第8話 「決戦! きのこ研究所 第4部 再会編」の巻
(前回のあらすじ)
発信器の反応と熱源反応がある“司令室”の手前の門を守る最強のガーディアンと大扉を、球体の脱出ポッドに乗ったKAITO社長が破壊し、プリマ医師以外のリン一行は、目的地の司令室へと足を運ぶ。
プリマ医師は、味方だった好敵手のアンと、フェイクの戦闘をしながら監視カメラ外のエリアへ流れ込み、アンの誘導で、ついに探していた兄“LEON”がいるらしい場所へと到着した!。
***
<リン達一行>
(がくぽのアジト B29FからB30Fへ続く階段前)
リン:この下が・・・
ミク:ようやく・・・
レン:がくぽのいる司令室なんだよーん
LOLA:発信器の反応、特定は出来ませんが“熱源”はしっかり1つ存在してます。
MEIKO会長:いよいよね・・・
KAITO社長:ぼくもファイナルに参加できて良かったよ、かなりゴーインだった気はするけどね
MEIKO会長:では・・・・
ゴゴゴゴゴゴ
MEIKO会長の力で、脱出ポッドで“ひしゃげた”大扉がどかされ、階段が現れた。最後は螺旋階段だった。
MEIKO会長:一気にいくわよ!
その声と同時にリン達は全員なだれ込むように螺旋階段を下りていった。
カツカツカツカツ
下りはじめて10分になるが、この螺旋階段、意外にもかなり長かった。
リン:はぁはぁはぁ・・な、なんて長いの、ここ・・・
レン:最後のボスだから、地下深くに隠れているって、そう言いたいのかもだよーん
MEIKO会長:はぁはぁ、の、望むところだわ(怒)・・・あれ?KAITO社長は?
上の方で声が聞こえた
KAITO社長:ま、待ってくれーーーー!
MEIKO会長:あーもー・・・ここで待ってるから早く下りてきて!。リンちゃん達は先に行って、司令室があったら、前で待っていてね。
リン:はい!
それから10分後、司令室の扉前に下りてきたメンツ全員が揃った。
KAITO社長:はぁ・・・はぁ・・・よ、ようやく・・・・
リン:着いたんですね、最後に。
LOLA:反応、未だこの先にいます。尚、確認しておきますが、ここの反応は途中で2つになってました。おそらくもう1つはB25Fの白いロボットでしょう。なので問題ないです。1つの熱源は常にここにありましたから。
MEIKO会長:ほんじゃ、ぶち破ろうかね。LOLA、ここ壊れそう?。
LOLA:MEIKO会長の蹴り一発で壊れる程度のちゃちいものです。
MEIKO会長:ほんじゃ、遠慮なく。うらぁっっ!。
LOLAの言うとおり、MEIKO会長のケリ一発で扉は壊れて向こう側に倒れた。司令室の扉の割に、随分簡単な出来のものだった。
そして部屋の奥、コンソール装置の中央に、椅子に座っているがくぽがいた。他には熱源情報の通り、誰もいなかった。
MEIKO会長:・・・・やっとこラスボスの所まで到達したわよ、がくぽ!。
レン:最後まで一人で待ちかまえているとは、殊勝な心構えだよーん!。
ミク:さーて、色々吐いて貰うとしようかな ミクミク!
リン:とりあえず、私たちには全くわからない“目的”、これを教えてよ!
がくぽ:・・・・・・・・・・・・
がくぽは表情1つ変えずに、黙っていた
MEIKO会長:(怒怒怒)ふーーーーーーーーん、いい根性してるじゃない。じゃぁやっぱりお仕置きしないとだめなのかしら?。
がくぽ:・・・・・・・・・・・・
MEIKO会長:この・・・・・・?。みんな、これ、いくら何でもおかしいわよね。表情変化もなくて、ずっとだまっているのよ。一応愚問なんだけど、この“がくぽ”、間違いなく、“がくぽ”よね?。
LOLA:特に他の熱源移動は確認してません。
リン:格好も・・・・問題ないわ・・・あれ?。
ミク:ミクミクミク・・・・か、刀、刀が無いわ!!!!。
レン:本当だよーん!、あの日本刀がないんだよーん!。
MEIKO会長:・・・・・・くっ!。やられた・・・・。リンちゃん、緊急用試薬の“成分B”は持ってる?。
リン:え?、えっと・・・あ、あります!、ポーチにありました!。
MEIKO会長:それを、あのがくぽに注射して!。
リン:え????。
MEIKO会長:いいから!。彼は攻撃してこないから。
リン:はい!
リンはゆっくりとがくぽに近づき、成分Bの入ったアンプルを注射器にセットし、がくぽの右腕に注射した。すると!、
リン:わ、わ、わ!、なんか姿が!!!
なんと、姿は服を着た大人の女性に変わっていったのだった!。
女性:げほぉ・・・げほぉ・・・あ・あなた達は?
