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真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第17話

葉月さん

ちょっと遅れましたが17話投稿完了です!

今回から反董卓連合軍内でのお話になります。

連合軍に参加した一刀たち。

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2011-08-15 16:23:40 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:9972   閲覧ユーザー数:7111

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第17話

 

 

 

 

【反董卓連合軍】

 

 

 

反董卓連合軍――それぞれの思惑が渦巻く場所

 

あるものは、名声を得る為に、

 

あるものは、独立の為に、

 

あるものは、皆が笑顔で居られる為に、

 

あるものは、大事な人を守る為に、

 

それぞれが、それぞれの思いを胸に抱き今動き出す。

 

 

 

《一刀視点》

 

「おぉ!すごい数だな。黄巾党の時以上だなこれは!」

 

指定された集合場所に着くと其処には既に多くの諸侯が集まっていた。

 

「うわ~、すごい数だね。ご主人様」

 

「殆どの諸侯が来ているようですね」

 

あまりの兵の量に驚く桃香に愛紗は付け加えるように伝えた。

 

「この中でどれだけあの檄文を信じて参加したと思いますかご主人様?」

 

雪華は大地を埋め尽くすほどの兵達を見て俺に質問してきた。

 

「そうだな~。俺の予想だけど、半分くらいはそれぞれ野心があって来てると思うんだ」

 

「残りの半分は何なんですか?」

 

「残りの半分はきっと報復が怖くて参加してるだけだと思う。だから積極的に戦には参加しないと思うんだよ」

 

「なるほど……流石はご主人様ですね!」

 

雪華は俺の言ったことに素直な感想を言ってきた。

 

「はははっ。これくらいは誰でも分かるよ。な、桃香」

 

「ええ!?そ、そうだよね!こ、これくらい分からないとダメだよね!うんうん」

 

話を振られ驚く桃香。桃香もわかって無かったってことかな?

 

「と、ところで!どんな人たちが来てるのかな!」

 

桃香は慌てて話を逸らしてきた。どうやら本当にわかってなかったみたいだ。

 

まあ、桃香らしいと言えばらしいんだけどね。

 

「黄巾党の時でも見かけた曹操さん、孫策さん、白蓮さんに袁紹さん、それに袁術さんですね」

 

「それとは別に馬の牙紋旗が有りました。多分、西涼の馬騰さんではないかと思います」

 

朱里と雛里は望遠鏡を覗き込みながら俺達に教えてくれた。

 

「そっか~。挨拶しに行かないとね」

 

「その前に色々とやる事があるだろ?」

 

「えへへ。そうでした」

 

桃香はペロッと舌を出しておどけて見せた。

 

「ようこそおいでくださいました。お名前と統治する街の名をおっしゃってください」

 

そこへ金ぴかの鎧を着た兵士が近づき何処の所属かを聞いてきた。

 

「あ、はい。平原の相、劉備です」

 

「劉備様ですね。では、こちらへお越しください」

 

兵士の案内を受け場所を移動する。

 

「こちらが劉備様の部隊の待機場所になります。それと只今作戦会議中の為、本陣にお越しくださいとのことです」

 

「わかりました。直ぐに行くと伝えておいてください」

 

「了解しました」

 

兵士は敬礼すると自分の本陣へと戻っていった。

 

「なあ、俺らって結構遅く到着したよな」

 

「はい、私たちが最後と言っていましたから」

 

「それなのにまだ方針が決まってないのか?」

 

「はわわ……私に言われても……」

 

朱里は困った顔をして俺に言ってきた。

 

「それもそうだよな。とにかく本陣に行こう。俺と桃香と朱里で行って来るから、愛紗と雪華は天幕設営の指示を頼む」

 

「わかりました。お気をつけて」

 

「わかりました!」

 

「鈴々は?ねえ、鈴々は!」

 

「そうだな。鈴々と星は兵達を待機させててくれ」

 

「うむ。任されよう」

 

「任せるのだ!」

 

「雛里は、他にどんな諸侯が来てるかを調べてくれ。そして本陣でどんな作戦が来ても直ぐに対応できるように色々と考えといてくれるかな」

 

「お任せください」

 

皆に指示を出しそれぞれ動き出した。

 

「よし。それじゃ行こうか」

 

「はい」

 

こうして俺を含む桃香、朱里の三人で本陣に向う事にした。

 

『おーっほっほっほっほ!おーっほっほっほっほ!』

 

本陣の天幕に近づくと甲高い笑い声が聞こえてきた。

 

「な、なんだ?」

 

「なんだろうね」

 

「はわわ……凄い嫌な予感がします」

 

「とりあえず天幕に入ろう」

 

その高笑いに俺も桃香も朱里も苦笑いを浮かべるしかなかった。だけどずっとここに立っている訳にも行かず意を決して天幕の中へと入って行った。

 

「おーっほっほっほっほ!おーっほっほっほっほ!」

 

