No.227440

三人の御遣い 獣と呼ばれし者達 EP4.5 狼が語りし二匹の獣

勇心さん

どうも勇心です。
だいぶ間空きましたが、決してクオリティが上がっているという訳ではありません(泣)それでも読んでくれる人は大歓迎です。
話の内容は一刀達が真名を交し合った後の食事中の会話です。一刀が愛紗達に兵衛と烈矢について語るシーンなので
意外とつまらないかもしれません。読んでくれる方には先に謝罪しておきます。  すいません、つまんなくて……

2011-07-11 05:46:31 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:2471   閲覧ユーザー数:2116

一刀は劉備達---桃香達と真名を交し合った後、ひとまず落ち着くために近くの街に行く事にした。

幽州啄郡啄県---劉備玄徳の生まれ故郷である。

 

 

 

街にたどり着くと一刀達は食事をするために料理屋に入った。

料理屋に入ると席のほとんどが埋まっていた。

座る場所を探していると一番奥の一角がちょうど四人分空いており、一刀達はその席に座る事にした。

席に座った四人は各々が好きなものを頼む。

好きなものと言っても一刀がメニューで読めるものはほとんどなかった。

そのことを正直に三人に告げると----

 

桃香「ええ!?文字読めなかったんですか、一刀さん!?」

愛紗「それは意外ですね。見るからにとても聡明そうな雰囲気を漂わせていたので、てっきり……」

 

二人の意外そうな反応に一刀は自身の顔が恥ずかしさで紅くなるのがわかった。

 

一刀「しょっ、しょうがないんだよ///元いた世界ではこの大陸の文字とかを勉強する機会なんてなかったから……」

桃香「へえ~、天の世界では違う文字を使ってるんだぁ」

一刀「皆が皆同じなわけじゃないよ。中にはこの大陸の文字を読める人だっているだろうし、たまたま俺がそういう勉強をしてなかったから読めないってだけだよ」

桃香「天の世界の人って凄い人がいるんだねぇ」

一刀「そうだね。俺もそれくらいの人間だったら桃香達に恥を晒さないで済んだのにね」

 

一刀が苦笑いを浮かべながら桃香の言葉に同意する。

桃香が感心したように手を合わせていると、先ほどまで意外そうにしていた愛紗が口を開いた。

 

愛紗「一刀殿……もし、宜しかったら私が文字をお教えしましょうか?」

 

その一言にその場にいる全員が目を丸くした。

刃を向けられたあの時から、てっきり自分は嫌われているものとばかり思っていたので、この提案は一刀にとって予想外のものだった。

 

一刀「えっ……と………………いいんですか?」

 

恐る恐る尋ねる一刀に対して愛紗は優しい目をしてはっきりと答える。

 

愛紗「ええ、構いません。一刀殿は私達の仲間なのです。仲間の手助けをするのは当然のことです。それに……先ほど刃を向けたお詫びも兼ねているので、お気になさることはありません」

 

愛紗が気まずそうに頬を掻く姿に一刀は胸の内が温かくなるのを感じる。

彼女の提案はあの時の謝罪の意が込められた責任感によるものが大きかったが、それを抜きにしても彼女の純粋な気遣いが一刀にとって、この上なく嬉しかった。

 

一刀(最初は刃を向けられて驚いたが、話してみるとやっぱり真面目でいい人だな。俺の事を仲間だと言ってくれたんだ、期待には応えないと……な)

 

一刀は今自分に出来る精一杯の感謝の態度を示すことにした。

 

一刀「いえ……自分の方こそ失礼なことを言ってしまったので、そう言ってもらえると助かります。ぜひご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願いします愛紗さん」

 

一刀は席を立ち上がると愛紗に向かって深々と頭を下げた。

その様子に愛紗は少しの間困惑していたが、すぐに落ち着きを取り戻し、言葉を続けた。

 

