真・恋姫†無双~赤龍伝~第75話「抗戦か降伏か」
赤斗と諸葛亮は軍議に参加する為、城内の廊下を歩いていた。
赤斗「孫策とは率直な話をしても構わないと思うよ。しかし、面倒なのは老臣たちで…まあ、用心した方が良いかと……」
諸葛亮「はい! わかりました!」
少し緊張した面持ちで諸葛亮は返事をした。
赤斗「孔明ちゃん。もう少しリラックスした方が良いかもよ」
諸葛亮「りらくす?」
赤斗「あっ、ゴメン。もう少し力を抜いた方が良いって事さ♪ はい、深呼吸」
諸葛亮「すー、はー。すーー、はーー」
赤斗「もう大丈夫かな?」
諸葛亮「はい♪ ありがとうございます。もう大丈夫です」
落ち着きを取り戻した諸葛亮とともに赤斗は軍議が開かれる広間へと入っていった。
広間に入ると武官と文官たちが分かれて座っていた。
武官側には祭や嶺上。文官側には穏や亞莎。降伏派筆頭である張昭の姿があった。
赤斗たちが入ってきたのを見て、降伏派の文官たちは一斉に諸葛亮を睨んだ。
諸葛亮「はわわ!」
一斉に睨まれ、諸葛亮は赤斗の影に隠れる。
文官①「この戦に勝ち目はない」
文官②「あんな小娘に曹操を破る策があるのか?」
文官③「曹操は本気で攻めてくるぞ」
文官④「負けるだけだ。降伏しかない」
文官たちは好き勝手な事を言い始める。
赤斗(こりゃ、雪蓮も冥琳も大変だったろうな)
張昭「風見殿」
赤斗「はい」
諸葛亮とともに席に座った赤斗に張遼が話しかけてきた。
張昭「孫策様がいらっしゃる前に確認しておきたい事があるのじゃが」
赤斗「何でしょうか?」
張昭「お主の考えを聞きたい。抗戦と降伏。どちらが良いと考えておる?」
赤斗「僕は……残念ですが抗戦派です」
張昭「……そうか」
赤斗「すみませんね張昭さん」
文官①「しかし、今や曹操は天下の大半を制しておる!」
文官②「この地を一飲みにする気であろう!」
文官③「やはり降伏しかありますまい!」
赤斗「はあー」
赤斗が文官たちに呆れて溜息をついていると、雪蓮、蓮華、冥琳の三人が広間に入ってきた。
文官たちも雪蓮が入ってきた事に気がつき、黙って雪蓮を迎えた。
そして、広間の一番奥に雪蓮は座り、雪蓮の両隣りに蓮華と冥琳が立った。
赤斗「ほら、孔明ちゃん」
諸葛亮「はい」
赤斗に促され、諸葛亮が雪蓮の前に出る。
諸葛亮「呉候に拝謁いたします」
雪蓮「諸葛亮。劉備の軍は新野で曹操の軍に惨敗したそうね」
諸葛亮「それは慈悲深い我が主劉備様が、慕ってきた民を見捨てずに行軍が遅れた為です」
雪蓮「曹操の兵力はどれくらい?」
諸葛亮「水陸百万です。天を覆うような勢いでした。しかし、曹操さんの本当の狙いは、こちらの呉です。」
広間に動揺が走る。
諸葛亮「呉候は江東六郡を治め、人材も豊富。もし曹操さんと対決の御意志があれば、備えを急ぐべきだと思います」
張昭「孫策様。戦ってはなりませんぞ。何よりも考えるべき事は、呉の民を守る事です」
文官たち「そうです。戦ってはなりません。ここは降伏すべきです」
諸葛亮「確かに……曹操さんが怖いのなら、降伏も悪くありませんね」
蓮華「き、貴様っ! 姉さまを侮辱する気か!」
雪蓮「蓮華。黙っていなさい。…諸葛亮。なら劉備は何故降伏しないのかしら?」
諸葛亮「大切なのは命よりも正義です。損得の計算よりも信念を貫く事です。劉備様は理想と夢の為にも、降伏など致しません!」
雪蓮「みんなが安心して、笑って暮らせる世界だっけ?」
諸葛亮「はい! 新野では負けてしまいましたが、五虎将たちは健在です。水軍は一万をくだりません。そこに呉の精鋭や猛将たちが加われば、必ず曹操さんに勝てるでしょう」
文官④「諸葛亮に惑わされてはいけません! 劉備と同盟を組めば呉に攻める口実を与えるだけです!」
赤斗「劉備さんと同盟を組もうと組まなくとも、曹操は呉に攻めてきますよ」
文官②「ならば劉備の首を獲って、降伏の手土産にしてみては!?」
赤斗「……何だと」
赤斗は文官を睨みつけた。
文官②「うっ」
祭「何故、戦いもせずに降伏をするのじゃ!」
嶺上「そうだ! 戦って曹操に目に物見せてやる!」
文官③「兵力の差は歴然だ! どうやって戦うつもりだ!」
祭「お前らは腰ぬけばかりか!」
文官①「何だと! 無礼な、許さんぞ!」
祭「許さなければ、どうだというんじゃ?」
抗戦派の武官と降伏派の文官が言い争いを始め出した。
赤斗「はあー。しょうがないな。孔明ちゃん耳をふさいで。雪蓮も蓮華たちも耳をふさいで」
蓮華「え?」
雪蓮「何でよ?」
赤斗「いいから早く」
蓮華「うん。わかったわ」
諸葛亮「は、はい」
赤斗は雪蓮、蓮華、冥琳、諸葛亮が耳をふさいだ事を確認すると、思いっきり両手を叩いた。
パンッ!!
