「僕だって、君が思う事と同じ事を思ってるよ」
「……」
「多分、それ以上の事も考えてる」
「それ以上?」
「そう、それ以上」
僕は再び頬から彼女の手を外した。
そして彼女の体を抱き締めた。
「一緒に居たいし、ドキドキするし、触れていたいし……」
「……」
「勿論、大事にしたいとも思うけれど、それと同時に困らせたい、泣かせたいって言う感情も混ざってる。
壊して滅茶苦茶にしたいって思いもね」
「そうなの?」
彼女の瞳は不思議そうなだけでなく、信じられないという色も帯びていた。
それはそうだろう。
何せ僕の思いは、プラスな感情だけでなくマイナスな感情も含まれているんだから。
それでもこれは、彼女は知らなくちゃいけない事だ。
好きって事は、何もプラスだけじゃない。
「でも、それも引っ括めてプラスになる感情が好きって事なんだよ。だからもっとアスカに触れたいし、キスもしたい」
「……」
僕は彼女を抱き締めた腕に力を込めた。
すると彼女は頬を染めて額を僕の肩に預けると、僕のシャツを握り締めた。
頬に触れる彼女の耳が熱い。
――反則じゃないか。
一言で言うと、いじらしい。
普段の彼女も勿論可愛いのだけど、それ以上に愛らしいと言うか。
目の端に入る彼女の項も紅く染まっている。
「……それ、ホント?」
胸に込み上げて来るものを抑え切れなくなりそうになったその時、彼女は顔を上げた。
その時の彼女の表情は、何だか何処かに行ってしまいそうな程儚く見えた。
少し薬が効き過ぎたんだろうか?
僕は宥める様に彼女の背を撫でた。
「うん。ずっと一緒に居たい。離れたくないよ」
彼女は再び僕の肩に額を預けた。
そして、消え入りそうな声でポツリと呟いた。
「アタシも――」
最後の方は聞き取れなかったけど、恐らくは僕と同じ事を口にしていたのだと思う。
いや、思いたいのか。
ただ忘れちゃいけないのは、これで全てが解決した訳じゃなくてスタート地点だという事だ。
「だったら、僕の事も少しは考えて欲しいって言うのも解るよね?」
僕は彼女の耳元に口を寄せ囁く。
すると彼女は顔を上げて少し口を尖らせると、拗ねた口調で顔を背けた。
「それだけは嫌」
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