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「…暑いなぁ……」
いくら噴水の側に立っているとはいっても…暑いのは暑い事に変わりはない。
額に浮かんだ汗を左のポケットに入れたハンカチで拭い、バッグに入れてある水筒を取出して、
中のスポーツドリンクを水筒のコップに注ぎ、口に含む。
口の中が潤うと同時に、また不安感が込み上がってきた。
「ゆたか…遅いな……」
今日はゆたかとの久々のデート、と言う事でバッグには彼女に飲ませる為の飲み物や、多めのタオル等が入っている。
……でも、待ち合わせ場所に着く前にゆたかが倒れていたらどうしよう…?
………だ、大丈夫だよね、ゆたかは自分の身体の事をよく分かっているもの……、、
というか――
「…私が倒れそうかも……」
一応水分補給はしているけど、、暑いし・重いし…足もちょっとふらついて来た。
暑さのピークは過ぎて残暑になったとはいえ、やっぱり暑いのは変わりはないよね……。。
「何だか……何度も同じ事言っている気がする…」
まぁ、いいか…あそこのベンチに座ろう。 私は噴水の側から離れ、正面にあるベンチに移動し座る。
「……暑い………」
やはりというか、太陽光の照り返しでベンチも熱くなっていた。 ……でも立ったままふらつくよりかはまし…かな?
「…………」
ちょっと、、横になろう。
そう思い、ベンチに横たわる…でも、じんわりと熱いベンチは正直気持ちのいいものじゃあない。
「……べとべとするなぁ…」
汗はハンカチで拭っても拭ってもじわじわと出てくる。 この季節だからしょうがないけど……、、
……汗っかきな方じゃないんだけどなぁ………やっぱり、夏は嫌だ。
…………ボディラインがはっきりするし……。。
そう思いながら服の上の部分でぱたぱたと扇ぐ。
頭を少し上げて、お腹周りをを見ると汗で濡れて肌が透けて見えていた。
「…ちょっと…恥ずかしい……」
まぁ、そう思うだけで何もしないのだけども。 …これが胸やスカートの部分だったら騒いだのかもしれないけど……。
「…あつい……」
と言うより暑さで動く気力も沸かない。
こんなのでゆたかにあって大丈夫なのだろうか……
水筒の側面の冷えた部分を額に当てながらぼんやりと考える。
……今からでもゆたかに……『今日のデート止めにする』って………送ろうか…?
いや…それは…………ゆたかに…悪いし………、、
どう……しようか………なぁ………。。
………………………………、、
………………………、、、
「―れ?、みな――ってる」
……………?
体が妙に怠いし、、瞼も重い……。。
…もしかしてベンチに横になったまま寝ちゃったのだろうか。
「――みち――み――ん」
何かを呼ぶ声が聞こえるけど、頭がまだぼんやりとしていて体を起こせない。
……誰が何を言っているんだろう?
そんなことを考えている内に、何か柔らかいモノが私の唇にふにゃりと当たる。
…………なに、これ?
何か柔らかくて……じんわりと熱くて…風が当たって……、、
……何だか久々な様な、、懐かしいような…。。
まだ寝ぼけている頭を何とか回転させ、その感触の正体を探ろうとするもやはり答えは出てこない。
「これ――う1―キス――」
……キス…?
キスって、あのキス……?、誰が?…女の子の声……ゆたか?
……………………ゆたかっ?!
急いで眼を開けその人物を確認する。
「あ、起きたぁ!」
「……ゆたか…」
眼を開けると、視面は雲一つない青空と頬が紅く染まったゆたかの顔でいっぱいになっていた。
「みなみちゃん、おはよう!」
「……おはよう…」
ゆたかだったんだ……ゆたかにキス、されたんだ……気付けなかった、、ちょっと悔しいな…。。
「ごめんね…遅くなっちゃった」
「あ、いや……うん、いいけど…その…私も寝ちゃってたから……」
……もしかして、、まだ寝ていたらもう1回キスをしてくれたのかな?
そんなことを考えながらゆっくりとベンチから起き上がる。
「いいよ、みなみちゃんの寝顔可愛かったしv」
「………////」
直にゆたかに可愛いと言われ、私は彼女の顔を直視出来なくなる程に紅く染まった。
「私の目覚まし……効いたんだよね?」
「……うん…ばっちりだった…」
……うん、あの感触は良かった…眠り姫になるのも悪くないかもしれない……。。
「じゃあ、どこに行くの?」
「…………とりあえず、ここら辺散歩…しようか?」
かもしれないけど…………、、今のままじゃゆたかの顔をまともに見れないから、落ち着くまでとりあえず辺りを散歩しよう……。
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某所のみなみイラストに影響されて書いたモノです。 少し修正してます