GROW3 第二章 自分の進むべき道
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「甘い・・・」
「ぐぁぁぁぁっ」
エイミーさんの手刀が腹部に入る。さっきから、こちらの攻撃はかすりもしない。
「ぐっ・・・」
隙がないか見るが、まったく見つからない。それどころか、いいように踊らされてしまう。
ちょっとは戦えるようになった?
所詮はうぬぼれにすぎなかった。俺はこの人の足元にも及んでいない。
瞬動で一瞬で間合いを詰められる。左手に短刀を構えたエイミーさんは、それを
16四方にすばやく動かしながら攻撃してくる。
ギラッッッ・・・
ゥゥっっ・・・
キィィィィィンンンン・・・・
俺は攻撃に反応し、こちらも短刀で止めた。
エイミーさんは、瞬時にナイフを逆手に持ち替え、柄の部分でおれのナイフを持っている
右手を、俺の手首を抑え、左側にいなす。それと同時に顎(あご)、鳩尾(みぞおち)、
脛(すね)の三か所を攻撃され、気づいた時には投げられていた。
顎の攻撃は脳を揺らすため、鳩尾は相手へのダメージ、脛は怯(ひる)ませるためだ。
純粋な体術ですら敵わないのに、こんなことでは到底奴には勝てない。
なんでこんな激しい特訓をしているのか。
もちろん当初は10位以内に入れればいいな、
と思っていたのだが、トーナメントとは運だめし。
俺は最初のほうからとんでもない奴と当たってしまうことになったのだった・・・
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時間は遡り昨日。
張り出されたトーナメント表を見に行く俺たち。
いるのは、俺とエイミーさんの二人だけだ。
表を見る俺・・・
(見にくい方は、保存して回転させてください<m(__)m>)
「なっ」
「あ、わたしシードやん」
それぞれの反応だがまあまてぇぇぇぇいい
「どうしたの?」
「二回戦の相手が夢幻だとぉぉぉぉぉぉっっ!!!!!!!!!!!!!!!!」
いやいやありえねぇよ。
この大会なんか今年75人もいるし一回戦勝っても32位くらいだし・・・
そんなことを言っていると、エイミーさんが、
「おにーさんいきなり夢幻さんとかーーww
純粋な体術でも勝てる見込み薄いのに、“夢幻”なんて使われたらもう勝てないね・・・
わたしでもあれは厳しいもん」
いやいや“夢幻”ってなんだよ(笑)何かの技か?
しかしいきなり夢幻相手なんてかなり厳しいな。
あいつの性格上、真剣勝負で手加減はまずしてこない。
あいつ自分がシードだって知ってたな。やらせか?
「おにーさんさっきから焦ってばっかりいるけど、わたしがあと二週間くらい鍛えたら、
夢幻さんに勝てるよ。やってみるかい?」
エイミーさんは冗談まじりに言ってくる。
てゆうかエイミーさんは、発表前にもそんなこと言ってた気がするな。
なにか知っているのか?
俺は何気なく聞いてみた。
「エイミーさんてこの大会について何か知ってるの?」
するとエイミーさんは笑いながら答える。
「知ってるも何も、昔わたしが提案した企画だからなww
まあ第一回だけ出てみたが、相手が強すぎてな・・・
ちなみに当時の優勝者はお前の曽祖父さ・・・」
「なっ!?」
驚く俺。そういえばエイミーさんは俺よりもだいぶ年上だったな。
しかしまさかエイミーさんの考えた企画だったなんてな。
「そいえば去年大会で優勝した奴。あれはわたしの上司だった男だ
今年も出張ってくるらしいのだが正直あいつは空気読んで出ないほうがいいのにな。
強さのレベルが違う・・・
去年は奴一人だったが、今年は7人も出てくるらしいぞ、あいつの学校から
お前の父親クラスが6人とそれ以上の奴が一人・・・
まぁ頑張れ、と言いたいところだが本選に出られないとまず話にならんからな
とゆーことで明日からおにーさんはわたしの弟子だ。
まあ指導者はわたし一人ではないが、とりあえずわたしが教えるのは
基礎の引き上げと“夢幻”の攻略だ。
表を見る限りでは勝たないといけないのは夢幻さんとせっちゃんの二人だけじゃないか。
まあお互い頑張ろうじゃないか」
「夢幻だけじゃなくて刹那さんも確実に倒さないと本選には行けない。
刹那さんに勝っても13位・・・
隣のパートの舞華ちゃんを倒さないと10位以内は厳しい、か」
俺はやっと現状を理解した。
バトルロイヤルではないのだ。実力上位の十人が行けるわけではない。
トーナメントで勝ち抜いた十人が行けるのだ。
しかも表を見ると、表の連中も全員出てるみたいだ。
