No.276730

『孫呉の龍 第二章 Brown Sugar!! 建業編』

堕落論さん

どうも不定期投稿常習者堕落論でございます。
今回も一刀君VS呉の文官で途中まではお送りさせて頂きます。
後書きの欄に読んで頂いている皆様に拠点√のアンケートをお願い致しておりますので宜しかったらご協力くださいませ。

ではではお目汚しかとは思いますが暫しの間お付き合いくだされば幸いです。

2011-08-17 20:40:46 投稿 / 全11ページ    総閲覧数:2205   閲覧ユーザー数:1951

「雪蓮……それに皆も……驚かずに聞いて欲しい。俄かには信じられぬ話だが、この天の御遣い北郷一刀という男は……我々が今暮らしているこの時代よりも遥か先の未来から此の地に迷い込んで来た者らしい……」

 

「「「「「「はあっ……?」」」」」」

 

冥琳が力無く呻くように言った言葉に、円卓上の誰もが皆素っ頓狂な声を出して固まってしまうが、その中でいち早く我に帰り、真っ先に反応したのは雪蓮であった。

 

「ちょ、ちょっと冥琳、貴女、気は確かなの……?」

 

「ああ……残念ながら私は正気だよ雪蓮。しかし、今この時こそ自分の理性と言うものが残っている事を恨めしく思えた事は無いのも確かな話だな……」

 

半ば自嘲気味に小さく笑いながら冥琳は雪蓮にそう告げる。

 

「北郷……龍虎……それって本当なの……」

 

雪蓮は信じられないといった目で対面の二人に問い掛ける。

 

「ええ……本当です。信じて頂く事は難しいでしょうけれど俺と龍虎は、この時代から1800年以上経た時代から来ました」

 

雪蓮の問いに一刀は神妙な面持ちで答える。

 

「「「「「「1800年っ!!」」」」」」

 

またもや、この場に集う者達から素っ頓狂な声があがり、それと同時に雪蓮を含めた円卓上の誰もが皆、一刀と龍虎を何か得体の知れない者を見る様な恐怖が混じった眼差しで見つめる。

 

「た、確かに俄かにはそんな夢物語を信じる事は出来ないわよねえ……でも冥琳、さっきから北郷が皆に話していた事と今の夢物語みたいな事とは何の関係があるのかしら?」

 

多少……いや、かなり戸惑いながら雪蓮が冥琳に先程迄の一刀との問答の事を問うと、やれやれと言った表情で冥琳が雪蓮の問いに答える。

 

「雪蓮、先程から北郷はずっと楚漢の戦の事を例に出していただろう」

 

「ええ、確かに……だけどそれが一体北郷の正体と何の関係があるのよ?」

 

「北郷は我々に楚漢の戦の全てを知ったうえで、負ける事が分かっている楚王項羽を勝たせる事が出来るか? と問うてきたのだよ」

 

「そのぐらいなら私にだって理解出来るわよ……私が冥琳に聞きたいのは何で北郷と話していた貴女が、あそこまで落ち着きを無くす様な態度になったのかと言う事よ……」

 

「雪蓮……良く聞いてちょうだい……北郷が私に暗に伝えようとしたのは、我々が苦心して考えた策を北郷は事前に全て知っていたと言う事なのよ……それこそ楚漢の戦いの漢軍が講じて来る全ての策を、楚軍があらかじめ知っているかのようにね」

 

「事前に……? 全てを……?」

 

「そうだ、赤壁の直前に黄蓋殿と阿吽の呼吸で考え付いた苦肉の計も、鳳統殿が苦心の末に編み出した連環の計ですらも、この北郷にとっては想定内の出来事……と、言うよりも始めから知っていたと言う事らしい……コホッ」

 

途切れ途切れの声で苦しそうな胸の内を訥々と語る冥琳。それまで暫く也を潜めていた咳が再び顔を出して来る。

 

「冥琳……貴方……」

 

雪蓮が心配そうな表情で冥琳の顔を覗き込むようにしたその時、冥琳は明らかに自嘲気味の笑いと共に

 

「ふふっ……己が知力を尽くし、この生命削る程の策をどれほどの計り知れない智謀で討ち破られたかと思えば……コホッコホッ」

 

冥琳の絞り出すような声が痛々しく部屋に響く。

 

「ふふふっ……はははっ……それがどうだっ、我々孫呉が強大な魏との一戦における乾坤一擲の好機であった策を……知っていただと……はははっ……これが笑わずにいられようかコホッコホッコホッ」

 

急に咳こんだ冥琳の姿に雪蓮、魯粛、程普等が冥琳を介抱する為に駆け寄ろうとするが、冥琳はそれにを拒む様にして一刀と龍虎に向かい声を荒げる。

 

「天は……天はそれほどまでに曹魏を愛するかっ! そしてそれほどまでにこの孫呉を憎むのかっ! 幼帝を傀儡としこの大陸を我が手に収めようとする曹孟徳に天の理(ことわり)を指し示したとでも言うのかゴホッゴホッゴホッ」

 

余りの興奮状態に冥琳は激しく咳き込んで、円卓上に突っ伏してしまう。

 

「「「冥琳!!」」」

 

会議室に集う者達全員に緊張が走る中、ゆらりと幽鬼の様に立ち上がった冥琳が一刀に向かって

 

「教えてくれ、魏に降りた天の御遣い北郷一刀よ……天は、天は何故に貴殿をこの時代に……それも魏に降らしたもうたのか。何故に孫呉は、この江東の民達は敗戦と言う屈辱を甘んじて受け入れねばならないのかゴホッゴホッゴホッゴホッ……我々はそれほどまでに天に愛されてはいないのかゴホッゴホッ」

 

冥琳の声は嗚咽するかの様に震え、それ故に一刀に問い掛ける為に紡ぎだされる言葉は、まるで呪詛の様であった。

一刀は冥琳の問いに、どう答えたものかと思案していた。

 

元々居た『外史』に於いて、貂蝉、卑弥呼、龍虎から散々聞かされた話を信じるならば、この世界を創ったのは一刀自身である。この事実を踏まえた上で冥琳の問いに答えるなら

 

(周瑜さんの言う『天』ってのは、つまり俺の事なんだけど……流石にそんな事口にすれば狂人扱いされそうだよな……)

 

この世界が『始まりの外史』における一刀の華琳と共に歩む事を強く望んだ事で構築された世界であると言うのならば、冥琳の言う『天』と言うものは一刀自身の事になるのであろうし、何故、魏が『天』に愛されているのかと言う問いの答えにはなるであろう。

 

が、しかしその話自体、貂蝉や卑弥呼、龍虎との話の中に頻繁に出て来ると言うだけで一刀は未だ半信半疑で充分な理解をしている訳ではないし、自分をこの時代の『神』と言う言葉に等しい『天』と言い切るほどの傲慢さなど、一刀は一切持ち合わせてはいない。

 

一刀はあちら側の世界でいた三年弱の間に、曹魏以外の者達に一刀自身を理解してもらえるようにするにはどの様にすれば良いか……と言う事を常に考えていたし、実際数限りなく龍虎や貂蝉と共にこの様な時の為にシュミレーションも行って来たのである。

 

だがそれはあくまでも魏に一刀がいる事を前提として行って来たものであって、悪く言えば敵地のど真ん中で周り全てが敵である場合などは考えても無かったのである。

 

(と、言う事は……やっぱり皆に納得してもらえそうなのは『史記』の考えか……後は言い方の問題だけだな……)

