻った。大皿に5個付きお団子が11本、綺麗に並べられていた。

 

ミリアム:ミクさん、凄いわね。1回に一人で11本注文されたの、ミクさんが初めてです

ミク:いや~、例の件で頭使ったいるんで、炭水化物と糖分を補給したかったのよね~。じゃあ、いっただっきまーーーーー?

ミク:5個付きの串団子が11本・・・・・

 

ミクはさっき見たおみやげ物コーナーに目線を映した。

 

ミク:5×11・・・・50音表パズルのひらがなピースを入れる“木の枠”も同じ・・・あいうえおの5段×あかさたな等の11行・・・・!!!!!

 

ミクは何か重要な事に気づいたようだった。

 

ミク:これが五重塔のトリック。これは縦にそびえる、ということは、横は“48の山々+いろはみどり”・・・“48で、いろは”・・・・!!!! なんてことなの!(望日郎おじいさんは本当に最後の“遊び”をしていただけなのね!)

 

ミリアムはなかなかお団子を食べないミクを不思議そうに見ていた。

 

ミリアム:あの~ミクさん? 大丈夫ですか?

ミク:ミリアムさん! あの“いろはかるた“と”ひらがな50音表パズル“、頂きます!。でもって、このお団子、全部包んで下さい!、宿で例の件をやりながら食べたいんです!

ミリアム:はぁ、ではお包みしますね

 

ミリアムはお皿の団子、いろはかるた、ひらがな50音表を持ってレジの近くのテーブルに移動した。そしてお団子を包み、プラ容器に移動させて輪ゴムで留めた。

 

ミリアム:えっと、お団子が1本80円が11本、いろはかるたが1000円、50音表が500円だから、2380円になります

ミク:はい、これ。じゃあ宿に戻りますね

 

ミクは支払って、商品の袋を持って、急ぎ足で宿に向かった。

 

ミリアム:ミクさん、謎解き大変そうね。でも、頑張ってね!

(ミクの部屋)

 

パクッ

 

ミクは部屋に設置されているお茶を入れて、お団子を一口食べた。

 

ミク:ミクミクっ! ありがとう、お団子さん、おかげでトリックを見破れたわ

 

ミクはまずひらがな50音表パズルの“木の枠”に正確に“ひらがなピース”を埋めていった。偽物の遺言状の時に使ったのと同じ“ひらがな50音表”が出来上がった。

 

50音表

んわらやまはなたさかあ

  り みひにちしきい

  るゆむふぬつすくう

  れ めへねてせけえ

 をろよもほのとそこお

 

ミク:『縦にそびえるは、“五重塔”、その数11基也』は、五重の塔、つまり“あいうえお”等の5つの段で構成される“行”の事。これが縦。それが横に11基、つまり11行あるって事。これは縦として使う“ひらがな50音表”の事だったのね、ミクぅ!

 

パクパクパク

 

ミクは“いろはかるた”の中にあった“いろは順”が書かれた紙を取り出した。

 

『いろはにほへとちりぬるをわかよたれそつねならむうゐのおくやまけふこえてあさきゆめみしゑひもせすん』

 

ミク:これは“48文字で構成された、いろは順”。『横に広がる48の山々、“色は緑”』、これは“いろは みどり”で、もう文字のまま、“48文字のいろは順”の事。これは“横”の時に使うひらがなの順序、ミクミク!

 

パクパクパクパク、ズズッ、ごくん

 

ミクは原本を写し取ったメモを見た。

 

ミク:例えば、この暗号の一部『め→』は、横向きの矢印だから、横の順序“いろは順”を当てはめるのね。『め』から右に1個ずれた文字は、『み』となるわけね。そして『り↑』は縦向きの矢印だから、50音表の縦列を当てはめる。『り』の1こ上の文字だから『ら』。

 

パクパク

 

ミク:それと濁点は、前と同じみたいね。『さ↓゛す→』は、濁点抜きなら『しん』。濁点がかかるのが右だとしたら、『ん』の濁点って事になるけど、それが文字がない。だから、確実に“濁点は左の文字にかかる”わけね。だから、解読文字は『じん』、ミクぅ!

 

パクパクパク、ズズズズズ、ごっくん。

 

ミク:そして今回出てきた“小”の文字は小文字って事ね。かかる方向は、『て↑小あ←』を挙げると、小を抜くと、『つて』。『て』の小文字は存在しないから、小がかかる方向も左。つまり、暗号文字のセットは、“ひらがな+使う順序と1個ずれる方向を表す矢印+濁点+あるなら小文字を表す『小』、一番長い組み合わせで、これが1文字を表す!、ミクぅ!

 

パクパクパクパクパク、ズズズズズズズズ、ごっくん

 

ミク:は~美味しかった。全部食べちゃった、ミクミク。よし! エネルギーも入ったし、この法則の通りに、暗号解読しましょうかね~! ミクミク!

