No.225816

真・恋姫✝無双一姫伝・魏 第四話 恋姫ランド46

さん

再構成版四話目です。
2013/1/14/再修正

2011-07-02 09:51:08 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4257   閲覧ユーザー数:3819

 

 

盗賊討伐に出た私達はその途中で許緒という少女に出会った

彼女は自分の村を盗賊に襲われ一人で闘っていた

私達は彼女、季衣を仲間に加えて奴らの拠点に攻め込んだ

その闘いの中で私は初めて人を殺めた

覚悟はしていたがやはり辛かった

そんな私をさやちゃんは救ってくれた

この娘を、いえこの大陸の人達を助けるために私は戦う

さやちゃんの膝で泣きながら改めて誓った

真・恋姫+無双一姫伝・魏

第四話「華琳達の日常・そして……病(や)みしモノの降臨」

=春蘭・秋蘭=

 

ある日、城の庭でお茶をしていたら突然春蘭が聞いて来た。

「北郷、前から聞こうと思ってたんだが何故お前の槍は刃を隠しているのだ?」

「こ、これ……え~とね…これは北郷家に代々伝わっている槍で、お婆ちゃんに貰った時にはすでに封印されていたんだ。お婆ちゃんが言うには時が来れば刃は自然に解き放たれるらしいんだけど」

 

一度だけ見た事があるお婆ちゃんが振るう槍の白刃は吸い込まれそうなほどに煌めいていた。

でも、私がお婆ちゃんから譲り受けた時にはその白刃は鉛で封印されていた。

 

『お婆ちゃん、何で刃を封印なんかするの?』

『お前の技量を試す為だよ。その封印を自分自身の力で解き放つ、それが出来る者こそがその“朱雀偃月刀(すざくえんげつとう)”の正統なる後継者の証なのさ』

『ふ~ん』

『まあ、お前なら心配はないさ』

 

そう言えばあの時、盗賊の頭を倒した時も槍は低く唸りを上げていた。

でもそれだけ、もっと頑張らないと。

 

「祖母殿は強いのか?」

「ええ、強いわよ。最初私に剣術を教えるか槍術を教えるかでお爺ちゃんとで決闘したらしいんだけど天下無双と呼ばれたお爺ちゃんがぜんぜん敵わなかったらしいし、時々私にこっそりと剣術を教えてくれるお爺ちゃんをその度に病院送りにしてたわ」

「びょういん?」

「ああ、病院というのはね医者が集まっている所で病気になったり、怪我をした時にそこに行けば治療してくれる施設の事よ」

「医療所のようなものか」

「規模が違うわ、医療所のように小さい所もあるけど病気を専門に治す医者、怪我を専門に治す医者、それぞれ何人もいて次々に来る患者に対応してるの」

「なるほど、検討してみる価値はあるな」

「それよりも北郷、私と闘え!!」

「はあ、何よいきなり?」

「それほどの人物に手ほどきを受けたのならばお前もかなりの使い手なのだろう、だから私と闘え!!」

「何よ、その理屈」

「一姫あきらめろ、こうなった姉者は人の話は聞かん。素直に相手をしてやってくれ」

「よし話はついたな、さあ行くぞ!!」

「わかった、わかったから引っ張らないで」

「ははは、頑張れよ」

(しかし、嘘は吐いていないが肝心なところも話してはくれてないな。まあ華琳様の言うとおり信じて待つとするか)

ちなみに勝負は引き分け。

この後一姫は決着をつけようとする春蘭に何度も追いかけられることになる。

=桂花・季衣=

「はい、お待ちどうさま」

「わあ~美味しそう♪」

「感激です、お姉様の料理が食べられるなんて」

 

季衣が天の国の料理が食べたいと言って来たので久しぶりに作ってみた。

作ったのはミートスパゲテイ、何故かこの時代にもあったトマトからケチャップを作り、麺はラーメン用のを固めに茹でて代用した。

 

「チュルチュル、うわあ~~、美味し~~い!凄く美味しいよ」

「本当です!何だかこう、巨大化してどこかのお城を壊したくなるような…」

「どういう例えよそれは……」

「おいしいよ!さや、おねえちゃんのおりょうり、だいすき!」

 