夢幻意外パート決勝までいかない限り当たんないくらい離れているが、この大会に出てるとゆう
ことは、少なくとも弱くはない。しかも二年は全員シード。
今さらながらとんでもない企画だな。
「おにーさん、おにーさんはこの大会に出場したけど何か目標があるの?」
「目標?」
「そう。目的だよ。ちなみにわたしはおにーさんが出るから出る。
決勝でおにーさんと戦うこと。それが目標。
ちょうど決勝まで当たんないしっ
おにーさんはなにかないのかい?」
じっとこっちを見て訪ねてくるエイミーさん。
戦いたい。
「戦いたい。俺もエイミーさんと。
どこまで戦えるか分かんない。無様な試合になるかもしれない。でもいい目標ができた・・・
約束するよ。決勝で戦おう・・・」
俺はできもしないようなことをついつい言ってしまう。
しかしエイミーさんはけなそうともばかにしようともしなかった。
「いいよ。おにーさん。手伝ってあげる。
おにーさんが決勝でわたしと戦えるように。
そのくらいの意気じゃないととても“あの本選”では意識は保ってられないよ。
じゃあ明日から二週間、頑張ろうか(^_^.)」
「ああ」
俺はそれからエイミーさんとの修行に入ったのだった。
修行が終わるころ。
俺は何段階も強くなることを信じて・・・
2
二週間後・・・庭にて・・・
ひゅひゅひゅひゅひゅっ
目線のわずか数センチ先で、常人には見えないようなパンチが連続で放たれている。
俺はその攻撃を、上半身の重心移動だけでかわしていく。しかも目は閉じたままだ。
攻撃をされる際に無駄な動きが出ると、相手の更なる追撃と、こちらからの反撃ができなくなる
のだ。俺はこの二週間それを徹底した。
更に、目を閉じたままやっているのは、目だけに頼るのではなく、相手の気の流れを読むこと
で、見えない攻撃にも対応しようというわけだ。
どうやら“夢幻”とやらはそうゆう系統の技らしい。
そしてこちらの攻撃技も鍛えた。いくら相手の攻撃がかわわせたところで、火力が弱いといみが
ないからな。
エイミーさんは一端距離を置き、構えなおす。呪文の詠唱に入るみたいだ。
「古式術式(エンシェントスキル)開花の炎。我が身体に宿りし魂を対価に炎を宿し力となせ」
巨大な炎の塊が現れ形ができていく。
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオッ
鳴り響く炎の怪人。その形はまるで巨大なドラゴンだ。
「喰らえっ」
エイミーさんは、ドラゴンをこちらに嗾(けしか)ける。以前の俺ならば、うろたえていただろ
う。俺は右手に気を込める。以前親父に教えてもらった気の使い方だ。
右手が強力な輝きを上げる。
フワッ・・・
ドラゴンが目の前に現れ攻撃を仕掛ける。しかし俺に攻撃は当たらない。
ドラゴンの攻撃を当たる直前でかわしていく。更に、かわした瞬間一撃ずつ入れる。
実態がないドラゴンには効かない。
「そろそろ倒させてもらう。」
ぐっ。
右拳を握り一瞬でドラゴンの死角に入る。
それに気づかないドラゴンは、俺を探している。所詮目で追える範囲はそんなものだろう。
すっ
オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
こちらに気づいたドラゴン。だがもう遅すぎる。
「混合術式第零式」
ゴゴゴゴゴゴゴ
炎でできたドラゴンは、拳圧で消えてしまった。
何度でも復活できるのだが、今回操っているのはエイミーさんだ。
ドラゴンが復活しないところを見ると、どうやら合格らしい。
「よくやったよおにーさん。この二週間でずいぶんと腕を上げた。」
手をぱちぱちさせながら近づいてくる。
「ありがとうございます」
エイミーさんに対して感謝を込める俺に、
「いまさらこんなことで感謝をされるような間柄ではないだろう。
でも・・・できれば決勝まで来ておくれよ・・・
せっかくここまで修行をしたんだ。
一回戦負けなんかしたら・・・
許さないんだからねっ」
どこまでが演技なのか分からないへたくそなツンデレだったのだが、俺にはとてもいい響きだっ
た。
(ありがとな)
次回予告
長かった準備期間すいません
やっと体育祭がはじまります
次回
体育祭一日目
武道大会は二日目からです
ではでは
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彰文はトーナメント表を見て絶句する。
このままでは本選にいけないと、さらに激しい特訓を積
む。
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