 

こうして、ミクのやや複雑な暗号解析が始まった。

(午後5時頃・ミクの部屋)

 

ミク:ミクぅ~、やっと暗号解読が終わったわ。

 

***

 

(暗号の解読結果)

 

みらいのすぐれたじんざいを

いくせいするため

いかのようにわたしのざいさんを

ぶんよする

べんがくやぎじゅつこうじょうのために

たいせつにつかってほしい

 

かがみねれんに ごぶんのいち

かがみねりんに ごぶんのいち

めぐりねるかに じゅうぶんのいち

おんせんきょうのしょうがっこうに

じゅうぶんのいち

(かくがっこうにきんとうにわけること)

 

***

 

これを私が知っている温泉郷の事情と、一般的な漢字変換をすると、こうなるわね。

 

***

 

(暗号解析文の変換結果)

 

未来の優れた人材を

育成するため

以下のように私の財産を

分与する

勉学や技術向上のために

大切に使って欲しい

 

鏡音蓮に 1/5

鏡音鈴に 1/5

巡音瑠香に 1/10

温泉郷の小学校に

1/10

(各学校に均等に分ける事)

 

***

 

ミク:レンさんの話の通り、レンさんに1/5、つまりかなりの額がレンさんに相続されるのね。それと、リンさんに1/5、ルカさんに1/10、小学校全体に1/10でこれは均等分けするのね・・・・・・・・・・・・・・・・・あれ? 一番近い間柄の“孫”のメイコさんに、なんで1円も相続されないのよ・・・・。そっか、これがメイコさんが“激怒”した理由・・・。“裏切られた”、そう思ったのね・・・

 

ミクは少しメイコへの同情の念が生まれた。

 

ミク:まぁとりあえず、数字はちゃんと出てきたわね。1/5に1/5に1/10に1/10に・・・・・・・え!? 望日郎さん、これ書いた時には、もうボケが・・・いえ、レンさんの話では“大往生”だったって。つまりちゃんと意味が・・・・って、この1枚だけからじゃ、これ以上情報を得るのは無理・・・・・・。あげくに、この事は誰にも相談出来ない・・・・ミクぅ・・・

 

(30分後・ミクの部屋)

 

ミクは頭を抱えていた。どう考えても、解読出来た所を含め、これ以上の情報はやっぱり見つからないのである。

 

ミク:ミクぅ~、1-1/5-1/5-1/10-1/10=2/5、残ったコノ分の相続はどうするのよ! これじゃ、本物だとしても、結局使えないじゃないの! それに孫のメイコさんへの相続が全くないなんて! ミクぅ~

 

ミクはほとほと困ってしまっていた。

 

ミク:ミクーぅ、仕方ない、さっきから気になっていた、“遺言状の下にあった紙”、アレでも見て、気分転換しよ

 

ミクは部屋の金庫からA4ファイルを取り出し、中にあった例の紙を袋から出した。

 

ミク:やっぱり表は“白紙”よね~、じゃあ、裏になんか書いてあるのかしら

 

ミクは紙を裏返した。そこには・・・・・

(紙の裏)

 

つ←さ↓つ↓か←き↑゛や→け↓゛お←む↓ろ←ふ→か→

く←し↑ら←お→す↑え→ち→か→小い↓み→す→る→に↑き↓み→

あ↓や→け←あ←゛へ←す→へ→む→な↓お→れ↓む→わ←き↑ふ←ち↑

ね↓け↓ぬ←お← え←゛ひ↓゛す→ね↓ほ←へ→ろ→し↓い↓に←し↓ほ↑゛あ←

あ→ゆ←ぬ↓む↓ろ←ふ→ほ←き→し↓゛を←め↓お←ち←し↓ぬ→

さ↓゛け→゛す→ね↓よ→む↓ほ←み→゛き→い↓は→ち↓き↑そ→小つ↓へ←み→ろ←

 

***

 

ミクは驚きを隠せなかった。さっきの暗号文と同じ種類の文章が書かれていたのである!

 

ミク:こ・・・これ・・・・もしかして・・・・

 

ミクは早速、先ほどのトリックと同じ方法で、暗号文を解析した。

 

***

 

(1時間後)

 

ミク:・・・・・・・やっぱり。メイコさん、あなたは“とんでもない勘違い”をしているのよ!

 

ミクは全てに確証を持つことが出来た。迷いはなかった。

 

ミク:謎は、全て解けた。

 

(続く)

 

***

 

CAST

 

<雑誌“ゆけむり”編集部>

温泉雑誌の記者・初音ミク(ミク):初音ミク

 

<温泉宿“巡咲庵”(じゅんしょうあん>

大女将・咲音 女威子(メイコ):MEIKO

女将・巡音 瑠香(ルカ):巡音ルカ

若女将・鏡音 鈴(リン):鏡音リン

板長・神威 学歩(がくぽ):神威がくぽ

経理担当・鏡音 蓮(レン):鏡音レン

パティシエ・工藤 海斗(カイト):KAITO

その他のスタッフ:全部、はちゅねさん

 

<きのこ温泉郷>

休憩所“透音”の主・透音ミリアム(ミリアム):MIRIAM

土産物屋“亜瑠”の主人・大場 亜瑠(アル):BIG・AL

射的&コリントゲーム屋“迫楽”の主・迫楽レオン(レオン):LEON

中華料理屋“大三軒”の3人娘・赤の服アン、緑の服プリマ、白の服ローラ:Sweet・Ann、Prima、LOLA


 
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