第5話 「決戦!きのこ研究所 第1部 お約束編」の巻
(某時刻・きのこ研究所地下)
(低いミクの声)リン達はMEIKO会長の案内で、きのこ研究所地下の小部屋にやってきました。
リン:あの~、この小部屋、物置に使っているんですが、ここに何か?
MEIKO会長:ここはね~、この壁をね~、えぃ♪
MEIKO会長がかるーく目の前の壁を叩くと、壁の一部がはずれ、中に設置されていた赤いボタンが現れた!
レン:凄いんだよーん!、なんかいかにも“秘密の研究所”みたいなんだよーん!
ミク:いや、“みたい”じゃなくて、本物の秘密研究所なんだけど ミクミク
プリマ医師:で、これは何のボタンなんですか?
KAITO社長:アイス専用冷蔵庫のスイッチ?
MEIKO会長:んー、社長のもなかなかのサプライズだけど、もっと凄いのよ!。音声の隊員さん、ファンファーレお願い!
隊員達:イー。パンパカパーン!、パパパ、パンパカパーン!。ダラダラダラダラ!、ダン!
MEIKO会長:うりゃ!
MEIKO会長が赤いボタンを押すと、研究所が揺れだし、前の壁が上に上がっていった!。まばゆい光が射し込んでくる!
プリマ医師:これ・・・・
レン:なんか、前にでっかい格納庫があるんだよーん!
リン:これって、もしかして!
ミク:秘密兵器?! ミクミク!
前に広めの格闘庫があり、中央に何かでかい物が置いてあった。
KAITO社長:これって・・・・
ミク:羽が付いた・・・・
レン:でっかい酒瓶なんだよーん!
リン:・・・・・なんなの・・・これ・・・・・?
プリマ医師:・・・・も、もしかして、これ、戦艦????
MEIKO会長:そうよ!、きのこ研究所の最終防衛用装置!、その名も“機動戦艦 暴火炉鋳呑(ボーカロイドン)”!!!
レン:でも、やっぱりでっかい酒瓶なんだよーん
ミク:羽が付いているから、もしかして飛べるの? ミクミク
MEIKO会長:もしかしなくても、飛べるのよ!(たぶん)
プリマ医師:今、小声で“たぶん”って言いませんでしたか?
MEIKO会長:細かいことは気にしない!、やってみればなんとかなるわ!、さぁあそこから乗った乗った!
酒瓶でいうラベル部分が降りてきて、小さめのタラップが出現した
KAITO社長:この酒瓶、乗れるのか・・・
MEIKO会長:き・ど・う・せ・ん・か・ん!!!!
全員乗り込んだ所は通路で、その先にコックピットのような場所があった。席は人数分あるかと思ったら、一人分足りなかった。
MEIKO会長:ごめんね~、予想していた人数が一人少なかったの。だから予想外だったお一方は、そこの吊革につかまって待機していてね。
レン:アバウトな操縦方法なんだよーん
ミク:で、予想外だったお一方って誰?
KAITO社長:んー、失礼になるんだけど、やはり・・・
プリマ医師:・・・私ね
MEIKO会長:違うわよ!、プリマ医師はそこのゴージャスな席に座って、操縦を頼む事になってるの!、立つのはあなた!
指差した先の人物は、KAITO社長だった
KAITO社長:え・・・・おれ?、やっぱ、お約束なの??
MEIKO会長:それもあるけど、あなた、戦艦の操縦でなんかわかることある?
KAITO社長:・・・・質問も質問だけど、たぶん・・・ない。ってか!、じゃあ、そういうお前らはなんの役回りなんだよ!
リン:全員マニュアルに書いてある!。えっと、私、右舷の弾幕砲撃手
レン:ボクは左舷の弾幕砲撃手なんだよーん! なんかいつも怒られそうな場所なんだよーん!
