No.227745

兄様!新しい顔です!

matahatiさん

絵に合わせて思いついたので書いてみました。
楽しんでいただけたら嬉しいです。

2011-07-13 04:33:32 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1727   閲覧ユーザー数:1554

ギャグです。

キャラ崩壊とかしてるので腕立て伏せしてから読みましょう。

 

それではどうぞ。

 

一刀「……」

 

流琉「……」

 

政務をしている隣で流琉が何故かこちらを凝視している。

表情からして怒ってたり何かを伝えたいという訳ではなさそうなんだが、その目的がさっぱりわからない。顔を赤くしてじっとこっちを視ている流琉は可愛いんだけど、こう無言で視線を受け続けるとちょっと落ち着かない。

どうしてこうなった、よく考えろ。順に記憶を洗っていこう。

 

昨夜、仕事を終えていざ寝ようとした所に俺を兄と慕ってくれるちびっ子コンビの襲撃を受けた。話を聞くと、二人はどうやら三羽烏達と怪談話をしたらしく、それで怖くなって自分のところに来たという。ここは兄として二人を安らかな眠りに導いてやろう。そう思い自分が二人くらいの年齢だった時に観ていたアニメ等の話をしてやった。フィクションであることを前もって言っておいたにも関わらず、二人は話す度に「天の世界ってすごい!!」と予想以上に反応してくれた。こんなことで二人が喜んでくれるならお安い御用だ。華琳や春蘭に無理難題を要求され、その挙句に獲物を持って追い掛け回され疲れ果てた所に桂花の罵声を浴びせられ心身共にボロボロな俺を癒してくれるとても大切な存在だ。

 

……季衣もたまに暴走することがあるけど。

 

とにかく、兄としてこの二人の笑顔は全力で守らなければ。いつの間にか眠ってしまった二人を見ながらそんなことを思いながら、俺も眠りに付いた。

 

その翌日

 

 

流琉「兄様、おはようございます。」

 

珍しく流琉に起こされた。簡単な挨拶を返し、そのまま寝ぼけ眼で朝食を取りにいく。今日は朝も流琉が作ってくれたらしく、いつもに比べて贅沢な朝食を腹に入れ、流琉に礼を言い支度をしに部屋に戻ったのだが……

 

一刀「流琉、あの、着替えたいんだけど。」

 

俺がそう言うと、何故か部屋まで付いてきた流琉が顔を赤くして慌てて出て行った。風邪でも引いてぼーっとしていたのだろうか。着替えて部屋を出てまだそこにいた流琉にそう尋ねてみるが違うとのこと。ちょっと心配になったが、本人が大丈夫と言うし問題ないだろうと判断し、俺は部屋に戻り今日の仕事に取り掛かることにした。

 

コトッ

 

一刀「ん?」

 

いざ筆を手に取ったところで変な音が聞こえた。

 

一刀「流琉、なにしてんだ?」

 

流琉が椅子にちょこんと座ってこちらを凝視している。ちょっと怖い。

 

流琉「兄様の…その、ですね…お顔を…」

 

一刀「俺の顔?何かついてるか?見てても楽しいものでもないと思うけど。」

 

流琉「いえ、そういうわけではないんです。ですから、その……」

 

一刀「怒ってる?もしかして昨日俺何かやった?」

 

流琉「昨日は私達の方が兄様にご迷惑をお掛けしちゃってますから、怒ってるなんてとんでもないです。」

 

一刀「じゃあ、どうしたんだ?」

 

何か理由があるのだろうが、こちらの問いは全部空振り。いまいちわからない。

要領を得ない流琉に今一度問いただしたところ、流琉は瞳を少し潤ませて俺を見上げながらこう言った。

 

流琉「あの、居ちゃ…ダメ…ですか?」

 

一刀「!!…え、あ…うん、ダメなんてことないぞ!その…だな?うん…はい…。」

 

流琉の涙目を見て動揺してしまった。乙女の涙は今も昔も男に対する最終兵器だ。

昨日からの流琉に関する事を振り返ってみたが手がかりは全く掴めない。まさか話したアニメのキャラを俺と差し替えて妄想世界でスパークしてるなんて事はないよな。流琉に限って。

まあ、害はないし、流琉の好きにさせておこう。うんそれがいい。

 

それから昼時までその状態は続いたが、昼食を一緒にとった後は流琉が俺の傍にいることはなかった。昼からはやらなきゃいけないことがあるらしく、結局その日が終わるまで姿さえ確認できなかった。結局なんだったのかはわからないが、考えても仕方ないので俺は大人しく寝ることにした。

眠りに落ちる最中、どこからか甘い匂いが漂ってきた様な気がした。

 

???「に……さ………てく……い。にい…!」

 

一刀「……う…ん」

 

誰だろう、やけに興奮している?起こすだけにしてはやけに声の調子が荒く聞こえる。

 

流琉「兄様!起きてください!」

 

ああ、今日も流琉か。それにしても流琉が慌てるなんて少し珍しいな。

ほら、起きるから体を揺する強さを上げないでくれ。外れちゃうって。

よし、今日は可愛い流琉にいつもと違う寝起き一刀を見せてやろう。

起きてすぐ覚醒度100%のシニカルスマイルを作り、頭を撫でてあげながら歯を輝かせれば流琉も今日の朝食は華琳の毛髪左右非対称化促進委員会認定偽天界料理「真直ぐな君が見たくて」を作らざるを得ないだろう。

