始めに、主人公を始めとした登場人物の性格にズレがあるかもしれません。
なお、オリキャラ等の出演もあります。
そして、これは北郷一刀のハーレムルートではありません。
そういうものだと納得できる方のみ、ご観覧ください。
第19話 拠点 by一刀
拠点 月と神士な御使い様
「すーー。ふぅーー」
前後に大きく足を開いて、腰を曲げて腰を落とす。
そして、右手で構えた刺突剣の先端を的に向ける。
「前進しながら、腕を伸ばしきって目標を討つ!」
風切り音と共に、わら人形の首に剣先が突き刺さる。
「小手、面、胴!」
小手で掌を突き刺し、面で顔面を突き通し、胴で腹を突き破った。
「小手払い面!小手面!ひき面!」
剣道の掛け声と共にフェンシング(亜流)の練習に興じる馬鹿な青年の姿があった。
というか、俺だった。
「お疲れ様です。一刀さん」
労いの言葉と共にお茶を差し出された。
「ども」
淹れたてのお茶をすする。茶葉の良い香りが鼻を抜ける。
さすが洛陽。備え付けのお茶がパない。高級品みたいだ。
「それ、珍しい剣ですね?そんなに細くて、折れちゃいませんか?」
「さあ?実戦で使ったこと無いし。使いたくも無いし。まあ、でも、折れるんじゃないかな?下手打てばボキンッだと思うよ」
けど問題は無いだろう。だってさ、例えば季衣の岩打武反魔を受けて折れない剣が有るのか?そりゃ、春蘭の七星餓狼は折れてなかったけどさ、あれは武器も使い手も異常なんだろ?
普通の剣使ってても、折れる時には折れるんだから、刺突剣でもいいじゃないか。
「まあ、折れない様に工夫しながら使えば結構いいと思うんだよね。刺突剣。練習あるのみ」
「へぅ。一刀さんはその珍しい剣の訓練をずっと受けていたんですか?」
「いや、こっちの世界に来てから始めたんだよ。基本は、竹刀。いや、日本刀っていう、鉄剣の最終進化系みたいな物の練習をしてたんだけど。この時代じゃまだ作れないらしいから。こっちに鞍替えしてみようかな~と思ってみたり。これはこれでまあ、俺らしい戦い方が出来る」
お茶受けを摘まみながら湯呑を置けば、すぐにお茶を淹れてくれた。
よく訓練されたメイドさんだ。メイド検定一級をあげよう。
「一刀さんらしい戦い方ですか?この珍しい剣で?」
「ふふふ、珍しいことに意味があるのだよ。まあ、それについてはもう少し後で俺の戦闘描写の入る話の時に説明するとして。なあ、俺さ。今すぐ聞かなきゃいけないことが有るんだわ」
「なんでしょう?」
「なんで、、ここに居る訳?月」
「へう」
「へう、じゃねーよ!何でもかんでもそれで誤魔化せる訳じゃないぞ!俺、逃げろって言ったじゃん!!前回、あんなに格好を付けて君を守ろうとしてたじゃん!?なんでここに居る訳?おかしいだろ!!」
叫んだら、息が切れた。肩で息をする俺。湯呑に入っていたお茶を一気に飲み干す。
月は即、お茶を注いてくれた。
「どうぞ」
「ああ、ありがと。ふ~、落ち着くな~。、、、って、違う!落ちつかない!月がここに居る限り俺は落ち着けない!!」
月に指さして叫ぶ。
「出てけよ!とっとと天水に帰れ!へうっ子!」
そう叫んでも、月はニコニコ笑顔で俺を見ているだけだった。
何だ?耳が聞こえてないのか?耳掃除してやろうか?右耳から貫通して左耳の穴ほじってやろうか?