口をケチャップでべたべたにしてさやちゃんが笑いながら言う。

 

「ほら、そんなに汚して、上手に食べなさいって言ったでしょ」

 

私も笑いながらさやちゃんの口を綺麗に拭う。

 

「あっ……ジュルジュルッ。お姉様、私も汚れてしまいました♪」

「美味しかった?」

「うん、さや、おなかいっぱい♪」

「じゃあ、お散歩した後にお昼寝しよっか」

「はーい。いこっ、おねえちゃん」

「ふう、美味しかった、ご馳走様!待ってよ姉ちゃん、ボクも行く」

「じゃあ、三人で行きましょ」

 

そうして三人は手をつないで食堂を後にした。

 

「…うう、余計なことしなきゃよかった……」

口周りをケチャップでベトベトにしたままの桂花を残して……

 

 

 

「なあ秋蘭、こういうのはたしか「桜、桜を覚える」というんじゃなかったか?」

「策士、策に溺れるだ、姉者」

「おお、それだ!しかし北郷の料理は結構美味いですね華琳様」

「ええ、さすがに私の嫁ね」

 

 

「うわああああーーーん!」

=華琳(達)=

今日は二日ぶりのお風呂、この時代ではお風呂も経費などの理由からそう簡単に沸かせないらしい。

 

「わ~い!おふろ、おふろ」

「こらさやちゃん、騒いじゃだめよ。こっちにいらっしゃい」

「は~い」

 

まずはさやちゃんの背中を流す、そして頭を洗おうとするのだがやはり子供は頭を洗うのを嫌がる。

 

「いやーー!あわがめにはいるから、あたまあらうのきらい!」

「駄目よ、キチンと綺麗にしなきゃ病気になるわよ」

「やだ~~~~!」

 

さやちゃんが暴れるので”ソレ”が風呂場に入って来たことに迂闊にも私は気付かなかった。

「そうね、キチンと綺麗にしなきゃダメね」

 

そう言って”ソレ”は私の両肩に手を置いた。

 

「 !? か、華琳、何時の間に…?」

「さあ、何時の間にかしら?フフフ」

「わたし、おふろにつかるー」

「こら、さやちゃん!」

「はいはい、今度は一姫が綺麗になる番よ」

「華琳様、お背中をお流しします」

「じゃあ、私はお姉様を」

「えーー、姉ちゃんはボクが洗いたいのに」

「一姫を最初に洗うのは華琳様だ、後は順番にしろ」

 

結局、皆入って来たが最後に秋蘭がとんでもない事を言った。

 

「さすが秋蘭ね、分かっていてうれしいわ」

「し、秋蘭、貴女ねぇ~~」

「しかし、こうでもしなければ収まりが付かんぞ」

「さあ、一姫。背中を流してあげるからそんな物お取りなさい」

「きゃあっ!」

 

華琳はそう言うと私の体からタオルを剥ぎ取った。

 

「さあ、今綺麗に…!! か、一姫、その背中の傷は……」

「お姉様…」

 

皆は私の背中を見て言葉を失っている。

そう、私の背中には左肩から右腰にかけて三本の大きな爪痕がある。

 

「…これは修行中に付いた傷よ。熊を相手にした時にね」

「く、熊だと!?」

「元々凶暴な熊だったんだけど猟師達に追われていく内にどんどん傷を深めていって最後には右腕と左手の二本の指を失い、その頃には三本指と呼ばれていてもう手が付けられないとお婆ちゃんに退治の依頼が来たのよ」

「ま、まさかとは思うが祖母殿はその三本指とやらの相手に……」

「そう、私にさせたのよ。さすがにあの時は死ぬかと思ったわよ」

「ちなみにその熊は……?」

「もちろん美味しくいただいたわよ、当然でしょ?」

「だよね!熊って結構美味しいよね」

「・・・・・・」

 

あれ、どうしたんだろ?

華琳達、呆然としたような顔でこっちを見てるけど私何か変な事言ったかな?

