No.276494

恋姫外史アナザー・とりあえず一刀祭り編

アキナスさん

第二回同人恋姫祭り~~~
そんな訳で恋姫外史アナザー・とりあえず一刀と言うssを書いているアキナスです。
ちなみにそれは、その前に書いていた恋姫外史・あるところに一刀のアナザーストーリーなので、そっちを先に見ないと訳が分からないと思います・・・(汗)
自分の書いているssでは一刀君のキャラ崩壊しまくり、パロディも多数と言うかなりカオスな作品ですのでそれでもいいと言う人は読んでみてください。
そして私の紹介する作品は

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2011-08-17 16:37:07 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:7598   閲覧ユーザー数:6030

「フンフンフ~ン♪」

 

街中を鼻歌を歌いながらスキップする璃々。

 

「あんまり先に行くなよ~~」

 

「は~~い♪」

 

そして璃々の後を歩く一刀。

 

璃々が遊びに行きたいとせがんだ際、今日は蜀の皆の都合が着かず、たまたま手の空いていた一刀が璃々のお守りをする事と相成ったのである。

 

「璃々ちゃんは何処に行きたいんだ?」

 

「う~んとね・・・」

 

璃々が一刀の問いに答えようと振り返った時

 

「・・・あれ?」

 

璃々が頭に?マークを浮かべた。

 

「どうかしたか?」

 

「一刀お兄ちゃん、後ろ」

 

「後ろ?」

 

璃々の言葉に一刀が後ろを見ると

 

「・・・・・・」

 

一刀の後ろには一匹の雄犬が居た。

 

茶色の雑種のようでかなりやせ細っており、元気が無い。

 

その犬はジーッと一刀の方を見ている。

 

一刀が何歩か離れて立ち止まると

 

「・・・・・・」

 

犬も同じ距離をトボトボと歩いて止まった。

 

「かわいい!」

 

璃々はその犬に走り寄って、頭を撫でた。

 

犬は特にどうもせず、おとなしく撫でられていた。

 

「一刀お兄ちゃん、この子飼いたい!」

 

「ん~~・・・」

 

一刀も犬に近づき、腰を落として犬を見る。

 

犬は何を考えているか分からない顔で、ジーッと一刀を見ていた。

 

「とりあえず、連れ帰って紫苑たちに聞いてみるか?」

 

「うん!」

 

璃々は嬉しそうに頷くと、犬に抱きついた。

 

犬は特に動じず、されるがままになっていたのだった・・・

 

 

 

 

 

そしてそのまま犬を連れ帰った二人。

 

飼ってもいいかお伺いを立てたのだが・・・

 

「う~む・・・」

 

「そうね・・・」

 

たまたま最初に会った紫苑と桔梗は、犬を見て渋い顔をしていた。

 

「駄目か?」

 

「お母さ~ん、どうして~?」

 

璃々は疑問の声を上げる。

 

「・・・璃々、その犬は何故元気が無いのか分かる?」

 

「・・・え?」

 

「もう年なのよ。正直、後どのくらい生きられるか分からないわ・・・」

 

紫苑は犬を見ながら静かに言った。

 

「そんな・・・」

 

璃々はショックを受けたようだった。

 

「もしもその犬を飼うなら、その事を覚悟して飼わねばならん・・・分かるな?」

 

桔梗は諭すように璃々に言った。

 

「俺はそれでも構わないけどな・・・璃々ちゃんはそれでもいいのか?」

 

「・・・・・・」

 

一刀の問いに璃々は一度犬のほうを見た。

 

犬もそれに気付き、璃々を見つめた。

 

「・・・それでもいい。璃々、やっぱりこの子を飼いたい」

 

璃々は紫苑たちにハッキリとそう言った。

 

「ふむ、こう言ってるし、俺も構わんからどうだ?飼わせてくれんか?」

 

「・・・まあ、ちゃんと分かっているのなら良いかのう?紫苑」

 

「・・・そうね」

 

あまり乗り気では無い紫苑だったが、一応お許しは出た。

 

そして国主の桃香や他の蜀の面々も説得し、その老犬は飼う事が許されたのだった・・・

 

 

 

 

 

老犬の犬小屋は城の中庭の片隅に作られた。

 

そして犬小屋の入り口の上には、一刀と璃々が二人で考えた名前、仔呂と書かれた板が貼り付けてあった。

 

仔呂の食事は鶏肉である。

 

食事は色々と出されたのだがどれも食べようとはせず、柔らかく煮た鶏肉が出た時ようやく口にしたのだという。

 

散歩は一刀と璃々の役目で、仔呂が全く走ろうとしないので実にのんびりとした散歩となっていた・・・

 

 

 

 

「しっかし、こいつはいつも何を考えてるんだろうなあ・・・」

 

散歩中、一刀はそんな事を言った。

 

「璃々ちゃんは分かるか?こいつが何を考えてるのか」

 

「え~っと・・・尻尾が動いてる時はなんとなく・・・」

 

「でもこいつ、あんまり尻尾も動かさないよな?」

 

「吠えたりもしないね~~・・・」

 

二人して仔呂を見る。

 

仔呂は相変わらずの無表情で、トボトボと歩くだけであった・・・

 

 

 

 

 

そして三ヶ月ほど経ったある日

 