「月。少し待ってろ」
「はい」
耳かきを持ってきた。
「ほら。耳掃除してやるから。膝に頭置いて横になれ」
本当にやるぞ。俺は有言実行な男なのだ。
「えっ?、、、、、へ、へぅ」
戸惑っていた月。膝を叩いて催促すれば、そっと頭を膝に預けてきた。
柔らかい淡い青色の髪を、手櫛で梳いてやれば小さな耳が見えた。戦闘開始だ。
「って、なんだよ。スライムも爆弾岩もいない洞窟だな。つまらん」
予想通りというか、なんというか。綺麗だった耳の穴を手持ち無沙汰で耳かきで掻く。
「んっ」
月は反応した。耳が赤く染まっている。気持ちいいらしい。敏感な奴だ。
「あ、あの。一刀さん」
耳の中を耳かきで掻いたり、指先でほじったりを繰り返していると月は震える声で聞いて来た。
「うん?」
「その、耳、、汚れて、ますか?」
「いや、綺麗だよ。綺麗すぎた。むしろ、汚れてて欲しかったんだけどな。掃除するんだから、汚しとけよ。つまんないな。どうせ、何時も気にしてんだろ?気にすんなよ」
「っっ、、、女の子は、みんな気にしますよ。一刀さんだって、綺麗な方が好きです」
「いや、むしろ汚いところが綺麗な女の子の方が気持ち悪いよ」
「、、、、、、、」
月に顔をそむけられてしまった。膝に頭を置いたまま、遠くを見られてしまった。
何が気に障ったのかな?仲良くなる為に、季衣とよくした耳掃除のし合いをしようとおもったんだけど。
失敗しちゃったらしい。
拗ねたらしい月を見て、耳掃除は諦めて頭を撫でる。
淡い青色の髪が指の間を通っていく。本当に、何故だか懐かしい気がしてならない。
「月。どうして、洛陽に残るんだ?このままここに居れば、ここは戦場になると思う。その時、狙われるのは多分、月だぞ?」
月は何も答えない。ただ、俺の膝に頭を預けたまま遠くを見ていた。
「今なら、まだ間に合う。天水に帰れって。そうすれば、少なくとも多くの諸候に命を狙われることは無くなる。しばらくは、平穏な日々が送れる。嫌いだろ?、、戦争なんて」
空を見上げながら、最後の部分を強調して言う。
「、、一刀さんも。嫌いですか?戦いは」
「ああ、大嫌いだよ。ふざけてもいられない。笑ってもいられない。そんなの、嫌だから。『そんなあの子を見てたくなくて。覇道なんて歩もうとする子を止めたくて。敵対しようと思った』くらいだ」
本音が漏れたけど、気にしないことにする。月はこんなことを風潮する子ではないと思うし。
「じゃあ。どうして、私の代わりになろうとしてくれるんですか?戦いたくないのに、戦おうとするんですか?」
空を見上げていたから、気づかなかった。いつの間にか、月の瞳は真っ直ぐと俺に眼を見上げていた。
「月を守りたいって思ったからだ。だから、早くここを出て行ってくれ」
「私も一刀さんを守りたいです。ですから、ここに残ります」
「退いては、くれないのか?」
「退きません」
「そっか」
「はい」
最初だけ、お互いの瞳を覗きこみながら。後半はお互いに遠くを見つめながらの静かな討論。
「はぁ。強情、意地っ張り、人に話を聞かない。どうして、俺の周りに居るのは我が儘な女ばかりなんだ?華琳そっくりだぞ、月。性格は正反対だけど」
そしてどうして、俺が守りたいと思う女は我が儘な奴ばかり何だ?俺はマゾか?
その上、二人とも体の発育はよろしくないんだが。季衣ちゃんのこともあるし、俺はロリコンか?
俺はロリコンでマゾなのか?嗜虐趣味の少女愛好者なのか?もう救いようがねえな。
せめて逆なら、サドなら善かったのに。加虐趣味の少女愛好者。
、、、、もっと救いがなさそうだ。犯罪臭がパない。
「どいつもこいつも俺の話を聞かない女たちだ」
「多分。その人も、一刀さんが好きなんだと思います」
「そうなら、いいんだけどな。って、ん?月。今、『その人も』っていったか?なんだ、じゃあ、お前は俺のこと好きなのか?」
ニヤニヤと笑いながら聞けば。
「へぅ」
顔を背けられた。
「誤魔化すなよ」
こちらを見ない月の髪を撫でながら、思う。これから、どうなるのかな?
