<ようこそ!、きのこ駅前商店街へ! 第6話 抗い(あらがい)し者達>
(支配世界・メインストリート)
がくぽとルカは、メインストリートを駆け抜け、木之子神社を目指していた。
ルカ:はぁ、はぁ・・・・しかし、本当に歪んだ世界ね。メインストリートの道がぐにゃぐにゃ。
がくぽ:スプリットして出来た“こちら側”の様相は、おそらく“10年前にスプリットさせた誰か”の深層心理を反映した物のはず。この推測の根拠は、わかるね。
ルカ:はい。がくぽさん、リンさん、マスターのような思念が実体化できる世界だからですね。
がくぽ:そう、ココロも実体化できる、ということだろう。
ルカ:あ!、あの先にビルが見えました!。
がくぽ:何もないといいのだが・・・!、止まって!!。
ルカとがくぽが足を止めた、1歩手前から、槍が数本、8方向から突きだしてきて道をふさぎ、それは大きな壁に変わった。
ルカ:あ、危なかった・・・。
がくぽ:ここは・・・英会話教室前か。
(支配世界・英会話教室“E.M.T”前)
英会話教室のビルの入り口から女性二人が出てきた。
???:あらま!、勘がいいワネ~。
???:トラップを見抜かれたカ・・・。
がくぽ:・・・アンとプリマか。
アン:Yes!,スウィーーーーーート・アンですワ。
プリマ:プリマでス。
ルカ:アンさん・・・プリマさん・・・・やっぱりこうなっちゃうんだ・・・・
がくぽ:既にこの前の二人を撃破して仕組みはわかっている。茶番をするつもりはない。さっさと出てこい!。
前と同様に、彼女らの周りに青いオーラが現れた。
アン:ホー、ならオヨビトアラバ。我、『先導』の守護霊、その名、ミカエル・・・・このものに“憤怒の槍”を与えん!。
プリマ:我、『博愛』の守護霊、その名、ガブリエル・・・・このものに“守護の結界”を与えん!。
アンの左手に、片手で扱えそうな大きさの槍が、そして、プリマの右手の甲には、星型の刻印が現れた。
ルカはしっかと刀の束を握りしめた。緊張からか少し汗ばんでいる。
がくぽ:それがあんた方の能力、というわけか。槍は攻撃、結界は防御・・・と。
プリマ:能力を隠す必要はないワ。その通りヨ。
アン:そして、これから、それをたっぷり味わうのは、あんた方ヨ!!!!。
今回は何故か、彼女ら二人とも足を動かさなかった。その代わり動かした物は、アンの左手だった。アンの位置からルカ達の方向に無数の“槍”が螺旋状に飛び出してきた!。
がくぽ:さっきの“槍の壁”は、この能力の予兆か。だが、この程度の物、破壊して一気に勝負をつけさせて貰う!。ルカさん、私の後についてきてください!。アンから先に勝負をつけます!。
ルカ:は、はい!。
がくぽは封印刀の腹、つまり刃の方で次々と槍を斬り払いながら駆け抜け、素早くアンに近づいた!。そしてアンの手前まで来てがくぽは左に回避した!。
がくぽ:ルカさん!、頼むぞ!。
ルカ:えい!。
後ろをついてきたルカは分霊刀をアンの前で振り下ろした!。しかしアンには何も反応がなかった!。
がくぽ:そんなばかな・・・は!。
がくぽはアンの足下を見た。そこにはいつの間にか“星形の光る結界”が出来ていた!。そして、その横に立っていたプリマは右手の甲をかざしていた。
アン、プリマ:ご名答。これが私たちの攻守コンビネーション。さぁ、どうスル?。
ルカは危険を感じてがくぽの後ろに待避していた。
ルカ:がくぽさん・・・どうしましょう・・・これでは分霊出来ません・・・。
がくぽ:むむむ・・・。
アン:さーて、槍のチャージも完了したわヨ。まぁ私たちは誰かさん達と違って、むやみやたらに撃ったりはしないワヨ。
ルカ:くぅぅ、いつも一緒に並んでいるから、プリマさんの動きを封じておく事も出来ないし・・・・。
がくぽ:(!)