ミク:私はレーダー担当みたい ミクミク
プリマ医師:私は操舵手なのね
MEIKO会長:私はこの虎革で作った女王様椅子で、命令役。つまり艦長ね!!。
KAITO社長:・・・・・・・で、私は吊革につかまって待機・・・・ですか
MEIKO会長:そう。揺れると思うからしっかり掴まっていてよ。戦闘中はかまってあげられないからね。
KAITO社長:はい・・・・
MEIKO会長:それと~、ここには7人目の仲間もいるのよ!
リン:え?!、私たちが来るまで、このでっかい酒瓶・・・・もとい戦艦で待っていたの?!
MEIKO会長:違うわよ~。そうよね!、LOLA(ローラ)!
前のコンソールデッキが赤く光り、スピーカーから声が聞こえてきた!
LOLA(ローラ):ココは窮屈でしたヨ、MEIKO会長?!
リン:うわ!、酒瓶が喋った!
LOLA:ワタシはこのサカビ・・・じゃなかった戦艦のマザーコンピューター“LOLA”デス。システムを担当します。よろしくネ!。
リン:ハイテク酒瓶・・・
MEIKO会長:・・・もういいわ、酒瓶で(泣)。
各自、持ち場に着き、KAITO社長も吊革にしっかり掴まり、準備は整った。
MEIKO会長:じゃぁ、行くわよ!。さかび・・・・じゃなかった、暴火炉鋳呑!!、はっっっっっしん!!!
LOLA:Ready
突然大きく揺れ始め、各自浮き上がる感触を味わった。本当に飛べるようだ。
MEIKO会長:この戦艦はね、V-TOL型飛行戦艦なの。ハリアー機みたいなものね(よかった、ちゃんと飛べた・・・)。
レン:もうなんでもありなんだよーん
(低いミクの声):こうして、戦艦はゆらゆらしながら、きのこ研究所の上空に舞い上がり、飛び立っていった!
(某時刻・某所1500m上空)
プリマ医師:あの~、MEIKO会長?、レーダー担当のミクさんとLOLAさんの通りに操縦してますが、目的地はやはり・・・
MEIKO会長:がくぽのアジトよ。彼の携帯に仕込んだ発信器をレーダーで追っているの
ミク:でも、そのポイント、さっきから凄い速度で移動しているんですが、確かがくぽさんは・・・
プリマ医師:窓から出ていっただけだったわよね。どうやって移動しているの?
MEIKO会長:なんらかの高速機だと思うわ。だって彼はアジトとうちの研究所を移動していたのよ。ワープ装置とか高速移動手段がないと出来ない芸当だわ
プリマ医師:なんて人なの・・・
ミク:!、ポイント止まりました!。ここから・・・あ!、そんなに遠くないです!
MEIKO会長:LOLA!、所要時間を計算して!
LOLA:・・・32分デス
MEIKO会長:逃がさないわよー!!
(アジトから10kmの地点)
MEIKO会長:もう少しね
ミクレーダー士:あ!!、止まっているポイントからなにか飛行物体が出現!、その数・・・・え!、100機!
LOLA:分析しましタ。無人機です。素材はキノコで、形状は巨大なキノコ型円盤です。武器を備えています。集中攻撃の可能性がありますので、ここに位置を固定し、戦艦を迎撃モードに切り替えまス!
MEIKO会長:がくぽ、抽出した成分でこんなものまで作って!。で・も・、やっとこショータイムね!
レン:オラ、ワクワクするんだよーん!
リン:ところで、この戦艦の武器はなんなんですか?。主砲とかそんなのないみたいだし、砲撃手の私の前にあるの、マイクだけなんですが・・・
レン:ボクの方もなんだよーん
MEIKO艦長:武器?、そんなの無いわよ。
MEIKO会長以外全員:・・・・え?
リン:え、だ、だって、“戦”艦だって・・・
MEIKO会長:言ってみたかっただけ。
MEIKO会長以外全員:・・・・・・・・
MEIKO会長:私たちは軍隊じゃないの。だから武器はいくら秘密でも作れないの。でも大丈夫!、ミサイルとかビームとか、そういうのは無いけど、“転用武器”ならあるわ!。
リン:転用武器?