拠点 御使い様と意地悪天使
月との休憩を挟んだ後、鍛錬を再開していると恋が現れた。
「恋と、、勝負」
「、、、、、ふっ」
そう、あのイベントだ。
幾多の神々(作者の方々)が挑み続け、語り続けてきた、大陸最強とのバトルイベントだ。
俺が専用武器を持ったとすると、それはこのイベントのフラグと考えて間違いない。
天におわする、俺の神(原作者)も嘗て盛り込んでいた見せ場。絶対不可避の必定フラグ。
この戦いだけは絶対に避けられない!!
「だが、断る!」
「え?」
まさかの拒絶にも恋は動じず。表情が変わらないまま、疑問符だけを頭に浮かべる。
「大体さ、勝てる訳ないじゃん。勝負にもならないと断言するね」
「でも、、がんばれば」
「無理無理。才能ってのは確かに存在するんだぜ?それを努力して覆すってさ、そりゃすごいけど実際は出来ないだろ。努力すれば願いが叶うなら、世の中。プロ野球選手とパイロットしかいなくなっちゃうだろ」
「そう、、、、かも」
恋は空を見上げて、何かを創造、間違えた。想像したのか何度も小さく頷く。
「と、言う訳で。対決とかそういうのはナシの方向で。OK?」
「桶?」
恋は納得してくれたようだ。首を傾げているのは気になるが。
「まあ、恋。一つ賢くなったな。このことから得る教訓は、努力すれば夢は叶うけど。才能がなきゃ努力出来ない。だぞ」
「ん」
方天我戟も何処かに消し、戦闘モードから通常モードに恋は移行した。
俺の手にも既に刺突剣は無い。、、、、突っ込んじゃいけないと知っているが、あえて言わせて貰おう。
武器、何処に消えているだろうか?異次元空間?
「そうだ、恋。戦いたいなら左慈と仕合ってこれば?あいつなら喜んでやってくれると思うけど」
「それは、、できない」
恋は首をふる。
「どうして?」
「左慈はもう、華雄とずっと一緒」
「ずっと一緒に鍛錬してるのか?」
「ん」
頷く恋を見て、俺は顎に指を添えて考える。
なんだ?何か嫌な予感がする。
なんだか俺の知らない所で、左慈になにかしらのフラグが立っている気がする。
華雄が左慈を?まあ、似た者同士の直情型だからあり得なくもないか。
左慈としても、華雄のああいう性格は嫌いなタイプじゃない筈だ。
もしかしたら、親友に運命の出会いがあったかも知れない。
北郷一刀はどう動く?
1,手を貸す。
2,見守る。
3,冷やかす。
4,ぶっ壊す。 ← ピッ
「よし、恋!華雄と左慈のところへ行くぞ!会話の中にじりじりと入り込んで、まずは、その幸福をぶっ壊す!」
ぶっ壊すことにした。親友として当然の選択だろう。上条さんだってこうする筈だ。
大体、左慈には春蘭がいるだろう。
それなのに華雄といちゃつくなんて、なんて頭にくることか。
浮気は駄目だろ、浮気は!
