第二章「追憶の砂漠と過去の夢」
*
それは不思議な感覚だった。
番(つが)えた弓矢がまるで無くなったかのように軽く感じられ、世界が急激に狭くなり何も見えなくなる。
それなのに、これから射ろうとする標的だけはしっかりと、その姿が心に映し出されていた。
息をするのも忘れ、ただただ構え続ける。
自然と弦から指が離れていた。
それは一閃。的中を確認せずとも、放った矢は魔獣の目玉に突き刺さる。
「コルッシュ、遅い!」
矢を放った傭兵に、雇い主の従者であるミルミーア・リファが非難の声を上げた。
その気持ちはわからないでもない。傭兵稼業のコルッシュ・ムジカが後衛の弓使い。
そして雇い主である学者のはずのケルケ・カナトが前衛として体を張って魔獣を止めているのである。
いくらケルケがムルトエ人で、体格がいい剛腕の持ち主だとはいえ、雇い主と傭兵の関係からいえば、やるせないものがあるのは確かだ。
その魔獣の名をトトゥーという。他の地域では見られないエルト砂漠固有の魔獣だ。
身の丈は人の優に二倍はある。体中を硬い甲殻で覆い、大小八本の脚で砂地を駆けるその姿は奇妙の一言に尽きる。
「コルッシュ、援護もっと!」
再びミルミーアが叫びを上げる。まだ子供と言っていい年齢のミルミーアも、小さい体ながら短剣で戦闘に加わっている。
しかし、刃渡りの短い剣は刺さるどころか硬い甲羅の表面で不快な音を上げるだけで全く効果がない。
だからこそ、コルッシュは目を射抜く。砂漠で遠方を見る為だろう。天高く上に突き出した魔獣の目を、コルッシュは正確に射ているのだ。
どれだけ魔獣が暴れようとも、その周りに味方がいようと、ただ正確に矢を放つ。それがコルッシュ・ムジカの業なのだ。
「おおおぉぉぉぉ!」
気合いの声と共にケルケの背筋が軋む。
巨身の学者は、自分よりも遙かに大きな魔獣トトゥーの脚を抱え、持ち上げようというのだ。
魔獣の脚の下には一行が連れていた騎獣のウーパが一頭、下敷きになっていた。
怪力でまとわり付くケルケを引き剥がそうと、甲殻の魔獣が身を大きく揺さぶった。その隙をコルッシュの弓は見逃さない。
再び走る一閃。
体中を刃も通さないほどの甲殻に包まれた魔獣の目に矢が突き刺さる。
「キキキキキィキキキキキキィィ」
甲高い音。頭を直接揺さぶるような不快の音に、一同は顔をしかめた。
それがトトゥーと名付けられた魔獣の悲鳴であると知っている者は少ないだろう。
人を寄せ付けぬ過酷なエルト地方で、トトゥーは食物連鎖の上位にある魔獣だ。
ウーパであれ、人であれ、動くものを見れば見境無しに飛びかかる。
砂漠を行く者にとってトトゥーは非常に危険な存在であった。
残り三つとなった魔獣の目が一斉にコルッシュの方に向く。大きく突き出した無機質な眼。
甲殻の魔獣に表情などない。しかし、あきらかな怒りを宿していると見て取れた。
いくつもの関節が連なる脚が奇音を上げて振り上げられた。
その長い脚がコルッシュに狙いを定める。
「させん!」
ケルケが担ぎ上げるようにトトゥーの脚を引く。
しかし、脚が八本もある魔獣である。一、二本地面に着いてなくても大差はない。そのままトトゥーの鋭い爪先がコルッシュに向け振り下ろされた。
トトゥーの爪が風を切る。
巨大な体に似合わぬ素早い攻撃は、砂漠の礫を爆ぜるだけだった。
コルッシュは体を捻り爪をかわすと、即座に飛び下がる。
間一髪の回避に、見ているケルケ達の方が肝を冷やした。
複雑に曲がりくねる脚の軌道を読み切るのは至難の技だ。かといって、今コルッシュが見せたようにぎりぎりまで引き付けてから避けるのは相当な胆力が必要だろう。