MEIKO会長:そ。元々商用目的で作った装置を改造して、簡単な攻撃が出来るようにしたもの。それがあなた達の前のマイク。
リン:これ?
MEIKO会長:ミクさん、戦闘機との距離は?
ミク:もうすぐそこです!
MEIKO会長:LOLA!、例の武器の射程範囲内?
LOLA:ハイ。十分当たります。
MEIKO会長:じゃあリンちゃん、レン君、そのマイクに向かってなんか叫んでみてくれる?
リン:は、はい・・・、じゃぁ、WRYYYYYYYYYYN!!!!
すると戦艦の上にでっかい拡声器が出てきて、その先から、巨大な「WRYYYYYYYYYYN!!!!」という“文字ブロック”が出現し、キノコ円盤に向かって飛んでいった!。程なくして衝突し、直線上の円盤を全て撃ち落とした!。
リン:・・・・なに、これ
MEIKO会長:名付けて“シュプレッヒコール砲”!!。元々商店の宣伝用に作った物なんだけど、それを巨大化させてみたの。効果あったわね~。良かった。
ミク:レーダー観測では、一撃で10機撃墜してます!
MEIKO会長:ね?!、強いでしょ?!。
ミク:ですが、増援の円盤が次々出現してます!!
MEIKO会長:さぁリンちゃんレン君、じゃんじゃん叫んで攻撃して!
レン:もうヤケなんだよーん!。だよーーーーーーーーーーーーーん!!!!!
リン:もう!、WRYYYYYYYYYYN!!!!!!!
それでも同じように文字ブロックが次々撃墜していった。だが・・・
(20分後)
リン:ゲホゲホ・・・・
レン:ゴフゥ・・・な゛ん゛た゛よ゛ー゛ん゛
ミク:敵機、増援来ます!、現在の戦闘区域の機数・・・!、50機もあります!
MEIKO会長:あちゃー、この武器じゃここまでみたいね。まさか声が続かないとは、想定外だったわ。
プリマ医師:他に転用武器、ないんですか?、これでは戦艦がもちません!
MEIKO会長:・・・あるわ、最終機動兵器が。KAITO社長、出番よ!
KAITO社長:・・・へ?、オレ?
KAITO社長はこの戦闘の揺れで反っくり返っていた
MEIKO会長:一応誰でも操縦できるようになっているんだけど、あなただけしか手が空いていないから、頼むわ!、重要な役よ!
KAITO社長:おおおおお!、不憫な子、終了のお知らせ!!、やってやるぜ!。・・・・で、何を?
MEIKO会長:戦艦後部の格納庫に行けばわかるわ、着いたら連絡出来るように、ヘッドセットはして置いてね。頼むわよ!
KAITO社長:おぅ!、任せておけ!
KAITO社長は、颯爽と青いマフラーをなびかせて、後部格納庫に向かった。そしてそこで見た物は・・・
KAITO社長:あの・・・着いたんですが・・・・
MEIKO会長:着いたのね!、じゃあそれに乗り込んで!
KAITO社長:いや、その前にこの“物体”はなんなのでしょうか?。形が、「 \(^o^)/ 」なんですが・・・・・。
MEIKO会長:きのこ研究所の誇る最終機動兵器!。その名も“OWATA初號機”よ!。さぁ乗った乗った!
KAITO社長:なんか、もの凄く嫌な予感がするんですが・・・・
MEIKO会長:じゃあ、他の人に変わる?、最高のヒーロー役なんだけど・・・
KAITO社長:おお!、“ヒーロー”!!!、や、やります!、やらせていただきます!
こうしてKAITO社長は、この物体のコックピットに入り、操縦桿を握った。
KAITO社長:おおおお!!!!、なんか見かけよりしっかり出来ているな!。操縦桿もハンドル型だし、燃えるぜ!
MEIKO会長:カイト君、これから10秒後に機体を射出するわ!。その機体にはキノコの胞子を誘導する物質が使われているから、円盤が全部そっちに移動するけど、大丈夫よ!、その機体無敵だから!。じゃぁ行くわよ!。
KAITO社長:おお!、任せておけ!
