第14話 限界時間
「顔良様!陳留城門に北郷一刀が現れ、先陣の攻城部隊全滅!」
「え・・・麗羽様の言葉通りだと北郷一刀はこんなに早くに動けるようなキズではないはずなのに!」
後曲で指揮をしていた斗詩に前曲からの悲鳴のような報告が入り、斗詩も驚愕の声を上げる。
陳留城 玉座の間
「報告します!東城門に『飛将軍』北郷一刀が現れました!」
その報告に桂花たちも驚愕の声を上げていると赤髪の男が玉座の間に入ってきた。
「失礼するぞ。軍師たちはここか?」
「だれ?!」
兵士でもないものが玉座の間に入ってきた
桂花が質問する間に兵士たちが桂花たちと男の前に立つ
「おれの名は華陀。『ゴッドヴェイドー』の医者でいまは北郷一刀付きの医者でもある」
「それでお医者様がなぜここに?」
朱里が兵士たちの間から顔を出して華陀に質問する。
華陀は険しい顔をしつつ答える
「いま東門で1人で戦っている北郷一刀のことだ」
一刀は次々と現れる攻城部隊の兵士を足に常時氣を込めた状態での高速移動を繰り返し、両手の日本刀で切り伏せていく。
動きだけを見ればいつもどおりの一刀だが、一刀の顔は苦痛に顔を歪ませている。
―――っ!体に痛みが・・・タイムリミットまであと1時間か・・・どこまでいける・・・
そう一刀は決して虎牢関での戦闘時にうけたキズが治癒し、この場で戦っているわけではない
陳留 玉座の間
「時間制限ですって?!」
桂花が驚きの声を上げる。
その声に答えるように華陀が口を開く。
「ああ。いまの一刀は『ゴッドヴェイドー』に伝わる秘孔を突き無理やり氣を活性化させている状態だ。それにより一時的に痛みを消し、いつも通りの戦闘を行うことができるが・・・その効果は1刻(=2時間)のみ。時間が進むにつれ身体に痛みが走り出す。陳留近くでその秘孔を撃ったとはいえ、おそらく残り時間はあと半刻も無いはずだ。」
華陀の言葉に朱里が反応する
「ちなみにその限界時間が来てしまった場合北郷さんはどうなってしまうのですか?」
「怪我による痛みの復活と無理やり氣を活性化させた反動でおそらく倒れる。そうなってしまう前に東門に援軍を送ってやってくれ」
「分かりました。荀彧さんいそいで張遼さんと呂布さんに伝令を飛ばしましょう。神速と謡われる張遼さんと呂布さんの武力が戻ってきてくれたらなんとかなるはずです。」
「そうね。いまのことを本隊にいる華琳様、張遼、呂布に急いで伝えなさい!」
朱里の考えを聞いた桂花が親衛隊の1人に指示を出し、兵士が玉座を飛び出す。
陳留へ後退を始めた連合本隊だったが圧倒的な兵力差によってすこしずつ袁紹軍に包囲されつつあった。
そのため華琳は両翼を包囲陣の先端にぶつける形でこれ以上包囲されないように陣形を動かしていくが、それが破られるのも時間の問題となっていた。
そこに城からの伝令が華琳のもとに走りこんでくる。
「報告します!荀彧様から張遼様、呂布様へ!『至急陳留東門へ応援に来られたし!北郷将軍が単騎で迎撃中』とのことです!」
偶然本陣に戻っていた霞と恋は『北郷将軍』と聞き驚いた。
「それほんまか!?一刀はいま意識不明の重体のはずやで!」
「はっ!それが華陀という医者によりますと・・・」
伝令にきた親衛隊の兵士が霞たちに説明する。
「ちゅうことはホンマは一刀の体はキズだらけのボロボロにもかかわらず華陀の手によって2刻だけは暴れれるようになったっていうことかいな」
「そのようです。実際北郷将軍の動きはいつもどおりと董卓軍の兵士も言っておりました」
霞たちは兵士からの報告に唖然としつつ一刀を助けに行くために動き出す。
「曹操!わるいけどウチと恋は離脱するで!」
それぞれの愛馬にまたがりながら華琳へ叫ぶ。
「中央が薄くなるわね・・・「華琳様!」・・・え?流琉?あなたは陳留守備のはず・・」
伝磁葉々を抱えた流琉が本陣へ走りこんでくる。
「桂花様から華琳様を守りにいってきなさいと」
流琉は華琳へ笑顔を見せる。そして華琳は
「張遼と呂布はいきなさい!季衣、流琉は張遼、呂布がぬけた中央へ!」
指示を受けた季衣と流琉は武器を構えて戦場へ駆け出していく。
更に華琳の指示は続く。
