あとがき「日付無き墓標」
なぜ”ジョーイ”なのか?:
ARIAの作品の特徴に登場人物の名前が必ず”あ”から始まることがあります。
そのためSSオリジナルキャラクターの名前ですら”アレス””アンタレス””アル・ナスル””アクラブ”と
全て”あ”から始まる名前にしています。
にもかかわらず主人公である”ジョーイ”だけが唯一その法則から外れています。
それはこのSSがARIAと別作品のクロスオーバーだからです。
このSSは「ジョーイへの鎮魂」を目的に始まりました。
”ARIA”という世界はジョーイの還るべき”海”という位置付けになっています。
谷甲州氏という大ベテランの作家さんがいらっしゃいます。
この方の過去の一連の作品集”航空宇宙軍史”の中に”星の墓標”という短編集があり
その中の1篇にでてくるシャチ”オルカ・キラー”、それが”本当のジョーイ”です。
どのような作品であるのかその詳細についてはここでは書き記しません。
しかしあまりにもむごい扱いの果てに無念のまま死んでいったジョーイが
”人間という存在の本質”について最後に出した答えをここにご紹介しておきます。
<悪意こそが、人間の正体・・・>(原文のママ)
そしてジョーイは続けます、人間の持つ最も悪しき力は”変えてしまう力”だと・・・
このSSではジョーイはアテナの心によって癒されアテナの”変えてしまう力”により
アンタレスからジョーイへと変えられアレスと共に”変えられてしまう前”へ還りました。
これが私なりのジョーイへの鎮魂でした。
時代背景としての戦争について:
このSS中ではそこに到る時代背景としての戦争は意識的に一切表現していません。
それらの背景は本編では扱わず真・設定内のごく簡単な記述のみに留めました。
これは”ARIA”側の世界観をメインとして優先するためであり、そぐわないからです。
そのためメインの”ARIA”とサブの”星の墓標”の2つの世界をクロスさせるために
”星の墓標”側の原作設定を”ARIA”側世界観の支配下に置き、その結果
そちらの原作設定をわずかな残滓しか残らぬまでに改変してしまいました。
しかもあまりにも不自然で非現実的な設定までも付け加えてしまいました。
例:軍備全廃、恒久平和実現、等
これについて”星の墓標”をご存知の方には誠に申し訳なく、ここでお詫びいたします。
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2006年8月「天野こずえ同盟」様にて初掲載、2009年4月「つちのこの里」様にて挿絵付き細部修正版掲載