No.276053

対魔征伐係.20「体育専任教師①」

シンヤさん

1P目に本文、2P目にその話に出てきた、関するものの設定紹介、小話など。あれば読者からの質問の答えなんかも。質問をする場合はお気軽に。回答は次回の2P目になります。質問内容は3サイズとか趣味とか好きな食べ物とか、設定に記載されていないもの、或いは紹介自体されていないものなど何でもOKです。但し、有耶無耶にしたり、今はネタバレ的な意味で回答できないよ!となる場合もあることをご了承ください。

2011-08-17 01:41:47 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:561   閲覧ユーザー数:319

「今日から体育の先生変わるらしいよ」

「え・・・そうなの・・・?」

 

 

 

 

 

 

真司が雪菜のことで苦労していた時、ひとつ上の階にある二年生の恵理佳が居る教室では、一時限目の体育に備えて着替えの真っ最中だった。

男子たちは既に着替えを済ませて体育館へ移動しており、教室には女子だけだ。

恵理佳の周りには特に仲のいい親友二人が居た。

そのうちの一人、紫髪のショートヘアの少女が恵理佳に話しかけている。

 

「うん、ほら、一ヶ月くらい前に来た体育の専任教師・・・」

「あぁー・・・何て言ったっけ・・・朝比奈先生・・・?」

「そう、朝比奈郁先生ね」

 

二人の会話に赤髪の少女が割り込んできた。

 

「でも確か・・・三年だけじゃなかったのか・・・?」

「二年生では私たちのクラスだけ受け持つことになったらしいけど・・・」

 

郁のことで考え込む恵理佳を置いて、二人は話を進めて行く。

 

「ウチだけねぇ・・・恵理佳が居るからかなぁ・・・」

「私も思った」

「・・・そう、かな・・・?」

 

不意に自分の名前を呼ばれ、内心慌てて対応する恵理佳。

学校内では恵理佳は名の知れた生徒だった。

高嶺の一人娘ということ。

文武両道。

何よりも運動、武術が盛んな鎮守高校の中でも恵理佳の運動神経は群を抜いていた。

同じ女子は勿論として、その力は男子にも匹敵すると言われているほどだ。

ならば体育の専任教師が例外的に恵理佳のクラスだけ受け持つということは不自然ではない。

 

「まぁ、早いところ私たちも移動しようぜ」

「私は終わっているけど」

「あ、ごめん、もう少し・・・」

 

一人考え込んでいた恵理佳は一人だけまだ着替えが終わっていなかった。

郁が自分のクラスの授業を受け持つことに多少思うところがあったのだ。

(・・・考えすぎ、かな・・・)

恵理佳も無事に着替えを終え、三人は教室を後にした。

 

 

「始めまして、今日からこのクラスの体育を受け持つことになった朝比奈郁です。よろしくね」

 

体育館へ移動して数分、皆が体育館の指定位置に並んで座っていると始業のベルが鳴り、郁が体育館へやって来た。

先日会った時とは別人のようにその表情は引き締まっている。

流石は教師と言ったところだ。

 

「へぇ、大人の女って感じの先生だなぁ・・・恵理佳とは大違い?」

「・・・放っておいて・・・」

 

クラスメイトたちが郁の登場でざわついている最中、赤髪の少女は恵理佳を見ながらからかうように話しかけてきた。

恵理佳も初体面のときにそれは痛感している。

だが、何度見ても自分との落差にため息を吐かずに居られなかった。

 

「今日の授業は、前の先生から引き続き空手ね」

 

クラスメイトたちが大人しくなり始めた頃、今日の授業の内容が知らされる。

鎮守高校は体育の授業回数が多めなことに加えて、空手、柔道や剣道なども他の学校に比べて取り扱う回数は多い。

恵理佳たちも前回の体育まで空手の基本的な動作を学んでいた。

 

「でも、授業に入る前に・・・ちょっとしたデモンストレーションでもやりましょうか」

 

郁の予想外の言葉にまたもやクラスメイトたちはざわつき始める。

 

「体育の専任教師って言ってもどの程度のものなのか、最初に見せておかないとね」

 

郁の意見にクラスの人間は男女問わず大賛成だった。

この鎮守高校に体育専任で女性の教師が来ることは前例がないことだ。

恵理佳たちのクラスだけではなく、学校中が郁の実力には興味があるだろう。

 

「そこで・・・幸いこのクラスには高嶺さんが居るから・・・ちょっとお付き合いしてもらえるかしら?」

「・・・いい、ですけど・・・」

 

クラス中がよりいっそう騒がしくなる。

軽いお祭騒ぎだった。

校内でも名の知れた運動神経の持ち主と体育の専任教師との勝負が行われるのだ。

皆が沸きあがるのも必然だった。

そんな空気を察して、半ば諦め半分で立ち上がり、前へと出て行く恵理佳。

 

「確か高嶺さんは空手が得意と聞いているけど・・・」

「・・・はい、他の種目に比べれば少しだけですけど・・・」

「なら、今回はお互い真剣勝負ということでお相手願おうかしら」

 

郁の思いがけない発言に場のムードは更に過熱される。

 

「・・・勝負って言っても・・・練習試合、ですよね・・・?」

「えぇ、練習よ」

 

恵理佳の心中を察し、練習と断言する郁。

だが、そんな郁の表情に恵理佳は引っかかるものを感じていた。

 

 

 

 

 

 

なぜなに!!征伐係!!

 

 

 

 

◇霧月(むつき)

 

・17歳/156cm

・鎮守高等学校に通う高校2年生。

・図書委員をしており、本を読むのが趣味。

・運動は苦手だが、勉強は出来る。雑学が豊富。

・エリカ以上に絶壁、こちらは寧ろない。男子と同じ。

・苦いものや辛い物が苦手。お子様舌。

・大人しく、口数の少ない性格。

・常に人より数歩後ろに居たい性格で、目立つことを苦手とする。

・手先が器用。

 

 

◇陽那(ひな)

 

・17歳/169cm

・鎮守高等学校に通う高校2年生。

・帰宅部だが、運動神経がよく、頻繁に各運動部の助っ人に呼ばれている。

・運動が得意で、体を動かすことが好き。じっとしていることと勉強が苦手。

・スタイルがクラスで一番いい。が、本人は逆に運動の邪魔でよく思っていない。

・辛いもの、炭酸系が大好き。甘すぎるものは苦手。

・明朗快活で、男口調。口より手が先に出る性格。

・目立ちたがりで調子に乗りやすい。

・不器用。

 

 

 

◇親友3人の関係

 

・霧月と陽那は小学校からの腐れ縁。

・小さい言い争いからそこそこ大きい喧嘩まで数え切れないほど繰り返してきた。

犬猿の仲のように見えるが、どんな大きな喧嘩も少しの冷却期間を設ければ元に戻る。

・エリカと出会ったのは中学に入ってからで、それからは年齢的に成長したことと、仲介役が入ったことで喧嘩の回数は減った。

・人見知りの気があるエリカにとって最初に出来た友人であり、今では何でも話せる大切な親友。

・昼食の時や、移動教室の時など、基本的には何時も一緒に居る。

 

 

 


 
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