No.281173

第2回同人恋姫祭り特別作 『仙女と木こり』 後編

TAPEtさん

こんにちは、勝手に第二回同人恋姫祭り韓国代表TAPEtです。

今回は最初からすごい作品の波で、驚きながら思いつきの作品を挙げてみます。

その前に自分が普段書いてる作品です。前にも紹介した『鳳凰一双舞い上がるまで』です。雛里√を目指して描いていますが、かなりファンタジー高めな作品でちょっと違和感があるかもしれません。

続きを表示

2011-08-21 21:37:36 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:4209   閲覧ユーザー数:3548

桃香SIDE

 

 

「あ」

「やっと来たの、桃香」

「待っていたわよ」

「華琳さん、蓮華さん……」

 

私が御殿の手前に着くと、華琳さんと蓮華さんが私のことを待っていた。

二人の姿は、さっき離れた時のような驚愕と恐怖に満ちた顔の代わり、覚悟を決めている王の姿になっていた。

私も、二人が見るに王としてちゃんとした顔をしているだろうか。

 

「…その顔だと私たちと同じ結論にたどり着いたようね」

「……はい」

 

だけど、不安になる。

当たり前のこと。

ご主人さまが居ない未来なんて、今まで考えたことなかった。

ずっと、一緖に居ると思っていた。ずっと今までのように皆の笑顔のために一緖に頑張りつづけると思っていた。

だけど、私は私だけのことを考えて、ご主人さまの悲しみを知らなかった。

その結果が、今このお別れ。

 

「桃香も来たわけだし、行きましょう」

「そうね。行きましょう、桃香」

「はい」

 

一人だけだと、きっとこの先を進むことを恐れていただと思う。

華琳さんや蓮華さんも、きっと同じだから私のことを待ってくれていたと思う。

だけど、私たちは三国を体表する王たち。

この私たちの悲しい役割を、罪を、他の皆の分まで背負う義務がある。

 

・・・

 

・・

 

 

「それじゃ、開けるわよ」

「………」

 

がちゃっ

 

華琳さんが扉を開くと、

 

「……ぅぅ…」

「……!」

「…………」

 

「……へ?」

 

空になった寝台をめぐっている、月ちゃん、詠ちゃん、そして左慈さんの姿でした。

 

 

華琳SIDE

 

門を開けた先には、私が想像した光景とは違うものが広がっていた。

月、詠、そして左慈が居るのは同じ。

だけど、

そこの寝台に居るはずの一刀の姿が…居なかった。

 

「……一刀は…どこへ行ったの?」

「………」

 

誰一人、口を開けるものが居なかった。

 

「…月ちゃん」

 

桃香が一番に部屋に入って、寝台に顔を伏せている月に近づいた。

 

「…桃香さま……桃香様……!」

「………ご主人さまは……?」

「………っっ!」

 

顔を上げた月の顔は酷いものになっていて、桃香を見た瞬間彼女の胸にまた顔を埋めて泣き始めた。

 

「消えたわ」

 

月の代わりに、無表情になっていた詠がそう短く言った。

 

「消えた…ですって?」

「アイツが渡した鏡をもらった途端、鏡がひかると思ったら何も見えなくなって…見えるようになった時はもう居なかった…」

「…!」

 

私は左慈の方を睨んだ。

 

「あなたがまだ時間があるって言ったんじゃないの!なのにどうして勝手なことを……!」

「彼の状態が思った以上にひどかったからです。あなたたちの判断を待っていられなかった」

「………ふざけるな!」

 

蓮華が持っていた南海覇王を抜いて左慈の首筋を差しながら叫んだ。

出すぎた剣の先に引っかかれ、左慈の頸から一筋の血が流れる。

 

「一刀をどこに連れて行ったんだ!」

「…………」

「話せ!!」

「……突きなさい」

「!」

「その剣を僕の頸に突き刺してあなたの気が済むのだったらいくらでもやっていい。僕の体がもう動かなくなった後でも僕の体を細切れにして犬の餌付けにしてあなたの気が済むならそうなさい。だけど、帰ったのは彼の意志。あなたがそう言うからって僕の力で戻って来させることはできない」

