新・戦極†夢想 三国√・鬼善者を支える者達 第001話 「新しき物語」
「……ん?ここは?」
重昌が目を覚ますと、目の前には広く地の果てまでも見えそうな荒野が、辺に広がっていた。
「貂蝉に言われて、一刀君達と光の中に入って……そうだ、一刀君達を起こさないと」
重昌は、未だ眠っている一刀達を起こし、情報の確認に入った。
因みにいまこの場にいる人物は、
歴史人以外の人物に関しては細かく説明しよう。
重昌は、かつては一刀と同じく21世紀の日本を生きていた学生であり、タイムスリップにて戦国時代に飛ばされ、恋歌と虎の父親である長尾為景に気に入られて恋歌を娶る。
それから色々あり優秀な妻や息子たちに囲まれ、彼の長男である影村昌勝に後を継がせ、日ノ本の天下を統一した。
一刀はかつて今と時系列は同じ三国時代にタイムスリップし、愛紗達仲間と中華大国を統一。
その後外史の管理者である于吉・左慈の妨害にあい、外史を消されかけた直前、仲間で恋人の関羽雲長、愛紗と共に元の時代に帰還。
しかしまた愛紗と共にタイムスリップし、重昌達とは仲間でありながらいざこざも交えながらで、共に日ノ本の統一に貢献した。
愛紗に関しては上記の一刀の通りである。
三葉。一刀の妹であり、彼より先に外史の歪みに遭遇して戦国時代に送られた。
容姿が武田信玄に合致した為、彼女は武田信玄の義妹兼影武者として迎えられるが、一刀が戦国時代に来たことを切っ掛けに再開する。
長尾恋歌。本来であれば正史の歴史に存在しない人物であり、外史の歪みにより生み出された者だろう。
重昌の半身と言っても過言ではない人物であり、未だに夫婦円満で重昌の正室である。
政宗と謙信に関してはほぼ歴史上の人物通りであり、大きく違うのは性別と彼女達の幼名・本名である。
話しを戻して、一刀達の話によれば、見た限り土の手触り、空気の湿度から考えても、確信ではないがここは一刀達がいった1500年の日ノ本ではなく、さらに過去を1300年遡った中華大陸に間違いなかった。
そもそも何故彼らはこの場所にいるのか。
それは彼らがタイムスリップする一瞬間前に戻る。
日ノ本は重昌の息子・昌勝により日ノ本が統一され、民の安寧の時代が訪れた時。
天下統一後のお祭り騒ぎから一転し、翌日から色んな作業に移り始め、数十日後、ようやくそれが安定しだしたことである。
突然外史の管理者である貂蝉と卑弥呼が一刀の前に現れ、彼に告げた。
「三国志の外史が危ない」漢女たちはそう言った。
詳しく聞くと、一刀達のかつての仲間で恋仲でもあった趙雲たちのおかげで、一度はその外史は于吉達を巻き込み消滅した。
しかし外史の種は残り、再び世界と言う花を咲かせ復活。
消滅との言葉を聞き、膝を落とした一刀であったが、復活との言葉を聞き喜んだ。
また愛しの仲間たちと会えるかもしれないのだから。
だがそう簡単にはいかなかった。
外史の復活と共に、共に”飲み込んだモノ”まで復活したのだから。
彼は頭の中で思い起こした。
あれほどまでに自分を苦しめた于吉と左慈が復活したのだ。
漢女たちは言った。今であれば外史を消滅させることも可能だと。
外史の消滅は于吉と左慈の消滅も意味する。
再び愛しの仲間たちに会えることは、于吉と左慈に対し再び刃を交えることになる。
奴らも馬鹿ではない。
再び交えた時は以前以上の力を持ってして自らの消滅に力を注ぐことは火を見るより明らか。
だが一刀は迷わなかった。
もう一度愛しき仲間たちに出会うため、再び地獄の戦場へと足を踏み入れる覚悟をした。
彼は愛紗に危険が及ぶことを恐れてか、一人で踏み込もうとしたが、その考えもあっさり看破され。
愛紗の他に察しがいい者達が数人現れてその数人は一刀に付いて行くことに決めたのだ。
ただ重昌に関しては違った。
一刀を仲間・家族として大事に思う意味でも違いはなかったが、彼は彼で何処か野生の勘を感じたらしい。
その重昌の同行者に恋歌と柑奈が付いてきたのだ。
恋歌は察しだが、柑奈に関しては影村夫妻の行動を察知したらしい。
「確かに、俺と愛紗のいた大陸に似ていると言えば似ていますが……」
一刀は周りを見渡しそんな事をぼやくが、そんな一刀の恰好に愛紗がとあることに気付く。
何故か一刀と愛紗の姿が二人が高校時代に着ていた聖フランチェスカ学園の制服なのだ。
考え込む一刀と愛紗に対し、恋歌はそれ以上に不思議に思った事を口にした。
「重昌、ちょっと若返ったかしら。貴方の白髪、以前に比べたら格段に減っているわよ」