 

思案していた一刀に一つの考えが浮かび、それをどう冥琳達に伝えるかを考え始めた途端に

 

「大丈夫なのか? 一刀……なんなら此処から引き継ごうか?」

 

一刀の眼下で腕を組み瞑目している龍虎が一刀にだけ聞こえる様な声で聞いて来る。最も龍虎は一刀の顔を見上げるでもなく瞑目して腕組みした姿勢を全く崩さ無い状態である。

 

(相変わらず、こういう所は変に気が付くんだよなあ龍虎って……しかし目も開けずによく俺の事が分かるよな……以前俺に背を向けたまま俺のやってる事を注意した事すらあるんだよなあ…)

 

本当にコイツ人間なんだろうか? と、一刀は些細な疑問を抱きつつも龍虎に向かい、これも二人だけの間にしか聞こえぬ程の声で答える。

 

「んっ……まだ大丈夫だよ。それにこのぐらいの場を収める事が出来ないんだったら、今後来るであろう『外史』の災厄っていう難事なんか乗り切れないだろう」

 

「ほう……中々言う様になったじゃないか。では後は頼んだぞ先程は気絶して醜態晒した天の御遣い殿」

 

「うるせえよっ! あれは龍虎が殺気を振り撒いた所為だろうっ!」

 

龍虎との短い会話を打ち切った一刀は瞬時の間に考えを纏めて冥琳達の方へと顔を向けた。

 

「周瑜さん……『天』とか『天道』とか貴方達が呼んでいるこの世に行われるべき正しき道なんて本当に存在しているんでしょうか……?」

 

一刀は今迄よりももっと真剣な表情で冥琳に向かって話を切り出した。

 

「例えば今、周瑜さんが言った様に『天』に愛されたから俺が魏に流れ着き、そして俺が流れ着いた事によって魏が『天道』を歩んだ……少なくともそんな事で、この大陸の覇権を巡る戦いの趨勢が決定されたなど馬鹿馬鹿しいにも程があるとは思いませんか」

 

真剣な表情に些かの怒りを口調に込めて冥琳に向かい言葉を発する。

 

「馬鹿馬鹿しいだと……ゴホッ」

 

それを聞いた冥琳は己が問うた事を一刀に馬鹿馬鹿しい事と一言の下に切り捨てられた様な心持になって剣呑な視線を返す。しかし一刀は、冥琳の剣呑な視線を真っ向から受け止めた上で

 

「周瑜さんは馬鹿馬鹿しいとは思えませんか? 黄巾の乱が切欠となったこの乱世に於いて孫策さん達が率いて来たこの呉は、貴女達が言う所の『天道』に背く様な所業を行ってきましたか?」

 

「そんな事ある訳ないじゃない! 我々孫呉は天地神明に誓って後ろめたい所業など行って来た事は無いわっ!」

 

一刀の問いに対して冥琳では無く雪蓮が憤慨して応える。

 

「そうでしょうね……それは我々曹操の下で行動を共にしてきた魏もそう考えていますし、恐らく蜀の劉備さん達も同じ様に答えるでしょうね」

 

一刀は憤慨している雪蓮を諭すように彼女に声をかけるが、その言葉を聞き今迄沈黙を保っていた程普が一刀に対して声を荒げる。

 

「その様な事当たり前ではないかっ! 我等皆、己が掲げる正義をこの胸に抱いて先の戦を駆け抜けて来たのだぞっ! それを、それを貴様の様な何処の者とも知れぬ者の入れ知恵のおかげで、幼帝を傀儡とした曹操如きにむざむざと……」

 

「程普さん、言葉には気を付けてください。華琳……いや曹操は成都での最後の戦い迄の間に一度も幼帝を政争の場に立たせた事はありませんし、今後帝位を簒奪する事など毛頭考えてはいませんよ」

 

静かではあるが今迄とは違った氣を瞬時の内に纏い言葉に多少の威圧感を乗せた一刀が程普に向かい

 

「それに戦が終了してから、この世界で数えれば一年程消えていたとはいえ、未だ俺は魏の家臣だと考えてるんで、俺の事をとやかく言われるのは気になりませんけれど我が主曹孟徳の事を蔑に言われるのであれば……」

 

そう程普に言いつつ己に纏った氣を増幅させる。最も先に触れた様に、龍虎の下である程度の修行は積んだのではあるが、一刀自身自由に氣が扱える訳ではない。

 

が、しかし先程の一刀の醜態を見ていた者達からすれば、よもやこちらの如何にも文官然とした御遣い迄もが氣を放出出来るとは思っていなかったようで、一瞬場の雰囲気に緊張が走る。

 

「貴様……」

 

一刀の挑発的な物言いと態度に程普が自分の剣の柄に手をかけようと右手が動こうかと言う時に

 

「双方共に言葉の剣を引けっ! この場は睨み合いの場に非ず、あくまで話し合いの場である筈だがな……」

 

絶妙の間合いで一刀、程普お互いの機先を制するかの様に龍虎の声が響いた。

「双方共に言葉の剣を引けっ! この場は睨み合いの場に非ず、あくまで話し合いの場である筈だがな……」

 

一刀、程普両名の間に割って入った龍虎は、心配そうな表情を此方に向ける雪蓮に視線を合わせて頷いてみせる。

 

「一刀……曹操の事で熱くなり過ぎだ。少しばかり頭を冷やせ。この場は俺達二人の事を良く知ってもらったうえで今後の協力を仰ぐ為の話し合いの場の筈だぞっ」

 

「うっ……ごめん……」

 

龍虎の有無を言わさぬ鋭い視線を浴びせられた一刀は、脱力した様に座り込んでしまう。

 

「ふっ、まあ良いさ、現時点での一刀としては上出来だよ。なんせ一刀の相手は呉の周公瑾なんだ、デビュー戦って事を考えたら及第点だよ」

 

龍虎は視線を和らげ、一刀の奮闘を称えた後、程普に向かって話かける。

 

「程普殿、先の戦に対しての御自身の遣り切れない御気持ちは充分御察し致しますが、仮に御自身が、この様な席に於いて孫伯符に対する悪口雑言を聞かされたら如何なる御気持ちに成られるか御考え為されよ」

 

龍虎のその言葉に程普は憮然とした表情で柄にかけようとした右手を卓上に戻す。それを横目で確認した龍虎は

 

「さて、多少言葉の齟齬はあったが、我が盟友北郷一刀が、只今此処に集う皆に問い掛けた『天道是か非か』と言う事についてだが……」

 

龍虎は円卓をぐるりと見回した後、女性比率が圧倒的な中で数少ない男性でありながら、圧倒的な存在感を漂わせている二人の壮年の男性に向かい話しかけた。

 

「恐らく、呉の重鎮であられる『江東の二張』とお見受けいたしましたが……」

 

龍虎に話を振られた男性の一人で片眼鏡(モノクル)をかけた方が恭しく龍虎に向かい礼をして話し出す。

 

「ふぉっふぉっ、私は張昭と申す、してこちらに控えるは張紘。それにしても紅き龍の御遣い殿の直々の御言葉とはいたみいる」

 

「何を仰るか、『江東の二張』と言えば、そこのじゃじゃ馬の御目付役としても周公瑾と共に名高い賢人の御二人ではございませんか」

 

龍虎は真顔で雪蓮を見ながら、二人に対して礼を尽くす。それを見た雪蓮が両頬を膨らませながら龍虎に向かって

 