がくぽは何かに気づいたようだった。こそこそ声でルカになにか話しかけた。
がくぽ:(もう一度さっきと同じ攻撃を仕掛ける。でも今度の貴方はアンの頭上から振り下ろすだけじゃなくて、振り下ろしたら思いっきり二人を横断するように横に斬ってください。十字を斬るような感じです。いいですか?)
ルカ:(え?、でもアンさんには効果がないのはわかったし)
がくぽ:(やってみればわかります。さぁ!、行きます!)
こうしてがくぽはさっきと同じように、アンに向かう動作をした。
アン:まだ来るワケ?、良いでしょう、槍の餌食になりナ!。
アンは先ほどより本数の多い槍を同じく螺旋状に飛ばしてきた!。同じようにがくぽが斬り払っていく!。そしてアンの前に来て左に回避した!。後ろにいたルカがアンの頭上から分霊刀を振り下ろした。
ルカ:ええええい!。
アン:無駄無駄無駄!。
当然アンの下には結界が作られていたので効果は同じく無かった。しかし・・・、
ルカ:うりゃぁぁぁ!!
ルカは休みを入れず、向かってアンの左側から一文字を書くように横に素早く斬った!。
アン:なに?!。
プリマ:うああああああ!!!!!
なんと!、“1個しか結界を作れない”プリマまで連続で斬り払ったため、プリマの分霊だけ成功したのだった!。
がくぽ:封印!!!!!
白い霧:そ・・・そんな馬鹿な・・・・・・
プリマの白い霧はがくぽの封印刀の刃先に吸引されて封印されてしまった。アンの結界が消えていく!。
アン:しまった!!!!!
ルカ:おりゃぁぁぁ!!!!!!
ルカはがくぽの作戦の先の事を無意識に行っていた!。結界の切れたアンが槍のチャージを終える前に、今度は右から左にアンを斬り払った!!。軌跡から白い霧がアンから出てきた!。
白い霧:こ・・・この娘・・・・強くなっているのか!!
がくぽ:封印!!!!
先ほどと同じように、この白い霧も封印刀に封印されてしまった。
その場には気絶したアンとプリマが倒れていた。
ルカ:はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・こ、これで4人撃破・・・・・
がくぽ:(!、このルカという人物、“戦闘の潜在能力”、まであるというのか・・・。一戦毎に覚醒している・・・)
ルカ:はぁはぁ・・・・次・・・行きましょう。
がくぽ:あ、ああ、先を急ごうか。
二人は最初に作られた壁がなくなっていたので、メインストリートを先に進むことにした。
(???)
リンとレンはこの戦闘を映し出していた“モニター”を眺めていた。
リン:レン・・・・どうする?・・・・ルカ、なんだか知らないけど、“強く”、なってる・・・。
レン:・・・・大丈夫だ・・・・次の二人はそうはいかない。
***
(支配世界・不動産屋“亜瑠不動産”前)
ルカ:次はあなた達なのね。アルさん、ローラさん。
アル:その通り。
ローラ:ここまでの経験でパターンがよめてきたのね。
がくぽ:さっさと守護霊を出すがいい。
アル&ローラ:そうはいかないね。
がくぽ:なに?。
アル:俺の守護霊、“豪傑”のギガデスは、“ピンポイント”、で何度も力を貰える。使っていない時は普通の俺らでいられるから、その束だけの刀は役立たずだ。それに生身に直接攻撃できないのが、お前らのルールだろ?。
ローラ:ちなみに私の守護霊、“統制”のイシスも同じですよ。
がくぽ:なぜ、そんな大事な秘密を教える?。
アル:その“束だけの刀”で、何度も無意味に体をなぞられるのは、正直気持ちが悪そうなのでな。
ローラ:それに“キレて”、生身に攻撃されたら、正直、損だからね。
アル:どうせどうにも出来ない事だから、教えたのだよ。
ローラ:そろそろ始めましょうか?。
ルカはがくぽに小声で話しかけた。
ルカ:(これまでと全然違うけど、とりあえずアルさんに仕掛けてみます。がくぽさんはローラさんの動向を見ていてください。私も危なくなったらすぐに回避します)
がくぽ:(わかった。でも無理はするな)
ルカ:てりゃ!!!。
ルカは分霊刀を構えて、アルに突進していった!。
アル:ハンマー!!