MEIKO会長:ここの主の敵になる“きのこ研究所”の者よ。特定キノコから抽出した変異成分Cによる変身能力。これを使って、あなたをがくぽにしておき、おそらくあなたの血液か何かを混ぜた成分Cをがくぽは自分に注射して、すれ変わった。がくぽはもう、別の所に逃げ延びている・・・。発信器はとっくに見破られていて、ここに置いてあるだけだった・・・・。ち!、裏をかかれたわ!。
女性:あ、あの、きのこ研究所の方でしたら、プリマをご存じですか?。
リン:?、う、うん、仲間だよ。B25Fで変なロボットとタイマン勝負するからって、今でもそこにいるはずよ。
女性:!!!、そ、そのロボット、どんな感じだった?!
ミク:ミクゥ?、白かったミク。で、プリマ医師の話では中に人間がいるらしいし、
レン:予想が当たっていれば戦わなくてすむって、言っていたよーん。
女性:そいつ、“刀”持ってなかった?
MEIKO会長:あー、なんか甲冑着ていたから溶け込んでいたけど、確か持っていたわね。どんなのだったかは覚えてないけど・・・・って!、まさか?!
女性:そいつが、がくぽです!!!、プリマが危ない!!!!!
KAITO社長:!、あ、いや、その、それより1つだけ!、あなた、誰?。
女性:SWEET・ANNです!!!!
<その頃のアンとプリマ医師>
(とある場所の前)
アン:ここにあなたの兄さん、LEONが閉じこめられているわ、囚人として囚われていたのよ。
プリマ医師:LEON兄さん・・・
アン:鍵はくすねて置いたわ。さぁ、私が開けるから中に入って抱きしめてあげな!
プリマ医師:あ、ありがとう・・・
アンは鍵で扉を開け、プリマ医師は中に入った。
少し広めの部屋の中央に奥を向いて座っている囚人服の男が一人いた。
プリマ医師:に、にいさん・・・・?
囚人服の男はゆっくりと振り向いた。かなりのイケメンだった。
プリマ医師:!!!!、兄さん!!!!!!
LEON:!、プリマ!
二人は抱き合って再会を喜んだ!、が。
ボグッ!
プリマ医師:・・え?、ゴフゥ・・・ど・・・どうして・・・・
LEONはプリマ医師の腹部に重い一発のパンチを繰り出していた。死亡するには至らないが、完全に気絶させるに十分なパンチだった。
プリマ医師:に・・・にい・・・さ・・ん・・・ア・・・・・ン・・・ど・・う・・し・・て・・・
アン:この瞬間のためだけに、このがくぽ!、随分遠回りさせてもらったぞ!。最強戦闘コアパーツ“プリマ”。お前を手に入れるためだけに、この茶番を打たせてもらった!。LEON、もう用済みだが殺すには忍びないのでな、ここで昼寝でもしていろ!!。
パチン!
がくぽが指を鳴らすと、LEONは気絶して倒れてしまった。
がくぽ:さーて、成分Bを注射してっと。よし、姿は元に戻ったな。で、こいつに睡眠剤を注射してと。よし、これで、やっっとこ“入手”できたわ!。これでようやく“安全”に、あいつに搭載できるわけだ。よし、急ぐか!。
姿が元に戻ったがくぽはプリマ医師を抱えて、早足で隠しエレベータに乗り、地上まで戻って行った。
がくぽ:ふふふ、これでパーツが全部揃ったぞ!。地球人ども!、滅するが良いわ!。
***
<その頃のリン達一行>
(がくぽのアジト B25F)
アン:プリマとがくぽがいない!。ど、どこに誘導・・・。MEIKOさん、プリマ医師、他に何か言ってませんでした?。
MEIKO会長:え、えっと、彼女、兄さんを捜しているとか・・・
アン:名前は?。
ミク:LEONだったはず ミクミク
アン:!!!!、あの部屋だ!、こっちに来て!
アン達は、プリマ医師と白いロボット(がくぽ)が戦って誘導したルートへ進んでいった。
リン:な、なんか薄暗い通路ですね。
アン:この先にLEONがいるわ。
(開けっ放しの囚人部屋)
アン:LEONさん!!!!
LEONは気絶状態で倒れていた。
MEIKO会長:アンさん、これ!。気絶回復成分Rの注射よ。
アン:はい!。
アンがLEONに注射を打つと、LEONはゆっくりと正気の状態で起きあがった。
LEON:う・・・っ!、き、君たちは?。
MEIKO会長:・・・・・プリマの仲間です!
LEON:!!!
アン:たぶん、ここに1回プリマとがくぽは来ていたはず。二人はどこへ?。
LEON:う・・・それが、良く覚えていないんだけど・・・このパンチの切り傷から考えると・・・どうやらボクはプリマの腹を殴って気絶させたらしいな・・・・入っていたナイフみたいな物で、ほれ、すぱっと切れているよ。
LEONの拳には、血が付いていた。患部はLEONの物だった。
LEON:すまない。がくぽに催眠術を掛けられていたらしい。ボクは自分の妹を・・・・くそ!。
LEONは涙を浮かべていた。
アン:1つしかない脱出用エレベーター、その1機で移動中みたいね。
リン:1つしかないの!?