「ブ――ッ、誰がじゃじゃ馬よ、誰がっ!」

 

雪蓮の抗議にも耳を貸さずに龍虎は張昭に向かって抱拳礼を取りながら問い掛ける。

 

「張昭殿、並びに張紘殿そしてこの場に集う皆に改めて御聞きしたい。先程は中途半端な形にはなってしまったが我が盟友北郷一刀が言いたかった事は、先の戦は呉、魏、蜀それぞれが己が信じる道を求め正義を掲げ正々堂々と戦いしものであってその戦いは勝者が善であり、敗者が悪であると言う古来よりの価値観で括られる様な戦いでは決して無いと言う事」

 

其処まで一気に喋った龍虎は抱拳礼の仕種を崩さずに雪蓮と冥琳に向き直り

 

「魏は北郷一刀を得たから『天』の恩恵を受けたのか? そして呉は、蜀は……その『天』の恩恵を受けられなかった為に一敗地に塗れる様な形となったのか? 俺の考えを述べさせて貰うならば答えは否だっ!」

 

龍虎は力強く冥琳が一刀に問い掛けた言葉を否定する。

 

「もし仮に『天道』と言うものがあったとして、それは呉蜀が敗れた事が『天道』では無く、取り敢えず魏と言う国を頂点とし、呉、蜀が敗れたとは言え一騎当千の兵達を失う事無く、一つに纏まった事が『天道』であるのだと俺は思う……だからどうか皆は其処の所を取り違えないで欲しい」

 

龍虎の言葉が終わるのを待っていたかの様に張昭の横に座していた張紘が口を開く。

 

「御遣い殿の御考えは大凡納得致しましたが、して御遣い殿の御二人は我々呉並びに蜀に如何なる事を望むのであろうかのう……」

 

張紘の問いを受けた龍虎は、張昭、張紘に向かい

 

「我等二人が望む事は唯一つ。いきなり建業に現れ、初対面である貴方方に此の様な突飛な事を言っても信じては頂けぬだろうが、このままではいずれ先の大戦以上の災いが、どの様な形になるかは分からぬが必ずこの大陸に起こるのだ。俺達はその難事の芽を摘み取り、出来うれば事が起こるのを未然に防ぐ為、そして三国に暮らす全ての民の安寧の為に俺達自身の意志でこの世界に降り立った」

 

そこまで一気に話した後に龍虎は喉を潤す為に卓上に置かれたお茶を一息で飲み干して

 

「しかし当然のことながら、それを成す事は如何に盟友北郷一刀が魏に縁深き者であろうとも、魏一国では到底出来るものでは非ず。故に呉、蜀にも其々先の大戦の怨讐を越えて一致団結して協力を願いたいのだ。その為ならば俺も出来る事なら出来得る限り貴方方に協力を惜しまぬし、北郷も魏に於いての協力を惜しまない……だからこの通りだ我々に協力して頂きたい」

 

そう言うと龍虎は円卓の皆に向かって深々と頭を下げた。

 

「た、龍虎っ! すっ、すいません俺からもどうかお願いします」

 

龍虎が深々と頭を下げた事に一刀が驚き、急いで立ち上がって自分も同じ様に深々と頭を下げる。

 

一刀、龍虎と二人の御遣いによって語られた話の内容と、その御遣いが深々と頭を下げてまでも自分達に願った事に対して全ての者が困惑の表情を浮かべるのであった。

円卓上の者達全てが困惑し戸惑う中、一番初めに声を出したのは雪蓮だった。

 

「ねえ、龍虎に北郷……ちょっと聞きたいんだけれど、今からこの国に降りかかって来る災厄って、ぶっちゃけどういうものなのかしら……?」

 

雪蓮の問いに下げていた頭を上げながら龍虎が答える。

 

「どういうものかと問われても明確に答えるのは難しいな……それこそ一番脅威になるのは異民族と呼ばれる五胡の襲来だろうな。後は呉、魏、蜀いずれの内側から出て来るのかは分からんが獅子身中の虫たる者の内乱か、後は……」

 

「後は……?」

 

「あまり考えたくは無いのだがな、俺達の様に時代を越えて来た様な奴等……それもこの世界に適応し、尚且つこの世界の支配者たらんと行動を起こす奴等による三国との戦争か……」

 

龍虎の考えは決して杞憂などでは無い、あちらの『外史』での管理者達との幾多の話し合いの中に出た事の一つで『外史』の自己防衛本能が暴走する時、他の『外史』の者を無理矢理に自らの世界に引き込んでの異分子排除を強制的に行う場合が往々にしてあるらしいのだ。

 

「どれもこれも華琳や桃香に説明しても鼻で笑われそうな事柄ばかりね……」

 

やれやれと言った表情で雪蓮が溜息を吐く。

 

「華琳は俺が責任を持って説得するから……」

 

「甘いわね、北郷。確かに貴方は華琳を始めとした魏の武将達とは縁深い間柄なのでしょうけれどね、貴方が消える前の華琳と今の華琳とでは立場が余りにも違うって事を貴方理解しているのかしら?」

 

「立場が違う……?」

 

「そう、魏一国の領主であった以前の立場なら、貴方の進言も通ったかも知れない……でも華琳は今や魏、呉、蜀と三国を束ね実力だけで言えば献帝よりも力を持っているの、大袈裟に言えば彼女の一挙手一投足全てに、この国の民達の目が注がれているのよ。そんな彼女が来るかどうかもハッキリとしない災厄とやらに対して積極的に関与出来るとは到底思えないわ」

 

「そ、それは……」

 

あまりにも当たり前の事を言う雪蓮に対して一刀は言葉を失ってしまう。

 

「あらあら、そのぐらいでもう言葉に詰まっちゃうの? そんな事じゃあ華琳はおろかこの呉も桃香の蜀も、誰も貴方の言う事に耳を貸さないわよ……うちにも怖い冥琳がいるけど、蜀には臥龍と鳳雛がいるのをわかっているのかしら?」

 

「ぐっ……」

 

雪蓮の言葉に全く反論が出来なくなった一刀を見た龍虎が、雪蓮との話を引き継ぐ様に助け船をだす。

 

「もうそれぐらいにしてやれ、雪蓮。俺と共に修行したとはいえ、明確な己の意志を持ってこの世界に関わるのには未だ経験不足なんだ」

 

「経験不足ねえ……でも龍虎も北郷と同じ『天の国』から来たんでしょう? それなのになぜ貴方は今迄私達が会った誰よりも桁違いの能力を持っているのかしら?」

 

「まあ、色々複雑な事情もあってな……」

 

「そんな言い訳が通用すると思ってるの?」

 

口調こそ変わらないが雪蓮の目は真剣である。

 

「通用しようがしまいが、俺が今言える事は皆の協力が得られるのであれば、この身、雪蓮達の好きな様に使ってくれれば良い。何度も言うが、この世界における自分自身の力は未だ把握出来ていない。まあ幸いにもお前を含めた呉の武将達全員が本気でかかって来ても生き延びられるだけの武技は有るようだがな……」

 

「なんかサラリと腹が立つ様な事を言われた気がするんだけれど……」

 

「そうか? だが事実である事には代わり無い。兎に角、俺の今の主はお前だよ、雪蓮」

 

「主と呼んでくれるのは良いんだけれど、家来の取る態度じゃあ無いって事は理解しているのかしら? た・つ・と・ら」

 