「……」

「蓮華、止しなさい」

 

私は剣を震えながら涙を流している蓮華を腕に手を乗せながら言った。

 

「彼女の言った通り、彼女を殺した所で解決するものはない」

「………うっ!」

 

蓮華が南海覇王を投げ捨てるように落とすと、私は彼女に肩を貸してあげた。

 

「一刀が……自分の世界に帰ったっていうの?……本人が望んで?」

「あなたたちもそれを望んだ、そうでしょ?」

「確かに私たちはご主人様を帰してあげるって決めました!でもお別れの言葉ぐらいはしてくれてもいいじゃないですか!?ご主人さまが……私たちに一言もなく帰るわけがないです!」

 

月を見ていた桃香も左慈にそう訴えた。

 

「北郷一刀があなたたちにお別れの言葉を言える勇気があるわけがないじゃないですか。あなたたちのその泣き崩れる姿を見れるほど、彼の意志は強いものじゃないです」

「………」

 

もし、左慈の言う通り、私たちが彼の前に今のように泣き崩れるとしたらどうなるだろう。

彼は私たちの姿を見て、元の世界に戻りたいという感情をまた抑えて、私たちと一緒に居る方を選んだかもしれない。

だけど、結局彼の苦しみは解消されることを知らないだろう。そのまま、私たちは最悪の別れ方をするはめになったかもしれない。

だけど……私が愛した男がこれほど気の弱い男だったの?

せめて…せめて私に一言でも残して帰っても帰りなさいよ。

 

「一刀は…帰る時に何も言わなかったの?」

「何も……」

「私たちに残す言葉も、なかったんですか?」

「………鏡に映ったあるモノを見た瞬間、彼はそのまま吸い込まれていきました」

 

あるモノ……?

 

「蓮華」

「………」

 

私は私に支えられて泣いてる蓮華をそこにあった椅子に座らせて一刀が居たはずの寝台の方へ行った。

手で触れるとまだ彼の温もりが残っているその寝台の上に、丸い銅鏡が一つ置かれていた。

私はその銅鏡を見つめた。

 

そしたら、

 

「……!」

 

 

 

 

 

ピンポーン

 

「はーい」

 

がちゃ

 

「どちら様です……か?」

「………」

「……え……おに……い?」

「……一姫」

「……おにい………お兄(おにぃ)!!!」

「一姫……」

「馬鹿……今まで…どこ行ってたのよ…!」

「…ごめん……ほんとに……ごめん」

「馬鹿お兄……うぅ……ふええ……!!」

 

「一姫、どうしたの、誰が来て……」

「………お母さん」

 

がちゃーん

 

「…っ……かっ……一刀?……一刀なの?」

「…はい…只今帰ってきました…」

「……ぁ……義父……義父さま!一刀が…一刀が帰ってきました!」

 

ダダダッ

 

「なんじゃとー!」

「……爺さん、たd」

「くーたーーばーーれーーーー!!!!」

「ぐほっ!」

「お兄!!」

「己ー!良くもその顔面を儂の前に出しおったな!!」

「爺ちゃんやめて!お兄が死んじゃう!!」

「義父さま、落ち着いてください!」

「この馬鹿孫がーー!!」

「ご、ごめんなさいーーー!!」

 

 

 

 

華琳SIDE

 

「……これは……一刀の家族なの?」

「そのようですね」

 

鏡の中には祖父から逃げまわった挙句にケンコツを食らって気絶した一刀を妹らしき娘が抱きついて叫んでる修羅場が映っていた。

 

「華琳さん?」

「……あなたも見なさい」

「何…?」

 

私は鏡を桃香に渡した。

蓮華も椅子から立ってその鏡の中の一刀の様子を桃香と月と一緒に見た。

 

「今彼に起きていることを映っています。どうやらうまく向こう側にたどり着いたようですね」

「……これが、天の国」

「天の国……それほど大したものではないですが、今の彼にとっては、きっとそれ以上だろうと思います」

 

彼の家、家族……彼が私の前に再び現れるために失ったもの。私は知らなかったそれが、そこにあった。

一刀のいろんな顔を見てきた。嬉しい顔、悲しみに満ちた顔、寂しい顔……夜私を見る時の愛おしい顔……

だけど、鏡の中で私が見た一刀の顔は、私が見てきた彼の表情の中で、紛れもなく一番爽やかな笑顔だった。

 

