No.226670

学園・鳳凰†無双 -1話『初恋持続時間=√0.01秒』

TAPEtさん

現代版が書きたくなったので、書きました。
後悔はしません。反省はするかもしれません。続きはないかもしれません(嘘です
多分、鳳凰一双とは関係ありません。

2011-07-06 23:27:30 投稿 / 全4ページ    総閲覧数:3826   閲覧ユーザー数:3292

「……ぅぅ……う?」

「あら、気がついたかしら」

 

目が覚めたら、紫色の髪の女の人が私を慈愛あふれる顔で見つめていました。

 

「……どうなって…」

「ああ、ごめんなさい。ちょっと理事長のお戯れが過ぎたようよ」

「……あ」

 

そうでした。

私、この学園に編入されることになって、そして理事長さんに挨拶しに行ったら……

ダメです。そこから何があったか全然思い出せません。

 

「……もしかして、先生さんですか?」

「ええ、私はあなたが入るクラスの担任をしている、杉原紫苑よ」

「……あ、飛鳥雛里って言います。よろしくお願いします」

 

保健室のベッドから起きて、私は先生に挨拶しました。

 

「大丈夫ですか?気分が優れないのなら、クラスに入るのはホームルーム後からにしてもいいのですよ」

「いいえ、もう大丈夫です……あの、先生…私のこと、ご存知ですか?」

「ええ、理事長に大体のことは聞かせていただきました。大変だったらしいですね」

「………」

 

私は、飛鳥雛里って言います。

今年で13歳になりますけど、今高校二年生です。

今まで他の学園で飛び級して高校生になったのですが、あの学園で色々あって、ここ聖フランチェスカ―学園に編入することになりました。

前の学校であったことというのは、つまり………

 

ぎゅーー

 

「あわっ」

「いいのですよ。つらい過去は振り向かなくても……」

 

紫苑先生が辛い顔になっている私のことを母のように優しく抱いてくれました。

あぁ…とても落ち着きます。柔らかくて、ふかふかしてて、息ができないぐらいムニュムニュしていて…もう何も考えられないぐら……い………

 

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

「はっ!」

「あ、起きたの?ごめんなさい。私ったら……」

「あわわ、い、いえ、平気です」

 

そうやって起きたのは、HRが終わった時は、もう昼休みの時間でした。

 

 

 

 

俺は、北郷一刀、17歳、高校二年生。

 

俺が通っている聖フランチェスカ―学園の高校部は、完全能力主義システムと呼ばれるサバイバルシステムを採用している。

知識、体術、判断能力、リーダーシップ、あらゆる場面にて優秀でさえあれば、その者は年、性別、学年を問わずに認められ、皆に慕われる。

聖フランチェスカ―学園の中でも高校部に限っては、学園の人たちは『天国と地獄』という異名を持っている。

それは、能力さえあればそれはもう天国のような生活が待っているが、能力も無きものが足を踏み入れればウジ虫以下に見られ、その結果一ヶ月も経たずに社会不適応な人間となって高校を去っていくのである。

 

まあ、でも一応に入ってみればそんなに厳しい学風でもない。

人たちも中々教養のある人たちで、社会のそのあたりの社交場よりいい経験になる。

女の子たちは皆美貌秀麗、才色兼備で、男子生徒の場合、そんな彼女らを当てにして勉強をしまくりこの学校に入ってくる連中もあるぐらいだ。

 

「カズピー、早う学食行こうぜ―!」

 

この及川もその一人である。

 

「……今日はパス」

「ええー、お前なんだよ、ダイエットでもしてるのか?」

「いや、なんか朝に食べたのがな……取り敢えず俺はいいわ。お前は行け」

「朝に何食べたんだよ」

「コーンフレーク」

「なんだ、何食靠れるものも…」

「ふと気づけば牛乳が賞味期限切れてた」

「おま、大丈夫か」

「朝は大変だったけどもう大丈夫……とにかく昼は何も食わん」

「なんだ、北郷、昼は抜くつもりか?」

「うん?」

 

横を見ると、そこに居るのは我が学校の風紀委員長の坂本愛紗。

同じクラスメイトであって、昔からの幼なじみでもある。

 

「ああ、今日はあんまり」

「ダメだろ、ちゃんと食べないと…」

「今なんか食ったら当たりそうなんだよ」

「大体、何故賞味期限が切れている牛乳をそのまま冷蔵庫に保管しているのだ。お前はどうしてもそう昔から自分に対しての愛と言うものを知らんのだ」

「はい、はい、小言はお前も早く昼飯行け。外で後輩たちが待ってるぞ」

「うん?あ」

 

愛紗は剣道部の副部長も担っている。

鍛錬には厳しい中、美しくかっこいいその姿に惹かれて、彼女に近づきたくて剣道部に入る者も多い。

最も、ある程度の実力でなければ入れないわけだが、

 

「そ、それじゃあ、後でな。これからは気をつけるんだぞ」

「ああ」

 

俺は自分を向かずに適当に答えたら、愛紗は癪に障るような顔をするも、待っている後輩たちのために教室の外に向かった。

 