「ふん、まあこれが俺の性格だからな……で、どうなんだ? 俺が呉に忠誠を誓うって事だけじゃあ信ずるに値しないか? 呉王孫伯符殿」

 

途端に今迄とは全く違った真剣な表情で龍虎は雪蓮を見据える。暫くの間、雪蓮も真剣な表情で龍虎を見つめていたがやがて大きな溜息を一つ吐くと龍虎と一刀を交互に見ながら

 

「分かったわよ……貴方達の事を信じてあげるわ」

 

「雪蓮っ!!」

 

「策殿っ!!」

 

「雪蓮様っ!!」

 

この呉と言う国の行く末を下手すれば決めかねない重要事を重臣達の意見も聞かずに、まるで友人と軽い約束をするようにでも簡単にしてしまった自国の王に対して周りの者から非難の色の強い声が上がる。

 

「なによお、みんなで怖い顔してえ」

 

自分達の主の予想外の行動に円卓上の半数以上の者が血相を変えて雪蓮に詰め寄るのを、雪蓮は苦笑と共に諌めようとするが

 

「雪蓮っ!! お前は何を言っているのか分かっているのかっ!!ゴホッゴホッゴホッ」

 

「策殿っ!! 今一度御考え直し下され、この者達はあまりにも危険ですぞっ!!」

 

雪蓮の両側から冥琳と程普が今にも掴みかからんばかりの勢いで雪蓮に詰め寄って曖昧な答えを許さない。

 

「ああもうっ! 二人ともうるさいわよっ! 私なりにチャンと考えはあるんだからっ!」

 

そう言って二人を引き剥がす様にした雪蓮は龍虎に向かって獰猛な野獣が餌を前にした時の様な表情を浮かべたのであった。

「ああもうっ! 二人ともうるさいわよっ! 私なりにチャンと考えはあるんだからっ!」

 

冥琳と程普の二人掛かりの攻撃を、その一言でやり過ごした雪蓮は、円卓上の自分の席から龍虎の席まで逃げる様に走って来て開口一番龍虎に向かってこう言った。

 

「龍虎っ! 貴方達のことを信じてあげるっ! その代わりに此方からも一つ条件があるの、その条件を適えてくれるのであれば、この孫伯符の名に懸けてでも今後の貴方達の行動に協力する事を約束するわっ!」

 

龍虎の眼前に上気した顔を近付けて雪蓮は早口で捲し立てる。龍虎は雪蓮の様子に若干ながら引きつつも

 

「お、おうっ、俺達に出来る事なら何だってやらせて貰うよ。で、条件ってどのようなもんなんだ?」

 

「ん~っ、俺達……じゃあ無くても良いんだけれどねえ、この条件は……」

 

「いや、俺もやらせて貰いますよ。確かに龍虎程は何も出来ませんけど、俺達が信頼を得る為ならば出来得る限りの事はやりますから、何でも言ってください」

 

一刀が名誉挽回の為に率先して雪蓮にアピールしようとするが雪蓮は意味深な笑いと共に一刀に答える

 

「そう言ってくれる北郷には悪いんだけれどねえ、この条件を北郷にまで適用したら、また華琳と戦争しなくちゃいけなくなるかもしれないからねえ」

 

「な、何すかそれって……?」

 

「おい、雪蓮。お前何を物騒な事言ってんだよ……お前の言い方だと条件は俺にだけ適用されて、それを一刀に適用すれば魏と戦争が起こるだなんて……一体何を考えている」

 

雪蓮の考えが読めずに二人とも困った様な声を出すが雪蓮は悪戯っ子の様な笑みで龍虎に向かって

 

「え~、だって北郷は華琳の所の臣下で、龍虎、貴方は私の臣下なんでしょう」

 

「まあ、確かにそう言ったな……」

 

「だったら、こういう条件は龍虎にしか出す事は出来ないわよねえ……」

 

「分かった、分かった、良いからその条件って奴を早く言ってくれ、何度も言っている様に俺が出来る事だったら何でもやってやるから……」

 

「ふふ~ん、龍虎、その言葉に二言は無いわね」

 

「ひつこいぞ、雪蓮。俺の主はお前なんだから、煮るなり焼くなり好きにすれば良いさ」

 

「そう、じゃあ龍虎、条件を言うわっ! 貴方、この私を含めた呉の諸将達に『天の血』を入れなさいっ!」

 

「……………はあっ?」

 

龍虎の想像の遥か斜め上を高速でぶっ飛んで行く様な条件の提示に龍虎の思考が一瞬止まる。

 

「聞こえなかったかしら? 私を筆頭に先程の謁見の間でいた武将達や、今この場でいる文官達、それに私の親類縁者達等、私に仕えている臣達と貴方から率先して交流を持ちなさい……まあ早い話が口説いてまぐわって子を成しなさいって意味よ」

 

「いやいや、お前何突拍子も無い事言ってんだよ……」

 

その止まった思考に御丁寧にも雪蓮は分かり易く、龍虎の理解しがたい事を説明してくれるが、龍虎は余計に混乱するだけで返す言葉にも切れが無い。

 

「雪蓮っ! お前はいきなり何て事をゴホッゴホッ・・・ 戦時ならいざ知らず今更『天の血』を入れて喧伝しなくても……」

 

「そうですぞっ、策殿! 戦中ならば民達に『天の血』が入る事によって畏敬を呼び起こし呉の正当性の主張も出来たでしょうが……」

 

「はいはいはい、二人の言う事も尤もだし充分理解してもいるわよ、でもね、今この時に龍虎の『天の血』を入れる事は未来の呉の為にも有意義な事だと思うのよねえ」

 

一方の雪蓮は冥琳と程普の言葉を聞いたうえで自分の考えを披露する。

 

「未来の呉の為だと……どういう事だ雪蓮?」

 

「冥琳達も気付いている筈よ、龍虎の武力、知力、胆力の並外れた異常さにね。その龍虎の血を我々孫呉の未来を担う者達に継がせるのよ。いずれその子達は成人して呉を……いやこの三国を背負って立つ様な素晴らしい逸材になると思うのよね」

 

「おいっ、雪蓮!!」

 

一人でかなり暴走気味の雪蓮に向かい龍虎が制止をかけようと言葉を挿むが

 

「何? 龍虎……あ、勿論嫌がる者達にはそんな事しちゃあ駄目よ。貴方が口説いて相手が良いって言うまでは手を出すのは禁止、分かった? それと私ならいつでも大丈夫だからねえ」

 

「いやいやいや、分かった? とか言う前に俺の拒否権は?」

 

「別に拒否しても良いわよ、そのかわり協力する話は無しだけどねえ」

 

そう言って笑う雪蓮の顔がまるでチェシャ猫の様に見えた龍虎は、暫し考えた後に半ばヤケ気味にこう言った。

 

「分かったよ、雪蓮お前の条件を呑もう……只、お前に仕える将達に命令して俺の所に来させるのは絶対に止めろよ。あくまで本人の意思に任せるって事でそれだけは約束してくれよ……」

 

龍虎はそう言った後に脱力して座り込むのであった。

虎が脱力して座り込んだ後に雪蓮は冥琳を筆頭とした者達に囲まれ言い寄られていた。その内容がかなり離れてはいるのだが龍虎の耳にも漏れ聞こえて来るほど、声高々に遣り合っているのである。

 

「全く……貴様は……」

 

「策殿っ! 祭が傍に付いていればこの様な事にはならないものを……」

 