「今は何が見えますか?」

「なんか、ご主人さまと同じ服を着てる人たちがたくさんご主人さまを囲んでます」

「!!一刀が一方的にやられてるではないか!多人数で攻撃するとは卑怯な…!」

「あ!誰かご主人さまを助けに割り込んできた……でも、あまり役に立ってないかな…」

 

「学校に戻ったようですね」

「学校なら……一刀が言っていた天の学校?」

 

この世界にも、一刀が言っていた通りに、なんとか国で運営する塾のようなものを再現したものはあった。

だけど、生活に必要な基礎知識意外には、文官たちを育てるための専門的が学問を学ぶ所になっていた。

一刀の世界だと、彼ぐらいの年の人だと、皆仕事はせず勉強をしていると言ったけど、そんなことこの世界では到底できなかった。

 

「はい、その集団で殴られてるのは、多分お祝いみたいなものなので気にしなくてもよろし……」

「おお!ご主人さま頑張れ!」

「後ろに気をつけろ…!」

「ご主人さま、頑張ってください」

「………」

 

完全にハマってるわね……

一体どんな戦場が繰り広げられているのやら……

 

「しかし、さっきまで家で家族に会っていたのに、今は学校に居るってどういうこと?」

「時間の流れが違います」

「時間の流れ?」

「この世界と彼の世界には十倍ぐらいの時間の差があります」

「……!」

「彼があの世界で一年を過ごしていても、この世界では一ヶ月ぐらいしか経っていません」

「…じゃあ、私の時彼がこの世界で二年後に帰ってきたのは?」

「それは僕たち管理者が彼の時間とあなたたちの時間の流れを合うように調整したのです。元はあっちの方が早く動きます」

「そう………」

 

待って、じゃあ、彼がまた二年間あっちの世界に居たとしても、実際にはここでh二ヶ月しか経ってないってこと……?

 

「彼がまた帰ってくる可能性もあるのでしょ?」

「……否定はしません」

「「!!」」

 

鏡を見ていた二人も左慈の言葉に反応した。

 

「だけど、これは曹操さんが最初彼を失った時とくらべ非常に可能性が低い」

「何故?」

「帰ったのが彼の意志だからです。一度彼はこの世界に戻るために自分の意志を貫いてここに戻ってきた。でも、今その意志をぶち抜いてまた元の世界に戻った。またこの世界に帰ってくるためには、以前の2つの意志よりも遙かに強く、固められた意志を持っていなければなりません」

「それが難しいと?」

「……彼は元の世界に帰る寸前までも、この世界の貴女たちに申し訳ないと思っていました。が、彼がこの世界に戻ってくる時は、彼の世界にはもう何の未練もない。もうここに来なくてもいい。…そう思うぐらいの意志がなければダメです」

「…………」

 

鏡を見つめた。

夜になって、家族が一刀を連れてどこかに向かっていた。

多分、彼の帰還を祝うためのパーティーでもするつもりだろう。

家族……一刀は家族たちのことを一番恋しがっていた。

桂花のところに頻繁に行っていたことからもそれは分かる。

自分の子供で、なんとか自分の懐郷病を鎮めようとしていた。

 

が、かえってくるためには一刀がそれほど会いたかっていた家族たちも、捨てなければならないってこと。

 

「お兄、はい、アーン!」

「う…アーン!」

「………へぇ……<<ゴゴゴゴ>>」

「うわっ、月ちゃん、怖い!」

「落ち着け、あれは一刀の妹だ!」

 

……あなたたち、もういい加減戻ってきて頂戴。

 

 

左慈SIDE

 

北郷一刀が予想外のことをしてくれたせいで、残された木こりたちには2つの選択肢が残された。

一つは、釣瓶が降りてくるのを待つか。

それとも、

 

「北郷一刀を信じて、既約のない待ちを続けるか…」

「「「………」」」

 

