No.255962

ダンガンロンパ オシオキカイシ

sil-cさん

 ビジュアルファンブックに載っている『オシオキを受けていないメンバーのオシオキ』を文章化してみたものです。
 第一弾は十神君。
 
 一応ネタバレになります。
 

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2011-08-02 22:24:28 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:3957   閲覧ユーザー数:3915

 

 ≪トガミクンガ クロニ キマリマシタ オシオキヲ カイシシマス≫

 

 モノクマが手元のスイッチを叩く。ピコンと可愛らしい音がして、鈍く光る金属の首輪が十神君を壁に空いた穴へ引き釣り込んだ。引きずられ、行きついた先は煌びやかな装飾の施された玉座。

 ――だが、椅子に座すのも一瞬だ。床が大きく口を開け、椅子ごと十神君を飲み込んだ。

 落ちていく。墜ちていく。堕ちていく。

 

 ≪人間★失格≫

 

 永遠に続く様にすら思える落下。地に叩きつけられ、血をまき散らす様を想像してしまい、僕は顔を伏せた。……だが実際は違った。十神君が堕ちたのは、ゴミ箱の中だった。

 溜められた生ゴミの為か、とてつもない高さからの落下でも彼は生きていた。腕が出、縁を掴み、もがいて出てきた彼に、最早御曹司の影は見当たらない。ゴミにまみれた――人間失格。

 石畳。煉瓦造りの家々。……西洋の風景。

 ヨタヨタと、ズタボロになった服を纏って彼は歩き出す。流石に無傷ではいられなかったのだろう。右腕はダラリと下がり、左足を引きずり、割れた眼鏡が頬に小さな切り傷を創っていた。それでも彼は歩く。

 背に向けて、モノクマが石を投げる。振り払おうとするが、バランスを崩して道に倒れる。そこへ更に石。這いずりながらも、しかし前へ進んだ。……音もなく雪が舞い落ちる。世界は銀色へと変わっていった。吐く息が白く濁っている。

 蠢きが止まった。……カメラが彼の顔へとズームしていく。それを知ってか知らずか、口角を歪め、彼らしく冷笑したかと思うと、夥しい血を口から吐き出し――眼を閉じた。

 

Next is ...

 

 
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