「雪蓮様っ! この紅蓮、呉の未来の為なら喜んで、この身を龍虎様に捧げます……」

 

「あ―――っ、どさくさに紛れて何言ってんのよ紅蓮っ! 龍虎の血を始めに入れるのはシャオなんだからぁ――っ!」

 

「………………別にあれ程の男なら…………ポッ」

 

「わ―――っ、公苗が喋ったっ!!」

 

聞こうとしなくても聞こえて来る喧騒に肩を落として疲れた表情をしている龍虎に隣の一刀が、オズオズと喋りかける。

 

「龍虎……何て言えばいいか……兎に角、ごめん」

 

「ああ? 何突然謝ってんだ、お前は……?」

 

「いや、結局話を纏められなかったばかりか、変な条件迄龍虎に背負い込ませるようになっちゃって……」

 

「ハハ……確かに妙な条件だけれども、どこの馬の骨とも分からん男に、誇り高き武将や文官達が身を任せるとは思えないぜ、残念ながら雪蓮の思惑は外れるだろうがな……」

 

表情は疲れていたが、一般的な男女の貞操観念を思って龍虎は、やや楽観的に一刀の心配に答える。だが、一刀は曇った表情を全く変化させること無く龍虎の希望的観測を打ち砕く様な言葉を続ける。

 

「あ――っ、言い難い事なんだけど……それ恐らく龍虎の思い違いだと……」

 

「んっ? 何が思い違いなんだ?」

 

龍虎の問いに一刀が答えようとしたその時に龍虎達より、やや年上に見える青年が強引に話に割り込んで来た。

 

「へえ~っ、紅き御遣い殿は武力、知力は大したものだが、女の事については全くなっちゃいねえなあ」

 

「誰ですか? 貴方は……」

 

話の途中で割り込まれた一刀があからさまに不機嫌な声で、その青年に問うと青年はカラカラと笑いながら気安そうに龍虎の側に立って自己紹介と共に言葉を続ける。

 

「こいつは失礼。魏の御遣い殿の話の腰を折っちまったようだ。俺は姓は虞、名は翻、字は仲翔。ここでは文官の仕事と簡単な占いの真似事をさせてもらっているんだ。まあ宜しく頼むわ」

 

見かけは、如何にもお調子者の態を装ってはいるが、この女性社会の中で男性でありながら重要な閣議に参列しているのだから、かなり有能な者なのであろうと一刀は思い青年に声をかけようとした時、今度は龍虎に割り込まれた。

 

「では直言好きで、度々呉の上層部と衝突する虞翻殿は、俺のどの辺がなっちゃいないとお考えなのかな……」

 

「ほう、さすがは紅き御遣い殿だ、俺自身の事など一言も喋っちゃいねえのに其処までお見通しとはねえ……」

 

先程までの軽薄な調子を瞬時に表情の下に隠し、警戒する様な表情を見せた虞翻ではあるが、また直ぐに元の表情に戻って龍虎の問いに答える。

 

「で、さっきの話だが紅の御遣いの旦那よお、誇り高き女ってのはな、その自尊心が傷つかないって事が分かれば案外簡単に強き男に靡いて行くもんだぜ。簡単に言えば旦那みてえに凄まじいまでの武力と知力を持っているならば負けてもしょうがない……って思っちまうって事だ」

 

「そんなものなのか? 俄かには信じ難いがな……」

 

虞翻の言葉に龍虎は表情に困惑の色をより強くする。

 

「現に謁見の間では旦那の事を殺す気満々だったうちの大将が、いまや旦那を擁護する側に回っちまってるって事が良い例さね」

 

雪蓮の方を見ながら虞翻は苦笑い交じりで言う。

 

「あれはあれで、肩の荷が下りたから変化したんだろうさ。俺に対して好意がどうとかって言うもんじゃあないだろう?」

 

「か―――っ、本当にそう思ってんのかよ……旦那ぁ、そんな考えじゃあ今後苦労すんのが目に見えてるぜ……」

 

虞翻は大袈裟に驚く様な仕種を見せながら龍虎に苦言を呈する。

 

「まあ、苦労するかどうかは展開次第だな。ところで虞翻、そんな話とは別に何か俺に用事が有るんじゃあないのか?」

 

龍虎が虞翻が話しかけて来た真意を見越して問い掛けると、虞翻は頭を掻きながら

 

「やっぱ旦那は全てお見通しかよ……すまねえなあ、どうやら俺の同僚が旦那に興味津々らしいんだが、何と言うかかなり内気でねえ……まあ俺がおせっかいで旦那との仲介役を買って出たっちゅう訳なのさ。旦那ぁ、出来ればその娘の相手をしてやっちゃくれねえか?」

 

「ああ、俺なんかで良ければ……まだまだあっちの話し合いは終わりそうに無いからなあ……」

 

そう言って龍虎は未だ収まりそうも無い雪蓮達の話し合い……と、言うよりは『貞操の危機に瀕した乙女の主張大会』の方を見てげんなりとした顔で虞翻に答える。

 

「さすがは旦那だっ、話が早え。お~いっ! 樹里、御遣いの旦那が相手してくれるってよ、良かったな」

 

そう言って虞翻が龍虎の下に一人の少女を招く、オドオドとした様子で龍虎の側まで来た少女に龍虎は出来るだけ優しく声をかける。

 

「まあ、今更なんだが……俺は子義龍虎、今後、この呉で世話になる事になった宜しく頼むよ……え~と……君をどう呼べば良いのかな?」

 

「ほわっ……わ、私は姓は諸葛、名は瑾、字は子瑜と申しましゅ……あっ、噛んじゃった……」

 

(ほう、諸葛瑾か、これはこれはまた大物が出て来たものだ……しかしまあ悉く英傑達が女性……それも若い女性ばかりと言うのも何か落ち着かないものだな……)

 

自分の前で緊張で固まってしまっている少女を見ながら言うに言えない居心地の悪さを感じている龍虎であった。

「で、子瑜さんは俺達に何が聞きたいのかな?」

 

龍虎は先程から空気と化している一刀の事を慮って態と俺達と言う言葉を使い、諸葛瑾に質問する。

 

「は、はいっ、あ、あのおっ……御遣い様は、ほっ、本当に1800年も後の時代の『天の世界』からやってこられたのですか?」

 

しどろもどろになりながらも諸葛瑾が龍虎達に質問をする。

 

「ああ、先程一刀が公瑾殿に話していた通りだよ、最もそれを証明してくれって言われても証明できる様な証拠はないけれどね」

 

そう言いながら龍虎は柔らかい笑みを向けながら冗談めかして諸葛瑾の問いに答える。

 

「で、ではっ、どの様にしてこの呉に辿り着かれたのですかっ……流星に乗って来られたと皆さんが言ってましたけど本当なのですか……それに、それに……」

 

「ハハハッ、ちょっと落ち着こうか子瑜さん、そんなに一度に聞かれても答えられないよ」

 

「ほわわっ……すいません私慌ててしまって……あうぅっ」

 

興奮気味の自分の行動に気付いて諸葛瑾は恥ずかしさのあまりに俯いてしまう。

 

「知識欲旺盛な所は、流石に蜀の臥龍の姉妹という所かな」

 

龍虎が諸葛瑾の妹でもある蜀の孔明を引き合いに出して話すと、諸葛瑾は驚いた様な顔をして龍虎に問い返す。

 

「ほわっ……何で御遣い様は朱里ちゃんと私が姉妹と言う事迄御存知なのですか?」

 