「陳留の危機は天より舞い降りた飛将軍が打開してくれる!全軍反転し鋒矢の陣!包囲陣を引こうとし薄くなった袁紹軍の中央を1点突破する!銅鑼を鳴らせ!連合の強兵たちよ!いまこそ反撃のときだ!全軍突撃!」
本陣の銅鑼が複数鳴らされ、その音は両翼にも届き、愛紗と秋蘭が部隊をまとめていく。そして連合軍の全軍は1本の槍となり、袁紹軍中央、そのさきにある麗羽のいる本陣を狙う。
「麗羽様!敵全軍にてこちらに突撃してきます!!」
袁紹軍の本陣に前線からの報告が入る。
「速やかに魚麟の陣!敵軍突撃を全力で迎撃しますわよ!両翼は横撃用意!この衝突で勝利が決まりますわ!全員総力を尽くしなさい!」
袁紹軍は麗羽の指示にあわせて魚麟の陣を作り上げ迎撃体制を整える。
そして反袁紹連合と袁紹軍の長きにわたる戦闘も終末を迎えることになる
「はぁぁぁ!」
一刀は左手の刀を地面に突き刺しそれを足場に空中へ飛び上がりすれ違い様に井蘭を切り倒す。
袁紹軍の兵士は一刀の着地を狙うが、降下中に刀を鞘に納めた一刀は着地と同時に居合い切りで切り伏せる。
「ふぅ・・・ふぅ・・・ふぅ・・・限界まであと30分ってところか・・・」
一刀は痛みに耐えながらも更に体を加速させ、攻城部隊を撃破していく。
しかし体は攻撃を仕掛けるたびに消耗していき・・・そして限界時間がやってきた。
「あとはあの井蘭4つに破城槌が1本!いけ・・・『ドクン』・・・がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
一刀は刀を落とし地面に倒れ痛みにもだえる。
―――体の・・・中から・・・切り・・裂かれる・・・ような痛みが・・・ま・・だ・・たお・・・れる・・・わけに・・は・・・
一刀は刀を杖に立ち上がろうとするが、しかし体に走る激痛がそれを許さない。
なんとか顔だけは袁紹軍のほうに向けているがその目はかすんでいて見えない。
倒れて動かなくなった一刀を見た袁紹軍の兵士は好機と思い一気に一刀に接近する。
―――敵兵が・・・近づいて・・・くる・・・やら・・れ・・る・・・
一刀に近づいた兵は首を落とそうと剣を振り上げる。しかしその男の剣は振り落とされることはなかった。
「え?」
男は違和感を覚えて自分の腕を見ると両腕ともにひじから先がなくなっていた。
次の声を出す前にこの男は吹っ飛ばされて気を失った。
薄れいく意識の中で一刀は自分の傍に2人が立っているのを感じる・・・そしてその2人はとても頼もしく感じた・・・
「れ・・・ん?し・・・あ?」
かすれるような一刀の声に2人は反応する。
「・・・・ご主人様遅くなってごめん。ここからはまかせて」
方天画戟を持った恋が一刀の傍にしゃがみ手を握りながら声かける
「一刀、ここからはうちらにまかせい。せやからいまはゆっくりやすみや」
霞もしゃがみ一刀の頭を撫でる。
そして2人は穏やかな顔からいっきに戦闘モードに入っていく。
「うちの後ろには一刀がおる。ここから先にはいかせへんで!袁紹軍!」
「ご主人様の敵は全員倒す・・・」
2人はお互いの武器を構えて袁紹軍へぶつかる。
その後2人は1人も抜かすことなく、袁紹軍攻城部隊のほとんどを削りとり、撤退させたのだった。
そしてほぼ同時期に霞や恋とは反対の地点で歓声が上がった。
あとがき
どうも作者です。テストとバイトの関係で忙しくで投稿が大幅に遅れてしまいました次回以降の投稿も予定とは変わってくる可能性が高いことをご了承いただけたらと思います。
さて今回ですが、一刀が陳留決戦に乱入できた理由からスタートし、倒れるところまでになってます。なんか最近一刀君がボロボロの状態ばっかのような気もしますが、気にしないでください。(強いて言うならリア充爆発してしまえと・・・)
この陳留決戦は次回で終結します。この決戦が終わったあとはしばらくほのぼの系で行く予定です。一刀君を本気で治して上げないと・・・・ね?( ゚∀゚)
では次回第15話でお会いしましょう
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陳留城の危機に空から舞い降りた一刀だったが、その体はある秘密を抱えていた・・・
作者)
次回15話は7月23日投稿予定