そんなことを気付いたらしく恋歌は甘々に重昌を煽てると、彼も「そういう恋歌だって、肌のツヤが全然違うよ」と返した。
「本当です。義兄上も姉上も、まるで私が遊んで貰っていた頃みたいに戻ったみたいです」
「先生達、若ーーい」
「ホントに、義叔父様も義叔母様も何があったのでしょうね?」
「……素敵です……重昌様」
っと虎・三葉・瞳がそれぞれに二人を絶賛し。
柑奈に至っては頬を赤く染めながら女の顔になってしまっている。
一方一刀と愛紗は【全く違いが判らない!!】と心の中で叫んでいた。
重昌と恋歌はこういっては何だが、年齢の割には大分と若く見え、「孫持ちです」と答える度に周りを驚かせるのだ。
その彼らの違いに判るのは、長年連れ添ってきたごく一部の人たちだけだと思いたい。
そんな皆の近くに、何かの大きな箱を見つける。
「なんでしょう?この箱は?」っと言い、一刀は箱を開けると、そこには小さなメモが入っており、そしてそのメモを読み上げる。
どうやら貂蝉からの伝言のようだ。
「はぁい、ご主人様に皆さぁん。愛の伝道師の貂蝉ちゃんよぉーん。今も皆に会いたくて、お股疼くわ。今も…………以下省略。ところで、今の時代は、黄巾の乱が起こる二年位前になっているわ。それと、これは私からのプレゼントで、重昌ちゃんと恋歌ちゃんを少しだけ若返らせてあげたわよ。お金も少し入れて置いたわ。頑張って、この大陸も収めてねん。それじゃ、ば~はは~い(投げキッス)」
「皆!!伏せろ!!」
一刀がそう叫び紙を投げると、皆は紙とは可逆の四方に飛び。その中心で紙は、何故かピンク色の爆発を起こして消え去った。
「うぉっ!!何故だか避けなければならない気がした」
物理的にあり得ないことが起こる。
それが外史である。
そして重昌達は、これからの計画を話し始める。
「まず、真名をどうしましょう?」
「あ~、真名ね」
「あの、重昌様。『真名』とは?」
一刀と重昌の二人の話に柑奈が恐る恐る入り込む。
っと言う事で、真名を知らない組に説明中……
そして、皆の真名決めが始まった。
まずは重昌。
彼はキリストの洗礼名を受けており、それを名として使うことにした。
恋歌に関しては、今は亡き兄の晴景の名を使わせて貰い、自らの名を真名に当てることにした。
他の皆は通り名をそのまま姓と名に。
なり、今後の予定に話を移る。
「さて、二年という時間が出来た。一刀君と愛紗ちゃんは、この大陸を見て回ってより見聞を広め、大陸の状況も確かめて来るんだ。服は別の服を買い、来るべきに備え、その服は伏せて置け。私と恋歌と柑奈は、帰るべき『家』を確保しておこう。後の三人は「颯馬(お兄ちゃん)に着いて行きます!!」……ってなるだろうね。そこで籤(くじ)を用意した。赤が付いていれば、一刀組だ」
そう言われ、三人は重昌が用意した籤(くじ)を引き、赤を引いたのは瞳だった。
「さて、瞳には課題を出そう。鬼の目の力に流されずに、コントロール出来る様にしておくこと」
彼の言う瞳の『鬼の目』とは、彼女の父、輝宗から受け継がれた力であり、また伊達家の呪いでもある。
その力は使いこなせば使用者に大きな力を与えてくれるが、力に振り回されれば、本人の体を大きく蝕む為、養父の重昌により力の制御が出来るまで使用を禁じられていたのだが、結局のところ日ノ本ではそれが実現しなかったのだ。
一刀が三葉を撫でていると、重昌が喋り出す。
「さて、場所も判らないが、とりあいず私達は北を目指すが、一刀君はどうするかね?」
「そうですねぇ、俺は一度水鏡塾に行ってみたいのですが」
「……水鏡塾?」
「えぇ、かの諸葛孔明や龐士元などを輩出した場所。そこで少し学びたいと。それから大陸を練り歩こうかと」
「私も鬼の目の制御なら、落ち着いた所でやりたいしね」
「私も精神力を鍛えるので」
そして皆は旅立ちの支度を整えた。
一方は北へ一方は南へ……
「それなら私達は行くから。それじゃ、二年後に会おう」
そう言い残し、重昌達は一刀の前から姿を消して行った。
「さて、俺達も行こう」
そして皆で揃って「荊州へ!!」っと発した所で、一刀達の旅は始まった。
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ん?戦国篇終わってない?妄想が抑えきれなかった。仕方が無い!!
後悔はしねぇ!!
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