「そいつは俺も聞きてえな、旦那は俺と初対面だったってえのに、俺の事も直言好きの虞翻って呼んでたし、それに魏の御遣いさんも冥琳殿と何やら赤壁の事で遣り合ってたみたいだしな……」

 

諸葛瑾と一緒になって虞翻までもが龍虎に質問を浴びせて来る。龍虎は二人の問いに対する返答をほんの少しだけ躊躇する素振りを見せたが

 

「そうだな君達二人なら理解してくれそうだな……先程一刀が『太子公書』の事を例にして公瑾達と議論していただろう」

 

龍虎は何かを決断した様な口ぶりで、諸葛瑾、虞翻両名を前に話し始める。

 

「君達を含めて今の時代の人々は古の英雄や英傑の事を、その『太子公書』で知る事が出来るだろう。それと同じ様に俺達の世界にも今のこの時代の事が紀伝体として編まれて現存しているのさ」

 

「な、なんと……」

 

龍虎の口から聞かされた事に対して虞翻が驚愕の余りに言葉を失い、諸葛瑾に至っては今にも卒倒しそうになっている。

 

「『三国志』と呼ばれて、『呉』、『魏』、『蜀』それぞれに関わる事柄や人物の伝が記載されているのさ、勿論その『呉書』の中には君達二人の伝もある、俺の君達に対する知識もそこからのものが大半だと思ってくれて良い」

 

「そ、それでは先程北郷様が楚漢の戦いを例に出して冥琳様とお話されていた事は……」

 

震える声で諸葛瑾が一刀に向かって問い掛けると

 

「うん事実だよ……龍虎が話した『三国志』の中には、周瑜さんと黄蓋さんの『苦肉の計』も蜀の鳳統さんの『連環の計』の事も記載されていたからね」

 

「ほわわっ……」

 

苦笑を交えて一刀が諸葛瑾に事実を伝えると、それを聞いた諸葛瑾は驚きの声と共に再び固まってしまう。

 

「う~ん、どうも信じられねえなあ……いや、御遣いの旦那方を疑う訳じゃあねえが、どうにもこうにも……」

 

一刀と諸葛瑾の遣り取りを見ていた虞翻は自分の頭を振りながら、御遣い達の話に対して疑念を捨てられない。

 

「まあ、それが当たり前の反応だと俺は思うけどな。今の俺達の存在を簡単に受け入れられる事が出来る者なぞ、コイツの事で耐性が出来ている魏の曹操達ぐらいのもんだよ」

 

龍虎は一刀を指さしながら話した後に、虞翻と諸葛瑾に向き直って真剣な表情で切り出した。

 

「さて、今話した『三国志』の話は出来たら君達二人だけの心の内に止めておいてもらいたいのだが……」

 

「御遣いの旦那、そりゃあどういう意味ですかい……?」

 

龍虎の頼みを聞いた虞翻が怪訝な顔で龍虎を見やると龍虎は二人の間に顔を寄せ声を潜めてこう言った。

 

「先程から俺達の話に出て来ている『三国志』だが、此処に集う者達や、魏、蜀の者達も例外無く網羅されてはいるのだけれどね……俺達二人、いや、天の御遣いと言うものに対しては一言も触れられていないんだよ」

先程から俺達の話に出て来ている『三国志』だが、此処に集う者達や、魏、蜀の者達も例外無く網羅されてはいるのだけれどね……俺達二人、いや、天の御遣いと言うものに対しては一言も触れられていないんだよ」

 

龍虎の言葉を聞いた虞翻と諸葛瑾は彼が何を言いたいのかが理解出来ない様子であった為、龍虎は更に言葉を続けた。

 

「だから、俺達……と、言うよりも一刀が赤壁の戦いで魏に加勢をした時点で『三国志』に書かれている内容に多少誤差が発生しているのさ」

 

一刀の介入で起こった誤差は多少の誤差といえる範囲の誤差では無いのだが、ただでさえ根強い一刀に対する不信感を呉の諸将が更に深めなくても良い様に敢て龍虎はその言葉を使用した。

 

「それに、この呉に俺が世話になる事も『呉書』には書かれていないしね……」

 

「成る程、旦那達が読んだその『三国志』とか言う書物には今迄の戦い等が書かれちゃあいるが、旦那達が絡んでくる事によってその後の展開が微妙に違って来ているってことなんだな」

 

「その通り、だから今後起こり得る未来って奴に『三国志』って奴は全く役に立たないのかもしれない面が多々あるので、それには出来るだけ頼りたくないんでね。だから『三国志』の話は此処だけで止めておいてくれると助かるんだけど……」

 

「あ、あのお……御遣い様は何故その様な大事な事を私と虞翻にだけお話になられるのでしょうか……」

 

諸葛瑾が不思議な顔をして龍虎に問いかけると、龍虎は苦笑交じりで諸葛瑾に答える。

 

「う~ん、何故かって聞かれると困るんだけど……しいて答えれば」

 

龍虎の言葉に虞穏と諸葛瑾が息を呑む。

 

「しいて答えるとするなら……勘かなあ」

 

「ハハハッ……何だそりゃあ、うちの大将みたいじゃあねえか」

 

龍虎の思いもかけなかった答えに、気が抜けた様になった虞翻が半ばヤケ気味に答える。諸葛瑾は目を白黒させて答える事も出来ない。

 

「まあ、そう言う事で二人を見込んだうえでお願いしたいんだが……」

 

「ああ、この虞翻、天に誓って旦那が今言った事は俺だけの胸に仕舞って置くぜ、樹里も約束できるよな」

 

「はっ、はい、私も御遣い様との話は決して口外いたしません。御遣い様と私だけの約束です」

 

力強くそう言った諸葛瑾の頬が何故か真っ赤で潤んだ瞳になっているのだが、龍虎はそれに全く気付かずに二人に向かって手を出して

 

「じゃあ、そう言う事でこれからも宜しく頼むよ、虞翻、諸葛瑾」

 

「こちらこそ宜しく、手助けが欲しい時は何時でも言ってくれよ」

 

握手を求めた手をしっかりと握り返しながら虞翻が力強く言う。

 

諸葛瑾は暫しの間、龍虎を見つめた後に何事かを決意したかの様な目で

 

「諸葛瑾子瑜、真名は樹里と申します。この真名、御遣い様御二人に預けます。今後ともどうか宜しく御指導をお願いいちゃしましゅ……ああ、大事な所で噛んじゃいました……」

 

そう言って諸葛瑾は落ち込んでしまうが、龍虎はそんな諸葛瑾を元気づけようとしてその頭を軽く撫ぜる。その行為に驚いて諸葛瑾が顔を上げると、龍虎は優しい声で諸葛瑾に向かってこう言った。

 

「ありがとう、俺も一刀も喜んで君の真名を受けよう、今後、出来れば俺達の事を御遣い様って呼ぶんじゃやなくて名前で呼んでくれた方がもっと嬉しいかな」

 

「ほわわわっ……御遣い様ぁっ……」

 

それを聞いた諸葛瑾は今にも湯気が出そうなほど顔を真っ赤にしてとうとう気を失ってしまい、膝から崩れ落ちてしまう。

 

「おっ、おいっ……」

 

慌てた龍虎が諸葛瑾を抱きかかえる様にして、諸葛瑾が転倒しそうになるのを止めた時

 

「ああっ、龍虎が浮気してるよぉぉぉぉっ!!」

 

思いもしなかった方から小蓮の声が響いて来たのであった。

 

