No.259008

鋼の錬金術師×テイルズオブザワールド 第三十話

NDさん

まさか二話連続船編になるとは……。いい加減原作のクエストやらないとなー。

2011-08-04 18:49:11 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:1996   閲覧ユーザー数:1955

~カノンノとエドの部屋~

 

エドが目を覚ますと、隣でアルが子供のミアキスをあやしていた

 

その様子を見て、エドは眠い顔でアルに言った

 

『……言っとくけど、この船の中に居る間だけだからな』

 

エドがそう言うと、アルは承知したように

 

『うん。それはしょうがないよね』

 

『とりあえず、アンジュに言っておこうぜ』

 

エドが笑顔になりそう言うと、アルは少しだけギコちない様子になる

 

『ん?どうしたんだ?』

 

エドがアルに質問すると、アルは少しだけゆっくりと動く

 

『………昨日、ちょっと言い忘れてたんだけど……』

 

アルが腹を開くと、その中にはカロルが居た

 

『………あ』

 

カロルが声を出す

 

『………途中で居なくなったと思ったら、アル……お前ぇ……』

 

『だ……だって、魔物が怖いって言うから、ちょっとかくまって…』

 

二人が話していると、眠そうな顔でイアハートが起き上がる

 

『ん……どうしたの?エド、アル………』

 

イアハートがアルを見ると、アルの中に子供が入っていた

 

『きゃぁぁぁぁあああああああああああああああああ!!!!』

 

『ぎゃぁぁぁぁぁああああああああああああああああ!!!!!』

 

カロルを見て驚いたイアハートと同時に、驚いた表情を見せられたカロルは、叫んでしまった

 

『何!?どうしたの!?』

 

跳ね上がるように起き上がるカノンノは、アルの方を見て絶叫する

 

『ぎゃぁぁぁぁあああああああああああああああ!!!』

 

『あ……!!これは違くて…』

 

カロルが言葉を出したと同時に、イアハートの顔が赤くなっていく。

 

昨日のあの話を聞かれたのだろうか。だとすれば、最悪だ。

 

カロルは、怯えた表情でカノンノ二人を見た

 

『ねぇ……?僕何もしないから!!攻撃もしないから!!だから痛いのは止めてぇ!!』

 

本気で怯えた様子でカノンノを見ていた。

 

その様子を見たエドは、カロルに質問する

 

『……なぁ?お前、ウリズン帝国の中でいつも何て言われてんだ?』

 

エドの言葉で、カノンノ二人の表情が変わる

 

『ウリズン帝国!?』

 

『何?ウリズン帝国って…。』

 

イアハートがカノンノに質問すると、カノンノは少しだけためらってから答えた

 

『………強引に他の地域の星晶を奪っていって、反逆するものは処刑するような人々よ。』

 

カノンノのその言葉に、今度はカロルが反論する

 

『そんな…嘘だ!!僕の国では、他の国の奴らが僕の国の星晶を奪って、国民を虐殺しているって聞いてるぞ!!』

 

その反論の言葉に、カノンノは少しだけ哀れむような顔をする

 

『………多分、サレ…いや、もっと上の人の情報操作だと思うよ。』

 

カノンノのその言葉がまだ完全に信じられないのか、カロルはまだ震えていた。

 

だが、半分は信じているようだった。少しだけ落ち着いていく

 

『……ウリズン帝国では、サレは英雄として…国の救世主として聞かれていた……でも、この前に、エドとアル達を襲ったり、ライマ国の騎士団の親族を殺した、と聞いたし…。』

 

少しだけ、迷い、そして混乱して、悲しみの顔が出来ていた

 

『なんだか……騙された気分だよ……。でも、それでもまだ半分は信じてるんだ。』

 

その様子を見たカノンノは、何も言えないでいた。

 

だがエドは、何も表情を変えずにカロルに接した

 

『で、お前はこれからどうするんだ?アルに頼んで国に帰るか?』

 

『……怖い』

 

『怖い?』

 

カロルは、まだ震えている

 

『他の国の人達と接して……なんだか、とても怖いんだよ……。国に帰るのが……。僕はどうなるんだろうとか……真実はどんな事になってるのか……とか』

 

ブルブル震えるカロルに、イアハートは優しい言葉をかけた

 

『じゃぁ、このギルドに身を寄せたら良いんじゃないかな?』

 