天幕に入ると上座で金ぴかの鎧を着た、これまた金髪のカールの掛かった女性が胸を張って笑っていた。

 

「「……」」

 

「はわわ……」

 

その状況に圧倒される俺たち。

 

「おーっほっほっほ……ん?誰ですのあなたたち」

 

天幕に入ってきた俺たちに気がついたのか笑いを止め話しかけてきた。

 

「あ、はい!平原から来ました。劉備です!」

 

「ああ、あの天の御遣い~が居るとかなんとか言っている所ですわね。わたくしは袁本招!この中で唯一の『大・将・軍』ですわ!おーっほっほっほっほ!おーっほっほっほっほ!」

 

自分の名を名乗るとまた大きな声で笑い出す。

 

「この人が袁紹……」

 

反董卓連合軍の発起人にして、この戦の張本人。なんだけど……

 

第一印象は一言で言ってしまうと「馬鹿」としか言いようが無かった。

 

「ん?誰ですの。このブ男は」

 

「ブ男……」

 

多分俺の事を言っているんだろう。この天幕の中で自己紹介をしてない男は俺だけだからな。

 

「俺が一応、天の御遣いって呼ばれてる。北郷一刀だ」

 

「あら、あなたでしたの、天の御遣い~っとやらわ」

 

「ああ、俺としてはそんな気は無いんだけどね」

 

「ふんっ。まあ、そんなのはどうでもいい事ですわ。早くそこにお座りなさい」

 

袁紹は興味もなさそうに席に座るように命令してきた。

 

袁紹に言われ席に座った俺たちの前の席には白蓮が座っていた。

 

「あ、白蓮ちゃん!」

 

「遅かったじゃないか桃香」

 

「うん、色々と準備に時間が掛かっちゃって」

 

「あら、白蓮さんは劉備さんとお知り合いでしたの?」

 

「ああ、まあな」

 

「まあ、田舎者同士仲がいいです事、それに比べわたくしのような……」

 

「それより早く進めてくれないかしら?時間の無駄よ」

 

自慢話が始まりそうな所で腕を組んだ曹操が苛立ちながら答えた。

 

「わ、わかっていますわよ。まったく、名家であるこのわたくしに命令しないでくれるかしら」

 

「はいはい、わかったから進めて頂戴、進めないのなら帰るわよ」

 

曹操は袁紹に臆することなく喋っていた。確か俺の知ってる曹操と袁紹は知り合いだったな。この世界でもそうなのかな?

 

「……相変わらず堂々としてるな曹操は」

 

「そうだね~。私もあれくらい堂々としてた方がいいのかな、ご主人様」

 

「桃香が曹操みたいに……無いな」

 

俺は桃香が曹操みたいになった時の事を想像して直ぐにそれは無いと否定した。

 

「うわーひどいよご主人様!」

 

「そこの遅れてきたお二人、うるさいですわよ!」

 

桃香が大きな声で俺に非難し、袁紹はその事で俺たちに注意をしてきた。

 

「す、すまん」

 

「ごめんなさい」

 

「まったく……これでは話が進まないじゃありませんか」

 

「さっきからまったく進んでないじゃないか」

 

「何か言いまして、白蓮さん!」

 

「なんでもないぞ。ほら勧めてくれ麗羽」

 

「まったく……それでは遅れてきた人も居ますのでもう一度自己紹介をして貰いましょうか。まずは遅れてきたお二人!」

 

「は、はい!平原の相、劉備です。よろしくお願いします!」

 

「北郷一刀です。一応、天の御遣いなんて言われてます」

 

「それじゃ次は私だな。私は公孫賛だ。幽州の領主をしている」

 

「……曹操。陳留の相よ。まあ、知らないものは居ないと思うけれどね」

 

曹操は自信満々に答えた。

 

「次は妾じゃない!妾は袁術!そしてこやつが妾の客将の孫策じゃ!」

 

「……(ペコッ)」

 

孫策と言われた褐色の肌の女性は無言で立ち上がりお辞儀をしてそのまま座った。

 

その時、俺は気がついた。お辞儀をした時に憎らしそうに袁術を睨みつけている事に。

 

あの人が孫策か……

 

「西涼の馬超だ。訳合って、母様っ、馬騰はここに顔を見せられないからあたしが代表で来た」

 

馬超……錦馬超か!

 

ポニーテルをして凛々しく、ハキハキと話す馬超。

 

……確か馬騰って、曹操に殺されるんだったよな。それでそれを恨んで馬超が俺達の仲間になるんだったけ。

 

そして、その他の諸侯が自己紹介をしていった。

 

「そしてこのわたくし、このわ・た・く・しが!」

 

「もうあなたは名乗ったでしょ。早く先を進めて頂戴」

 

そして最後に袁紹が名乗ろうとすると曹操は早く先に進めろと催促していた。

 

「わ、わかっていますわ!まったく、このちんちくりん小娘が……コホン。さて、それではこの連合軍を指揮する総大将ですが誰か居まして?」

 

「はぁ?!」

 

俺は驚き声を上げてしまった。ま、まだ総大将すら決まってなかったのか!?今まで何をしてたんだ?