「お前らも相変わらずやなー」

「…………ほっとけ」

 

及川はからかい半分にそう言ったが、こっちの事情もあるわけで、俺は相手せず上半身を机の上に乗せた。

どうせ何もしないで居たところでお腹が減るだけだ。

 

「なんか保健室行って薬もらったほうがいいんじゃね?」

「……それも一理ある」

 

どうしようかな。

面倒くさいけど、後々を考えるとまたお腹が大変なことになりそうだし……

いっとくか…

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

がらっ

 

「あら、あら、ちょっと遅かったかしらね」

「あわわ…」

 

紫苑先生と一緖に教室に入ってきた時、中には誰も居ませんでした。

教室で食べる人もなく、静かです。

 

「ごめんなさい。この学園、学食やそれとも外で食べる子が多いから……取り敢えず、あなたも昼食にして、後で皆帰ってきたら紹介しましょう」

「あ、はい…あ、私、弁当持ちですけど…ここで食べます」

 

丁度一人ですし、その方が良さそうです。

学食みたいに賑やかなところは、少し苦手です。

静かなところで食べるのが好きです。

 

「そう、じゃあ、あの後の窓から二番目の席が空いてるとこだから、そこで食べてて。私は職員室に行かないと行けないから、後で来るね」

「はい」

 

先生が教室から出て、教室には私一人になりました。

先生が示した席に行って座って、鞄から弁当と取り出しました。

弁当は自作で、今日のはサンドイッチにうさぎ林檎です。

 

「いただきます」

 

サンドイッチ一つを取り出して口に入れようとしたら、

 

ガラッ

 

「ふぅ……行ってきてよかった……うん?」

「あ」

「……あ」

「あ、あわわ……」

 

と、突然教室に男の人が一人入ってきました。

 

「だ、誰…ですか?」

「……北郷一刀……です」

 

なんか、敬語に答えられました。

良く考えてみると、あの人はこの教室の生徒さんと思った方が正しいです。

となれば、むしろ自分の紹介するべき人は私の方でした。

 

「あ、あの…わ、私は飛鳥雛里といいましゅ」

 

しまったー!またかんだーーどうして私はこうも緊張すると舌を噛んでしまうのでしょうか。

 

「飛鳥雛里……か」

「は、はい。今日転校してくるようになってましたけど、その……いろいろあって、今になって来ました」

「……」

 

ひゃっ!

こ、こっちに近づいてきます。

どんどん近づいてくると、どんどん相手に大きくなってきて、

前に居た学校は女学院だったので、男の人とはあまり会う機会が……

 

「……」

「あ、はの…その……あの、えと」

 

ど、どうしましょう!

こっちすごく見られてます!

なんか、何か私がいけないことでも、やってしまったのでしょうか!

そんなバカな!ここに来て今サンドイッチを食べようとしたばかりなのに。

はっ!まさかこの学園にはサンドイッチを食べてはいけないと言う校則があるのでしょうか。

それともうさぎ林檎がいけなかったのでしょうか!

あわわー!私の馬鹿!やっぱりあの時たこウインナーにしていればよかったですぅーー!

 

と、取り敢えず、謝っておきましょう!

 

 

「好きです。つき合ってください」「ご、ごめんなさい!」

 

……へ?

 

 

 

 

保健室から帰ってきて自分の席に座ろうとしたら、

行き先にかわいい生き物があった。

テディーベアとか、うさぎの縫ぐるみとか、そんなちゃちなものではなく、

女の子が、しかも(確かに制服はうちの高校部の制服なのに)高校生とは思えないミニチュアなサイスに、頭の帽子は制服の付きもののベレー帽の代わりに魔女っ子みたいな帽子を被って今サンドイッチを口にしようとしていた。

頭が混乱した。

 

取り敢えず、何が分からなかったのかっていうと、

どこに行けばこんなかわいい生き物取り扱ってるんですか?

たしかにこの学校には綺麗な子たちがたくさん居るが、別にだからと言ってこんなふうに一気に心がドキッとするとかそんな感覚は覚えたことがなかった。

 

あ、もしかしてあれか?

これが一目惚れというやつか?

この年になって初恋か?

俺はロリコンだったのか?イヤ、そんなはずはないはずだ。

でも確かに目の前の女の子はすごく小柄でとても同年の子とは思えない体をしていた。

中学生?とみるにもちょっと無理がありそうなぐらいの体つきだった。

 

もっと近づいて彼女のことを見てみた。

近づく俺のことを見て慌てるその姿がまた美しい。まるで天使のようだ。

エメラルド色の瞳とサンドイッチを食べようとしてぽっかりと開いてる口、そしてそこから10センチ先にサンドイッチを持って止まっている小さな両手。

まるで人形のような美しさに、頭脳がもう自分の正気を保つことを諦めろと叫んでいた。

 

というか、正直になれ。

この娘好き。

可愛いとか、お持ち帰りしたいとか、そういうこと以前に、

 

「好きです。付き合ってください」「ごめんなさい!」

 

それが、俺の初恋の終わりでした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

つづくの?

 


 
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