優しい春があるところもあれば、強い夏があり、無口な秋があると思えば、厳しい冬がある。
この世界では、それが当り前なのだ。
私たちが住んでいる地球と同じ、四季というものが存在する。
そして、その四季にも、もちろん偏りもある。
さらに、自然というものも存在する。
この世の理、食物連鎖や自然災害ももちろん存在するのだ。
その世界の中で、生きていく人々がいる……
絶海に浮かぶ島、その上に立つ、ひときわ目立つ家がある。
2階建てや3階建てではない、確かに3階建てだが、それ以上に横に広く、何となく折れ曲がった形になっているのが分かる。
赤い屋根には煙突が2本、曲がったところの丁度境目と真反対側に位置し、もくもくと煙を出している。
どのような場所だかははっきり、やはりすごい場所だということは間違いないだろう。
その中で暮らす人……というより、暮らす「人種」も、もちろんいる。
さて、この家の中で一番といってもいいほど大きな部屋に来た。
壁には無数に本棚が並び、しっかりとした足場がそれを支えている。
天井から自然の光が、広いカーペットを照らしている……
天窓が3つ、変わった配置で備え付けられている。
その3つの天窓からさす光が交差する部分……それが、この部屋で一番目を引かせるだろう、天体惑星図だ。
私達で言う地球儀を大きくし、その周りに衛星が浮かんでいる。
不思議なことに、その金色の物体は、何のエネルギーもないのにゆっくりと動き、何の支えもないのにちゃんとその場所にとどまっている。
察することに、壁際に抑えつけられた小さな机で黙々と何かを書いている少年の魔力といったところだろうか。
机のまわりや上に散らかされた紙には、難しい数式に謎の記号、不思議な絵や理解しがたい魔法陣が書かれていたりする。
しかし面白いことに、彼は魔法使いでもなければ悪魔でもないという不思議な存在なのである。
フローリングの床に、黄ばんだ紙が置かれていると、とても目立つものだ。
カーペットの上に乗っているものはなおさらで、ましてくしゃくしゃに丸められた用紙には、何が書かれていたのか気になってしまう。
そんな気持ちが伝わったのかどうかは知らないが、赤いカーペットの上に浮かぶ影、突き出す尻尾をふよふよと漂わせながら、何者かがやってきた。
その風貌や容姿などを見ると、間違いなく悪魔……それも、人間を誘惑し精液を吸い取る、いわばサキュバスのような雰囲気を醸し出している。
その悪魔は、ひょいと紙を手に取り、広げだした。
くしゃくしゃと音を出しながら、広がって行く紙の音に、机とにらめっこしていた少年も、ようやく存在に気付いた。
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そこで活躍する、ギルドのお話
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