 

「なんですの天の御遣い~」

 

「い、や……まさか、未だに総大将が決まってないのか?」

 

「そうですわ!誰も立候補者が出てこないのですわ。誰か、わたくしの様な資金もあり、わたくしの様な門地も良く、わたくしの様な兵が多く居る人は居ないのかしら?。おーっほっほっほっほ」

 

「「「「……」」」」

 

椅子に座っている各諸侯の代表たちは呆れていた。……いや、若干数名は違っていた。

 

「七乃、喉が渇いたのじゃ、蜂蜜水を持ってまいれ!」

 

「お嬢様~もう少し待ってましょうね~」

 

「嫌なのじゃ!今すぐ飲みたいのじゃ~」

 

っと駄々をこねるお子様。もとい、袁術。

 

「……」

 

そして目を閉じ肩を震わせて怒りを抑えている曹操。

 

それにさっきから俺の事をじっと見つめてる桃色の髪に褐色の肌の女性、孫策。

 

「……(ニコッ)」

 

俺と目線が合ったことで孫策は小さく手を振り微笑みかけてきた。

 

その隣で同じく褐色の肌に黒髪の眼鏡をかけた女性はそんな孫策を見て呆れていた。

 

孫策と一緒に居るって事はあの人が断金の仲って呼ばれてる周喩かな?

 

「誰か資金も大量にあり、門地もよく、兵が多く居る人を知りませんの?」

 

俺が孫策に目を向けていると袁紹は総大将に誰が相応しいかを聞いてきた。

 

「……なあ、朱里、あれはどう見ても自分がやりたいんだよな」

 

俺は袁紹たちに聞こえないように小声で朱里に話しかけた。

 

「そ、そうですね。ですが体裁があり、自らやると言い出せないのではないかと」

 

「そっか……桃香、朱里。俺が今からすることを黙ってみててくれないかな」

 

「なにするのご主人様?」

 

「はわわ、まさかご主人様……」

 

「え、なに?朱里ちゃん何かわかるの?」

 

桃香は何かに気づいた朱里に話しかけた。

 

「なあ、もう袁紹さんでいいんじゃないか?」

 

俺は立ち上がり袁紹を推薦した。

 

「あら、誰かと思えば天の御使い~ではございませんの。今なんと仰いまして?」

 

袁紹はニコニコと笑いながら俺にもう一度何と言ったかを聞いてきた。

 

「総大将は袁紹さんでいいんじゃないかって言ったんだよ」

 

「「……」」

 

俺を見てそれぞれの代表達は驚きを見せていた。

 

(どこの田舎者だよ……)

 

(天の御遣いとか言われてるけどただの小僧だな)

 

(ふん、何も知らん若造が)

 

(あ~あ、ご愁傷様)

 

っと、ヒソヒソ話が辺りから聞こえてきた。

 

「みなさん、うるさくてよ!」

 

「「……」」

 

袁紹の一言でヒソヒソ話をやめる面々。

 

「なぜ、私を推薦するのかしら?それなりに理由があるのですわよね?」

 

「ああ。まず、第一にお金持ちだろ」

 

「ええ。この中の誰よりも持っていますわ」

 

「むっ!妾もお金も……もがもがっ!」

 

「は~い。美羽様は黙っていましょうね~♪」

 

袁術は何かを言おうとしていたが隣に控えていた従者に口を押さえられて発言させてもらえていなかった。

 

「第二に兵力も他の諸侯に比べて多い」

 

「ええ、ええ!名家の袁家ですもの!これでも少ないくらいですわ!」

 

「それに名家で門地もいい。これだけそろっていれば十分、総大将として認められるだろ?」

 

「流石は天の御遣い~ですわね。他のものよりわたくしの事を十分理解しておいでのようですわね。おーっほっほっほっほ!」

 

「はぁ~」

 

何処からともなく溜め息が聞こえてきた。

 

「いいでしょう。このわたくし、袁本招が総大将を勤め上げて見せますわ!おーっほっほっほっほ!」

 

「はわわ、ご主人様これでは……」

 

「大丈夫だよ」

 

俺は不安な表情を浮かべている朱里の頭を優しく撫でた。

 

「では、劉備軍に最初の関所である汜水関を攻めていただきましょう」

 

「ええ?!わ、私たちだけでですか?!」

 

「そうですわ。栄誉ある初陣を飾れるのです。ありがたいと思いなさい。おーっほっほっほっほ!」

 

袁紹が笑う中、諸侯からはまたヒソヒソと話し声が聞こえてきた。

 

(やっぱりな……)

 

