No.247857

瓶詰無双2

宇和さん

北郷による、前回のあらすじ。

『俺、小さくなって3人(星、風、凛)と旅してたんだ。・・星の、胸に挟まれてさ』

以上。

2011-07-30 17:22:57 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:4644   閲覧ユーザー数:4021

黄巾の乱編 第一章 1話『完結』

 

 

「てんほーちゃん!!せくしーぃだよ今日も!!」

「ちーちゃん!!今日も、その小悪魔ぷりで、俺達をいじめてくれー!!」

「れんほーちゃん、とにかく、めがね!めがね!!なんだよ!!」

 

 

「はぁ~・・」

 

 

 そう遠くない距離から聞こえてくる、野太い声援に、俺のちいちゃな眉は曲がりぱなしだ。

 

 

「ほーちん!!今日も、ちびかわいいあなたを目で嬲らせて」

「ほーちん、ラブゆー、国民的おにんぎょうーさん♪」

「ほーちん!!一回でいいから、その可愛すぎる、おててを握らせて!!」

 

 

「はぁ~~・・」

 

 

 そう遠くない距離から聞こえてくる、黄色い声援に、俺のちいちゃな顔が、全体的にゆがみばなしだ。

 

 

 俺が、今いるのは、人気アイドルトリオ『張三姉妹』のライブ会場。

 そして、今の俺の拾い主は、この三姉妹だ。

 

 前の三人とは、風が、その洗濯板に無理やり、俺を、おさめようとして「ストン」と地に落ちた直後に。サザエさんよろしく、再び筋肉質な猫に咥えられ、連れ去られてから一月は会っていない。

「分っているわね。一刀」

「わ、分ってるよ。天和」

 

 

 俺も、今日が大事な日だという事は・・。

 

 

「うまくしなさいよ・・。人の命がかかってるんだから」

「分ってるって。地和」

 

 

 ここ数日、「まずい、まずい」って、皆で頭を抱え込んで相談してたんだし。まあ、俺は心が和むとかで、三人に「ぎゅー」っと、されてて悩む暇はなかったけど。

 

 

「失敗したら、私たち4人は、漢の反逆者になりかねないんですよ」

「だ か ら 分ってるって!!しつこいなぁ~!!三人とも!!」

 

 

 ちぃちゃくて、頼れないかもしれないけど。・・俺も、今が、危機だって事は分かてるんだもん!!

 そんなにしつこく言われたら怒るよ!!!プンプンだよぉ~!!

 

 

「・・・・」

「・・・・」

「・・・・」

 

 

 三人が黙った。

 

 

「・・ご、ごめん」

 

 

 三人も、不安なんだよね・・。

 それなのに俺、君たちを怒鳴ってしまって・・。

 

 

「「「お、怒ってる姿も萌え萌えよぉぉぉぉぉ!!!!」」」

 

 

 へっ、ちがう?

 怒られて「シュン(涙)」とかじゃなくて。単純に萌え悶えていて黙ってたいの、この三姉妹?

「「「みんな~、こんばんわ~!!」」

 

 

「うぉ!!!!!!!てんわちゃん!!!」

「ちーちゃん!!!」

「れんほうちゃん!!!」

 

 

 それから数分後、ついにライブが始まった。

 

 

「ほら~。ほーちんも、皆さんに挨拶して」

 

 

 ちなみに・・。

 

 

「み、みなしゃん・・。こ、こんばんわだぉ~」

 

 

「ぎゃああああああああああああ!!!!!!ほーちん可愛い!!!!!!」

「ほーちん!!!!!!!!私だけのお人形さんになって!!!!!!!」

 

 

 俺も「ほーちん」というキャラで絶賛参加中だ・・。

 

 

 猫に咥えられ三千里。

 青州(猫に捨てられた先)で、俺を拾った張三姉妹は、始めこそ「お人形さん」的な扱いを俺にしていた。

 たぶん、そのままなら、俺は、彼女達だけの「お人形さん」として、今も生きていたであろう。

 

 だが、姉妹一の知恵者、三女の人和が一つの事に気づく。

 

 

『私たちを萌え狂わせるこの子は、アイドルとしての私たちの救世主になるかもしれない』

 

 

 アイドル・・。

 この一件、華やかで、非の打ち所のないように見える職業には、実は昔から宿命的克つ致命的な「弱点」が存在する。

 

 それは・・。

 

 

 同性人気である!!!

 

 

「なんだよ、嵐なんてよ!!」

「なにが、AKBよ!!」

 

 

 長々、説明するもの面倒なので端的に上が顕著な例である。

 

 そして、その例は張三姉妹にも当てはまり。

 

 

「なにが、張三姉妹よ!!恋姫SSじゃ、ただの使いにくいキャラじゃない!!」

 

 

 ・・とっ、なる。・・かなり、個人的な意見が含まれるが。

 まあ、そんな理由で三姉妹には女性人気が無い。

 

 

 とはいえ、人口の半分は女性である・・。アイドルという客寄せ商売をしてる以上、女性を無視しつづけるのは、数の理論でも無理だ。

 

 なにより、その理論を打破してこそ。

 三姉妹の最終目標である『国民的アイドル』、誰からも愛されるアイドルになれるのだ。かつての、聖子ちゃん(カットが同性に流行ったりした)のように。

 

 そのため彼女らも、女性視点の歌を歌ったり、試行錯誤をしたが効果は余り見られず。彼女ら、三姉妹に集まるのは男性ファンばかりであった。

 

 

 しかし、そんな彼女らに救世主が現れた・・。

 

 

 それこそが、『北郷一刀』。

 いやっ・・。その名、改め。

 

 チビ可愛い貴女(きじょ)のお人形さん。

 『ほーちん』である!!