アルの体がほんの一瞬青白く光った後、大きな“ハンマー”が出現し、光はすぐ消えた。
ルカ:!、やばい!。
ルカはすぐに左に回避しようとした!。しかし、ローラがなにやら呟いた!。
ローラ:そのまま直進!。
ルカ:え!、ひ、左に曲がれない!。
アル:喰らえ!。
がくぽ:やばい!、衝撃波!!。
アルがハンマーを振り下ろそうと後ろに振りかぶった時、がくぽが放った衝撃波が、ルカにぶつかり、ルカはアルの方にもの凄い勢いで飛び込んでいった!。
アル:なに!?。
ルカはアルに衝突し、二人はアルの後方へ同時に吹き飛んだ!。ハンマーは不意打ちを喰らったためか消えていた。
アル:うごぉ!
ルカ:くっ!。あ、これで逃げられる!。
ルカはすぐに体勢を立て直して、がくぽの方へ戻っていった。
ローラ:!、大丈夫?。
アル:なんとかな。しかしなんたる奇策!。抜かったわ。
アルは起きあがってローラの横に移動した。
ルカ:がくぽさん、有り難う御座います。そしてすみませんでした。不用心でした。
がくぽ:でも二人の能力はわかったな。アルはハンマー攻撃、ローラは連発出来ないが、ある程度の範囲に近づいてきた相手限定で移動方向を自由に設定出来る呪文。まずいな、最悪のコンビだ。
ルカ:とても近づけません。それにローラさんはアルさんからあまり離れていないから動きを封じることが出来ないし、守護霊は両方、一瞬で消えてしまうし。
がくぽ:だが、能力はほんの短時間しか発揮できないようだな。それも連発できない。それはいいのだが、“守護霊が出ている時間がトータルでも短い”のが最大の問題だ・・・・。うーむ・・・。
今回は、冷静に策を練るしかないと判断し、二人は結界を作って、考える事にした。
アル:まぁ、せいぜい考えることだな。無駄だと思うけど。
***
(数分後)
アル:おーーーい!、まだなのか!。
がくぽ:待たせたな!。一応訊くが“どんな策でも”いいんだな?!。
アル:こっちが圧倒的に有利だ!、どうせ何やっても無駄だろうから、なんでもやってみたらどうだ?!、なぁローラ。
ローラ:そうね、1回目の失敗、そして長考。どう考えても“こっちが天狗になっている”とは思えないわね。現実的に私たちの方が上よ。
がくぽ:じゃあ、お前らに攻撃する前に、フォーメーションを組む事にするが、邪魔しないな?!。
アル:はぁ?、フォーメーション?。まぁいい。なんでもやりな。但し“攻撃に来る”時は、ちゃんと合図しろよ?、それが条件だ。
がくぽ:いいだろう。じゃあ私たちは移動することにするぞ。
アル:ああ、やりな。
ルカとがくぽはそれぞれ持っていた刀を鞘に納めていた。、そしてその状態でルカは、束を握りながら、アルを中心にした円弧を描いて180°移動し、がくぽ、アル、ルカが直径の位置になるようなフォーメーションを組んだ。
アル:あぁ?、なんだそりゃ?、もしかして両方向からの同時攻撃の陣形か?。おまえら学習していないのか?。俺らの生身には攻撃できない上に、ローラの方向自由変更があるのだから、分霊刀は絶対に当たらんのだぞ?。
がくぽ:最後の確認だ。“何をやってもいい”んだな。
アル:くどい!。来るなら来い!。
がくぽ:では、行くぞ!。
アルが言ったとおり、ルカとがくぽは同時にアルに向かって両方向から突っ込んできた!。
アル:ローラ頼むぜ!。一匹ずつ始末するから、ルカの方、反対側に飛ばしちまってくれ!。
ローラ:了解!。“ルカは反対側に吹き飛ぶ”!。
ローラの言ったとおり、ルカは向かってきた方向と逆へ吹き飛ばされた!。しかしルカは“笑って”いた。
ローラ:?。
アル:オラオラ、どんどん近づいてきな、がくぽ!、ハンマーの餌食にしてやるぜ!。
アルは“ハンマーに力を溜める”ため、守護霊“ギガデス”の力を出しっぱなしにしていた。よって、守護霊の印である“青白いオーラ”がずっと体を覆っていた。
そしてハンマーの射程距離にがくぽが入った!。
アル:喰らえ!!!!!!!!。
がくぽ:うりゃぁぁぁぁぁ!!。
交差する二人!。ハンマーは何故か当たっていなかった。それどころか・・・・
アル:そ・・・・そんな・・・ばか・・・な・・・・お前が・・・・・ぶ・・・分霊・・・・刀・・・を・・・・もって・・・いた・・・?