「ああっ、龍虎が浮気してるよぉぉぉぉっ!!」

 

部屋中に小蓮の声が響くと共に先程迄離れた場所でいた者たちが一斉に此方側に向かって来る。

 

「やるじゃあない、龍虎っ! もう私の言った条件を実行に移すなんて……」

 

「龍虎様っ! 何故この紅蓮じゃあ無くて、樹里をっ……」

 

「ふんっ、やはりこの男は孫呉に仇成しそうな者だな……」

 

先程迄喧々囂々と遣り合っていた者達が、今度は龍虎達の方に場所を移して遣り合いだす。最も今回槍玉に挙がっているのは龍虎一人であるようだが……

 

「あのなあっ、これは樹里と話をしている時に急に樹里が倒れるから助けた訳であってだなあ」

 

「ああ、龍虎、何時の間にか樹里の事、真名で呼んでるうっ……全く油断も隙も無いんだからっ!」

 

「シャオ、頼むから場を掻き回して俺を貶める発言をするなっ」

 

龍虎は今の状況の説明に努めようとするが小蓮の一言に力が抜ける。そこに雪蓮が満面の笑みを湛えて

 

「まあ、そうやって徐々に皆と仲良くなって、この呉にバンバン貴方の血を入れなさい、皆には快く納得して貰ったから」

 

「雪蓮、明らかに納得せずに剣呑な視線を飛ばして来ているのも数人居そうなのは、俺の見間違いか?」

 

「いやあねえ、龍虎、始めから誰でも龍虎に靡いちゃう様な難易度が低いのって面白くないじゃあ無い、あっ、それと龍虎の今からの仕事も決まったからね」

 

「面白くないって……お前、まあ良い、で、俺の仕事って俺は何をしたら良いんだ? まさか、いくら雪蓮でも血を入れるのが仕事とか言わないよな」

 

「そんな事言う訳無いじゃあない、龍虎アンタ、私をどういう目で見てるのかしら」

 

「いや、雪蓮を見ていると、そう言う言葉しか浮かんで来ないんだが……」

 

「ブ―――ッ、まあ良いわ。で、龍虎の今からの仕事なんだけれど……この呉に関する事全てが貴方の仕事よ」

 

どうだと言わんばかりに龍虎に向かってその豊満な胸を張る雪蓮に、龍虎は多少の目眩を感じつつ雪蓮に問い返す。

 

「呉に関する事全てって何だ? 軍事、内政、外交、国民達の生活等々、それ全部って事か? しかし、それらは文官や武官の専門の者が上に立っている筈だろうが、いきなり俺が口を挿んでも上手くいく筈無いだろう……」

 

「そんな事心配しなくて良いわよ。あくまで形式上龍虎は相談役って事よ、折角『天の知識』を持っているんだから、それをこの呉の為に有意義に使う為の措置よ、それにそうやって全ての仕事に貴方が関与して成果を上げれば、うちの子達だって貴方を快く受け入れる様になるでしょう。どう? 良い考えでしょう」

 

これ以上の良策は無いと言った感じの雪蓮に埒が明かないと感じた龍虎は、未だ不服そうな顔で雪蓮の両側に控える両都督に話を振る。

 

「程普殿に周瑜殿は、この様な無茶な案で良いのか?」

 

「周公瑾個人としては無論反対ではあるさ。だが良く良く考えてみれば貴様の知は確かに今後の呉に於いて必要なものである事に間違いは無い」

 

龍虎の案に冥琳が不服そうに答え、それを引き取って程普もまた嫌悪感をありありと表情に出して答える。

 

「私も冥琳と同じ考えだ、貴様の武力は我々が束になっても敵うものでは無い……ならばその力を我等孫呉の兵の為に活用する事に私は吝かではない」

 

「どう、龍虎? これでもまだ不服かしら?」

 

両都督の渋々ながらの了承を取り付けた事で強気に出る雪蓮に、何とは無く進退窮まった感を覚えた龍虎は大きな溜息を一つ吐くと

 

「分かった……誠に遺憾ではあるが雪蓮が提示した条件と、仕事の件は了解した。その代わり必ず、俺達への協力の件は果してくれよ……」

 

「当たり前じゃないっ! この孫伯符に二言は無いわっ! 大船に乗ったつもりでいなさいよ」

 

雪蓮は龍虎と一刀に向かって力を込めて頷くいた後

 

「それと北郷ちょっと良いかしら?」

 

「はっ、はい何ですか?」

 

「北郷を華琳の元へ送る事なんだけれど……一月後に洛陽で三国同盟の記念式典が華琳の手によって催され、我々呉も諸将を引き連れて出席するのよ、その時で良いかしら」

 

今すぐに華琳の元へと飛んで行きたい一刀ではあったが、今の自分一人で建業から陳留へ行くのは余りに無謀である事を充分に理解している為

 

「ありがとうございます。よろしくお願いします」

 

「直ぐに送ってあげられなくてすまないわね。華琳には今日中にも手紙を書いて、陳留に向かう船便に使者と共に乗せる様にするから心配しないで。その代わり呉に滞在している間は北郷は賓客扱いとしてあげるわよ」

 

「すいません。何から何まで本当に御世話になります」

 

一刀は雪蓮を始めとする呉の皆に深々と頭を下げた。

 

「さあ、これで龍虎と北郷の処遇も決まったし、今からは皆を集めて親睦の為に大宴会をやるわよっ!」

 

「雪蓮っ! いきなり言われても準備が出来んぞっ!」

 

またもや暴走気味の雪蓮に、すかさず冥琳が制御しようとするが

 

「冥琳、そんな堅く考えないで良いのよ、沢山のお酒とツマミ程度のモノがあれば充分なんだから……」

 

「全く……お前と言う奴は……」

 

雪蓮の久しぶりの心からの笑顔を前にして、冥琳自身も形容しがたい至福の様なものを感じてしまい笑みがこぼれる。

 

龍虎は自分の両目から涙が流れている事も気にせずに、ただ黙ってそれを眺めていた。

後書き……のようなもの

 

 

 

どうも取り敢えずはなんとか二週間強で更新が出来てホッと一息の堕落論です(苦笑)

 

え~と、一刀君と呉の文官達後半戦の筈ではあったのですが途中から一刀君の旗色が悪くなって結局は龍虎君の出陣とはなってしまいましたが如何だったでしょうか?

 

前々回気絶だった事を考えれば、前回、今回と呉の重鎮達を前にして多少遣り取りが出来るぐらいには一刀君の能力が上がっております。

 

実際の設定上ではもっと一刀君の実力はあるのですが、やはり経験不足って事でこのぐらいで一刀ファンの方には我慢して頂ければと思います。

 

 

 

しかしおかしいなあ……予定ではこの話のUPが8月14日頃の筈で、その後は今日明日中に第二回同人恋姫祭りの為の話を書いてる筈だったんだけれどなあ……

 

自分の怠け癖に辟易している堕落論でございます……(マジ、間に合うのかなあ? まあその前に私が書いたものを恋姫祭りに出して良いものやら……)

 

 

すいません今回もオリキャラ出しました……女性では諸葛瑾さん、男性では虞翻さん……以下略(笑)いやいや、張昭さん、張紘さんは完全にモブキャラです今後は二度と出て来る事は無い筈です

 

これに対して虞翻さんは華陀との絡みが今後にありますし呉に於いての貴重な男性キャラとして今暫くは登場して頂く事になっております。

 

 

 

 

閑話休題

 

 

 

前回の後書きにも書いた様にこの話で、取り敢えず龍虎君は呉の臣下として動ける様になりましたし一刀君もそれ相応の扱いを受け、華琳様にも居場所を知られる様になりました。

 

これをもって石頭城イベントの終了です。次回からは拠点√を挿みつつ、第三章の洛陽動乱編に移って行く下準備でございます。箸にも棒にも引っかからない中途半端な小説ではございますが今後とも宜しくお願い致します。

 

 

 

さてここからが本題!!