元から彼をもう二度と見ないことも覚悟していた三人だった。

あの鏡、実際には北郷一刀の意志だけでは動かない。恋姫たちの同意を持たなければ動かないのだ。

つまり、鏡が発動した時点でもう彼女らは心を決めていた。

 

だけど、いざまた逢える可能性もあると聞かれると、彼女らは銅鏡を見ながら迷った。

 

「銅鏡を割ると、あっちの世界に行けます」

「でも、代わりにこの世界は崩れるんでしょ?」

「それはダメ!ここは、ご主人様と私たちは今までこの世界の人々たちを救うために頑張ってきたんだよ」

「そうだ、そんな場所を壊すなんて、一刀の世界に言った所で彼の顔を見ることもできない」

「別段、全員が行くわけじゃなければこの世界も残ります」

「「「!!!」」」

 

だけど、その迷いを更に酷くするものが、左慈という名を授かった僕の仕事だ。

 

「例えば、月だけが向こうの世界に行っても、この世界には別段影響はない。ほかの皆さんがこの世界に居る限り、この世界もまた存在を保てます」

「……!!」

 

その話を聞いた月は一瞬目を輝かせていたけど、直ぐに顔を伏せた。

 

「だけど、そんなことをしたらご主人さまはもうこの世界には本当に帰ってきません」

「そうですね。家族もいるし、大切にして娘も来てくれるのだったら、例え他の娘たちに会いたいと思っても、それほどの意志を強くすることは不可能でしょう」

「なら、話は決まりよ」

 

曹操は鏡を取りながら言った。

 

「この鏡の存在は他の皆には知らせない。この銅鏡の秘密を知っているのは、ここにいる私たちだけ」

「華琳さん、どうしてですか?」

「他の皆、この銅鏡の存在を知らせて、もし一人でも耐え切れなかったらどうなると思う、桃香」

「………鏡を割って……」

「そう、そして残された私たちは二度と彼には会えない」

 

そう、これは酷い団結プレイだ。

既約もなく愛おしい彼を待ちながら、何ヶ月、何年、いや、もしかすると永久に地上に降りてこないかも知れない。

そんな苦しさを、彼女たち全員が耐えきらなくてはならないのだ。

 

「……待ちましょう。ご主人さまのために…」

「月…大丈夫なの?」

「………ご主人さまとまた会いたいと思ってる。でも、皆さんを裏切ることなんて、私にはできないよ、詠ちゃん」

「……」

「なら、その鏡のことは、ここに居る五人以外には知らないことにしておきましょう」

「五人……?あなたは?」

「僕がやるべきことは全て終わりました。これで帰らせて頂きます」

「そんな……!!」

 

最後に……

 

「一言だけ言っておきます」

「「「???」」」

「彼が言っていた、お伽話の最後です」

 

 

 

天の世界で生きることになった木こりは、妻の仙女と子供たちと共に幸せな日々を過ごしていた。

だけど、そんなある日…

 

「…………」

「どうしたのですか、あなた?今日はなんだか元気がありません」

 

妻の仙女が心配そうに聞いたら、木こりは考えていたことを話した。

 

「地上に置いてきた、母親のことを思い出した」

「……あ」

 

木こりには老いた母が居たのです。

息子の家族が消えてから、母は独りでどうしているだろうか、孝子だった木こりは心配だったのです。

そんな夫の顔を見て、妻は少し考えてから話をしました。

 

「でしたら、天帝さまにお願いして、天馬を貸して頂きます。天馬を乗ると、あっという間に地上に戻ることができます。ただし、天馬から降りてはいけません。あなたの足元が地を触れると、あなたはもう二度とこの世界には戻ってこれない身になってしまいます」

「…ありがとう、あなた。直ぐに戻ってくる」

 

木こりはそれから天馬に乗って、地上へ向かった。

羽が生えている天の馬はあっという間に木こりを地上の自分の母が住む家まで連れてきた。

 

「母上、申し訳ありませんが、直ぐに帰らなくてはいけません」

「どこを行ってきてどこにまた行くというのかは聞くまい。でも、行く前にこの南瓜粥でも飲んでお行き」

 