とてつもなく大きな音が広間に響きわたった。
文官たち「!!」
祭「な、何じゃ!? 今の音は……」
嶺上「み…耳が……」
言い争いをしていた全員が赤斗の方を見た。
赤斗「皆さん。それまでです」
張昭「風見殿?」
嶺上「赤斗?」
赤斗「まだ、諸葛亮殿の話は終わっていませんよ。口論はそれが終わった後にでもして下さい」
祭「う、うむ」
張昭「……わかった」
赤斗「はい。孔明ちゃん待たせたね。続きをよろしく」
諸葛亮「は、はい。では……曹操さんの軍は日夜三百里の行軍で疲労困憊です。まともに戦えるのは二十万だけ。また、南の風土や水上戦は苦手で、水軍も急造の水軍なので練度も低く。呉の水軍の敵ではありません」
雪蓮「なるほどね♪」
文官①「……勝機があるというのか」
文官②「しかし……」
文官③「うーーーん」
降伏派の文官たちの中に迷いが出てきた。
赤斗(降伏派の中にも迷いが出てきたな。ここがチャンスだ……雪蓮!)
雪蓮に赤斗は目で合図を送った。
赤斗の合図に気がついた雪蓮は、南海覇王を鞘から抜いて自分の前にあった机の端を斬り落とした。
雪蓮「私は決意した! 命を懸けて、呉を守る為、呉にいる民を守る為、曹操と戦う!降伏を勧める者は、この机と同じ運命になると思え!!」
広間に雪蓮の声が響く。
雪蓮「命を下す!」
雪蓮の声で武官も文官も姿勢を正す。
雪蓮「周瑜! 風見赤斗!」
冥琳「はっ!」
赤斗「えっ! 僕?」
雪蓮「周瑜は全軍の大都督。風見赤斗は総参謀とする! 劉備と同盟を結び、曹操を倒す!」
一同「はっ!」
赤壁の戦いへと歴史は動き始めた。
つづく
~あとがき~
呂です。読んでくださって、ありがとうございます。
真・恋姫†無双~赤龍伝~に出てくるオリジナルキャラクターの紹介
オリジナルキャラクター①『風見赤斗』
姓 :風見(かざみ)
名 :赤斗(せきと)
字 :なし
真名:なし
武器:花天と月影……二振りの日本刀(小太刀)。赤色の柄で赤銅の鞘に納まっているのが“花天”で、黒色の柄で黒塗りの鞘に納まっているのが“月影”。
本編主人公の少年。
身長168㌢。体重58㌔。年齢17歳。黒髪黒眼。(右目は輝く金色)
放課後に道場で古武術の達人である先生に稽古をつけてもらうのが日課だったが、ある日道場で黒尽くめの男に襲撃される。
その際、赤い光に包まれて恋姫の世界に飛ばされる。
死にかけていた所を、火蓮によって保護され“江東の赤龍”という異名を付けられる。
古武術 無双無限流を学んでおり、その奥義を使えば恋姫の世界の武将とも闘えることができる。
無双無限流には、『全ての奥義を極めしとき、その身に龍の力が宿る。』という伝承がある。
奥義には“疾風”“浮葉”“流水”“月空”“烈火”“絶影”“龍鱗”“狂神”などがある。
奥義の同時発動は可能だが、奥義単体の発動以上に身体に負担がかかる。
現在、奥義“狂神”を発動させて、龍脈の気が流れ込んだ影響で右目は金色に変化している。
好きなもの:肉まん
苦手なもの:海(泳げないから)
能力値:統率3・武力4・知力4・政治2・魅力4
オリジナルキャラクター②『孫堅』
姓 :孫
名 :堅
字 :文台
真名:火蓮(かれん)
武器:南海覇王……やや長めの刀身を持つ、両刃の直刀。派手な装飾はないものの、孫家伝統の宝刀。
孫策(雪蓮)たちの母親。
身長173㌢。腰まで伸びる燃えるような赤い髪の持ち主。
血を見ると雪蓮以上に興奮してしまう。
孫尚香(小蓮)には非常に甘い。周りの人間が呆れるほどに甘い。
この外史“赤龍伝”では孫堅は死んでいない。
好きなもの:娘たち(特に小蓮♪)と酒
能力値:統率5・武力5・知力3・政治4・魅力5
オリジナルキャラクター③『諸葛瑾』
姓 :諸葛
名 :瑾
字 :子瑜
真名:藍里(あいり)
武器:風切羽(かざきりばね)……火蓮から受け取った護身用の短刀。諸葛瑾(藍里)の実力が低いので、あまり役に立っていない。
諸葛亮(朱里)の姉。
諸葛亮(朱里)とは違い、長身で胸も大きい女性。髪は金髪でポニーテール。
温厚で気配りのできる性格で、面倒見も良い。赤斗の世話役として補佐につく。
一時は、自分たちとは違う考え方や知識を持つ赤斗に恐怖心を持っていた。
政治、軍事、外交と様々な仕事をこなすが、諸葛亮(朱里)には僅かに及ばない。