 

前回にも告知させて頂きましたが拠点√(龍虎編)の龍虎君の御相手を、この小説を読んで頂いている皆様に選んで頂きたいと思います。

 

ぶっちゃけ、雪蓮、冥琳、明命、小蓮以外はオリキャラばかりなので、恋姫ファンの皆様にはご不満ばかりだとは思われますが、そこをなんとか駄目小説家を助けると思って、ご協力の方をお願いできませんでしょうか

 

取り敢えず、コメント欄でも、応援メッセージでも、一言メッセージでも何でも構いませんので龍虎君とこの娘(娘とは言えない方も出て来てはいますが……)との話が見てみたいと思われる方は是非コメント下さい、お願いします。

 

エントリーメンバーを以下に列記しますので番号でも名前ででも宜しいので御協力の程を……また次ページにオリキャラの簡単な設定も載せておりますのでご参考にして頂ければ幸いでございます。

 

 

拠点√候補

 

 

1 雪蓮

 

2 冥琳

 

3 小蓮

 

4 明命

 

5 孫瑜(紅蓮)

 

6 程普(命)

 

7 朱治(鏡)

 

8 賀斉(紅音)

 

9 魯粛(芙蓉)

 

10 諸葛瑾(樹里)

 

 

以上の10名でございます。

 

御回答頂いたうち上位3名で拠点√を書かせて頂こうと思っておりますので宜しくお願い致します。

 

 

 

 

 

 

 

コメ頂いたり、支援していただいた皆様へ

 

毎度毎度拙い文に皆様からコメや、支援いただき本当にありがとうございます。結構おっかなびっくり書いている私には皆様のコメや支援が大変嬉しく又、励みになっています。

 

まだまだ駄目駄目小説家ではございますが今後とも本当に宜しく御贔屓の程をお願いいたします。

 

また、このssに対するコメント、アドバイス、お小言等々お待ちしております。「これはこうだろう。」や「ここっておかしくない??」や「ここはこうすればいいんじゃない」的な皆様の意見をドンドン聞かせていただければ幸いです。

 

皆様のお言葉が駄目小説家を育てていきますのでどうか宜しくお願いいたします。

 

 

それでは次回の講釈で……堕落論でした。

『孫呉の龍』 

 

登場オリキャラ簡易設定

 

孫瑜 仲異

 

そんゆ ちゅうい

 

真名 紅蓮 こうれん

 

龍虎がこの外史に来て初めて出会った孫呉の将であり最初の協力者。

 

自身は孫家三姉妹の従姉妹にあたり呉軍内では輜重部隊を束ね、赤壁時には後方待機であった。

 

髪型は、孫三姉妹と同じく薄桃色の長髪を無造作に後ろで束ねたポニーテールであり、眼の色も碧眼である。

 

非常に学問を好み戦陣に在る時でも書を手離さないぐらいで、周瑜や陸孫程ではないにしても、かなりの博識である。

 

性格は温厚ではあるが、呉の女性らしく芯が強い面も見せる。蛇足ではあるがプロポーションは雪蓮とタメ張るぐらいであったりする。

 

特記事項……何気にド天然

 

 

 

程普 徳謀

 

ていふ とくぼう

 

真名 命 みこと

 

云わずと知れた呉の重鎮、赤壁時には冥琳とおなじ都督であった。

 

孫呉の将の中では最年長であり、みなからは「程公」と呼ばれ慕われている。

 

髪の色は銀(決して白髪では無い!!本人談)

 

祭こと黄蓋が雪蓮を除けば唯一、頭が上がらない人物であったりする。

 

かなりの人格者であり呉の武官の筆頭でもある。しかし一見常識人の様に感じられるが実は……

 

特記事項……年齢の話は彼女の前ではNG

 

 

 

朱治 君理

 

しゅち くんり

 

真名 鏡 きょう

 

程普、黄蓋と並ぶ呉の宿将の一人であり呉群の太守を長きに渡って努めている能吏

 

程普、黄蓋等と同年輩である筈なのだが、その容姿は若々しく年齢不詳である。

 

髪は美しい艶のある黒髪の長髪で戦闘時以外は自然のまま。戦闘時はアップで纏めます。

 

性格は慎ましく誠実を絵に描いた様なお人です。

 

呉内の年長者三人組(誰だかはわかるよね)の中で作者の設定上では御嫁さんにしたい度1位である。 

 

特記事項……三人の中では常識人の為に偶に影が薄くなってしまう事が……

 

 

 

賀斉 公苗

 

がせい こうびょう

 

真名 紅音 あかね

 

彫の深い顔、長身、呉の武将達を遥かに凌駕する巨乳(笑)正にアジアンスーパーモデル。

 

誰もが袖を通すのに躊躇する様なド派手な服を平気で着こなすが決して自己主張が強いと言う訳ではない。

 

髪も呉の女性には珍しいブロンドであり美貌と相まって、かなりのインパクトを与える。

 

しかし、性格は極端な無口であり慣れていなければコミュニケーションをとるのは、まず無理!!

 

他の呉の諸将は賀斉の表情をなんとか読み取って会話を成立させているらしい。

 

特記事項……何故か龍虎とは言葉が無くても会話を成立させる事が出来る。

 

 

 

 

魯粛 子敬

 

ろしゅく しけい

 

真名 芙蓉 ふよう

 

冥琳の古くからの友人であり、呉内に於いては冥琳に勝るとも劣らない名参謀。

 

裕福な家の出でありお嬢様であるのだが質素な物を好み、賢人(決めるのは魯粛自身)の話を聞くのが大好き。

 

髪の毛の色は赤みが強い茶髪であり、癖っ毛である。体型は標準サイズ大きくも無く小さくも無く……(何が?)

 

外見はおっとりしているように見られるが、性格は勝気であり負けず嫌い。

 

余談ではあるが能力は演義ではなく正史に準じており、かなり高い。

 

特記事項……偶に『黒魯粛』が発動する場合があり、その時の性格はドSでツンデレと言う危ない娘

 

 

 

諸葛瑾 子瑜

 

しょかつきん しゆ

 

真名 樹里 じゅり

 

皆様御存知の通りの「はわわ軍師」の姉ちゃんです。

 

妹の劣化版の軍師と思われがちですが、この方れっきとした武官です。

 

但し人と人との調和を図ったり、相手を怒らせずに非を認めさせたりする事が出来るのは流石伏龍の姉と言った所でしょうか。

 

外見上は妹さんをもう少し大人にした感じと思ってください(残念ながら作者に画力は全くありません……誰か絵師様助けておくれww)

 

設定上は文武両方とも水準以上にこなせる呉のマルチロール的な女性です。

 

特記事項……散々考えた結果口癖は「ほわわ」(いや本当に結構考えたんですよ……)

 

 


 
このエントリーをはてなブックマークに追加
 
 
10
0

コメントの閲覧と書き込みにはログインが必要です。

この作品について報告する

追加するフォルダを選択