がくぽ:残念だったな。分霊刀の効果は“誰でも”出せるんだよ。そして、もう1つおまけをくれてやる!。封印!!!!!。
アル:な!!!!!!
なんと、がくぽは分霊刀だけでなく、封印刀まで持っていたのだった!。封印される白い霧のギガデス。
がくぽ:ルカの刀は私の予備の刀だ。作戦への協力、大変感謝するぞ。
白い霧:くそぉぉぉぉぉ卑怯だぞ!!!。
がくぽ:卑怯な能力はお前らの方だろ!。さっさと封印されな!。
ギガデスは完全に封印されてしまった。
ローラ:あ・・・あ・・・・あ・・・・・そ・・・・そんな・・・・無敵・・・の・・・わたし・・・たち・・が・・・・
ローラは“自失状態”になってしまったのか、分霊刀を使っていないのに、白い霧が体から出てきてしまった!。
がくぽ:こちらも協力どうも。封印!!!!!!
ローラのイシスも封印されてしまった。アルとローラは、それぞれ、その場に気絶して倒れ込んでしまった。
ルカ:ふ~これで6人解決ですか・・・、さすがに今回は、やばかったわね~。
がくぽ:こいつらが天狗状態じゃなかったら、正直だめだったかもしれん。あ、分霊刀は返しておく。それと私の予備刀を頼む。
ルカ:はい。
それぞれ、いつもの武器に戻し、メインストリートに戻って先を急ぐことにした。
(???)
リンとレンは、また“モニター”を眺めていた。
リン:レン!!!!、全然“大丈夫”じゃ、ないじゃない!。残るはたった3人よ!。ほんと、どうするのよ!。
しかし、レンは微笑んでいた。
レン:切り札の駒は最後に残しておく物だよ。果たして“あの3人”の「分霊」ができるかな?。ふふ、見物だな。
***
たこルカ:戦闘編の続きです!。
はちゅね:今回は外人勢4人でした!。『殺陣シーンのトリックは考えるのは楽しいけど、大変』との事です。
たこルカ:誰の言葉、それ?。
はちゅね:作者。
たこルカ:・・・・ま、まぁいいや。次はとうとう最後に残った3人との対決!!!。どうなるのでしょう!。
はちゅね:ルカさん達は、リン&レンの所にたどり着けるのでしょうか?。
たこルカ&はちゅね:お楽しみに~!。
***
CAST
巡音ルカ(ルカ)&たこルカ:巡音ルカ
鏡音レン(レン):鏡音レン
鏡音リン(リン):鏡音リン
初音ミク(ミク)&はちゅねみく:初音ミク
咲音メイコ(メイコ):MEIKO
工藤カイト(カイト):KAITO
神威学歩(がくぽ):神威がくぽ
プリマ:PRIMA
アン:SWEET・ANN
ミリアム:MIRIAM
アル:BIG・AL
ローラ:LOLA
レオン:LEON
Tweet |
|
|
1
|
0
|
追加するフォルダを選択
○ボーカロイド小説シリーズ第2作目の”ようこそ! きのこ駅前商店街へ!“シリーズの第6話です。マスターの“レン”、ウェイトレスの“ルカ”が営んでいる喫茶店“LEO”を中心に、ボカロ達の日常が展開・・・していたSF系ジュブナイルです。
○バトル中です!