苦手なもの:酒(飲めるが、酔うと周りの人間にからむようになる)
能力値:統率3・武力1・知力4・政治4・魅力4
オリジナルキャラクター④『太史慈』
姓 :太史
名 :慈
字 :子義
真名:嶺上(りんしゃん)
武器:雷電(らいでん)……二本の小型の戟。
非常に勇猛かつ、約束に律儀な武将。銀髪レゲエの女性。
孫策(雪蓮)と一騎打ちして引き分けたことがある。
それ以来、孫策の喧嘩友達になっており、よく喧嘩をしている。
孫尚香(小蓮)や諸葛瑾(藍里)と仲が良く、孫尚香(小蓮)の護衛役をしている事が多い。
子供好きで、よく街の子供たちと遊んでいる。
弓の名手でもあり、その腕は百発百中。
好きなもの:子供
能力値:統率4・武力4・知力3・政治2・魅力3
オリジナルキャラクター⑤『司馬懿』
姓 :司馬
名 :懿
字 :仲達
真名:不明
武器:不明
黒尽くめの衣装を身に纏った、曹操軍の軍師。
曹操軍に属しているが、曹操からの信頼はないといっても良い。
色々と裏で暗躍しており、虎牢関では張遼を捕え、術により自分の傀儡にしている。
今は、魏から姿を消している。
能力値:統率5・武力?・知力5・政治5・魅力?
オリジナルキャラクター⑥『玄武(げんぶ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:魏軍正式採用剣……魏軍に配備されている剣。
司馬懿の部下。
普段は何の変哲もない魏軍の鎧を身に纏い、普通の兵士にしか見えない。
しかし、眼の奥からは異質な気を醸し出している。
鎧の下には黒の衣を纏っており、素顔は司馬懿に似ている。
虎牢関では、鴉と一緒に張遼を捕えた。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力2
オリジナルキャラクター⑦『鴉(からす)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:爆閃(ばくせん)……司馬懿から受け取った回転式拳銃。
司馬懿の部下。
性格は軽く、いつも人を馬鹿にしているような態度をとる。
司馬懿と同じ黒い衣装だが、こちらの方がもっと動きやすい軽装な格好をしている。
寿春城では、孫堅(火蓮)を暗殺しようとした。
能力値:統率2・武力4・知力2・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑧『氷雨(ひさめ)』
姓 :不明
名 :不明
字 :不明
真名:不明
武器:氷影(ひえい)……氷のように透き通った刃を持つ槍。
司馬懿の部下。
青い忍者服を着た長い白髪の女。
背中には“氷影”を携えている。戦闘時には全身からは氷のように冷たい殺気が滲み出す。
洛陽で董卓(月)と賈駆(詠)を暗殺しようとした所を、赤斗と甘寧(思春)に妨害される。
官渡の戦いでは、呂布の部下を連れ去り、それを止めようとした陳宮を殺害する。
能力値:統率2・武力4・知力3・政治1・魅力3
オリジナルキャラクター⑨『宮本虎徹』
姓 :宮本(みやもと)
名 :虎徹(こてつ)
字 :なし
真名:なし
武器:虎徹……江戸時代の刀工が作った刀。
赤斗の古武術の師匠。
年齢は50歳。実年齢よりも、肉体年齢は若い。
赤斗と一緒に、恋姫の世界に飛ばされたと思われる。
最初は河北に居て、それからは用心棒をしながら、色々と辺りを転々としている。
赤斗の修行をやり直した後、天の世界に戻ったようだが、詳細は不明。
赤斗曰く、『無双無限流の妙技を見せてやるっ!』が口癖で、その実力は呂布(恋)以上。
能力値:統率?・武力6・知力5・政治?・魅力?
※能力値は「5」が最高だが、呂布の武力と劉備の魅力は「6」で規格外。
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朱里をつれて呉に戻ってきた赤斗は、降伏派を説得できるのか?
この作品は、基本的に呉√にそっては行きますが、他√に
脱線することもあります。また、主人公も含めてオリジナルキャラクターが出てきます。
未熟なため文章におかしな部分が多々あるとは思いますが、長~~い目で見てくださると助かります。