木こりは、断ることができなくて、母が作ってくれた南瓜の粥の器を馬の上で受けた。

だけど、その器は熱すぎて、木こりはその器を落としてしまった。

熱い南瓜の粥を浴びた天馬は驚いて立ち上がり、木こりを背中から落としてそのまま天に昇って帰ってしまった。

 

「ああ、なんてことだ!もう妻と子供たちを、もう二度と逢えなくしまった…!!」

 

木こりは天を仰向きながら喚いたが、天馬はそんな木こりの心も知らず、天に昇っていってしまった。

 

 

 

 

「「「…………」」」

「結局、仙女に付いて行った木こりは、その幸せを自分のものにすることに失敗しました。どうか、あなたたちはそうにはならないことを、心の底からお祈りしています」

「……当然よ」

「私、ご主人さまのことを信じてます」

「それに、一刀の娘たちは全部こっちに居るのよ。どっちかと言うと、しかもどっちかって言うと、こっちの方が仙女でしょ?」

 

………それぐらいの余裕があるのなら、大丈夫でしょうね。

 

「では、僕はこれで……」

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

 

 

半年後、

 

 

スッ

 

結以「左慈さま、わたくしに見せたいものって、なんなのですか?」

左慈「まぁ、見てなさい」

 

嫁の結以を連れて、僕は再びここの世界に帰ってきた。

……そこの話についてこれないあなたは、この作者の前作の黙々シリーズを見てきなさい。長いけど

 

左慈「貂蝉から連絡が入ったのよ。この前僕が出かけた時のこと覚えてる?」

結以「はい、一刀様がすごく恨み深い目で帰ってきた左慈さまを見つめていましたから…」

左慈「それを言わないで。辛いから」

 

一刀ちゃんが怒った……ぐすん

 

結以「ところで、ここで何があるのですか?」

左慈「今日この外史から消えた北郷一刀が戻ってくるって貂蝉から連絡が来たのよ。だから僕に他の娘たち連れて拾ってきなさいって」

結以「……なんで『あの変態野郎』はいつも左慈さまに任せるんですか?」

 

結以、怖い。

 

左慈「まぁ、別に良いわ。じゃあ、城に行きましょうか」

結以「まんまと行ってもよろしいのですか?」

左慈「よそから入るのは趣味じゃないの」

 

 

 

 

蓮華SIDE

 

最初はそれはもう苦労をした。

 

呉の皆を含めて、始めの二週間は皆正気じゃなかったと言っても過言ではない。

政務も警邏もちゃんとできずに、皆が自分たちを責めながら泣いていた。

私たち王たちは、彼女らに秘密を隠していたせいもあって更にその苦しさが増した。

そんな中、私たちを守ってくれたのは、桂花や思春、そして孫登たちのように、彼が倒れる前に一緒に過ごしていた娘たちだった。(孫登が泣いている年で姉の璃々や美似の南蛮兵たちを慰めているのを見た時は驚愕した)

月や詠を含め、もちろん各国の王の私たちも彼女たちを慰めるために頑張った。

 

だけど、苦労をしなかったとは言えない。

二ヶ月ぐらい経って、華琳の部屋に隠しておいた銅鏡を、流琉が偶然見付け出して、その中の一刀と妹の一姫の姿を見て暴走した時、華琳は「正直もう終わったと思ったわ」と言いながら私と桃香に半分泣きながら言った。

反面桃香というと、それ以前に愛紗に銅鏡のことを愛紗にバレたらしい。普通に華琳の部屋に入ってたまたま銅鏡を見ながらにやにやしていた桃香が、思わず愛紗と朱里に話を漏らしてしまったのである。

その日の夜、桃香は私の部屋に来て、

 

「愛紗ちゃんから姉妹の縁を切るって言われちゃったよーー(涙)」

 

と言いながら酒に絡まられた。

 

いや、二人とも真ん中の私に頼ってくるのはいいけど酒呑んで絡むのはやめてほしい。血の繋がりのある姉妹の真ん中に挟まれるのでも十分キツい。

私の場合、とっくに最初に思春に言っていた。

思春がその後こっそり華琳の部屋に忍び込んでいなかった…とは言えない。多分…きっと行ってただろう。

 