鋭い爪が顔の直ぐ側を通過したというのにコルッシュは平然な顔をしていた。
足場の悪い砂漠でトトゥーの脚を避けて見せたのは賞賛に値するだろう。そしてその回避動作は、そのまま弓を射る構えに繋がっていく。
自らが標的となっているにもかかわらず、弓を手にする動きに澱みはない。
弦の振動が大気を揺する。
トトゥーに狙われたことによる動揺など微塵も見せず、速射によりまた一つトトゥーの目が潰される。
「顎の下を狙え!」
遠くから一行の案内役であるオーディの声が聞こえてきた。
この一行の護衛役であるはずの彼が共に戦っていないのには訳がある。
オーディは三匹で現れたトトゥーを一行から引きはがす為、一人、囮になったのだ。
オーディのお陰で無事に難を逃れたかに思えたが、魔獣の出現に驚いたのだろう。
荷物を積んだウーパが逃げ遅れてしまい、図らずもオーディへの追撃にもたついていたトトゥーの一匹と、ケルケ達三人が戦闘になってしまったのだ。
オーディの声を聞き、短剣を持ったミルミーアがトトゥーの懐に狙いを澄ます。
足が八本もある魔獣には、腹の下に確かに死角があった。
素早い足運びで体を左右に振りトトゥーを困惑させると、ミルミーアは体を丸めて一足跳びに飛び込んだ。
その身のこなしは砂埃を引き連れるように速く、それはまるで獲物を狩る獣の様。
それはミルミーアが単なる従者の子供でないことを物語っていた。
魔獣の体が大きく揺れる。ミルミーアの動きに合わせ、トトゥーが突然後退を始めたのだ。
明らかに懐に入られるのを嫌っていた。
すかさずケルケが横から体当たりをかます。いくら怪力の持ち主であっても、相手は見上げるような巨大な魔獣。体重差によりケルケの攻撃は決定打となりはしない。
しかし、僅かにトトゥーはよろめいた。その隙に魔獣の腹の下に飛び込むと、ミルミーアは短剣を突き立てる。
今までと変わらず硬い甲殻の感触。その短剣の突きもトトゥーの甲殻に阻まれた。
顎の下ってどこだよ! とミルミーアが苛ついた声を上げようとした。
頭部と胸部が明確に別れていないトトゥーの顎と言われても、見た目はっきりしない。
しかし、魔獣の懐に潜り込んでしまったのでそんな余裕もない。
もう破れかぶれのつもりで、短剣を魔獣の体そこら中に下から突き立てた。
幾度も弾き返される短剣。
切れぬ殻に刃を突き立てる度、ミルミーアの表情が歪む。短剣を通して衝撃が腕を蝕んでいた。
そんな連撃の中で刃が強い反発力を感じた。
強力な弾力をもって短剣が押し返される。だが、それは硬い殻とは異なり、確実な手ごたえがあった。
「いっけぇっ!」
迷う暇はない。ミルミーアが大地を蹴り、大声と共に全体重を短剣に乗せた。
衝撃にミルミーアの手首が悲鳴を上げる。しかし、手にする銀の短剣は、徐々にだが確実にトトゥーの体内へと滑り込んだ。
「キキキキキキキキキキキィィィ」
再びトトゥーが叫びを上げる。先程よりも遙かに大きな音に、耳を塞がざるを得なかった。
殻で覆われた巨体がのたうち回る。
八本ある脚がそれぞれに暴れ回り、側にいたケルケが弾き飛ばされた。
「ミル、離れぇ!」
コルッシュがとどめとばかりに、残っていた目も全て射抜く。
痛みに暴れ回っているトトゥーの目は大きく不規則に揺れているにもかかわらず、いとも簡単に射ってみせた。
大きくうねっていた魔獣の体は、次第に痙攣へと変わる。
小刻みに震え出したトトゥーの下から、ミルミーアが砂まみれになって這い出してきた。
「あっぶねぇ、何だよこいつ!」
口に入った砂を吐き出してミルミーアが軽口を叩く。
