「全く、あんたたちは!」
継母のがなり声に、グレーテルは目をつむって耐えました。ヘンゼルとグレーテルの二人は、継母に言いつけられた仕事を、全部やっていなかったのでした。
グレーテルはただ「ごめんなさい、ごめんなさい」と何度もあやまりましたが、継母の怒りは治まりません。
継母はついに、「もういいわ」と言いました。
「あんたたちなんか、もういらない。出て行って!」
そしてヘンゼルとグレーテルは、家を追い出されてしまったのでした。
家の戸の前で、グレーテルはおろおろしていました。
「どうしよう、お兄ちゃん! 私たち、これからどうなるの?」
グレーテルは、隣にいた兄を見上げました。と、グレーテルが目を見開きました。
「お、お兄ちゃん?」
なんということでしょう、ヘンゼルはにやにやと笑っていたのでした。
「何で笑ってるの……」
「分からないのか、グレーテル。オレたちは今、自由の身になったんだ」
ヘンゼルの目が輝きます。そしてヘンゼルは唐突に、グレーテルの腕をつかみました。
「うおっしゃあゲーセン行くぞグレーテル!!」
「えぇぇ!? そんな、お菓子の家に行かなきゃ――」
「菓子なんざコンビニに売ってるだろ。あ、先行くか? コンビニ。金ないけど大丈夫だよな」
グレーテルが「そういう問題じゃ」と言うか言わないかのうちに、ヘンゼルはもうグレーテルを引きずってコンビニに向かって走り出していました。
「っていうか時代おかしくないーっ?!」
グレーテルの叫び声とヘンゼルの立てた砂ぼこりが、二人の走った後に残りましたとさ。
ヘンゼルはどうしてる?
――ヘンゼルはグレーてる。
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ヘンゼルとグレーテルのパロっぽいもの。