あの鏡を見るのは正直危険だった。

見ていたらつい私が一刀のとなりにいる姿を想像してしまった。

だけど、一刀の幸せを崩したくないという気持ちでなんとか衝動を抑えてきた。

 

一刀が言っていた童話に出る木こりは、一日も我慢できずに妻を探しに天に昇った。

そして、また地上が恋しくなって戻ってきては、二度と帰れない身となった。

私たちも彼がいる天の世界に行けなかったわけではない。

ただ、私たちは一刀のことを信じたかった。

一刀はきっと帰ってきてくれると、また私たちと一緒に過ごすために戻ってくれることを、信じたかった。

その信頼が応えられるかも分からず、今に至った。

 

蓮華「そのまま、私たち皆、一刀のところに行ったら、今頃どうなっていただろう」

 

今じゃ皆、いつもの調子…とは言えなくても、ちゃんとしてくれている。

……この前明命と風が猫に『一刀様』という名前を付けて遊んでいるのを見たけど、それについては触れないと思ってる。…猫、可哀想だったわ。ああいうのを病んでるって言うんでしょうね。

 

とにかく、私たちは元気です。

 

左慈「そうでもないみたいですが……(^_^;)」

蓮華「ひゃあああ!!!!」

結以「左慈さま……」

華琳「…あんた趣味悪いわね」

桃香「あはは………」

 

何!?

 

蓮華「桃香、華琳、それに左慈まで…!」

左慈「お久しぶりです。孫権さま。あ、あっちの世界ではその巨尻にお世話になりました」

蓮華「何それ?何の話!?」

 

いきなり現れて何このセクハラ発言?

やっぱあの時斬るべきだったか。

 

桃香「やったよ、蓮華さん!」

蓮華「やったって……いや、待って」

 

左慈が帰ってきたということは……まさか…!」

 

蓮華「一刀が、かえってくるの?」

左慈「はい」

華琳「……帰ってきたらまずどんなお仕置きをしましょうかね<<ゴゴゴオ>>」

 

爽やかな左慈の答えの裏で、なんか黒いオーラが出ていたけれど、大丈夫、私、半年の間以前の私強くなったから、きっと乗り越えられる(シカトできる)。

 

蓮華「で、いつ、どこに来るの?」

左慈「詳しい場所はわかりませんが……時間なら………

 

 

 

今です!(孔明風)」

 

 

 

キラッ!

 

 

結以「他の外史からの移動を確認しました」

左慈「アレですね」

華琳「桃香、蓮華、直ぐに他の娘たちに連絡して探索部隊を……!」

蓮華「ああ」

桃香「まっかせ~なさ~い♪」

結以「いえ、その必要はなさそうです」

 

え?

 

左慈「あの軌道だと……ちょっとまずいか」

華琳「不味いって、どこに落ちるのよ」

左慈・結以「………」

 

左慈ともう一人の女の娘は同じところを差した。

二人が差したのは………

 

 

蓮華「御殿!?」

 

今そこにほぼ皆集まってるわよ!?

 

 

 

(※別に意味のないギャグが入ります。見たくない人は次のページに行ってください)

 

ドガーーーーン!!!

 

結以「綺麗に入りましたね」

左慈「あれは建て直すより全部壊してやり直した方が早いね」

華琳「暢気なこと行ってないでさっさと行くわ……よって桃香?」

桃香「私、この時のために鍛錬して来たんです」

 

ドガーっ!

 

蓮華「なっ!?桃香の頭のモコモコが落ちて地面に穴が…!」

桃香「そして、胸に詰めておいたものも…!」

 

ドがーーーーン!!!

 

華琳「なんですってーーー!!?」

左慈「……僕は何も見ていません」

桃香「それじゃ、私は先に行きます!」

 

ドドドドドドドーー

 

蓮華「ちょっと、桃香!」

華琳「まちなさーーい!!!」

 

ドーン!

 

1.絶を出します。

 

2.絶の柄に縄を結びます。

 

3.桃香に向けて投げます。

 

4.絶がブーメランのように戻ってきて縄が桃香の脚に絡むようにします。

 

桃香「うわぁーっ!」

 

コケッ!

