遂に白帝城の前まで来た連合軍
そこに待ち構えている筈の蜀軍の姿は無かった
そしてそこで見たものは
「・・・なあ?雪蓮?」
白蓮が雪蓮に問う
「・・・何?」
「一刀は今、呉に居るんだよな?」
「・・・ええ」
「じゃあ、あれは?」
白蓮が指さしたのは白帝城の門
そこにはこんな垂れ幕がかかっていた。
(お前ら遅すぎ!蜀は俺がもらった!!・・・一刀)
「居るはずない・・・わよね?冥琳?」
「だと思うが・・・」
そんな会話が交わされている時
ゴゴゴ・・・
門が開いていく
そしてそこから出てきた二つの影
その中の片方が言った。
「遅かったな?お前ら」
無論一刀であった。
「か、一刀!?」
白蓮が驚きの声を上げる。
「おう!白蓮久しぶり!」
「う、うん・・・じゃなくて!何でこんな所にいるんだ!?」
「漢女特急便に乗って」
「お、漢女特急便?」
白蓮が訳が分からないという顔をしながら聞いてくる
「貂蝉と卑弥呼と言う名の乗り物に乗ってきた」
「・・・あ~、なるほどね」
「彼等か・・・」
雪蓮と冥琳は言葉の意味を理解したようだ。
「まあ、そういう事だ。蜀の連中とは話がついてる。もう戦う必要はねーよ」
「一刀」
「何だ?雪蓮」
「話がついてるって言ったけど、劉備達にお咎めなしって訳には行かないわよ?国の面子もあるし、将や兵士達もそれだけじゃあ納得しないんだから・・・勿論私もね」
雪蓮が剣呑な目つきで言ってくる
小蓮の言うとおり、ちょっとやそっとでは退いてくれそうにないようだ
「・・・ところで一刀?」
そんな中、華琳が一刀に聞いてきた。
「何だ?華琳」
「・・・貴方の隣のそれは何?」
一刀の隣に立っている物
それは
大きなタヌキの着ぐるみであった・・・
「ああ、紹介しよう。これから魁の国のマスコットになるピーチちゃんだ」
「・・・ペコッ」
ピーチちゃんは頭を下げる
「・・・ジーーー」
恋が興味深そうにピーチちゃんを見つめる。
「ますこっと?何だそれは?」
白蓮が一刀に聞いてきた。
「まあ、可愛さで場を和ませる存在・・・て所だな」
「ふ~ん」
白蓮はピーチちゃんを見ている。
急ごしらえのようであまり出来は良くないが、それでも十分可愛さは出ていた。
「心配しなくても、ちゃんと蜀の奴らには罰を与えておいた」
「そうなの?一体どんな罰なのかしら?」
一刀の言葉に華琳は興味深く聞いてくる。
「まず、桃香には蜀の王の座を降りてもらう。そして蜀の将達には・・・」
そこまで言うと、一刀は指をパチンと鳴らし
「出ろぉーー!蜀メイド部隊ーーー!!」
と大きな声で叫んだ。
「「「「はい!ご主人様!!」」」」
その声と共に門からメイド服に身を包んだ女性達が出てきた
「「「「・・・・・・・」」」」
その姿を見て連合軍の皆は唖然とするしかなかった。
何故ならそのメイド服を着た女性達は全て蜀の将達だったからだ。
「お客様だ!皆出迎えを!!」
「「「「皆様!白帝城へようこそいらっしゃいました!!」」」」
一刀の言葉にスカートの裾を持ち、頭を下げるメイド達。
・・・約三名顔を真っ赤にしてやっている者達がいたのだが
そして明らかに直視できない人が二(ヒュヒュヒュヒュッ!)・・・今の言葉は忘れてください
「・・・ええと」
状況を理解できない白蓮
「これが罰だ。蜀の将たちには俺直属の部下になってもらい、この服で侍女の仕事もこなしてもらう。俺がこの国貰ったんだから別にいいだろ?」
あっけらかんと言い放つ一刀
「・・・いい趣味してるわね」
ふぅ、とため息をつく華琳
「これぐらいの役得はもらわないとな!」
アッハッハッハ!と楽しそうに笑う一刀
正直一刀の元気な姿とこのあまりにも馬鹿馬鹿しい罰に、皆完全に戦意を喪失してしまったようだった。
「・・・ところで桃香は何処にいるんだ?」
白蓮がキョロキョロしながら言う。
メイド達の中に桃香の姿は無かった。
「桃香には別の罰を与えてあるからな」
一刀はそう答えた。
「・・・また馬鹿馬鹿しい罰なんでしょ?」
自分の熱く滾った血は何処へ行ってしまったのか?