MEIKO会長:3,2,1,射出!!
戦艦の後部ハッチが開き、でかいゴムパチンコが出現した。“玉”の部分に、その“物体”が設置されており、でかい手がゴムを思いっきり引っ張り、離したとたん、物体は放物線を描いて、アジトの方へすっ飛んでいった!
KAITO社長:うううううううぎゃぁぁあぁぁぁあぁぁぁぁdrftgyふじこ
円盤は話の通り、全部物体の方へ移動し、戦艦はがら空きになった。
KAITO社長の乗ったその物体は、アジトの手前の地面に落下して止まった。KAITO社長はシートベルトをしていたので無事だった。
MEIKO会長:起きて!カイト君!、これからが本当の出番よ!
KAITO社長:ひょ・・・ひょれきゃらでふか・・・・@
MEIKO会長:その機動兵器の最強武器が、横の赤いレバーを引くと出現するわ!。あなたなら出来る!、やってみて!
KAITO社長:ひょ・・お!、よし!、これか!、いよいよこれからが本番か!、やってやるぜ!
KAITO社長は右横の赤いレバーに手を掛け、思いっきり引いた!
KAITO社長:いけーーーーーーー!!
その物体は、まばゆいばかりの光に包まれた!
KAITO社長:おおお!!!すごい!!!! え?
ちゅどーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーん!!!!!!
その物体は大爆発を起こして、“自爆”し、全円盤とアジトの一部を巻き込んで、木っ端みじんに吹き飛んでしまった。
リン:・・・・・・・・・
レン:・・・・・・・・・
ミク:・・・・・・・・・
プリマ医師:・・・・・・・・・
MEIKO会長:見たか!、これぞ、最終機動兵器“オワタ”の唯一の兵器“自爆”よ!!!。名前の通りに“オワル”兵器なのよ!。一応自爆は武器じゃない・・・・・と思うから、結果オーライ!!
プリマ医師:・・・・・・一応訊きますが、KAITO社長も、木っ端みじんに?
MEIKO会長:そんな残酷じゃないわよ。あの人は、あそこ
MEIKO会長が指さしたのは、天井モニターに写った球体だった。
KAITO社長からの通信:さーーーーきーーーーにーーーーーいーーーーーーえーーーーー!!!!!!
リン:・・・・脱出装置・・・・・
MEIKO会長:あの方角とスピードなら、研究所の方に帰れるわね。よかった。
MEIKO会長以外の全員:(よかったのかなぁ・・・・)
プリマ医師:最後に訊きますが、KAITO社長がいなかったら、あの物体には誰を乗せるつもりだったのですか?
MEIKO会長:え?、私が誰かと交代して、その人にやって貰うつもりだったわよ?
MEIKO会長以外の全員:(GJだ!、KAITO社長!)
MEIKO会長:さぁ、“OWATA”のおかげで邪魔な円盤もアジトの入り口もぶっ壊れたし、これから戦艦着陸させてがくぽの所に潜入するわよ!!
MEIKO会長以外の全員:(はぁ~、まだ先があるんだった・・・・なんか、疲れた・・・)
(低いミクの声)第2部“潜入編”に続く!
***
CAST
リン所長:鏡音リン
レン副所長:鏡音レン
ミク副所長(兼ナレーター(低いミクの声)):初音ミク
がくぽ(コードネーム「ビッグ・アル」):神威がくぽ
プリマ女医:PRIMA
KAITO社長(マフラー総帥):KAITO
MEIKO会長(アルコル大帝):MEIKO
機動戦艦“暴火炉鋳呑”のマザーコンピューター“LOLA”(ローラ):LOLA
音声さん:エキストラの皆さん
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○ボーカロイド小説シリーズ第1作目の”秘密結社・きのこ研究所シリーズ”の第5話です。ボカロ達がスタッフのおかしな研究所を中心に、おかしな日常が展開します。
○決戦編です