昼間、一刀が中庭で昼寝していると、

 

ぬう・・・と一刀の顔に影が出来る。

 

「・・・んん?」

 

一刀がふと目を開けると、そこには相変わらずの無表情で一刀を見下ろす仔呂の姿があった。

 

ちなみに首輪は着けているが、犬小屋に紐で縛り付けたりはしていないので、結構好き勝手に動き回っているのである。

 

「お前はほんとに好き勝手やってるよなあ、俺も人の事(っていうか犬の事)は言えんが・・・」

 

身体を起こして言う一刀。

 

「一刀お兄ちゃ~~ん、仔呂~~」

 

一刀が声のするほうを見ると、璃々がこちらに駆けてきていた。

 

一刀と仔呂の前で止まる璃々。

 

「何してるの~?」

 

「さっきまで昼寝してたんだが、いつのまにかこいつが来てたんだよ・・・」

 

「ふ~ん、璃々もお昼寝しようかな~」

 

そんな事を話していると、仔呂が璃々に近づいてきた。

 

「?」

 

璃々が首を傾げる。

 

そんな璃々に仔呂は顔を近づけて

 

ベロン!

 

「きゃっ!」

 

璃々の顔を舐めた。

 

「びっくりした~~」

 

目をぱちくりさせて言う璃々。

 

実は、仔呂が人の顔を舐めたのは、ここに来てからは初めてだったりする。

 

「珍しい事もあるもんだな~・・・」

 

一刀がそう言うと、仔呂は一刀の方に顔を向けて

 

ベロン!

 

「うぷっ!」

 

やっぱり顔を舐めた。

 

そして仔呂は、二人の丁度真ん中で身体を丸めた。

 

すぐに寝息を立てはじめる仔呂。

 

「人の顔を舐めたらすぐ寝る。本当に訳の分からない奴だな・・・」

 

一刀は顔を服で拭いながらそう言った。

 

「まあいいか、俺ももう一眠りしようっと・・・」

 

「璃々も~~」

 

結局、二人と一匹はその場で昼寝を始めるのだった・・・

 

 

 

 

 

 

いつのまにか夕方になっていた。

 

「ん・・・」

 

最初に目を覚ましたのは一刀だった。

 

「ふあ~あ、良く寝た・・・」

 

伸びをする一刀。

 

「って、もう夕方じゃねえか!誰も起こしにこなかったのかよ!!」

 

「んん・・・な~に~?」

 

一刀の声に璃々も起きてきた。

 

「おお、もう夕方になっちまったんだよ」

 

「じゃあ・・・そろそろ帰らないと・・・」

 

目をこすりながら言う璃々。

 

「お前も起きろよ」

 

一刀は隣で寝ている仔呂を揺り動かす。

 

しかし、仔呂は全く起きなかった。

 

というか、動いていない・・・

 

「・・・まさか」

 

一刀は仔呂の顔に手を近づけた。

 

「・・・・・・」

 

一刀はなんともいえない表情になった。

 

「どうしたの~?」

 

璃々が不思議そうに一刀に訊ねた。

 

それに対して一刀は

 

「・・・こいつ、息してねえ・・・」

 

静かにそう言ったのだった・・・

 

 

 

 

 

 

 

「もう寝たか?」

 

「ええ・・・」

 

城の廊下で、一刀と紫苑は話していた。

 

あの後、仔呂は犬小屋のあった場所に埋められた。

 

その上には石が置かれ、それが仔呂の墓となったのだった。

 

「璃々ちゃん泣いてたか?俺らの前では泣いてなかったけど・・・」

 

「・・・はい」

 

「そうか・・・」

 

一刀は腕を組んで月を見上げた。

 

「なあ?やっぱり飼わなかった方が良かったんかなあ?」

 

「・・・・・・」

 

「俺はそこまででもないが、璃々ちゃんには辛かっただろうな・・・」

 

「お優しいんですね・・・」

 

紫苑は微笑んで言った。

 

「でも大丈夫ですよ。あの子は私の娘ですから・・・」

 

「・・・そうか、納得」

 

 

 

 

一刀はふぅと一息ついて、思った

 

 

 

 

 

仔呂が最後に自分と璃々の顔を舐めたのは

 

 

 

 

 

あの何を考えているか分からない老犬のせめてもの礼だったのではなかっただろうかと・・・

 

 

 

 

 

それに答えられる者はおらず、今残っているのは

 

 

 

 

璃々が眠りながらも手に持っている仔呂の首輪と

 

 

 

 

城の倉庫に入れられた、使う者のいない犬小屋だけであった

 

 

 

 

そして、一年に一度の仔呂の命日には必ず

 

 

 

 

墓参りをして花を手向ける璃々の姿があったという・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

どうも、アキナスです。

 

お盆で実家に行き、お墓にも行ってなんとなくこんな話を書きたくなりました。

 

せっかくの祭りの盛り上がりに水を差したらごめんなさい。

 

そして一つ、気になっている事があります。

 

参加条件3つめのキャラの縛りです。

 

動物も縛りに入るのでしょうか?

 

もしも入るのなら、タグを外してただの番外編にしようと思います。

 

とにかく、恋姫の世界が今以上に広がっていく事を期待し、次回に・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ゲッタービィィィィム!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


 
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