(これであいつらは壊滅だな)

 

っと哀れんだ声があちらこちらから囁かれていた。

 

「……」

 

「……」

 

「ほぅ……」

 

しかし、その中で三人だけが俺を見ていた。

 

その人物とは、曹操に孫策。それと孫策の隣に居る多分周喩だ。

 

「北郷、お前ってやつは……」

 

白蓮も机を挟んで俺に同情の言葉を投げかけてきた。

 

「白蓮も心配し過ぎだって……まあ、見ててよ」

 

「お、おい北郷!何処に行くんだ!」

 

「あの袁紹さん」

 

「なんですの?」

 

「先方をやってもいいが条件がある」

 

「このわたくしに条件ですって?いいでしょ言って見なさい」

 

「俺らはこの中で弱小だ。もし、そんな俺らが先方をやって追い返されたら全軍の士気に関わると思わないか?」

 

「え、ええ。そうですわね」

 

「だから、袁紹さんの『名家』の力を借りて、兵と兵糧、武器を少し貸して欲しい」

 

「な、なんですって?!」

 

「袁紹さんは心が広いお人だ。きっとこの条件を飲んでくれればもっと袁紹さんの事を褒める人たちが出てくるかもしれないぞ?『袁紹様は弱者にもお優しい方だ』って」

 

「あ、当たり前でしてよ!わたくし袁本招は寛大な心を持ってますのよ。兵くらい貸して差し上げましてよ。おーっほっほっほっほ!」

 

「ありがとう。流石は袁紹さんだ」

 

「では、後ほど部下に伝えて兵と兵糧、武器をお貸ししますわ」

 

「はぁ、これで会議は終わりね。私は先に戻らせてもらうわ。巳水関攻略の方針が決まったら伝えて頂戴」

 

曹操は立ち上がりスタスタと天幕から出て行った。

 

「な!華琳さん!勝手に戻らないで下さるかしら!」

 

「七乃~。妾は疲れたのじゃ~」

 

「はいは~い。それじゃ私達も戻りましょうね~」

 

「なっ!美羽さん!?」

 

「ふむ、では私たちも戻らせていただこう」

 

黒髪で眼鏡をかけた褐色の女性も曹操に続き出て行った。

 

「まったくなんですの、あの方たちは!まあいいですわ。作戦は後で伝えますわ!まったく……」

 

そういうと袁紹もブツブツと文句を言いながら天幕から出て行った。

 

「ご主人様、何を考えているんですか~」

 

「そうだぞ北郷」

 

「ははは、まあ、いいじゃないか。ここで延々と総大将決めてるよりはましだろ?」

 

「そ、それは助かったけど……しかし、先方を任されたんだぞ?お前達の兵数で攻略できるはずないだろ!」

 

「でもでも、ご主人様は袁紹さんから兵とか借りてくれたんだし。きっと何とかなるよ!」

 

桃香は笑顔で『流石はご主人様!』っと腕に抱きついた。

 

「まったく、何考えてるんだ?あんたらの主人はよ」

 

「「え?」」

 

「君は確か……」

 

俺の後ろから声が聞こえ振り返るとポニーテールの少女、確か馬超だったな。その馬超が苦笑いを浮かべて立っていた。

 

「さっきも自己紹介したけど、あたしは馬超ってんだ。よろしくな」

 

「俺は北郷一刀。まさかここで『錦馬超』に会えるとは思わなかったよ」

 

「お、あたしの通り名知ってるのか。そいつはうれしいね」

 

馬超はテレながらもうれしそうにしていた。

 

「本当は母様がここに来る筈だったんだけど、体調を崩して急遽あたしが来たんだけどさ。流石に総大将がまだ決まってなかったのは驚いたよな」

 

「え?母様って?」

 

桃香は首を傾げて馬超に訊ねていた。

 

「ああ、あたしの母様は馬騰って言うんだ」

 

「なるほど……でも、体調を崩したってどういうことだ?長旅でか?」

 

「まさか西涼の民は馬と共に生きてるんだ。長旅なんかで体調なんて崩れるか」

 

流石は西涼ってことか。でも、長旅の疲れじゃないとすると……心配だな。

 

「それじゃ、心配だな……よし、桃香、朱里。先に戻っててくれ」

 

「ご主人様はどうするのですか?」

 

「ちょっと馬騰さんの様子を見てくるよ。それに聞きたいこともあるし」

 

確か西涼は董卓の出身地と近かったはず……何か情報が得られるかもしれないしな。

 

「おいおい、北郷いくらなんでも図々し過ぎないか?」

 

白蓮の言うとおり少し図々しいかもしれないけど。

 

「それは重々承知の上さ。でも、病人を黙って見過ごせないってのもあるし。どうかな馬超さん、馬騰さんにあわせてくれないかな?」

 

「まあ、あたしは別にかまわないけど……会ってくれるかは判らないぜ?」

 