そう思いながら俺はゆっくり迅速にステキスマイルを…

 

一刀「おはよう流琉。今日もかわ……ぎゃああああああああああああああああああ!!」

 

作れなかった。

 

一刀「流、るルる、そ、それ…く…え?お…くび…おれ…お…お…」

 

流琉「?」

 

一刀「げほっ…えと…うん…なに……も…ってる…んだ…」

 

多分、間違っちゃいない。流琉が持ってるのは、俺の…

 

流琉「なにって、兄様の顔ですよ?兄様新しいの持ってませんよね?だから作ったんです。」

 

新しいの?え?なにそれこわい。

その褒めてくれと言わんばかりの得意顔はなんですか流琉さん。

というかまずそれ遠ざけてくれ。タノムから。

 

華琳「朝からうるさいわよ。一刀。」

 

一刀「うわっ!か…華琳か……」

 

華琳「うわっ!とは失礼ね。それが主君に対する挨拶のつもりなのかしら。」

 

一刀「す、すまん。てか華琳!る、流琉が…」

 

俺がそう言って流琉の方を指すと、華琳は流琉が手に抱えている物を見て、「あぁ、これ?良く出来ているでしょう。私も手伝ったのよ」と微笑みながらのたまった。この狂気の塊を作った事を微笑みながら誇らしげにしている君主とその親衛隊。俺は拾われる国を間違えたのかもしれない。

 

華琳「何青い顔しているの。もっと素直に喜んであげたらいいじゃない。流琉が悲しむわよ?」

 

一刀「すまん、どこに喜びを感じていいのかさっぱりわからない。ついでに何で魏に落ちたのかも。」

後半は聞こえないようにつぶやいた。

しかし、こんな物作られて喜ぶとか、華琳溺愛組の4人でさえ……春蘭だけはマジで喜ぶかもしれん。

 

流琉「?兄様言ってたじゃないですか。天の人は新しい顔があれば死んでも平気だって。」

 

流琉の話を聞くところ、つまりこういうことだ。

流琉と季衣が俺の部屋に泊まった時に俺がした○ン○ン○ンとか○ガマンの話を天界の話として真に受けた。流琉は俺が華琳や春蘭に追い掛け回されている時、笑顔ではいたが心の中では心配していた。自分じゃ二人は止められないが俺をどうにか助けたい。そんなことを思っている時に俺が元気100倍でティウンな話を聞かせた。空想の物語の登場人物だという前置きは綺麗に記憶に残らず、顔を取り替えて復活という特徴だけが天の人、つまり俺にも流琉の中で適用された。新しい顔さえあれば俺はもう大丈夫。……はあ。

 

一刀「なあ華琳、手伝ったって言ってたけど、流琉から話聞いておかしいと思わなかったのか?」

 

華琳「一刀の場合は存在からして私達の常識では通用しない在り方だし、そもそも性をどれだけ放っても尽きないっていうこちらの世界の常識すらあてにならない人体構造なのだし、なら首を刎ねてもすぐ生え変わるくらいの事はやってのけると考えるのは自然でしょう?」

 

自然でしょう、じゃねーよ。なんだその理論。性力じゃ自然治癒力は強化されねーよ。

流琉も笑顔で「これで春蘭様に首を刎ねられても大丈夫ですね!」とか言うのやめてくれ。

蘇生手段よりまず俺が首刎ねられる光景を想像してそうならない為の努力をしてください。

 

華琳「因みに、話の通りにちゃんと食べられるように作ったのよ?中にも独自の餡を使っているんだから。」

 

ダメだこの覇王様。はやくどうにかしないと。

 

その後、数時間に及ぶ説得の末、俺の新しい顔を廃棄処分させることに成功した。

流琉は「でも兄様は天の御遣いだから」と言ってなかなか折れてくれなかった。俺に対する認識をしっかり変えておく必要がありそうだ。

しかし、今回の事に真桜が関わっていなくてよかった。アイツが製作に関わったら目とか口が自動で動く上で食べられる俺の顔が出来そうだ。考えただけで怖すぎる。

 

一刀「疲れた……もう寝よ…」

 

流琉に話したことが他の武将達にも伝わっていたらしく、今日は散々な目にあった。

三羽烏は「流石は隊長です!」とか「ウチらの隊長は無敵やでー」とか「沙和も作ってあげるのー」とかまだマシだったが、春蘭と桂花は本当に殺しに来てるように見えた。仮に新しい顔で復活できたとしても体を真っ二つにされちゃどうしようもないだろう春蘭。秋蘭も人の頭に桃のっけて精密射撃の訓練、霞はどこまで神速を調整できるかとか言って人の首で寸止めの練習しだすし。風は「新しい体も用意すればお兄さんの首を刎ねてそれぞれを復活させて……おお!風だけのお兄さんの誕生なのです!」とか言ってたな。それを聞いた稟の鼻血の後始末の方が厄介ではあったけど。

 

とりあえず、天の話はするならもっと吟味して俺に被害がこないような話にしておこう。俺はそう改めながら眠りに付いた。

 

翌朝

 

ん……なんだ、重い?体が動かない。

不思議に思って目を開けると、口元にだらしなく涎を垂れさせたピンク色の悪魔がいた。

 

「兄ちゃんって食べられるって本当?」

 

「え」

 

 

fin

 

 

 

 

 

 

 


 
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