イアハートのその言葉に、カロルはキョトンとする

 

『……え?でも、僕はウリズン帝国の住民なんだよ?敵国なんだよ?』

 

『関係ねぇんじゃねえの?』

 

エドがカロルに問いかける

 

『どの道、行くあての無え奴でさえも、このギルドに入れるし。働くなら誰でも入れると思うぜ』

 

エドの言葉を聴いて、カロルは少しだけ黙り始める。

 

そして、次第に元気になっていった。

 

『ほ……本当に、僕がギルドに入っても……良いの?』

 

『うん。大歓迎だよ。』

 

カノンノが進めるようにそう言うと、カロルは笑顔になり、そして鎧から出て行った。

 

『う…うん!僕、なんでもするよ!皿洗いでも、掃除でも、料理でも!!』

 

『大体は、討伐や鉱物の採取だけどね』

 

カノンノのその突っ込みに、カロルは少しだけ自信なさげな返事をする

 

『ああ……そっちの方も頑張るよ。うん……』

 

カロルがそう返事すると、エドは早々と立ち上がる

 

『んじゃ、覚悟決めたならとっとと手続きしようぜ。』

 

エドがそう言うと、アルも喜ぶように立ち上がった

 

『……うん!じゃぁ行こう。カロル』

 

そう言って、アルはカロルの手を掴み、広場へと向かっていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~バンエルティア号~

 

アンジュの朝は早いらしく。早々にもう教卓へと立っていた。

 

そこで、カロルをつれて来ると、アンジュはただ笑顔になるだけだった。

 

その笑顔に何の意味があるのかは分からないが

 

『あの~…アンジュさん……』

 

『アルフォンス君。その子供は誰かしら?』

 

アンジュが白々しくそう言うと、アルフォンスは少しだけ慌てだした……

 

『ええと……!道に迷ってた子供を……連れてきたんですが……住所が分からなくて……』

 

『アル。』

 

エドが、落ち着かせるように背中を叩いた。

 

その後は、全てエドが話した

 

『このガキはウリズン帝国の住民だった奴だ。』

 

エドがそう真剣に言うと、当然アンジュの表情は変わった

 

『…。ウリズン…帝国……?』

 

『聞くところに寄ると、どうやらウリズン帝国では国民に嘘を教えていることが分かった。こいつは結構な情報源になるぜ』

 

エドが一部始終話すと、アンジュはしばらく頷き、そして微笑む

 

『………そう。結構なお手柄だったわね。良いわよ、アドリビドムの入隊許可を出すわ』

 

アンジュがあっさり許可すると、カロルは呆然とした表情をした

 

『え……?こんなアッサリ?』

 

『元々、国籍なんてこのギルドには関係が無いから。誰がどんな人であろうと、ちゃんと入れるわよ。働く気があればだけどね』

 

アンジュが”働く”という言葉を強調したとき、カロルは少しだけ引きながらも、笑顔で対応した

 

『あぁ――……。やっぱりそうだよね…ははは…』

 

だが、それでもカロルは嬉しそうで、目は活き活きとしていた。

 

これから頑張るぞという意気込みが、ひしひしと伝わった。

 

そしてカロルは後ろに振り向くと、目の前にはアームストロングが立っていた。

 

『ぎゃぁぁぁあああああああああああああああああああああああああああ!!!!!』

 

それを目の当たりにしたカロルは、絶叫しながら尻餅をついた

 

『むぅ?これはこれは、新しく入った仲間ですかな?』

 

アームストロングがゴツイ笑顔をカロルに見せながら、大きな手をカロルに差し出した。

 

『我が輩の名前は、アレックス・ルイ・アームストロングと申す。貴方は?』

 

カロルが、恐怖で半泣きの顔でアームストロングの顔を見ている。

 

そして震えた手でアームストロングに手を差す

 

『ぼ……ぼぼ……僕の名前は……カロル……カロル・カペルと言います………』

 

すると、アームストロングは強い握力でカロルの手を握り、にっこりと笑った。

 

その膨大な握力に、手に激痛が走るカロルは、さらに悲鳴をあげて悶えた。

 

その悲鳴が聞こえないのか、アームストロングは笑顔で挨拶をした

 

『カロル君。これから、このアレックス・ルイ・アームストロングをよろしく、お願いいたします。』

 

