秘密結社・きのこ研究所
第2話「報告会だよ! きのこ研究所(後編)」の巻
(秘密結社・きのこ研究所 本部 大会議室)
ワイワイ ガヤガヤ
リン:はぁ~~やだな~~報告するの・・。この内容、もう本部知っているんだから、北海道支部のウチはパスでいいじゃん!、つるし上げだよ、これじゃ!
???:あれ?、これはまた、大きなため息を。
リン:うぇ?・・ゲ!、横濱支部のミリアム!
ミリアム:”ミリアム所長”って言ってよね、もう。あ、”成績トップの”を頭に付けてよね。
リン:・・・はい(相変わらずイヤミなヤツ・・・)
ミリアム:?、あれ、今日のお付き、侍の方なの?
がくぽチーフ:”神威がくぽ主任研究員”です。プリマ女医でなくて、残念ですか?
ミリアム:あ、いやいや、どちらも頼れる右腕で良かったですねー(くっ!、チーフの分際で)
がくぽチーフ:リン所長、そろそろ報告会が始まりますので、ご準備を
リン:え?、あ、うん。
1分後、会場が静かになり、会議室が暗転した
そして前面の液晶パネルの前の床下から、光りながら誰かがせり上がってくる!
???:マシュルムンの諸君!
会場全員:イー!、我が偉大なる「マフラー総帥」万歳!
リン:(あぅぅ、毎度のことだけど、これはやめて欲しいなぁ・・)
せり上がりが止まり、社長椅子に座ったマフラー総帥がライトアップされる
マフラー総帥:遠いところ、よく本部へ来てくれた! 感謝するぞぉぉぉ!
リン:(近場なのにたっぷり6時間かかったよ!、ウチの社用車、ロードローラーだからな!)
マフラー総帥:さて、今回集まって貰ったのは他でもない。恒例の研究報告会である!
会場全員:ありがたき幸せであります! マフラー総帥!!
リン:(はぁ~、はーやくおわんねーかなー)
マフラー総帥:それではここからは表向きの顔である、いつもの「きのこ研究所 定例報告会」モードに移動する!。アカイト!
アカイトがボタンを押すと、怪しい会場だったのが、普通の企業の報告会会場に変わり、マフラー総帥の姿がスーツ姿のおじさんに変わった
KAITO社長:じゃ、これから報告会を始めるね、ヨロシクね
リン:(相変わらず、このおっさんは・・・・変身するの、速すぎるっちゅーの!)
(低いミクの声):こうして、定例報告会が、フツーに始まった。本部の差し金なのかミリアムの口利きなのか、リンの北海道支部は、何故か最後だった。
(低いミクの声):1支部20分程度だったので報告は円滑に進んだ。今回はこれと言って目立った報告はなく、前月の研究の経過報告がほとんどだった。KAITO社長も聴いてはいるもののヒマそうで、質疑応答もテキトーだった。
(低いミクの声):そして、ラス2の順番で、ミリアム所長の横濱支部の番が来た。
アカイト:それでは、横濱支部のミリアム君、報告をお願いします。
ミリアム:はい!。それでは、皆さ~ん、前の大型パネルにご注目くださーい!
会場のカーテンが閉まって、前の大型液晶パネルに何かの映像が映った。どうやらキノコらしい
ミリアム:いつもの事ですが、扱っている物が菌体なので、取り決め通り、映像報告だけになりますので、ご了承くださいませ!。
ミリアムが両手をかざすと、何故かパネルがライトアップされた
ミリアム:結論から先に申します!、これは当研究所が初めて開発に成功した、新型きのこ”饒舌ハッキリ君Type-1”で御座います!
会場:おお!
リン:な、なにー!
ミリアム:このキノコはなんと!、1個食べるだけで、改造した怪人の饒舌能力を大幅に上げることができ、歌唱光線の威力を上げるだけでなく、人間モードに変わった際の潜入捜査時に必要な”おしゃべり”の能力まで向上させる画期的なものなのです!。
会場:おおお!
KAITO社長:むむ!、これは!!
リン:くっ!!!、こっちの事を本部から聞き出してウチを最後に廻しただけでなく、これがあるから自分の所をラス2にしやがったな~、卑怯だぞ!!
ミリアム:リン所長、発表の途中です。質疑応答は後にしてくれませんか?
リン:ぅぅぅわかりました
ミリアム:さらに!、このキノコは当たり前の機能ですが、通常隊員が食した場合、食育機能が働き、1個で約半日分の栄養をとることが出来る、画期的なキノコでもあります!!
会場:おおお!
KAITO社長:むむむ!、はやく説明をしてくれないか!。アカイト、ここの時間は3倍に変更してくれ!
リン:ううう、こんな事まで先読みしていたのか。これじゃ、最後のうちらはカンペキに、嫌われ者のさらし者だ・・・
ミリアム:さぁ?、なんの話でしょうか?
