No.22734

始動╾╾龍

文字子さん

初投稿なのでぐでぐでしてまう(A;´・ω・)フキフキ

そのあたりはごめんなさい・・・il||li _| ̄|○ il||li

2008-08-01 19:30:05 投稿 / 全2ページ    総閲覧数:542   閲覧ユーザー数:508

 

 

青い海。青い空。

一片の曇りなく空は晴れている。

 

頬をなでる風が気持ちよい。また、潮の香りも心を穏やかにさせてくれる。

 

 

 

巨大な船が青い海を走っていた。

船の行き先は、メガロカンパニー社長であり、世界で指折りの億万長者『ドン・カバリア』がその全遺産をつぎ込み完成させたという一大テーマパーク。

 

通称『カバリア島』

 

なんでも、このカバリア島には莫大な『遺産』が眠っているという。

その額は一生遊んでびっくりするくらいお釣りが返ってくるほどだとか。

 

この船はそれを狙うハンターや冒険者を乗せた船なのである。

 

 

 

 

そんな船の中に一人の少年がいる。

年は・・・およそ10代後半であろうか・・・。

精悍な顔立ちと切れ長の瞳。そして、腰辺りまで伸びる長髪。

 

周りのごつい大男や武器を持つ筋肉質な者、貴族なのかボディーガードらしきものが見える者に比べれば遥かに異質な存在である。

 

その少年は一人日陰になっている屋根の下の樽に座っていた。

なにやら分厚い本をずっと読んでいる。

普通にしていたら目立つ行為ではないが、この船の上だとどうしても目立ってしまう。

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

不意に声がかかる。

まぁ、今までかからなかったのが少し不思議であったが。

 

 

しかし、少年はその声が聞こえているのかいないのか・・・

目線を本に移したままだ。

 

 

 

 

「おいって言ってるのがきこえねぇのか?」

 

声の主の大男は少し苛立ちを混ぜた声で再び声をかける。

少年はやっと本から目をはずし、大男の方をみた。

 

 

「なんです?」

 

「お前の持ってる有り金、全部よこしな」

 

 

目立つ上、見た目は言ってしまえば・・・ひょろい。

それに、あまり日に当たっていないのは肌も白いため大男からしたら絶好のカモだろう。

 

そもそも、遺産を手に入れられるのはおよそ『一人』

ライバルになりうる者は早めに潰すという行為も不自然ではない。

 

「なぜです?」

 

少年は大男に対して全く引きもせず聞き返した。

 

周りの目もだんだん二人に向いてくる。

 

 

「どうせ、ぼっちゃんじゃ島に行ってもすぐお陀仏になるだろう?だから俺様が坊ちゃんの金使ってやるって言ってんだよ」

 

 

なんとも自分勝手な言い分であるが、島には凶暴なモンスターもいるという噂が流れている。

たしかに、すぐやられてしまいそうな体格をしている。

 

 

目の前の大男の方が体格も腕力も少年の何倍も上だろう。

しかし、少年は全く引いていなかった。

 

 

「あんたに渡したところで、俺の金が穢れる・・・本に集中したいからあっちいってくれ」

 

 

 

 

ピキッっと大男の額に青筋が浮いた。

少年はそんな大男を気にもせず再び本に視線を移した。

 

 

「坊ちゃん。なめた態度とってっと痛い目見るぜ?」

 

その声は怒りで震えている。

 

 

「やれるものならどうぞ?ただし、怪我しても知らないからな」

 

少年はぱたりと本を閉じて静かに言い放った。

 

 

 

 

「なめやがってぇえええええぇぇえぇえぇぇえぇええ!!!!」

 

大男がこぶしを大きく振りかざした。

 

 

 

 

 

 

周りが一気にどよめく!

悲鳴が舞い、手で目を覆い隠すものもいる。

そして、大男が大きくこぶしをふりさげ・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ドォオンンン。

 

大きな音がたった。

 

おそるおそる目を開けるものが目にした光景は信じられないものだった。

 

 

大男が倒れている。

 

一方の少年は服の埃を軽く払っていた。

そして、再び樽の上に座り本を読み始める。

 

一体何が起こったか分からなかった。

ただ、大男が泡を吹いて倒れているところ少年が何かしたに違いないことだけは分かる。

 

 

「そこの人?このおっさん医務室にでも連れて行ってやんねぇと死ぬぜ?」

 

大男の連れらしき人物にそう言い放つ。

その人物は慌てて大男を抱え、その場を去った。

 

周囲の空気は凍っている。

視線は少年に集まっていたが、少年は気にも留めることなく本に集中していた。

 

 

 

 

そして、数時間経ち少しずつ落ち着きを取り戻し始めた船内。

少年はやはり目立っていた。

 

というより、少年の周りだけ誰もいなかった。

声をかけようと・・・先ほどのように有り金奪ってやろうなんて考えるものは誰一人いなくなっていた。

 

 

少年の傍らには小さな袋があった。

その中には微量ではあるが金が入っていた。

 

「しけてんな・・・」

 

そうボソッと呟き、少年はその袋を懐に入れた。

その袋はさきほど大男から奪ったものである。

 

そして、パタンと本を閉じ船の進行方向を見た。

 

 

 

 

「わぉ」

感嘆の声が出る。

 

少年の目線の先には大きな山。砂浜や緑が見える巨大な島。

 

『まもなく、カバリア島に到着します』

 

船内アナウンスが響く。あれがカバリア島。

 

少年はさっさと身支度をすませ、上陸の準備をした。

その瞳は期待に満ち溢れていた。

 

 

 
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