愛紗「わかりました。それでは空いた時間に一刀殿にお教えするので今後ともよろしくお願いします。……それと、私のことは愛紗と呼び捨てにしてもらって構いません。私も一刀殿のことを一刀様とお呼びしますので……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「……………………………………………………はい?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗の宣言に一刀は自分の頭の中が少しずつ真っ白になるのを感じた。

 

 

 

 

一刀「ええ!?何で『様』を付けるの?愛紗さん、俺のこと仲間だって言ってくれたんだから別に一刀って呼び捨てで呼んでもらって構わないよ」

愛紗「そう言う訳にもいきません。仮にも一刀殿は『天の御使い』として桃香様と共に乱世を収める御方、その御方を呼び捨てにしては示しがつきません!何より……一刀殿は桃香様の---我々の理想のために立ち上がってくださいました!……その一刀殿を……私自身が『一刀様』とお呼びしたいのです」

 

愛紗の真剣な眼差しに困ったように一刀は右手で頭を掻く。

 

一刀(まいったなぁ……どうしよう?まさか愛紗さんに様付けされるなんて予想外すぎるよ。……でも、愛紗さんの言うとおり、実際俺は『天の御遣い』として立ち上がるわけだし、世間の目を気にするならそういう上下関係は最低限はっきりさせたほうが後々『天の御遣い』の神々しさに信憑性も出てくるかもしれないな…………何より、あそこまで言ってもらえるなんて男して素直に嬉しいし)

 

そんな思考を巡らせていた一刀は、やがて諦めたかのように溜息を吐くと、精一杯の微笑みを愛紗に向けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「わかったよ……………………愛紗」

 

一刀の笑みに応じるように愛紗もまた、微笑を浮かべた。

 

愛紗「……はい、これからよろしくお願いします……一刀様」

 

一刀の笑みに応じるように愛紗もまた、微笑を浮かべた。

 

 

その時の愛紗の微笑みはとても美しく、

 

 

 

 

まるで荒野に咲く一輪の花のように可憐で、儚げだった……

 

 

四人は食事が終わると店の裏で薪割りをしていた。

 

 

 

理由は簡単だった。

 

 

四人とも無一文だったのだ。

 

 

一刀は桃香達が奢ってくれるものだと勘違いをしており、

桃香達は天の御遣いである一刀が御金を持っていると思い込んでいたのだ。

お互いがお互い、金を持っていると思い込んでいたために起きてしまったこの悲劇。

後ろにはこめかみに#マークを付けた女将さんが背景に荒ぶる熊を出現させた状態で佇んでいた。

一刀達は女将の様子から現在の自分達の立場が『一秒も待ったなし、死刑宣告五秒前』ということに気付くとお互いの顔を見合わせ、必死に解決案を模索した。

しかし、顔を見合わせただけでこの窮地を凌ぐ案など出ようはずもなく、遂には観念したかのように四人は笑みを浮かべた。

それは、人が完全なる敗北を悟る時に浮かべる----笑みだった。

 

 

 

 

 

女将に捕まった四人は店の仕事を手伝う事になった。

愛紗と桃香は店の中で接客を、一刀と鈴々は裏で薪割りをすることになった。

愛紗と桃香は慣れない接客業に慌ただしく動いており、一刀と鈴々はお互いに薪を割る役と準備する役を交代しながら楽しく作業をこなしていった。

 

 

しばらく働いていると女将が休憩を勧めてくれ、四人は厨房の裏で一息吐くことにした。

 

桃香「ぷはぁ~、疲れたぁ~」

愛紗「お疲れ様です、桃香様」

 

疲れて地面に座り込む桃香を愛紗が労うように言葉を掛ける。

 

一刀「二人ともお疲れ様。そっちの方は大変だったみたいだね」

桃香「うん~、お客さんの数が凄くて目が回りそうだったよ~」

愛紗「そうですね、客の数が私達が食事している時より増えていたので思った以上に忙しかったです。急に客が増えたのかは謎ですが、そのおかげで予想よりも早く開放してもらえそうですね」