 

華琳「よしっ!」

 

だめだこいつら、早くなんとかしないと。

 

華琳「蓮華、先に行くわよ」

蓮華「………はぁ」

 

1.頭の矢印(?)を外します。

 

2.以下略

 

華琳「きゃっー!」

 

左慈「だめだこいつら、早く(ry」

 

 

 

 

御殿

 

桃香「わーい、一等!」

蓮華「…ちっ」

華琳「あんたたち……後で覚えてなさい」

左慈「この国が心配になってくるから早く行ってください」

 

 

 

木こりがもしそのまま待っていたら、仙女は帰ってきてくれただろうか。

木こりがもし本当に仙女を愛していて、その愛が仙女にも届いていたとしたら、一度天が恋しくて戻った仙女も、また彼に戻ってきてはくれなかっただろうか。

 

木こりは仙女を自分の側に置くために、服を盗み、彼女に嘘をついた。

そうしてまで仙女を自分の側に置きたかったのは、ただの所有欲か、それとも本当に彼女のことを愛していたからか。

 

だけど、本当に妻を愛していたとしたら、彼女のことを信じてくれることも、また残された者の務めだったと思う。

結局両方を天と地の両方を求めた木こりは罰を受け全てを失った。

 

その分、北郷一刀の例えは間違っている。

恋姫たちは木こりではないし、彼自身も、また羽衣を失った仙女ではない。

 

その証拠が、この姿だろう。

 

 

一刀「桃香!華琳、蓮華!」

 

 

「「「ご主人様(一刀)!!!」」」

 

 

 

 

 

はい、というわけで終わりました。第二回同人恋姫祭のために書いた特別作『仙女と木こり』

 

仙女と木こりは日本で言うと、羽衣伝説に似ているものです。そのオチは日本のとは違いますが。

韓国の仙女と木こりは他の名前で『雄鶏が鳴く由来』という名も持っています。

その理由は、最後に妻を永遠と失った木こりが、天と近い家の屋根の上で喚き続けた挙句に雄鶏になってしまったおいう最後があるためです。

韓国では最後で木こりが雄鶏になって天にある妻と子供たちを恋しがりながら鳴き続けます。

それでも、天の仙女は再び地上に来ることまく、そう話は終わってしまいます。

仙女は木こりのことを愛してなかったのでしょうか。

それとも、自分との約束を破った木こりに失望したせいなのでしょうか。

 

余談ですが、一説では、お母さんが木こりに熱い南瓜粥をあげたのが、息子を地上に居させるために態としたことだというものもあります。

それは、木こりが妻に対しての所有欲を持っていたように、母様も息子への所有欲があったからです。

まぁ、実際今になっても韓国では息子は母になかなか逆らえないのが風土ですが、昔からのものらしいです(笑)

 

今回はこのお伽話に比喩して、北郷一刀を仙女に比喩して、懐郷病にかかった一刀が、天に戻る話を書きました。

これも長編にしようとしたら一つの大きな外史に出来るでしょうが、そういうネタはもう他にもありますから、自分はここで閉めようと思います。

 

物語の中では恋姫たちが自分たちを責める様子が出ますが、別段彼女たちを責めるために書いた外史ではありません。

ただ、彼女たちが自分たちの世界を大事にしているように、一刀にとっても自分の世界での記憶も大事だから、その犠牲を当たり前のようなものに考えないで欲しい、という考えで書いてみました。彼女たちにはほんと悪いことをしてしまったと思ってます。

 

最後にちょっと和ませるために多めにギャグを入れています。楽しんで帰ってくださったら幸いです。

 

あ、祭りが終わる前に、もう一つ作品を書いてみようと思ってます。(目標)

今回は、一刀ちゃんの話です(わーい)

いきなり入れると皆びっくりすると思いますけど、そんなこと

 

(♪乙女繚乱ばとるPARTY♪の冒頭音楽が通りすぎる)いえーい!

 

というわけで、仙女と木こり、これで終わらせようと思います。

感想とか書いてくださったら、のちの外史で参考にするかもしれません。

(一姫ネタは要望があったら書きます。なかったら書きません。あってもカカないかも知れません)

 

じゃあ、自分はとなりに原価会計の問題が自分を待っているので、今夜はこれでノシノシ

 

 

 


 
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