白、白、白、黒。白、白、黒、白。
白はただ連なり、広がる。どこまで行こうと、それは一つの塊。途切れることはない。点々と存在するように見えて、実は皆繋がっている。
黒はただ別れ、散らばっている。どれほど近くに存在しようとも、繋がることは許されていない。その存在は孤高か、孤独か。
白を浸食するように、様々な形の線が書き込まれていく。それらは言葉であり、あるいは、まだ白い場所を埋める為の鍵である。カリカリとシャーペンは音を立てる。小さく軽快な音。時折止まり、そしてまた奏でられる。
白と黒は対立している。始めは白が優勢。それを少しずつ黒い線で覆い尽くす。ならば私は黒の味方なのだろうか。白はだんだんとその色を失っていく。そうしてたまに宝箱の鍵を落とす。Bは「キ」。鍵が全て集まれば、宝箱は口を開ける。その中の宝を手に入れられるかどうか、それは運次第ではあるのだけれど。
この対決に敗したところで、何か罰のあるわけではない。勝したところで、必ずやその報酬が手に入るとも限らない。それでも黒を侵攻させていく。
夢を見て?宝をこの手にする夢を。
否。
単純に、楽しいのだ。
それだけだ。
ぽつぽつと、雨が降り始める。けれど関係はない。屋根に守られたここで、私はただ白を埋める。カリカリ。音が響く。ばたばたと、誰かの足音。けれど関係は――。
「ちょっと、洗濯物取り込むの手伝って!」
「………」
「どうせまたクロスワードでもやってんでしょ!明日の朝食納豆にするわよ!」
納豆だけは止めてほしい。私はあのねばねばが嫌いだ。
どうやら罰はあったらしい。対立の外にだが。シャーペンを栞代わりに雑誌を閉じ、駆け足で部屋を出ていく。
白と黒は、しばしの休憩。
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適当に辞書捲って出てきた言葉で三題噺もどきの小噺やってみよう第一弾。
白と黒と私の話。