拗ねるように口を尖らせる雪蓮
「失礼なやつだな」
「まあまあ、それで桃香は?」
雪蓮をなだめながら再度一刀に聞いてくる白蓮
「そこにいるだろ?」
一刀はそう言ってピーチちゃんの方を指差した。
「・・・桃香?」
「・・・コクッ」
白蓮の問いに頷くピーチちゃん、もとい桃香
「彼女にはピーチちゃんとして働いてもらう。ま、街なんかで子供達の遊び相手にでもなってもらおうかね」
などとのたまう一刀
「・・・それでいいのか?」
「これでいいのだ!」
冥琳の答えに即答する一刀
「・・・あ~~!もういいわよ!好きにしたらいいじゃない!!」
完全に拗ねてしまった雪蓮
「・・・まあいいか。桃香と戦わずにすんだし・・・」
一刀の勝手はもう慣れたと言わんばかりの白蓮
何はともあれ
最終決戦は
結局両軍がぶつかる前に
終わってしまったのだった・・・
「ふん!くだらん!!」
突如その場に声が響いた。
皆がその声のした方向に目を向けると、そこには白い服を着た二人の男がいた。
「何だ?お前ら・・・」
一刀の問いに答えたのは
「貴方達がこの外史に来てるとは知らなかったわん?左慈、于吉」
「うむ、ワシらが来た時には気配が無かったからな」
いつのまにか一刀の後ろに来ていた貂蝉、卑弥呼であった。
「お前達がこいつをここに連れてこなければ、このようなつまらん事にはならなかったものを・・・」
恨みがましく貂蝉達を睨む左慈
「・・・知り合いか?」
「ええ、私達の天敵・・・と言った所かしらん?」
貂蝉の答えに一刀は眉を寄せて
「・・・こいつらも女の心を持った男なのか?」
と言った。
「ふざけるな北郷!こいつらと一緒にするな!!」
左慈の怒声が飛ぶ。
「左慈の言うとおりです。私は男として、男である左慈を愛して・・・」
「貴様は黙っていろ!ゲイ野郎!!」
ヒュッ!と左慈が手刀を繰り出し、それをサッと避ける于吉
「・・・お前ら漫才師か?」
「うるさい!!」
明らかに漫才にしか見えない掛け合いをやっておきながら叫ぶ左慈
「・・・もしかして貴方達がご主人様を」
「フン!ようやく気付いたか!」
「・・・どういう事だ?貂蝉」
「つまり、ご主人様を狙ったのは蜀の人達じゃなくて、この左慈達の手の者だった・・・と言う事よ」
貂蝉の言葉に周りは騒然となった。
「な!?それでは成都で使者に剣を向けたのも!!」
関羽が怒りを露わにして言った。
「その通り。私達の仕込みです」
「お前達には恨みがあったからな。どうせなら絶望の中死んで貰いたかったんだが、こいつのくだらんやり方のせいで・・・」
一刀に憎悪の視線を向ける左慈
桃香はぷるぷると震えていた。
・・・ピーチちゃんの着ぐるみのままで表情は見えなかったのだが
「貴様ァ!!」
関羽が怒りのあまり武器なしの状態で左慈達に向かって行く
「貂蝉!」
「任せて、ご主人様!」
貂蝉は関羽の前に立ち塞がる
「そこを退け!あの男だけは許せん!!」
「・・・気持ちは分かるわん。でも、ここは譲ってあげてくれないかしらん?」
「・・・何?」
関羽は訝しげな顔になる。
そんな中、一刀は左慈に向かって歩を進める。
「・・・つまりお前らが今回の騒ぎの黒幕って事か」
「そうだ」
「俺を殺そうとしたのは戦争を起こすためか?」
「フッ、それはついでのような物だ。実の所俺はお前を殺したくて仕方が無いんだ」
一刀は左慈から歩いて15歩ほどの距離で止まる。
「・・・奇遇だな。俺もお前をぶっ殺したくて仕方が無い」
一刀は剣を抜き、そして構える。
その行動に左慈もニヤリと笑みを浮かべて構えを取る。
「そう思うだろう?」
「貴様も」
そして
「「そう思うだろう!テメエ(貴様)も!!」」
両者は大地を蹴った・・・
どうも、アキナスです
こんな策で大丈夫か?
一番いい策を頼む
などと〇ーノックネタかましてみたり・・・
まあそれは置いておいて、戦争は回避されましたが別の最終決戦が始まってしまいました。
この外史も遂にクライマックス!
果たしてこの戦いの結末は!?
それでは次回に・・・
「妖狐!火輪尾の術!!」
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一刀の桃香への提案
それは・・・