「お前って、白っつー感じするよな」
食事中だった。
あまり大きくない丸型のテーブルに、ぎゅうぎゅうに詰め込むように二人分の夕食を並べて、向かい合って雑談を交えながらご飯を頬張っていた時。向かいに居た君が突然、箸でご飯粒のかたまりをつまんでそれを見つめながらぽつりとつぶやくもんだから、一瞬私はぽかんとした。すぐに我に返って、ポテトサラダを口に運んでから君を睨んでみる。
「・・なんかそうやって言われると、私がご飯みたいって言われたような気がするんだけど」
「いや、そうじゃねえけど。言い方はちょっと悪かった」
「わかればよろしい。それで?何で」
と一旦切って、ポテトサラダを再びつまんで口へと運ぶ。
ちょっとだけもぐもぐとじゃがいもの味を吟味。
「・・・・私が白色だって思ったの?」
ごくんと喉の奥へと追いやってから、再び尋ねる。
「なんつーか・・お前素直だからさ。それに、なんか猫っぽいんだよ。白いやつ」
「静雄には隠し事してないからね。しかし猫っぽいってよく言われるけど、白のやつとは初耳だなあ」
「なんか黒とかじゃなくて白っぽい感じなんだよな」
「そうかな?」
「そうそう」
君は春巻きをぱりぱりと皮にかじりついて、口の周りに粉々になった皮をひっつけた。あーあーと言いながら、私は向こうに手を伸ばしてその皮どもをぽろぽろ落としていく。
それにしても白、かあ。あんまり自分の色のイメージなんて言われたことないけど、白は一度も当てはめられなかった。自分ではそんな気もしないし、そもそも自分じゃ自分の印象なんて分からない。
けど自分を言われたら、相手のことを考えるのは自然である。私は、じゃあ静雄は何色っぽいのかなと、春巻きを君の二の舞にならないように注意しつつかじってぼんやり考えた。
やっぱり子供っぽい部分や性格のことを含めると赤らへんかな、と思ったけれど。それじゃあ安直すぎるなと思って、さらに思考を捻る。
味噌汁のあさりをつまんで口に入れ、君の様子を観察。ポテトサラダを頬いっぱいに詰め込んでいて、なんだかゴールデンハムスターを思い出す。
見ていて思わず笑みが溢れて、ほっと胸に安心感を覚えた。ああ、そうか。そういうことか。
「な、何笑ってんだ?」
「ふふ、や、ハムスターみたいだったなって」
「ハムスターつったら、ハム太郎思い出すんだよな」
「ひーまわりのたねー♪だっけ?」
「それだそれ」
二人して笑った。また、心の底で暖かい風がすうっと駆け抜けていく。
静雄はまるで魔法使いのようだ、なんてふと思った。
「静雄の色」
「ん?俺の?」
「そう。なんか、あったかくて、ほっこりして、すごい色」
「んだそれ。ピンクとか言わねえよな?」
「さあね。当ててみてよ!」
君の色は、みどりいろ。
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小説テスト。静雄夢です