(低いミクの声):その後、たっぷり1時間、熱気あふれる研究発表と活発な質疑応答が交わされ、KAITO社長もかなり満足げだった。
そして、ようやくミリアムの報告が終わり、司会のアカイトが報告会スケジュールに目を移した。
アカイト:えー、次は、北海道支部のリン所長、報告をお願いします。
リン:は、はい・・・
リンがいやいやで恥ずかしそうに顔を赤らめながら書類を開いた。他の所長のコソコソ声が聞こえる
誰か:あー、あの支部の。なんだよ最後でつまんねーの用意しやがって
誰か:あ、でも、噂では本部の病院へ何人か送ったらしいから、面白そうじゃないか、いろんな意味で
リン:(っっっもう泣きたい!)
リンは半分涙目だった。
???:(よし、頃合いだ!)
ポチッ
ここで突然液晶モニターに背景と人物が映し出された!。
???:皆さん、突然こちらに回線を繋いですみません、北海道支部の女医のプリマです。
リン:!!!
ミリアム:これはこれは、プリマ嬢、いつ見てもお美しい。
プリマ:うちの所の発表内容の差し替えが間に合わなかったので、こちらの緊急回線を使わせていただきました!
ミリアム:無視かよ・・・・・・
KAITO社長:これはこれはプリマちゃん、いつも可愛いね~。どう、本部専属の執刀医の話、考えてくれた?。改造やり放題だよ?
プリマ:考えていません。
KAITO社長:相変わらず、つれないのー。でも、そこに痺れる、憧れるぅぅぅ!!!。プリマちゃーん!
プリマ:リン所長すみませんでした。1時間前に、ある研究チームのスタッフが医務室に駆け込んできて、”大発見だ!”、って騒ぎ立てるもので。
リン:あ、あの二人は?。こういう緊急時には、あの副所長二人に連絡してから私に報告するはずよ
プリマ:スタッフの話では、不在だったそうです。なんか机の上に”名物ラーメン100選”って本が開いておいてあったので、たぶん、ラーメン横町の方へ行かれたのだと思います。
リン:(WRYYYYYYYN!、あんの二人、帰ったらシめる!!!!)で、仕方なくあなたが?
プリマ:はい。一応研究室出ですので。そこのスタッフの説明とラボノートと成果品を拝見させて頂きました。1時間かかりましたがわかりました。確かに大発見です。報告書の説明は、私がこちらからの映像を使って行いますので、所長はすみませんがご着席になってお聞き下さい。
がくぽチーフ:所長、ご着席下さいませ
リン:う、うん。
リンはまだ動揺していたが、とりあえず椅子に座った。
KAITO社長:では、報告モードにするので、プリマちゃん、厳しい事もいっちゃうよ、ごめんね。
プリマ:望むところです。
こうして、プリマ女医の説明が始まった。
プリマ:早速ですが、今回の研究の成果は”新種のキノコ”の開発です。で、完成品はこれです。
モニターに映し出されたのは、あの虹色のキノコだった!
リン:プリマ女医!、そ、それは!、あの!
KAITO社長:ごめんね、プリマちゃん、そのキノコ関係の事、ここの報告前に本部病院と、あなた自身からの医師所見書類で知っているのよ。そのキノコで5人の被験者の隊員が本部病院に運ばれて、改造手術までされて、まだ入院しているのよね。それにこの話、どうも誰かが本部病院の端末にハッキングして、全部の研究所端末にある掲示板に”噂話”って形で掲載しちゃっていたのよ。
リン:(ミ、ミリアムね!!)
プリマ:社長、このキノコ、もっとよくご覧下さい。液晶モニターでも違いがわかるはずです。
KAITO社長:え~、プリマちゃん、わからないy・・・・・え?、これ・・・・虹色のグラデーション方向が逆・・・
プリマ:さすが社長、その通りです。向きが逆になっているからではないです。このキノコの虹色グラデーションは、あの毒キノコとは逆に広がっているんです。
リン:こ、これって・・・
プリマ:情報が掲示板に掲載されているのなら、好都合。皆さん、あの事については大体の内容はわかっていると判断して進めます。確か、問題だった成分Xは、前駆体をエタノール中でグルコサミンと反応させて、前駆体のα位にアミノ基を結合させて、成分Xを得ましたね。その部分が、この研究では違っているのです。
リン:そ、そこだけ?
プリマ:はい。α位ではなくβ位に、アミノ基ではなく、カルボニル基を入れるんです。勿論反応物は違う物を使いますよ。結果、違った成分Zを得ることが出来ました。
リン:ち、違った成分Z・・・
プリマ:これを注射器で注入して落ち着いたのが、このキノコ「ハイパーベニテングダケ」です。
ミリアム:プリマ女医、そんなことはどうでもいいんだよ、ここでは”成果”を報告するのよ、作っただけじゃダメなんだよね~。なんか効果でもあったの?
プリマ:ありました。それも飛び切りのが!、あんたん所のがかすむ位の
ミリアム:(!!!、なんでさっきの報告、きみが知ってるの!)
KAITO社長:ミリアム君の言うことももっともだ。で、その回答にも自信があふれているようだが、見せて貰おうかな、プリマちゃん?