戦闘の緊張が解かれたのだろう。先程まで獲物を狙う目をしていたのに、眼差しが子供独特の柔らかいものへと戻っていた。
「大丈夫ですか、ミル?」
「はい。ケルケ様もお怪我はありませんか?」
突然の魔獣の襲撃に作戦も何もなかった。各々が勝手に応戦を始めたので学者であるケルケ・カナトが一番危険な魔獣の足止めをする羽目になってしまった。
それは本来、双斧使いオーディの役目だ。しかし、囮役を買って出た彼はこの場にいない。
子供のミルミーア・リファと弓使いのコルッシュ・ムジカに前衛を任せるのは心許ないとなれば、あとは消去法だ。
実際に体を張って魔獣を足止めして見せたのは、ケルケ・カナトが生まれつき強靱な肉体を持っているムルトエ人だからこそ出来る芸当だった。
「お陰様で体は丈夫ですから。これぐらいではなんともありませんよ。
……それよりもオーディ君を助けないと」
ケルケの言葉に気付かされ、コルッシュが慌てて駆けだした。
囮になったオーディは今三人がかりで倒したトトゥー二匹に追われているはずだった。
砂漠の細やかな砂に足をとられ、全速力を出せないのがもどかしい。
駆けることしばし。遠景に少年の後ろ姿を見付け、取り敢えずの安堵を覚える。
「おまん、大丈夫か……」
駆け付け、声をかけたコルッシュが言葉を失う。
そこには八本の脚がいくつにも切り裂かれ、生きながらに藻掻いているトトゥーが二体転がっていた。
そして、その甲殻の魔獣が残骸となる中に、帯布をまとった少年が一人立っていた。
「……コルッシュさん?」
ゆっくりとオーディが振り返る。彼の両の腕には戦斧が握られ、魔獣の体液が滴り落ちていた。
「……。これ、おまん一人でやっちょっか?」
傭兵稼業のコルッシュ・ムジカでさえ、その光景に驚嘆を覚えた。
今し方、戦ったからこそわかる。トトゥーを一人で二匹倒すなど、容易に出来ることではない。
どこぞの軍に入れば本隊の戦士長に推挙されるほどの戦技である。
これがエルト砂漠最強の戦団『砂漠の雁』の実力かと、コルッシュは心中唸った。
「おやおや、これはまた派手にやりましたね。人は切らぬ質と聞いていましたが、魔獣には容赦ないようで。
この硬い魔獣をここまで見事に解体するなんて、見世物でも始める気ですか?」
遅れて駆け付けたケルケ・カナトは冗談めかしに言う。
見ればミルミーア・リファもその隣にいた。傭兵のコルッシュの足に遅れず付いて来るとは、二人とも体格の割に足は速いようだ。
「オーディ君、ご無事で何よりです。
先程はご助言ありがとうございます。お陰で私達も無事に済みました」
「弱点があるなら、先に言っとけよな。それともうちょっと具体的に」
丁寧に礼を述べたケルケに対して、ミルミーアは不満そうな口ぶりだった。
自らが仕えているケルケにだけは丁寧な対応をするのだが、それ以外の者にミルミーアはぞんざいな言葉遣いをするのだ。
ケルケがそれを注意しないところをみると、口の悪いのはいつものことなのだろう。
「トトゥーは慣れればそんなに危険じゃないから。
本当は一人で三匹とも相手するつもりだったんだけど……」
オーディの漏らした言葉に一同は更に驚いた。三人がかりでも苦戦したトトゥーを一人で同時に三匹と戦おうとしていたのだ。
「それにしても、よくもまぁ、あなん硬い魔獣を切り裂けるっちゅうの。
その斧、魔法でもかかってるんけ?」
脚を失っても未だに地面にひっくり返って藻掻いているトトゥーをコルッシュは訝しげに見つめ、その所行をやってのけたオーディに聞いた。
「魔法? いや、普通の鉄(まがね)だけど……」