桃香「そうだね、これだったらもう少しで許してもらえるかもね。……それにしても、愛紗ちゃんの言ったとおり、何でお客さんが急に増えたのかな?」

 

二人が不思議そうに首を傾げていると桃香の横に座っていた一刀がその疑問の答えをあっさりと口にする。

 

一刀「それは、二人がとっても可愛いからお客さんが寄って来るんだよ」

 

一刀の言葉に二人は顔を真っ赤にして驚く。

 

桃香「ふえ!?そ、そうなの?」

愛紗「なっ!?じょ、冗談がすぎますよ一刀様!!」

 

各々が違った反応を示す中、一刀は言葉を続けた。

 

一刀「いや、別に冗談を言ったつもりはないよ。客の反応を見てれば客の大半が桃香と愛紗目当てなのは一目瞭然だ。だって、客のほとんどは男だったし、みんな食事そっちのけで二人のこと凝視してたしね」

 

淡々と語る一刀に二人は真っ赤だった顔を更に紅くさせ、その場に縮こまってしまう。

 

桃香「もう~、気付いてたなら教えてよ~一刀さん~///」

愛紗「まっ、まったくです///!気付いていながら放っておくなんて酷すぎます!!」

 

二人の訴えに一刀は思わず笑いが込み上げた。

 

一刀「あははっ!ごめんごめん、別に放っていたわけじゃないんだよ……ただ、二人が一生懸命に働いている姿があまりに綺麗だったからつい見惚れててね」

 

一刀の歯の浮くような台詞に二人はそれ以上何も言えなかった。

二人は自身の火照った顔に手をあて、ぶつぶつと何かを呟くだけだった。

その様子を心配そうに覗き込もうとする一刀の袖を誰かがくいっくいっと引っ張った。

 

一刀「ん?」

 

反射的にそちらに顔を向けると鈴々がつまんなそうな顔をして制服の袖を摘んでいた。

 

一刀「どうした、鈴々?」

 

一刀は不思議そうに鈴々を見つめると、鈴々は何かをぼそぼそと呟いた。

 

鈴々「……鈴々は?」

一刀「……え?」

鈴々「鈴々は可愛くないの?」

 

鈴々の言葉を聞いて一刀は鈴々の言いたい事を理解する。

鈴々はどうやら自分だけがのけ者にされたと思ったようだ。

一刀が愛紗と桃香のことを『可愛い』と言った時に自分がその中に入っていないのだと思い込み、不満を持ったようだった。

 

一刀「そんなことないよ、鈴々」

 

一刀は顔を膨らませて拗ねている鈴々に近づくと、鈴凛の頭を優しく撫でた。

頭を撫でられた鈴々は、「ふにゃ~」と声を上げて気持ちよさそうに目を細めた。

 

落ち着きを取り戻した愛紗が唐突に質問してきた。

 

愛紗「ところで、一刀様……先ほど御食事中の話の中で出てきた一刀様の御友人のことについて聞いても宜しいでしょうか?」

 

遠慮がちに聞いてくる愛紗に一刀は苦笑いを浮かべながら答えた。

 

一刀「別に構わないよ。それより、どうしたんだい急に?」

愛紗「いえ……先ほどのお食事中、一刀様は大陸の事や天の国のことをお話になる時は淡々と話すだけだったのに、御友人のお話をする時だけはとても嬉しそうに話すものなので、気になってしまい……」

一刀「ああ、そういうことね……楽しそうに話していたかは知らないけど、愛紗が気になったって言うなら別に隠すことでもないから構わないよ」

愛紗「ありがとうございます」

桃香「私も聞きた~い」

鈴々「鈴々も~」

一刀「はいはい」

 

 

 

 

結局三人に話す事になった一刀は厨房に置いてあった椅子に座ると、二人の親友、『巽 兵衛』と『赤羽 列矢』について語り始めた---

 