「とにかく一姫、洗ってあげるから大人しくしなさい」

「分かったわよ。そのかわり変なところ触らないでよ」

 

これ以上逆らっても無駄だろうから大人しくすることにした。

 

ゴシゴシ

 

「この傷は貴女の強さの証でもあるわ、そしてその強さは人々を護る事が出来る。だから私はこの傷を醜いとは思わない、むしろ美しくさえあるわ」

「華琳…、ありがとう」

 

私は素直に嬉しかった、そんな風に言ってくれたのはお婆ちゃんについで二人目だったから。

 

ゴシゴシ…ハア

 

「ん?……」

 

ゴシゴシ…ハアハアハア

 

(・・・・・・・)

 

ゴシゴシ…ハアハアハアハアハア

 

「か、華琳、あ、あのありがとう。もういいわよ?」

 

ゴシゴシゴシゴシ……ハアハアハアハアハアハアハア

 

(だめだ、は、早く逃げないと大変な事に…)

「さやちゃん、さあ、上がりましょう}

 

そう言って早く逃げようと立ち上がった時、私は自分の迂闊さを死ぬほど後悔した。

華琳が私の背中を洗っている状態で立ち上がるという事はつまり……

今、華琳の目の前には私のお尻がある訳で………

 

「あ…あのう…か、華琳?……」

 

そして、華琳の何かが切れ、その音は風呂場に鳴り響いた

 

プッチィーーーーーン!!

 

グワシッ

 

「ひゃわあっ」

 

ムニムニ

 

「わわわっや、やだっ」

 

ペロリッ

 

「きゃああああーーーーーーっ!!」

 

突然の事に私は前を隠していたタオルを落とした。

「まあ、お姉様の胸、大きすぎず小さくもなく、綺麗な御椀形」

 

ピクンッ

 

「オオキクナク?」

 

ィィィィィィ……

 

「ん?」

 

秋蘭は何処からとも無く聞こえて来た音に気付いた。

 

「あ、姉ちゃんツルツル」

 

ピクンピクン

ィィィィィィィィィ………

 

「…ま、まさか………この音は…」

「何だ、北郷は生えてないのか?」

 

ピクピクピクピク

キイイイイイイイイイイイイ………

 

「まちがいない、これはあの時の……一姫の槍が放っていた鳴動……。鞘花!早く上るぞ、ここはすぐに地獄になる!華琳様、すみません!!」

 

二人が風呂場から出ようとした時、華琳は止めの一言を口にした。

 

「まあ、しっとりつやつやで可愛いわ」

(華琳様ーーーーー!!)

 

そして一姫の切れてはいけない何かが切れ、その音は鳴り響いた・・・・

 

ブッチイイイイイイーーーンッ!!

ヒイイイイイイイイイイイイイイイイイン

 

病みしモノ、病姫(やずき)。

今、此処に降臨。

 

「アンタタチ、カクゴハイイワネ?」

 

そのすさまじい殺気にようやく華琳は正気に戻ったが一足遅かった。

 

「あ、あれ?か、一姫…ちゃん…」

「も、もももも申し訳ありませんお姉様。お許し下さい!!」

「ごめんよーー、姉ちゃーーーん!!」

「何を怒ってるのだ生えてないくらいで?」

「「「…終わった……」」」

 

ちなみに秋蘭はすでに逃走済みである。

 

「ジゴクニオチナサーーイ!!」

「「「「ギャアアアアアアアアーーーーー!!」」」」

 

 

その後一週間、華琳達は一姫に一切口を聞いてもらえず、春蘭は一姫に剃りあげられて落ち込んでたという。

続く

 

 

《次回予告》

 

遂に動き出した黄巾党。

奴等との闘いの最中、三人の少女達がやって来た。

 

「私達も戦列に加えて下さい」

「役に立つでー!」

「お願いなのー!」

 

激化する闘いの中で、この出会いは何を導くのか。

 

次回、第五話・「乱世に羽ばたけ!朱雀と三羽の烏達!」

 

「見てくんないと泣いちゃうよ」

 

 


 
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