ようやく手を離したアームストロングは、笑いながら場を去っていった。

 

握られた手を押さえながら、泡を噴いて倒れたカロルを見て、エドは心配の声を駆ける

 

『おいカロル、大丈夫か?』

 

『…僕………本当にこのギルドで……やっていけるんでしょうか………』

 

エドは何も言わずに、そのまま立ち上がった。

 

そして、アルの鎧の中を見つめる

 

『おい、アル』

 

エドは指示するようにアルに言葉をかける

 

『ああ……はいはい。ちょっと待って……』

 

アルは、腹の内部に居た子供のミアキスを抱き上げ、アンジュに見せた

 

『あら、子供のミアキスね。可愛い』

 

アンジュは眺めるようにミアキスを見ている、

 

そのついでに、アルは話を持ちかけた

 

『この子、群れから仲間はずれになって、一匹で震えてたんです。この船で飼っても良いでしょうか?』

 

アンジュは、しばらく考える仕草をした。

 

『ん―――……メルディちゃんがクィッキーちゃんを飼ってるから、駄目じゃ無いよ。でも、ちゃんと世話する人を探さないと。』

 

アンジュがそう言うと、エドが付け加えるように言った

 

『アル、俺達はこの世界をどの道脱出するんだから、俺達は駄目だぞ』

 

『分かってるよ。兄さん。』

 

アルは、渋々した様子でいじけるように答えた

 

すると、アンジュはエド達に提案した

 

『それじゃぁ、この船に居る人の誰かを飼い主に誘ったら?きっと誰からか飼ってくれる人が居るはずよ。』

 

アンジュのその提案を聞いて、アルは納得したが、エドは一つ質問をした

 

『あんたは飼わないのか?』

 

アンジュは、笑顔で堂々と答えた

 

『私は、動物に餌を上げるくらいなら、私が食べたいし。糞の始末は嫌だし。散歩もめんどくさいからね。』

 

エドとアルはアンジュに背を向けて、別の部屋へと移動していった。

 

『アンジュさんって、最低だよね』

 

『ああ。ほとんど自己チューだよな。』

 

『動物の世話さえ、まともに出来ないなんて』

 

『将来、絶対良い母親にはなれないよなぁ。』

 

そうブツブツアンジュに聞こえるように話し合いながら、移動していった

 

 

 

 

 

 

 

~エミルとマルタの部屋~

 

『ミアキス?』

 

エミルが質問してくる。どうやらミアキスというのは初めて聞いて、初めて見たそうだ。

 

『うわぁ~。エミルエミル!すっごい可愛いよ!』

 

マルタが、目を輝かせながらミアキスの子供を抱きしめる

 

女の子は可愛い物が大好きなのか、ミアキスだけを集中的に見ている。

 

『うん。それは良かったよ』

 

アルがそう頷くと、次にエドが話しかける

 

『んじゃ、お前らが飼うか?ミアキスもそんなに嫌がってなさそうだしな。』

 

ミアキスが、エミルの方を見て鳴きだしていた。

 

その様子を見たエミルは、少しだけ疑問の声を出した。

 

『どうしたんだろう?』

 

マルタが手を離すと、ミアキスはエミルの方へと向かって歩き出していった。

 

そして、エミルの膝の上で、エミルに甘えるように頭でエミルの腹を撫でていた。

 

『へぇ……本当だ。可愛いね。』

 

エミルの”可愛い”という言葉にマルタは反応した。

 

ミアキスは、エミルに懐いたらしく、エミルに喉を撫でられると、ゴロゴロ鳴る

 

同じく、エミルもミアキスが気に入ったらしく、笑顔でミアキスの頭や喉を撫でる

 

『これは、もう決まりだな』

 

エドがそう言った間に、マルタの顔が不機嫌になっていった。

 

頬を膨らまし、エミルとミアキスのじゃれあいを見ている。

 

ついにマルタはエミルからミアキスを取り上げ、アルにつき返した。

 

『やっぱり返す!』

 

その唐突さに、アルとエミルは戸惑った

 

『ええ!?マルタ、どうして?』

 

エミルがそう言うと、マルタはエミルと面を向かって言葉を発した

 

『エミルが”可愛い”って言って良いのはマルタだけなんだから!エミルが他の者を可愛がるなんて、私耐えられないよ!!』

 