一刀「改めてあいつらについて語るといっても……これといってないんだよな~」

 

一刀は開口一番とんでもない事を口にした。

 

愛紗「か、一刀様?さっきはあんなに嬉しそうに話していたのに、いったいどうしたんですか?」

 

愛紗の言葉に一刀はがしがしと頭を掻く。

 

一刀「いや、いざ話そうとすると全然話す事ないんだよね、これが」

桃香「それじゃあ話が進まないよう~」

鈴々「なのだ~」

一刀「そうだよね~」

 

はあっと溜息を吐く一刀に愛紗が一つ提案をした。

 

愛紗「それでしたら、質問形式にしませんか?我々が一つずつ一刀様の御友人について聞きたいことを質問し、それを一刀様に答えてもらうということで……」

桃香「おお~、愛紗ちゃん冴えてる~」

鈴々「凄いのだ~」

 

桃香と鈴々は感心した面持ちで愛紗の提案を褒めちぎった。

それを聞いていた一刀も納得したようで、首を縦に振った。

 

一刀「それじゃ、まず何が聞きたい?」

 

一刀の問いに始めに手を挙げたのは鈴々だった。

 

一刀「はい、それじゃ鈴々」

 

一刀の指名に鈴々は元気よく質問をした。

 

鈴々「お兄ちゃんのお友達は今どこにいるのだ?天の国にいるのか?」

 

一刀「う~ん、どうだろうね。正直わからないんだ。俺は気がついたらこの世界にいて一人だったから……あいつらがこの世界にいるのかも、元の世界に残っているのかもわからない。可能性としては前者の可能性が高いだろうけど、今の状況じゃ確かめようもないからね。なんとも言えないよ……」

鈴々「お兄ちゃんはお友達を探したいの?」

一刀「出来るならそうしたいけど、当てもないのに闇雲に探すわけにも行かないからね。今は桃香達の夢を叶えるお手伝いをしながら、気長にあいつらを探そうかなと思ってるよ」

鈴々「早くお友達と再会出来ると良いねお兄ちゃん!」

一刀「ありがとう……鈴々」

 

そう言うと一刀は鈴々の頭を優しく撫でた。

 

鈴々の質問が終了すると次は桃香が手を挙げた。

 

桃香「はい!!」

一刀「はい、桃香君」

桃香「一刀さんのお友達ってどんな人達なんですか?」

 

桃香の抽象的な質問に一刀は頭を悩ませた。

少しの間悩んでいた一刀はポンっと手を叩くと、二人ついて語りだした。

 

一刀「簡単に言うと、烈矢は『がさつで頑固で喧嘩っ早いヤツ』で、兵衛は『面倒くさがりな能天気野郎』って感じかな?三人で一緒に勉強しても烈矢はすぐに逃げるし、兵衛は居眠りするしで、まったく勉強は進まないわけよ?そのくせ暇さえあればすぐ喧嘩を始めるからよく街の一角が瓦礫の山になってたなあ……」

三人「「「……………」」」

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀がしみじみと思い出を語っていると気まずそうに桃香が口を開いた。

 

 

 

 

 

 

桃香「……何か、一刀さんのお友達って話を聞いてるとダメな人って印象しかないんだけど……」

 

桃香はなんともストレートな感想を漏らす。その感想を聞いた一刀は思わず笑いが込み上げて、吹き出してしまった。

 

一刀「あははははははははっ!!そう、それ正解だよ桃香!あいつらはダメダメな奴らなんだよ!!あはははははっ……腹痛え~、ダメな人って……」

 

一刀が大爆笑を続けていると隣の愛紗がわざとらしく咳き込んだ。

 

愛紗「おっほん!一刀様、そろそろ話の続きを……」

一刀「は~痛かった!……うん、落ち着いた!もう大丈夫!そうだね。話を続けよう」

愛紗「お願いします」

一刀「え~と、どこまで話したっけ?」

桃香「お友達がダメダメな人って所までだよ」

 

