No.230206

敵わない人

tanakaさん

ふぎゃー、セシリアさんですよ。
そしてチェルシーってこんなんでしたっけ?

2011-07-23 22:04:12 投稿 / 全1ページ    総閲覧数:2212   閲覧ユーザー数:2130

「む~」

「ふふっ♪ 本当に、織斑様は女を喜ばせるのがお上手ですね」

「そんな……俺はただ思ったことを口に出しただけですよ」

「ふふっ♪」

 チェルシーと楽しそうにお話をしている一夏さん。

 別にチェルシーと会話をするなとはいいませんけど、ですが――

「織斑様はほんとに素敵なお方ですね♪」

「いやいや、チェルシーさんの方が素敵ですよ」

「まぁ♪」

 なんなのですか、その会話は! お互いを褒め合って嬉しそうな笑顔を見せあったり

なんかしたりして――大体一夏さんは、わたくしに用事があったのではないのですか?

 それなのに、何でチェルシーと楽しそうに会話をしているんですか!

 ちゃんとわたくしを見て下さいよ! わたくしと楽しい会話をしましょうよ!

 ねぇ、一夏さん!

 

「――っ!? な、何だ!? 物凄い悪寒が……」

「ふふっ、織斑様は相変わらずなのですね」

「チェルシーさん?」

「いえ、何でもありませんよ。それよりも織斑様、そろそろお嬢様のお相手をしてさし

あげてもらえませんかね」

「ちぇ、チェルシー!?」

 あ、あなたは何を言っているのですか!? チェルシーのその言い方だと、まるでわ

たくしが寂しくて不貞腐れているみたいになりますわ。

 別にわたくしは不貞腐れてなんかいませんからね!

「はいはい、お嬢様のことは何でも把握してしますよ♪」

 そう言って、茶目っ気のある笑みを浮かべながらウインクをするチェルシー。

 うぅ……っ、その笑顔は反則ですわ。同性相手でもドキっとしてしまうようなチェルシー

の笑み。あれを出されては何も言えなくなってしまう。

「そういうことですから織斑様。お嬢様を宜しくお願いしますね♪」

「チェルシー!」

「ふふっ♪ お嬢様。頑張って下さいね」

 あぁ、笑顔のまま部屋から出ていくチェルシー。

「あー、えっと……」

「あ、あはははー」

 ど、どうしてくれますの! この変な空気をどうやって正常に戻せばいいんですの!?

「せ、セシリア……その――」

「一夏さん! 食事! 食事に行きましょう!」

「うおっ! セシリア?」

「そろそろ夕食の時間ですし、食堂でご飯を食べましょう!」

 一夏さんの手を掴んで無理やり食堂に連れていく。無理やりな行動でも取らないと、

この空気は壊せそうにありませんからね。それについでに一夏さんと一緒に食事をする

ことも出来ますしね。きっと一石二鳥ってやつですよね?

 それにしても……うぅっ、チェルシー。あなたを怨みますわよ。

 

 この場にいないチェルシーに文句を言いながら夕食をとる。

 ま、まぁ……それなりに楽しめたのであまり文句は言いたくはないのですが、それでも

少しくらいは心の準備をさせてくれてもいいじゃない。

 きっとアタフタしているわたくしを見て楽しんでいるのでしょうね。

 ほんと、チェルシーには敵いませんわね。

 


 
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