その様子に、エミルは少し戸惑い、困るような表情をした。

 

マルタは、真剣な顔でエミルを見ている

 

『ええと……マルタ?』

 

『ニー』

 

マルタが、ミアキスの声まねをして、エミルに飛びつく

 

『うわぁ!!』

 

そしてエミルに抱きつき、先ほどのミアキスと同じように、エミルに甘えだした。

 

エミルもあまり満更でないらしく、ただ顔が赤くなるだけで、あまり抵抗はしなかった。

 

マルタも、満面の笑みでエミルに抱きつき、猫のように甘え、ゴロゴロした。

 

その場で、エドはただ呆然と立ち尽くし、

 

アルからは、黒いオーラと怒りの表情らしき物が表れた

 

『兄さん……なんだか僕、今なら無反動砲を撃てそうな気がするよ……!!!』

 

アルはそう言って、戦闘する体制に入り、体のオーラがだんだんと濃くなっていくのが分かる

 

そのオーラを肉眼で見えたエドは、アルを掴んで他の部屋へと移動した

 

『ほらアル!!とっとと次行くぞ!!』

 

アルの脚力はいつもより凄まじいのがあり、引っ張るのにかなりの力を要した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ルカとイリアとスパーダの部屋~

 

『ミアキス?』

 

ルカは、ミアキスを見ると少しだけ笑顔になる

 

『うわぁ、とても可愛いミアキスだね。まだ子供?』

 

『けっ糞が臭そうなイラつく面じゃねえか?』

 

スパーダは、ミアキスに喧嘩を売るようにメンチを切った。

 

ミアキスは、スパーダを怯えるように震えていた

 

その様子を見て、アルは少しだけ慌てだす

 

『そ……そんな怖い顔しないでください……』

 

まるで、ミアキスの代弁をするように言ったアルに、

 

後ろからミアキスを横取りされる

 

『あ……』

 

アルが振り向くと、後ろではイリアがミアキスを掴みながら眺めている。

 

しばらく眺めた後、イリアは愉快になるように笑顔になる

 

『良いねぇ、私、ミアキス大好きよ。』

 

『本当ですか!?』

 

アルがそう言うと、イリアの目は鋭く光り、ミアキスの目を見る

 

『ハンバーグにするとすっごく美味いのよ。油が乗っていてね、普通の肉よりも数倍は柔らかいわ。そのミアキスのひき肉に、ニンニクを隠し味にすれば、風味が増して……』

 

アルはすぐにミアキスをイリアの手から外し、そして逃げ出した

 

『待ちなさい!今日の晩飯!!逃がしてはおけないわよ!!!』

 

イリアが拳銃を持ち出し、アルに向けて発砲する。

 

『エドワードさん!アルフォンスさん!!逃げて!!!』

 

『うわぁぁあああああああああああああああああああ!!!』

 

エドも一緒に逃亡し、その部屋から脱出した後、さらに船を三週回った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~リッドとファラの部屋~

 

『うわぁ、ミアキスだー。可愛いなー。』

 

メルディが、ミアキスの頭を撫でながら喋りだす

 

『う~ん……可愛いんだけど……私達の所はちょっと厳しい…かなぁ。現地に物資を届けなきゃいけないし……』

 

ファラは少し残念そうにそう答えると、

 

『そうですか……。』

 

と、アルは少しだけ落ち込んだ表情になる。

 

だが、横からリッドがミアキスをつまみ取る。

 

そして、ミアキスをマジマジと見つめる

 

『ん?別に良いんじゃねえの?』

 

リッドがそう言った時、ファラが少しだけ嬉しそうな笑顔になる。

 

『え?良いのリッド。私達だとちょっと苦しくないの?』

 

ファラの言葉に、リッドは何も疑問も無しに答える

 

『ああ。別に何の問題も無いだろ。』

 

その言葉に、アルもファラも安心した声を出す。

 

『良かったぁ。んじゃ、これからはもう少し節約を心がけなきゃね。』

 

『ああ。こいつはひき肉にしてハンバーグにすると美味いらしいからな。さらにニンニクを隠し味にすると風味が増して、一級品の食い物になる。それが食えるとなりゃぁ、節約なんて…』

 

ファラは、リッドの摘んでいるミアキスを引き離し、アルに返す

 