桃香が悪戯っぽく言うと、一刀はまたも吹き出しそうになったが、寸でのところで我慢する事が出来た。

 

一刀「まあ、確かにダメダメな奴らなんだけど、良いところだってあるんだよ?」

桃香「へぇ~、どんなところ?」

一刀「『人のために動ける』、『損得無しで一緒にいてくれる』、『私利私欲のために力を行使しない』、数え上げたらキリがないよ」

 

そういう一刀の顔には薄っすらと笑みが浮かんでおり、その笑みにはどこか誇らしげな様子さえも窺えた。

 

一刀が二人の自慢話を終えると桃香は納得したように頷くと、一刀に近づき、耳元で囁いた。

 

桃香「やっぱり一刀さんもお友達のこと大好きなんだね…………私安心しちゃった」

 

悪戯っぽく囁く桃香の一言に一刀は自身の耳が赤くなるのを感じた---

 

桃香の質問も終り、いよいよ最後の質問者である愛紗が手を挙げた。

 

一刀「はい、それじゃ最後に愛紗。質問どうぞ?」

 

一刀に促され、愛紗は意を決したように言葉を投げかける。

 

愛紗「そのお二人の御友人はどれほどの腕前なのですか?」

 

その質問は一刀とって予想通りの質問だった。

 

一刀「知りたいかい?」

 

もったいぶるようにニヤニヤと笑う一刀

 

愛紗「一刀様、焦らさないでもらいたい!どうなのですか、その二人の腕前は?」

 

愛紗の言葉に一刀は答える。

 

一刀「はっきり言って化物だよ。この世で最も殺り合いたくない奴らだからね」

愛紗「それほどなのですか?それならばぜひ一度手合わせ願いたいものですね」

 

まるでいつかの不動先輩のようなことを言う愛紗に一刀は真剣な目で警告をした。

 

一刀「それはやめておいたほうがいい……」

 

一刀の言葉に驚きを隠せない愛紗は喰って掛かるように一刀を問い詰める

 

愛紗「何故ですか!?私では役不足という事ですか!?応えて下さい、一刀様!!」

 

一刀は愛紗の糾弾にも似た言葉に一刀は困ったように苦笑いを浮かべた。

 

一刀「違うよ、愛紗。愛紗が弱いからやめたほうがいいって言ったんじゃない。その逆だよ」

愛紗「逆?」

一刀「そう、逆……愛紗は強すぎるんだよ。俺達の居た世界でも愛紗ほどの達人はそうそうお目にかかれるものじゃないんだ。そんな愛紗とあいつらが戦ったら、あいつらは絶対に手加減はしないと思う。まず間違いなく、愛紗は殺される」

愛紗「!!!」

一刀「驚くのも分かるけど、事実だ。だから、もしこの先あいつらと再会できても絶対に手合わせをしようなんて思わないでくれ……俺達の---特に兵衛とは絶対に死合わないでくれ。あいつは『人殺し』の天才だからな、普段はのほほんとした奴だけど、スイッチ---本気になると手の付けようがない。だから愛紗、約束してくれ!あいつらとだけは戦わないと……」

 

一刀の懇願にも似た必死な願いを愛紗はただ頷くしかなかった。

 

愛紗「ですが……一刀様」

 

この時彼女は告げようとしていた

とてつもない大きく、そして今後の運命を左右するかのような爆弾の言葉を---

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

愛紗「もし……この先、その二人と戦わなければならないとしたら、一刀様は…………どうしますか?」

 

 

 

愛紗「もし……この先、その二人と戦わなければならないとしたら、一刀様は…………どうしますか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その言葉に場は凍りつく。

先ほどまでの和やかな雰囲気を打ち壊すその言葉に誰もが口を開く事が出来なかった。

 