アン:ええ。緊急脱出用だから1機。それも一方通行よ。
MEIKO会長:つまり、どうやってもプリマ医師とがくぽの所には到達できない・・・って事ね。あ、エレベーターが止まったわ。
すると、突然部屋のランプが真っ赤に点滅しだし、緊急コールがかかった。
緊急コール:EMERGENCY CALL。Warning!、Warning!。これより基地自爆のカウントダウンを始めます。残り30分!。残り時間中に、基地の全所員は速やかに地上に脱出して下さい!。繰り返します・・・・・
レン:や、やばいんだよーん!!、なんか良く覚えているゲームに似たシチュエーションなんだよーん!!。
ミク:えっと、赤いバッテリー・・・・ってないし!
リン:エレベーターすらないわよ!、それよりマグナム残ってる?
レン:そんなの最初からないんだよーん!
KAITO社長:香草いくつ残っている???
MEIKO会長:落ち着きなさい!!。これより最終手段を取ります!。全員、この成分Mを注射しなさい!!。それとLOLA!、ここから来た道を含め、成分Mを使って30分以内で暴火炉鋳呑に戻れるルートを速攻で探索して!。
LOLA:READY。
全員成分Mを注射した。どうやらこれは肉体を一時的に強化する成分(マッスル成分)で、走るスピードを上げ、上げた状態を長時間維持できるらしい。
LOLA:検索完了。案内出来ます。
MEIKO会長:全員、準備完了ね。じゃ、死にたくないなら、本気で走ってね。私が先頭で走るから付いてきて!!!。Ready Go!!!
MEIKO会長を含め、そこの全員が猛スピードで走り出した。風のように通路と階段を戻っていく全員!。
(B10F)
緊急コール:残り20分です!、至急、避難してください!
MEIKO会長:もう少し!!
レン:し、死にたくないんだよーん!
(地上・戦闘機カタパルト)
緊急コール:残り5分です!、大至急、避難してください!
MEIKO会長:LOLA!、ハッチ開けて!。早く暴火炉鋳呑へ!!。
リン:みんなも急いで!。アンさん、レオンさん、あのでかい酒瓶に乗って下さいね。
レオン:ジャパニーズ・ファンタジー・・・
アン:いいから乗ろう!
MEIKO会長:いいみたいね!、暴火炉鋳呑、緊急発進!、とにかく基地から離れて!。
LOLA:Ready
暴火炉鋳呑は全速後退に、基地から離れた。
そして・・・
緊急コール:時間です。自爆装置作動します。
グゴッガガガガガガッゴゴゴゴゴゴゴ・・・ゴーーーーン!!!!!
基地はあっけなく木っ端みじんに吹き飛んでしまった。
リンは泣き出してしまった。
リン:えぐ、えぐ、プリマさんを・・・助けられなかった・・・・!!!!。
ミク:ミクミクゥ・・・・ぐすん。
アン:それは敵さんがやってくれたようよ。あれみて!。
リン:うえ?
暴火炉鋳呑のかなり向こうに、超巨大な女性型ロボットが立っていた。
アン:敵の本当の目的は、どうやらプリマ本人だったらしいわね。あのロボットのコアに仕込まれている、と私は考えるわ。
LEON:私とプリマがいても、私は気絶で、プリマは誘拐だったのだ。必要な物を壊してしまう程、がくぽはバカじゃないな。
MEIKO会長:アンさんの案を通させていただきます。LOLA?、決議結果は?。
LOLA:3体の合議体による審議の結果、3:0、で決議されました。その案を通します。
リン:そうなると、最後は・・・
ミク:あのロボットから助け出す事 ミクミク
レン:でも、どうするんだよーん?、壊さずなら武器使わなくてもいいけど、それじゃ助けだせないんだよーん。
MEIKO会長:こういうときのために、歌う能力に特化した、“VOCALOID”である私たちがいるのよ。それよりも、まず敵さんの攻撃の様子を見ましょう。暴火炉鋳呑の停泊位置を決めないといけないし。
超巨大な女性型ロボット:ぐごごごごごごごごごご・・・・
(低いミクの声)第5部“救出編”に続く!
***
CAST
リン所長:鏡音リン
レン副所長:鏡音レン
ミク副所長(兼ナレーター(低いミクの声)):初音ミク
がくぽ(偽のSWEET・ANN):神威がくぽ
プリマ女医:PRIMA
KAITO社長(マフラー総帥):KAITO
MEIKO会長(アルコル大帝):MEIKO
機動戦艦“暴火炉鋳呑”のマザーコンピューター“LOLA”(ローラ):LOLA
白いロボット、偽のがくぽ、女性:(本物の)SWEET・ANN
囚人、プリマの兄:LEON(レオン)
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○ボーカロイド小説シリーズ第1作目の”秘密結社・きのこ研究所シリーズ”の第8話です。ボカロ達がスタッフのおかしな研究所を中心に、おかしな日常が展開していく・・・はずでしたが、なんか非日常になっていきました。
○今回は再会編です。