『ごめんなさい……。別の飼い主を探してくれるかな……』

 

『はい。分かりました。』

 

そのやり取りに、リッドは疑問に感じた

 

『え?そいつ家畜じゃねえのか?食わねえのか?』

 

『当たり前じゃない!!!』

 

ファラの怒涛が、辺りに響いた

 

 

 

 

 

 

 

~バンエルティア号 エンジン部分~

 

『チャット、俺の機械鎧を見せてやるから、このミアキスを飼わ……』

 

『そのおぞましい生き物を、僕に近づけさせないでください!!!!!!!!!!』

 

チャットは、エンジンの後ろでガタガタと震えながら隠れるように叫んだ

 

『……駄目、みたいだね。』

 

 

 

 

 

 

 

 

~研究室~

 

『ミアキス?そうだなぁ。ちょうどミアキスの資料が乏しくて困っていたんだ。解剖用に一匹貰おうか。』

 

『ミアキス?そうねぇ。ちょうど体が風船のように破裂する液体を作ったから、その実験用にちょっと使ってみたいわねぇ。』

 

ウィルとハロルドの言葉に、エドとアルは顔を合わせる

 

『アル、ここは駄目だ。別の奴にしよう!!』

 

『うん!!兄さん!!!!』

 

 

 

 

 

 

 

~ロイドとコレットの部屋~

 

『ミアキス?』

 

しいなが、珍しそうな目で、そのミアキスを見つめる

 

ゼロスが、面白そうな目で、ミアキスを見つめていた

 

『そうだねぇ。確かミアキスはひき肉にして肉団子を作るスープにすると美味いと聞いたから……』

 

『ミアキス?良いねえ。俺様のかっこ良さが引き立つために、俺様が貰っちゃおうかなぁ?』

 

アルは一瞬ゼロスに渡そうかとエドに話を持ち出したが、

 

『職務怠慢しそうだから止めとけ』

 

と断られた。

 

 

『ん?なんだそいつ。ミアキス?』

 

ロイドが、ミアキスの子供を抱きかかえる。

 

『うわぁ、可愛いワンちゃんだね。』

 

『ミアキスだよ?』

 

アルがそう説明すると、ミアキスは鳴き声を鳴いた

 

『あれれ?これワンちゃんじゃなくてニャーちゃんかな?』

 

『嫌、猫でも無くてね………』

 

『そういえば、猫って高いところから落ちても平気らしいよね。この子はどうなるのかな?』

 

『いや、多分駄目だと思うけど……』

 

『餌は、魚を食べるんだよね?猫って』

 

『多分、食べると思うけど……』

 

『魚って、どんなのでも良いのかな?』

 

『ええと……有毒の無い魚ならね。』

 

『有毒のある魚と言えば、一体どんな魚なのかな?』

 

『ええと……派手とか?』

 

『派手?派手な魚って言ったら……それって茸じゃないかな?』

 

『あれれ?そうだっけ。』

 

『そうだよ。そういえば茸と言ったら、よくジーニアスが嫌がって』

 

『ぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!』

 

エドが、もう待ちきれないかと言うようにブチ切れた

 

『もういい!貸せ!!』

 

『あっ!』

 

エドは強引に、ロイドからミアキスを横取る

 

『ちょっと兄さん……。そんな強引な…』

 

『うるせぇ!!こんな話を徐々にずらすような奴に任せておけねえ!!』

 

エドがそう言うと、コレットは少しだけ慌てるような表情になる

 

『ええ…?話はずらして無いと思うよ……』

 

『黙れ!!俺はお前のような自覚の無いイライラさせる天然の野郎が嫌いなんだよ!!!』

 

コレットの心に、大きなトゲが刺さった。コレットの体が硬直する

 

『行くぞ!アル!!』

 

『あ……兄さん!!』

 

エドは大きな足取りで強く地を踏むように歩き出した。

 

アルはついて来るように、エドの後ろに付く。

 

エドとアルが居なくなった瞬間、コレットの目に涙がたまった

 

『お……おい?コレット?』

 

ロイドが心配そうに声を駆けると、コレットは部屋の角へと移動し、そこで体育すわりをして顔を埋まるようにして泣いた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~ユーリとエステルの部屋~

 

カロルが配当されたのは、ガルバンゾ国の王族が存在する部屋だった。

 