魔法とは人智を超えた不可思議な力だ。離れたものを切り裂いたり、焼き払ったりも出来る驚異の業。
オーディも魔法の付加された武器は、金属でさえも蝋でも切るかのように簡単に切り裂いてしまうと聞いたことがあった。
しかし、実際に魔法を使う人間も、魔法を帯びた武器も見たことはない。それほど魔法という存在は希少なものだ。
「いえ、これは魔法ではなく、硬い殻を避けて、関節を攻撃したのですね。流石の甲獣も関節の継ぎ目は弱いのでしょう」
学者という肩書きは伊達ではないのだろう。ケルケが散らばったトトゥーの脚の断面を見て言う。
その言葉通りで、オーディが甲殻の魔獣トトゥーを相手して脚を切り裂けたのは、硬い殻に包まれた脚で唯一刃の通る柔らかさを持った節を狙って斧を入れたからだった。
「キルビ姉ならもっと上手くやるんだけど……」
オーディに戦技を教え込んだ義姉のキルビ・レニーなら、同時に四、五体のトトゥーを相手しようと無傷で勝利を収めるだろう。
『戦斧狂舞のキルビ・レニー。エルトで最も戦場が似合う女』との噂は、事実に即した風説だ。
オーディには義姉が魔獣の間を舞うように駆け巡り、笑みを浮かべながら斧を振るう様が、目に浮かぶようだった。
実際、オーディはその心に浮かぶ義姉の姿を真似ることで、トトゥーを八つ裂きにした戦技を体現したのだ。
人相手には殺さないようにと、あえて急所を外した攻撃ばかりするオーディの戦技は、魔獣相手となると急所を正確に切り裂く双斧使いのものへと様を変える。変幻自在の二刃をもって魔獣を屠る姿はまさにキルビ・レニーと瓜二つ。
「さて、こいつらのお陰で予定外に時間を食いましたね。ウーパも一頭やられましたし、どうしますか、オーディ君?」
「そうですね……。とりあえず、食べましょうか」
オーディの言葉に、一体どうしたのかと皆が首を捻った。
「もう食事をするのですか? まだ朝を食べてから一刻しか経ってませんが?」
ケルケが聞くと、逆にオーディが首を傾げた。
「折角、新鮮な食料が手に入ったし、ウーパが一頭減ったのなら、荷物も増やせないし」
「……まさかとは思いますが」
察したケルケはそう呟いて絶句する。ケルケの視線は一同の周りに散らばっているトトゥーの残骸へと向けられていた。
その視線に気付き、ミルミーアの顔が引きつった。
「まさか、これ食べるの!」
ミルミーアの絶叫が一行しかいない砂漠にこだました。
「不情なる野に臨む者。飽くなき生に命を繋ぎ、枯れた大地に根を降ろさん。
その一世を助け賜う地の守手の恵みに、感謝の祈りを奉る……」
オーディは両手を胸の前で組み、粛々と謳い上げる。
目の前にはオーディが調理したトトゥーの脚が並んでいる。
調理といっても、硬い甲殻から食べられる部位を剥ぎ取り、塩と香辛料を振っただけ。
つまり、いわゆる生だった。
特に魔獣を食すことを嫌がっているミルミーアの顔は、先程より引きつりっぱなし。目が忙しなく泳いで落ち着きがない。その様は見ていてなかなか面白いものがあった。
「ほう。君でも地神への祈りは行うのですね」
ケルケ・カナトが興味深そうに感心の声を出す。先程オーディが行っていたのはエルト地方に伝わる地神ディフェスへの祈りだった。クロセリカの町でも食事時にはよく見かけるものだ。
ケルケの言葉に、嫌そうな顔をしながらもオーディはその問いに答えた。
「……これは村を出てからの習慣だから。うちの団長に仕込まれたからやっているだけだし。
クロファリ村では、地神にこんな安易な祈りは捧げはしない……」