「ああ、無理なら無理でもいいさ」

 

「わかった。それじゃついて来てくれ」

 

俺は馬超に連れられて天幕を出て行った。

 

………………

 

…………

 

……

 

俺が出て行った天幕では……

 

「相変わらずだな北郷は」

 

「それが、ご主人様のいいところなんだよ。ね、朱里ちゃん」

 

「そうですね。ですが、もう少し行動を控えてもらいたいのが正直な所ですが」

 

朱里は苦笑いを浮かべる。

 

「あはは、そうだね~。とりあえず私たちは先に戻ってようか」

 

「そうですね。汜水関攻略の準備をしないといけませんし」

 

「そうか、じゃ私も戻るとするかな。何かあれば私も出来る範囲で助けるからな。遠慮なく言ってくれ」

 

「うん、ありがとう白蓮ちゃん!」

 

「なあ、なんで母様に会いたいんだ?」

 

「え?確認したい事があってね」

 

「確認したい事?」

 

馬超は俺の横に立ち首をかしげた。

 

「ああ、とっても大事な事をね」

 

「ふ~ん、まあいいけどな……っと着いたぜ。ちょっと待っててくれよ」

 

「ああ」

 

馬超はここで待っていてくれと言って天幕の中へと入っていった。

 

「おまたせ」

 

数分後、天幕から馬超が出てきた。

 

「どうだった?」

 

「ああ、母様も会ってみたいそうだ。来てくれ」

 

馬超に連れられ天幕の中に入る。

 

天幕の中に入るとベットで横になっていた女性は起き上がり俺を見てきた。

 

「これはこれは、あなたが天の御遣いですか?」

 

「そう言われていますね。私の名前は北郷一刀と申します。出きれば北郷か一刀とお呼び下さい」

 

「わかりました。北郷殿」

 

「お加減は如何ですか?」

 

「ええ、今は落ち着いていますがどうやら、この戦には参加出来そうにありません」

 

「……そうですか」

 

確かに顔色は白くあまり健康的には見えなかった。

 

「ふふふ、随分とお優しい方なのですね、そのようなお顔を為さらずともよいのですよ?」

 

「そういう訳には行きませんよ。馬騰さんのようにお綺麗な人が病気だなんて」

 

「あらあら、私を口説いてもダメですよ。口説くのでしたら翠……馬超を口説いてください」

 

「な!何言ってるんだよ母様!」

 

馬超は顔を赤くして怒り出した。

 

「ふふふ……で、私にお話とは?」

 

「ええ、その前に……」

 

俺は馬騰さんの前に立ち手をかざした。

 

「な!貴様、母様に何をするつもりだ!」

 

「御黙りなさい、翠」

 

「でも、母様!」

 

「何度も言わせないで頂戴」

 

「うっ……わ、わかったよ。だからそんなに睨まないでくれ母様」

 

馬騰さんに睨まれて渋々と馬超は槍を下げてくれた。

 

「ごめんなさいね。うちの娘がご無礼を」

 

「いえ。私も説明もなしに行ったのがいけない訳ですし。少々お体を拝見させていただいてもよろしいでしょうか?」

 

「ふふふっ。脱げと仰いますか?」

 

「と、とんでもない!そのままで結構です」

 

「ふふっ。冗談ですよ。わたくしも夫以外の人に肌を見せるつもりはありませんから」

 

「あは、あはは……」

 

馬騰さんにからかわれて顔を赤くしながらポリポリと頬を掻く。

 

「それでは改めさせて……」

 

「ええ。どうぞ」

 

そして俺は手をかざし馬騰さんの体の氣の流れを見てみる。

 

「……」

 

「……」

 

「ふぅ……なるほど」

 

「いかがですか?」

 

「少々、氣が乱れていますね。最近、食欲や体の不調と言った事は?」

 

「ええ。ここ最近余り食べられていないわね。不調、といいますか丁度このあたりにしこりが……」

 

そう言うと馬騰さんは胸の脇辺りを手で当てた。

 

「やはりそうですか」

 

「やはりってどういう意味だよ」

 

馬超は俺の言葉にすかさず反応した。

 

「馬騰さん、あなたは病に体を蝕まれつつある。このままでは死んでしまいます」

 

「な!いくら、お前でも言っていい事と悪い事があるぞ!」

 

「事実を述べてるだけだよ。その内、足に力が入らなくなったり、体のいたるところで支障が出てきます」

 

「っ?!では、わたくしはこのまま死に朽ちていくのですね。して、あと幾ばくの余生なのでしょうか?」

 

「手を施さねば持って二年くらいかと」

 

「なっ!に、二年!?」

 

俺の言葉に馬超は顔色を真っ青にした。

 

「な、何とかならないのかよ!」

 

「翠。良いのですよ」

 

「でも母様っ!」

 

「……良いのです」

 

静かに首を振る馬騰さん。

 