そうと知った瞬間、カロルの足は少しだけ震えていた、

 

『ぼ……ぼ…僕は……その…ウリズン帝国の……カロル…カペル……です』

 

自己紹介もぎこちなく、どことなく可愛そうな様子だ。

 

その様子を見たエステルは、ウリズン帝国と聞いて、驚きを隠せないで居た

 

『ウリズン……帝国の者なんですか……?』

 

エステルがそう言っても、ユーリは何も警戒心は無しに話を聞いていた

 

『ふぅん……こりゃ、情報提供に役立つわなぁ。』

 

警戒するどころか、どこか楽しそうな雰囲気だった

 

『カロルだっけか?お前、自分の国の状況を俺達に教える気は無いか?』

 

ユーリがそう言うと、カロルは少し俯く

 

『………どうだろう。僕は……まだここに居る人たちの事……敵……だと、半分思ってる』

 

カロルがそう呟くと、レイヴンが笑いながら返答する

 

『ありゃりゃ。だったらカロルちゃんは袋叩きだわ。怖い怖い。』

 

『わ……笑い事なもんかぁ!!本当に怖いんだぞぉ!!』

 

その様子に、リタは呆れの表情で呟く

 

『ま、私はこんなガキに特に期待も何もしてないけどね』

 

リタの言葉に、更にカロルは俯いてしまう

 

その様子を見たユーリは、カロルの頭に手を置く

 

『………ま、そう言う事だ。』

 

カロルは、その言葉を理解できずに、ユーリの顔を見る

 

『つまり、俺達はカロルの事は、少なくとも敵だとは思っちゃいない。むしろ、ウリズン帝国の暴走を止める。キーパーソンだとも考えている。』

 

ユーリの言葉に、カロルは少しだけ沈黙する

 

『キー……パーソン……?』

 

『実際、悪いのはウリズン帝国を仕切ってる奴等で、国民じゃないしな。ウリズン帝国全員を恨んでるわけでもあるまいし。手を出したりはしねぇよ。』

 

ユーリは、咄嗟にエステルの方を見る。

 

エステルは、静かに微笑み、そして頷いた

 

『っつ事で。まぁ無理に情報は出さなくて良いさ。これからもよろしくな。カロル先生。』

 

ユーリは立ち上がると、カロルは少しだけ嬉しそうな顔になる。

 

そして、カロルはある決心をする

 

『じゃぁさ。……ウリズン帝国の情報で、国民にでかでかと報道したある計画があるんだけど、聞きたい?』

 

カロルのその言葉に、ユーリ達は興味深そうな顔になる

 

『そぉなの!?教えて教えて。おじさんワクワクしちゃう!』

 

レイヴンが陽気なテンションで、カロルの目を見る

 

『うん……近日、ウリズン帝国に敵国が攻め入る日が判明したから、僕達ウリズン帝国の国民は……』

 

『すいませーん!ミアキスの飼い主を募集してるんですけれど――』

 

エドとアルが、ミアキスを抱えながら部屋に入ってくる。

 

そのタイミングの悪さに、リタはものすごく嫌な顔をした

 

『ちょっと!!今、すっごく良い所だったのに!!空気読みなさいよ!!それでも光合成してんの!?』

 

リタのそのイラついた顔に、エドもイラついてくる

 

『あ?誰が影にひっそりと生えてる小さい枝豆だぁああ?コラァ小娘ぇえええええ』

 

『あんた良く分かったわねぇ…?やっぱり豆の事については詳しいのかしらぁ?』

 

二人が、凄い形相でメンチを切っている

 

二人に流れるオーラが、他の人を指していることが分かった

 

『……あの、兄とあの娘は、いつもあんな感じなのですか?』

 

『ん?ああ。まあな。もう慣れたけど』

 

ユーリは素っ気無い態度でそう答えたが、

 

そのものすごい形相の二人に、カロルはさらに恐怖し、震えていた。

 

『そうそう、あの……ミアキスの里親を募集してるんです。それで良かったら……と。』

 

ミアキスを皆に見せると、エドにメンチを切っているリタ以外の部屋のほとんどの人がミアキスに注目した。

 

『へぇ~。可愛いじゃないの。まだ子供みたいだけど?親は?』

 

『はい…群れから仲間外れにされていて、一人で震えてたんです……』

 