「どういうことですか? クロファリ村は最も地神の聖域に近い村じゃないですか。
その地神のお膝元で神に祈りを捧げないと?」
「あの村は……、もっと即物的なんだよ。村では地神に供物を捧げる」
「君の妹のように?」
ケルケの言葉を聞いた途端、オーディの瞳孔が打ち開く。そしてそのまま怒りを抱いた目でケルケをじっと睨んだ。
流石に言葉を選ばなかったことを反省したのか、これは失敬、とだけケルケは付け足した。
「キルビ姉にどこまで聞いているんだ? 昔の俺のこと」
「詳しくは何も。
君の妹さんが人身御供として地神に捧げられたこと、君が妹さんを追って砂漠に飛び出して『白の砂漠』へ行ったこと。村に還れず砂漠で団長さんに助けられことぐらいですね」
「……それで殆ど全部だよ」
そう呟くと、オーディはトトゥーの生肉に食い付いた。
あまり人に知られたくない過去ではあるが、必死になって隠す程のものでもない。
たった四年前の出来事。オーディは妹を失い、そして誰も見たことがないという地神ディフェスの聖域に近付いた。それだけの話だった。
「よくこんなもの食うね、あんた」
目の前に同じ物が用意されているミルミーアが恨めしそうに言う。
魔獣の、しかも奇異な姿をしたおどろおどろしいものを生で食べるなど、生理的に受け付けなかった。
「苦っ」
ミルミーアが食べるのを躊躇していると、その横からコルッシュの声が聞こえてきた。
「こりゃ、苦い」
そう言いつつも、コルッシュは吐き捨てることなく、咀嚼を止めはしなかった。
折角の食料である。食えるというのなら食うのが、厳しい旅の道中での生きる鉄則ともいえた。
「確かに苦いですね」
魔獣に口を付けたケルケも同意する。その言葉を聞いて、余計にミルミーアの食欲が削がれてしまう。それを横目にオーディはトトゥーの肉を黙々と食べ続ける。
一体、どうしてこんなものを食べようという気になるのか。ミルミーアは不思議で仕方がない。
と、そのときミルミーアは異変に気付いた。
苦いと言っていたケルケとコルッシュが食べるのを止めないのだ。嫌がりながら無理に食べている様子もない。
「いやぁ。苦いけんね」
「苦いですねえ」
などと、苦い苦いと口にしながら、次々とトトゥーの肉を口に運んでいく。
「お、おい。オーディ……。こ、これ、食べて大丈夫……なのか?」
ケルケとコルッシュの様子がおかしいと感じたミルミーアは恐る恐るに聞いた。しかしオーディから返ってきたのは
「いや、苦いよ」
との一言だった。
「ちょっと待て! ほんとに食べて大丈夫なのか!」
「だから苦いって、食べたらわかる」
「そうです。ミルも食べてみなさい。苦いですから」
「こりゃあ、えらい苦いけん。食うてみ」
食べる手を止めない三人が口々に言う。
あれ程あったトトゥーの肉が三人の胃に収まり、平らげられようとしていた。
「絶対食べない! 絶対おかしいぞ、これ!」
「でも、食べないと体力が保たないから。砂漠を舐めていると死んでしまう……」
なぜ食べないのかと、不思議そうな顔をして、オーディはミルミーアに忠告をする。
その忠告通りミルミーアが空腹に眩暈を起こすのは、それから数刻後のことだった。
(「遙けき塔と白い君」第2章の1につづく)
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少年オーディは砂漠のエルト地方を守る戦士団『砂漠の雁』の戦士である。
彼は異国から来た学者ケルケの依頼を受け、生まれ故郷であるクロファリ村に帰郷する。
ケルケの目的は地神ディフェスの聖地「白の塔」を調査することだった。