「人の命に代わりは無いのです。でしたら、残り少ない日々を精一杯生きた方が悔いが無いというものです」

 

「そんな……母様」

 

「それにね翠。人はいつか死ぬものよ。わたくしのお母様。あなたの祖母もそうであったようにね」

 

「えっと……あ、あの。良いお話のところ悪いのですが」

 

「なんだ!今、母様と大事な話を」

 

「いや。まだ初期の段階だからそれくらいなら俺の力で治せるんだけど」

 

「……は?」

 

「それは本当ですか北郷殿」

 

俺の答えに、馬騰さんと馬超は目を丸くしていた。

 

「でもさっき、病に体を蝕まれてるって……」

 

「蝕まれつつね。まだ、初期の方だから俺でもこれくらいなら治せるんだよ」

 

「ほ、本当か?!」

 

「どのようにすれば治るのでしょうか?」

 

「実際は悪いところを斬るのですが」

 

「では、この胸を切るということですね?」

 

「な!そんなことさせられるか!斬ったら死ぬだろ!」

 

馬超は凄い剣幕で怒り出した。

 

それもそのはず。この時代に切開治療があるわけがないので知識が無いものからしてみればただの殺しにしか見えないだろう。

 

「いや、切開はしないから安心して」

 

「っ?!な、ならどうするんだよ」

 

俺は心配させないように微笑むとなぜか馬超は頬を赤くしていた。

 

「あらあら……」

 

娘である馬超を優しく見つめる馬騰さん。

 

「綺麗な水を持ってきてくれるかな」

 

「水?わかった。ちょっと待っててくれ」

 

馬超は急ぎ天幕から出て行った。

 

「元気な娘さんですね」

 

「ええ。でも、武ばかりが達者でこれではまだ西涼を任せられませんわ」

 

「ははは……ちょっと失礼しますね」

 

俺は馬騰さんを寝かせ触診を始めた。

 

「……ここら辺はどうですか?」

 

「ええ、大丈夫よ」

 

「では……「んあっ!」す、すいませんっ?!」

 

「ふふふ、大丈夫ですよ」

 

「は、はい……」

 

冷静を装っているけど内心、心臓がバクバクだった。

 

《馬騰視点》

 

随分と初心な御遣い様ですね。からかいたくなってしまいますね。ふふふ。

 

わたくしは北郷殿の反応を見て段々と苛めてみたくなる衝動に駆られてきていました。

 

「ここはどうですか?」

 

「っ?!ちょ、ちょっと痛いですね」

 

「わかりました……どうやらここですね」

 

「北郷!水持ってきたぞ!って何やってるんだよ!」

 

水を持って天幕に入ってきた翠は北郷殿がわたくしの胸の下当たりを手に当ててるのを見て顔を赤らめながら叫んでいました。

 

「お、落ち着いてくれ、馬超さん!馬騰さんも説明してください!」

 

「北郷殿に体中を触られ……」

 

「なっ!馬騰さん?!」

 

「★□△○☓っ!?」

 

「北郷……貴様~~~っ!母様が病弱なのをいい事に!その首貰い受ける!」

 

「ちょ!くそっ!」

 

(ガキンッ!)

 

「なっ!」

 

北郷殿は翠の槍を細い太刀で受け止めそのまま勢いに任せ、翠の手から槍を手放させました。

 

「ふぅ、ちょっとは落ち着いて「てりゃ!」っうお!」

 

翠は槍を手放しても北郷殿に殴りかかっていきました。

 

翠ったら、どこで育て方を間違えたのかしら?

 

「ふふふ」

 

「ば、馬騰さん!わ、笑ってないで助けてくださいよ!」

 

「うるさい!黙ってあたしに殴られろ!」

 

「そんな無茶苦茶な?!」

 

「翠、その辺にしておきなさい」

 

「でも、母様!こいつは!」

 

「あれはわたくしの体の様子を診ていただけですよ。あなたはもう少し周囲の状況を見定める力をつけなさい」

 

「う……」

 

わたくしに言われ縮こまる翠。少しは自覚があるようですね。

 

「す、すまなかったな、槍を向けたりして……」

 

「いや、あの場面を見れば誰だってそう思うから気にしなくていいよ。それより水いいかな」

 

「あ、ああ。これだ」

 

翠は机の上に置いていた杯を北郷殿に手渡した。

 

「ありがとう、それじゃ……」

 

「なんだその光る石は」

 

「綺麗ですね。水晶のようなものでしょうか?」

 

北郷殿は袋からなにやら光る石を取り出し、その石を先程、翠の槍を受け止めた細い太刀の窪みにはめ込んでいました。

 

「その武器でどうするつもりなんだ?」

 

「これは俺の力を強める為に使うんだ」

 

「強める?」

 

「ああ。まあ見てて」

 

「お、おい自分の指斬ってどうするつもりだよ!」

 