その言葉に、部屋が沈黙した空気になった。

 

部屋の端でリタとエドが口喧嘩している以外は。

 

『ん……まぁ、別に飼っても良いけどな』

 

ユーリは、平然とそう答える

 

『ちょっと青年。本当に良いの?たった今、カロル君も入ったばっかじゃない。』

 

『ああ。それもそうなんだよなぁ……』

 

二人の会話に、カロルの表情は少し唖然としていた。

 

『え?僕ってペットと同じ価値?』

 

アルは、その時うっかりとミアキスを落としてしまう

 

『あ』

 

だが、ミアキスは上手く着地し、そこから一歩一歩へと歩き出した。

 

『ちょ…ちょっと待って。』

 

アルはミアキスを捕まえようとするが、ミアキスは身軽のようにヒョイヒョイと避けていった。

 

そしてついにエステルの方に歩み寄り、エステルの膝に乗った。

 

――ニーニー

 

ミアキスは、甘えるようにエステルの膝に乗り、頭をこすりつけた。

 

エステルは、その様子を見て少しだけ硬直する

 

『おお。どうやらミアキスはエステルに懐いたようだな。』

 

『お目でとさん。エステルちゃん』

 

エステルは、甘えてくるミアキスにフルフルと震えた。

 

本気で可愛い物を見るような目で、ミアキスを見つめていた。

 

『ほ……本当に、本当に私に懐いてるんですか……?』

 

『?ミアキスを見れば分かるだろ?』

 

その時、エステルはミアキスを思いっきり抱きつく。

 

それが苦しいのか、ミアキスは激しく鳴きだした。

 

『ちょっ……ちょっとエステルさん!?』

 

そしてエステルは、笑顔で思いっきりエドの方に振り向く

 

『師匠!!この子私が飼います!!絶対に飼います!!だから、私を飼い主でお願いします!!』

 

エステルの言葉に、エドはどうでも良いかのように返した

 

『ああそうかい!おめでとう!!んじゃ!!』

 

その様子に、リタは憤怒した

 

『ちょっと話逸らすんじゃないわよチビ!!!』

 

『んだとコラァァァァァア!!!マジでぶっ飛ばしてやる!!表出ろぉ!!!』

 

『あ――やってやろうじゃないの!!あんたこそ逃げんじゃないわよ!!』

 

『誰が逃げるか!!塩化水素女ぁぁああああ!!!』

 

その子供じみた喧嘩に、アルは溜息を吐いたが、

 

エステルはかなり嬉しそうな顔で、ミアキスを可愛がり、そしてあやしていた。

 

『ユーリユーリィ!これ、私のとっても可愛いペットですよ――!!』

 

『ああ知ってるよ。』

 

エステルは笑顔で、ミアキスの頭を撫でる

 

『そうだ、名前は何にしましょう……えーと、えーと………』

 

エステルが楽しそうに考えると、三秒後に単語が出た。

 

『そうだ!”プリル”にしましょう!それが良いですよねー?プリル。』

 

アルは、少し頭を傾げてエステルに質問した

 

『プリル……?何かミアキスに関係あるんですか?』

 

『いいえ?可愛いから”プリル”です!プリルー。ほらおてておてて。』

 

完全に親ばかになっているエステルを見て、ユーリとアルは引いた表情をした。

 

レイヴンもさすがにこれは引いたのか、部屋から出て食堂へと向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

~バンエルティア号~

 

≪コンフェイト大森林で多くの人が死んでいるのが見える。その森には、人を食う巨人が居るらしい。誰か行って来て見てくれないか。≫

 

この依頼書が来て、アンジュは少し悩んでいた。

 

さらに、この森に入って昨日から帰ってこない、

 

ロイド君の友達とも言える人を探す依頼までもが来ている。

 

これは……ちょっと大変な事態になっていると考えていた。

 

『………そういえば、エドワード君の弟君は、全身鋼鉄だったわよねぇ……』

 

そう考えながら、渋々と考えていた。

 

やるならば、兄弟一緒の方がエドの納得するでしょうし。これなら文句が無いでしょう。

 

そう考えながら、パーティ編成をした。

 

《同行人;アルフォンス・エルリック  エドワード・エルリック  コレット・ブルーネル ゼロス・ワイルダー》


 
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