 

 

そして、誰もが口を開くことが出来ない中、質問を投げかけられた一刀が口を開いた。

 

一刀「……愛紗の言葉の真意は俺にはよくわからない。もしかしたら何か思うところがあるのかもしれないけど……その質問に答えるなら----『戦う』よ」

 

三人「「「!!!」」」

 

三人は一刀の言葉に衝撃を受けた。

先ほどまであんなに楽しそうに友人の自慢話をしていた一刀が、

『戦う』と決意を秘めた目で言い切ったのだ。

仮定でしかないこの話に一刀は覚悟を持って言い切ったのだ。

 

友を殺すかもしれない

 

友の気持ちを裏切るかもしれない

 

友の全てを否定するかもしれない

 

 

その全ての可能性に対して、北郷一刀は十全たる覚悟を持って言い切ったのだ。

 

 

 

 

『戦う』と

 

 

 

一刀の一言にさきほどまで凍り付いていた愛紗ははっと我に返った。

 

愛紗(私はなんてことを聞いているんだ!!あんなことを聞けば、一刀様は『天の御遣い』という使命感から『戦う』といわざるを得ないではないか!!)

 

愛紗は自身の浅慮さにただただ自分を責めるしかなかった。

 

しかし、一刀はそんな愛紗を気遣うように笑顔で話を続けた。

 

一刀「愛紗、勘違いしないでくれ。俺は別にそこまで思い詰めてはいない」

愛紗「え?」

一刀「確かに俺は戦うと言ったけど、それは決意を述べたに過ぎない。どんな状況下でも決して君達を裏切らないという鉄の約束をするための」

愛紗「鉄の……約束?」

一刀「そう、鉄の約束だ。今は乱世だ。弱い民達が傷つき、倒れ、死んでいく世の中、その世の中を変えるためには生半可な覚悟では決して成し遂げる事は出来ない。……それこそ、友を討つ覚悟を持つくらいでないと、この乱世を平和にすることは出来ないと俺は思うんだ」

愛紗「確かに……そうですが」

一刀「別に君達にも友を討つ覚悟を求めているわけじゃない。これはただの俺個人、北郷一刀の覚悟であり、決意でしかない。その責任は俺が背負うべき物だし、俺が乗り越えなきゃいけないものだ。だから……愛紗が気にする事は……ないんだ」

 

一刀の言葉に愛紗は顔を上げることが出来なかった。

器が違う。

愛紗は心の中で沿う思った。

自身の無神経な質問に対しても真摯に、そして誠実に向き合ってくれる一刀に愛紗は心打たれた。

愛紗は涙でにじみそうになる目を擦るとすぐさま立ち上がり、一刀に向かい頭を下げる。

 

愛紗「数々の無礼お許しください。ですが、この関雲長!あなた様の決意に心より感服しました。私はここに誓いましょう……我が主桃香様、そして天より遣わされた『天の御遣い』北郷一刀様にこの身、この魂を捧げることを」

 

愛紗の誓いに、決意に、優しさに、一刀は自身の心が温かくなった

 

 

 

 

 

 

 

 

一刀「ありがとう、愛紗」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

短いが、とてつもなく重い感謝の言葉に愛紗はまたも自身の目に涙がにじむのを感じた。

 

 

 

 

 

どうも勇心です。久しぶりなので文章ひどいわ、説明雑だわ、キャラ崩壊しすぎだわのツッコミどころMAXの4.5話でした。

読んでくれた人には誠に申し訳ないとは思いますが、しょせんは小説素人の私が書くものなので、そこは多めに見てもらえると助かります。

寝不足とかで頭冴えてないので、文章がつながっていないところが多々あると思いますが、ご容赦ください。

次回は兵衛が呉に降り立つところをかきたいなあと思っているので宜しくお願いします。

 

もう自分の迷走ぶりにびっくりです

 

それではまた

 

 

 

 


 
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