「大丈夫、直ぐに塞がるから。この血を水に溶かして……」

 

翠から受け取った水に北郷殿は自らの血を数滴垂らした。すると……

 

「なっ!水がさっき以上に透き通ったぞ!どうなってるんだ?」

 

「これを飲んでください馬騰さん」

 

「これを飲めばよいのですね……んっ……んっ」

 

北郷殿から自らの血が入った杯を受け取り全て飲み干した。

 

「変わった味ですね。水なのにかすかに甘いような」

 

「これで治ったのか?」

 

「まだだよ。今のは体の身体機能を回復させるために飲んでもらったのさ」

 

「確かに言われて見れば、先ほどより体が軽くなったような気が」

 

先程まで重かった体が嘘の様に軽くなり、立ち上がれるような気がしました。

 

「本当か母様?」

 

「ええ、幾分楽になったわ」

 

「それでは次に馬騰さんの体に掬う病巣を消しましょう。馬超さん、後でまた水を持ってきてくれるかな」

 

「わかった……それでこれからどうするんだ?」

 

「突き刺します」

 

「「え?」」

 

「この刀で馬騰さんの病の元を突き刺します」

 

「なっ!お前、さっきは切開しないって!」

 

「言ったよ。突き刺すだけだし。痕も残らないよ」

 

「そんなわけあるか!傷跡が消えるわけ無いだろ!」

 

「これを見てもそう言える?」

 

「なっ!」

 

北郷殿は先ほど自ら切った指を翠に見せると驚きの声を上げていた。

 

「翠。どうかしたの?」

 

「こいつの、北郷の指の傷が無くなってるんだよ!」

 

北郷殿はわたくしにも指を見せてくれると確かに指の傷口は綺麗に無くなっていました。

 

「俺を信じてください……」

 

「……わかりました。北郷殿にお任せします」

 

「母様!」

 

「翠、大丈夫よ。北郷殿を信じましょう」

 

「……わかった。でも、もしもの場合は覚悟してろよ。もしもの場合無い居て起こってほしくないけど」

 

そう言うと翠は槍を構えて北郷殿に牽制をしていました。

 

はぁ。ホント、誰に似たのでしょうね。

 

内心溜め息をつきながらも微笑む。

 

「大丈夫だよ……では馬騰さん、少し痛むと思いますが我慢してください」

 

「わかりました……っかはっ!」

 

くっ!さ、流石に刺されているだけあって痛みは凄まじいものですね。意識が飛びそうです。

 

「母様!お、おい本当に……なっ!」

 

「っ!ほ、北郷殿っ!な、にを」

 

「……っ!」

 

翠の慌てる声を聞き何とか目線を北郷殿に合わせるとわたくしもその光景を見て驚きました。

 

北郷殿は刀の柄ではなく刃を素手で握り絞めていたのです。

 

太刀を握り締めた手から北郷殿の血が太刀を伝い、わたしの傷口へと吸い込まれていました。

 

気のせいなのか北郷殿の血は微かに光っているように見えました。

 

「も、もう少しです。頑張ってください馬騰さん!」

 

「ぐっ……んん!は、はい」

 

「よしっ!行きますよ……っ!」

 

「ぐっ!かはっ!……はぁ、はぁ」

 

北郷殿力を籠めると深く刺したかと思うと直ぐに抜き刺しました。

 

「はぁ、はぁ……これで、大丈夫です」

 

「ほ、本当か?」

 

心配するように翠は北郷殿に話しかけていました。

 

「ああ、すまないけど。さっきより多めに水を持ってきてくれるかな。あと綺麗な布も」

 

「ああ、直ぐに持ってくる!」

 

翠は笑顔で頷くと勢いよく天幕から出て行きました。

 

「ご気分は如何ですか?」

 

「大丈夫です。少々疲れましたが気分は悪くありません。むしろ清々しいくらいです」

 

「それは良かった。とりあえずはあと数日安静にしていれば時期に良くなって行くと思います」

 

「して、わたくしの病はどのようなものだったのでしょうか?」

 

「この時代では治療法もない。不治の病です」

 

不治の病。それは治らないという事。ですが、北郷殿は『この時代』と仰いました。と言うことはやはりこの地の人間ではないという事……

 

「管輅の占いは正しかったという事ですね」

 

「何か言いましたか?」

 

「いいえ。独り言です。して、なぜわたくしの治療をしてくださったのですか?」

 

「こちらに来た時にも言いましたが、聞きたいことがあるだけです。これはその対価見たいなものですよ」

 

「少し貰いすぎではありませんか?」

 

「そうですか?」

 

「ええ」

 

「う~ん。そんなことは無いと思うんだけどな」

 

わたくしの答えに苦笑いを浮かべる北郷殿。

 

「水持ってきたぞ!」

 

「ありがとう。馬超さん、それじゃ……っ!……馬騰さん、これを」

 