 

 

 女性は小さいものが好きだ、小さい「おむすび」をみただけで可愛いといえる猛者である。

 なら、女装フリフリコスプレとかさせられたチビチビ北郷なら・・。

 

 ・・いわずもがなである。

 

 そして、そのお陰で、張姉妹は(正確には、張姉妹のライブに参加する北郷により)女性人気を得た。

 

 まあ、女装させられた上、変な萌えキャラを演じさせられて。北郷は、男としての尊厳を根こそぎやられたが・・。

 

 

 それでも。

 その効果は絶大だった。いやっ、絶大すぎたのだ。

 

 

「えーと。今日は、ほーちんから皆にメッセージがあるの」

 ・・今日の、このライブは、普通のライブではない。

 漢への黄巾党(4人のファン倶楽部)蜂起の決起集会でもあるのだ。

 

 

 ・・乱れ腐った国政。

 

 ・・襲いつづける病と飢餓。

 

 ・・強者による正義という名の略奪。

 

 

 そんな末期世界の元に降り注いだ。

 「音楽」と「チビ可愛い萌え」の光。

 

 そんな光を、人々は追い。

 そして・・、光に更なる輝きを与えようと思う。

 

 その思いの果てが、漢という光を遮る「暗闇」を潰す。

 ・・そんな結論にたどり着いた。

 

 

 光自身(4人に)の確認も取らずに。

 

 

 このライブが終われば、黄巾党は一斉に蜂起、漢の戦争が始まる。

 とはいえ、その光りに、先が無い事など誰にでも想像できることだ。

 

 4人は、ファンを照らすことぐらいは出来るだろう。

 だが、所詮、ただの「アイドル」、国全体を照らすことなど不能だ。そんな事は誰でも分る、それなのに・・誰もが進む。

 

 

 だから・・止めねばならない。

 

 

「(だから・・。俺は、覚悟を決める!!)」

 

 

北郷は、ファンたちの方をむく。

 

 

「み、みんな・・、戦争めーぇだぉ。戦争したらみんなきらいにちゃうぉ~(涙)」

 

 

恥をさらす覚悟を!!!

 

 

「「「「・・・・・・・・・」」」」

 

 

み、皆・・黙っちゃったよー。

・・お、怒ってる!?

 

こんな段階で「ひよった!!」のかと言われて、内ゲバられるかも!!

い、いやだよー。俺、まだ土の下に行きたくないよ!!

 

 

「・・わ」

「・・わ?」

 

 

目の前の、席の少女が声を挙げる。

たしか、俺の大ファンでリョカちゃんとかいったけ?

 

えーと、なにかいいたいのかな?

・・わ、湾で水攻めしてやるとか?

 

 

「・・う、う(涙)」

 

 

う、うぇえええん!!!

土の下もやだけど、水の下もやだよぉ!!!!!!

 

 

「わ、わかったよー!!ほーちん!!わ、私たち戦争止めるよー!!!!」

・・あれ?

 

 

「ほーちん、泣いてて可哀想ー!!ほら、男ども!!武器しまいなさいよー!!!」

「そうよ、そうよ!!か弱いほーちんに、なに武器なんて見せて怖がらせてるのよ!!」

「ほーちん殿は平和の使者じゃあ~。のう~トメさん」

「そうじゃそうじゃ~。ほーちん殿はやさしいいい娘(こ)じゃの~ウメさん」

「ほーちん泣かないで!!戦争するような男どもは、今からお姉さん達がしばくから!!」

「内ゲバよ内ゲバ!!ほーちんを泣かす男たちには死刑よ!!!」

 

 

「え、えーと・・」

 

 

身内(ファン)同士でも喧嘩されても!!

 

 

「ぎゃああ!!」

「ぐわああ!!」

 

 

あっ・・。男性の悲鳴が。

いや、女性陣は武器持ってないからヤラレテハ(殺)はないだろうけどさ。

 

 

「ひぇぇ!!!や、やめてくれ!!か、髪が、髪がもう!!」

「そ、そんなところ引っ張るな!!取れる!!取れる!!そんな所、取られたら女になっちまう!!」

「な、なぶり殺しにするぐらいなら!!さっさと殺せ!!」

 

うん、まあ・・。この地獄絵図のおかげでさ。漢との戦いはないって事は確信したけど。

で、でもね・・。

 

「う、うちゲバもメーぇ!!だぉ、みんなーーー!!」

 

あとがき

久々に、コメントが多かったので調子にノリ続きです(笑)

 

 

 


 
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