プリマ:完成品が出来たのは1週間前だったんです。でもこれだけでは報告書になる研究成果ではないと記されてます。実は私がこの件を知らない1週間前に、こっちの研究所でスタッフからキノコを渡されたんです。私が本部の病院へ行き、入院しているあの隊員5人の担当医師による問診を行う前に、こっそりとこのキノコを食べさせて欲しいという事でした。理由を教えてくれないので断ったんですが、なんでもMEIKO会長直属の依頼との事だったので、仕方なく引き受けました。なにせ1週間前の突然の事でしたので、私も忘れてました。
プリマ:キノコを食べさせたのはこっそりでした。その後の病状報告は知っての通りで変わらずだったのですが、今から1時間前、様態が急変したんです。モニター出力による確認だけでしたが、全ての症状が完全回復し、バイタルが正常値に戻ったんです。食事をとれず栄養状態が極度に悪かったのですが、正常どころか十分過ぎる栄養が体に供給され、顔は艶やかで健康そのものになっておりました。
KAITO社長:!!!、その話は聞いてないよ! アカイト!、すぐに本部病院の担当医師に照会を!
アカイト:は!
プリマ:1週間前の5人にあげた時、ついでに余ったのも、そこら辺にいた入院していた怪人に食べて貰っていたんですが、この5人と全く同じように完全回復したそうです。さらに怪人で問題だった人間声に関しては、恐るべき事に声が人間と同じになったそうです。
プリマ:そして、最大の効果は、隊員を含めた全ての被験者のキノコ力、つまりパワーがリミットブレイクし、通常の3倍のゲインを確保することに成功しました。しかも暴走、故障無しです。
KAITO社長:むむむ・・・・凄い、誰かさんのがかすんで見える
ミリアム:(くっ!、いくらなんでも出来過ぎている・・・誰だ!、コンダクターは!?)
アカイト:社長、病院に照会しました。確かにあの5人の入院患者と同室の怪人達は1時間前に、元気に退院しております。全快しているので入院後のリハビリもないとのことです。
KAITO社長:むむ、そうか・・・。プリマちゃん、報告有り難う。素晴らしい研究に会えたよ。その報告書、君のラインを通じて、こっちに直接送ってくれないか?。私の方から関係者に書類形式で配る事にする。今回の所内報告書本の一面でね
プリマ:有り難う御座います。では、これにて・・・・あ、社長、転勤はいやですが、今度そちらにお伺いしましたら、新作アイスでもどうですか? 美味しいご当地のが出来たらしいですよ?
KAITO社長:キタ━━━━(゚∀゚)━━━━!! 行く行く!、他のスケジュール是が非でもキャンセルして、行かせていただきます!
プリマ:うふふふ。では、失礼いたします。
液晶モニターが消える。会場騒然。
アカイト:あー静かに!、KAITO社長より、定例会最後の言葉があります!
会場が静かになった
KAITO社長:今回の報告会、プリマちゃんのイレギュラー案件の前になんかあった気がするが、プリマちゃんの報告だけで十分だった気がする。あのキノコは即、我が研究所の商品として、そして組織のアイテムとして使用しようと思う。意義ある者は挙手を願いたい!
ミリアム:(こんな空気で挙手できるか!)
KAITO社長:・・・いないようなので、即採用とする!。では、次の報告会を楽しみにしておるぞ!。これにて閉会する。では!
会場のカーテンが開くと、他の所長らが退室していった。
退室中のミリアム:リ、リン!、こ、これで勝ったと思うなよ!。くそ!、コンダクターが検討つかない・・・・
がくぽチーフ:素敵な結果になってよかったですね。
リン:え?!、う、うん、なんか、まだ信じられないんだけど・・・・・
二人退室
???:(GJだったぞ!)
???:(さすがのサプライズね。タイミングピッタリだったわよ)
???:(これも仕事の内なんでね)
(帰社途中)
社用ロードローラーの上のリン:あーーーんの二人、ローラーでぺっちゃんこだぁ!!!
***
(らーめん横町の二人)
レン:らーめん食べてるのに、なんでか寒気がするんだよーん
ミク:私もなんか悪寒が・・・・ミクミク
(低いミクの声) レン副所長、ミク副所長の運命やいかに! って今回は続かないのであった。次回新章突入! 見てくれるね! 約束だよ! ボクと握手!
(報告会編 了)
***
CAST
リン所長:鏡音リン
レン副所長:鏡音レン
ミク副所長(兼ナレーター(低いミクの声)):初音ミク
がくぽチーフ(兼お付き):神威がくぽ
プリマ女医:PRIMA
司会のアカイト:アカイト
ミリアム横浜支部所長:MIRIAM
社用車:ロードローラー
KAITO社長(マフラー総帥):KAITO
MEIKO会長(アルコル大帝):MEIKO
隊員、他の所長達:エキストラの皆さん
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ボーカロイド小説シリーズ第1作目の”秘密結社・きのこ研究所シリーズ”の第2話です。ボカロ達がスタッフのおかしな研究所を中心に、おかしな日常が展開します。ここから伏線が張られていきます。