北郷殿は娘から水の入った桶を受け取り、先程と同じように指から血を数滴水に垂らしその桶から杯に水を注ぎ手渡してきました。

 

「残りの水はどうするんだ?」

 

「残りの水は布に含ませて先程突き刺していた場所に当てていてください。傷の治りが早くなります」

 

「わかりました。では、お聞きしたい事とは?」

 

「……出きれば天幕の周りに居る人の人払いを」

 

「わかりました。翠」

 

「ああ、ちょっと待っててくれ」

 

わたくしは翠を呼び。無言で頷くと翠もそれを察して人払いをする為に天幕から出て行きました。

 

「いいぞ。周りには誰も居ない。私たち以外はな」

 

戻ってきた翠は北郷殿に伝えるとわたくしの横に着きました。

 

「では、単刀直入にお聞きします」

 

「はい」

 

「董卓と言う人物をご存知ですか?」

 

《To be continued...》

葉月「疲れましたーーーーーーっ!!」

 

愛紗「第一声がそれか!」

 

葉月「そう言いたくもなりますよ!コミケから帰ってきてぐったりです!」

 

愛紗「私には関係の無い話だ」

 

葉月「ひっどいな~。コミケの企業ブースじゃあんな大胆な格好をしていたのに」

 

愛紗「何の話だ!」

 

葉月「何の話って抱き枕にプリントされた愛紗の「わー!わー!わーーーーっ!!!」ですよ」

 

愛紗「だから公共の場でそう言うことを言うなと何度言えばわかるのだ!」

 

葉月「えー」

 

愛紗「えーではない!まったく……それで、お前は買ったのか?」

 

葉月「残念ながらお金が足りなくて買えませんでした」

 

愛紗「そうか。買っていたらこの場で切り捨てていたところだ。運が良かったな」

 

葉月「私としては買えなかったのがとてもざ(ジャキン)……なんでもないです」

 

愛紗「うむ。それが賢明だ。所で、前回の話では投稿出来ないと言っていなかったか?」

 

葉月「……人に偃月刀を向けて脅迫してきた人がよく言いますね」

 

愛紗「何のことだかわからんな(ニコッ)」

 

葉月「そこは微笑みながら偃月刀を構えるところじゃないですよね!」

 

愛紗「……黙れ」

 

葉月「はい……うぅ~」

 

愛紗「では今回の話に移るとしよう。等々、孫策殿も出てきたな。それとまさかの新キャラだな」

 

葉月「ぐすん……まあ、新キャラと呼んでいいのか。取り合えず、オリジナルでは名前は出てきていますからね」

 

愛紗「確かにそうだな。それで馬騰殿は今後どのように話に関わってくるのだ?」

 

葉月「そこはまだまだ秘密ですよ。お楽しみということで」

 

愛紗「ふむ。それは残念だ……所で一つ聞きたいのだが」

 

葉月「なんでしょうか?」

 

愛紗「今回は私の活躍が全然無いのだが?それに台詞が二行だけとはどういうことだ?」

 

葉月「別に深い意味は無いんですけど。それにここで活躍しちゃったらこの後に控えている戦で目立たなくなっちゃうじゃないですか」

 

愛紗「む。確かにそうだな」

 

葉月「でしょ?だからこれでいいんですよ!」

 

愛紗「そうか……ならいいだろう。私に活躍の場があるのならば」

 

葉月「……誤魔化せたかな?」

 

愛紗「何か言ったか?」

 

葉月「いいえ。何も!」

 

愛紗「そうか。いや、それにしても流石はご主人様だな。病まで治してしまうとは」

 

葉月「それが宝玉の力ですよ」

 

愛紗「いいや。ご主人様の力だ!やはりご主人様についていく事は間違いではなかった!」

 

葉月「あ、あの~。愛紗さん?」

 

愛紗「ああ!ご主人様!この関雲長、これからご主人様の為に粉骨砕身の覚悟でついて行きます!」

 

葉月「あ~、全然ダメですね。自分の世界に入っちゃってますよ……あ、そうだ。おっぱいが好きな」

 

愛紗「ご主人様!」

 

葉月「……ご主人様が好きな」

 

愛紗「この私、愛紗は」

 

葉月「……一生アナタの奴隷として」

 

愛紗「何があろとついて行きます!ですから!」

 

葉月「……私だけを見てください。そしてご主人様の」

 

愛紗「一番近くに居させてください!」

 

葉月「愛紗は大胆な娘ですね~」

 

愛紗「ん?何か言ったか?」

 

葉月「いいえ。何も」

 

愛紗「その割にはニヤニヤと笑っているが……」

 

葉月「わかる人だけ分かっていればいいんですよ。ね、みなさん?」

 

愛紗「良くわからないが。わかった」

 

葉月「それでは皆さん!またお会いしましょう!」

 

愛紗「うむ。みなの者、また会おう」


 
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