「一刀、、、だめ」
「うっ」
恋に怒られた。あの恋に怒られた。可愛い口調だけど、殺気が漏れてるから本気で怖い。
「華雄も左慈も楽しそうだった。邪魔は、だめ」
「くっ、わかったよ。恋がそう言うなら、手をひこう。でも、なんか悔しいから恋ちゃん。俺といちゃいちゃしない?」
「いちゃいちゃ?」
意味が伝わって無い。まあ、恋ならしょうがないか。
「取りあえず、なんか食べに行くか?俺が奢るから」
「行く」
即答だった。
「じゃ、行こう!」
「ん」
「と、言う訳で街に出て定食屋に来てみました~♪見てくださいこの行列!流石はミシュランで三つ星を獲得したお店ですね。外に居てもなんだがいい匂いがしてきちゃいますよ~。このお店、どう思われます?グルメリポーターの恋さん」
「、、、、、おいしそう。、、、、じゅるり」
「はい!おいしそう頂きました!けど、そこまで涎垂らしてたら流石に視聴者の皆さんが引きますよ?」
「恋の涎は、ダイヤモンド」
「確かにお金で買えない価値はありそうだ」
定食屋に入って、恋と共にはっちゃけていた。
恋ちゃんは異様にノリがいいから楽しいよな。
「で、何食べる?恋」
「一刀は?」
「俺は麻婆豆腐と白米をパワフルにミックスしてトュギャザーさせようと思う」
「ん、、、じゃあ、恋は、、肉まんとあんまんと豚まんとピザまんとフカヒレまんと青椒肉絲まんと桃まんを、、」
「待て、恋。“”お前は饅頭に呪われてるのか?“”あと、途中に“”中華まんじゃないまん“”が混じって無かったか?」
「ん??」
可愛らしく首を傾げてんじゃねえよ。
頼むから、電波でもいいから世界観は壊さないでくれよ。
「、、、、だめ?」
「いや、まあ、恋がいいなら別に良いんだけどさ」
「ありがと、、、じゃ、すいません」
「はーい!」←店員さん
「肉まんとあんまんと豚まんとピザまんとフカヒレまんと青椒肉絲まんと桃まんと豚角煮まんとラーメンまんを、、、五十個ずつ」
「はーい♪」←店員さん
「待てぇぇぇぇ!」
「ん?」
「ん?じゃねえだろ!?遠慮って言葉知ってるか!?そんなに頼んで、金あるのかよ!そしてさりげなく足してんじゃねえよ!」
「一刀、、奢ってくれるって言った」
「言ったけども!言ったからこそ、少しは遠慮しないか!普通!?」
「だめ、、、なの?」
「ぐっ、、」
そんな、捨てられた犬みたいな眼で俺を見るなよ、、、、
なんか、俺がすごい悪いことしたみたいじゃんか。
別に俺、悪くないよね?社交辞令って奴を教えてあげただけだよね?
「ほら、彼氏さん。いいところ見せてくださいよ~♪」←店員さん
彼氏さんじゃねえよ。そして、儲かって嬉しいのはわかるけど、その笑顔止めろよ。
恋が料理頼んだ瞬間ニコニコになりやがって。
お前達が饅頭ばっか売ってるから、俺は顔の筋肉がつりそうなんだよ。
「一刀、、、だめ?」
「ぐっっ、、れ、恋。お前がな、そんなに頼むと、俺はもう、水とお冷をトュギャザーさせるしかなくなるんだけど。水の水割りしか飲めなくなるんだけど、、、」
「、、、、、、仕方ないから、恋の少し分けてあげる。感謝しろ」
「よかったですね~♪彼氏さん」←店員さん
「、、、、、、、、、、」
なんだ、奢ってるのは俺なのに、この敗北感。
そして、恋ってそういうこと言うキャラだっけ?
「もう、どうでもいいや」
「ん。一刀、、いい子」
「まいど~♪」←店員さん
なんかもう、理不尽な敗北感に苛まれて、机に突っ伏す。
恋はお冷をちびちび飲みながら話しかけてくる。
「一刀」
「なに?」
「一刀は、馬鹿?」
「俺と喧嘩したいな最初からそう言ってくれよ。一大決心して立ち向かうから」
十割十分負けると思うけど。
立ち向かうぞ、男だし。
「そう言う意味じゃない」
恋は首をふるふるさせながらそういう。
じゃあ、どういう意味だよ。
遠まわしに喧嘩売ってたんじゃないのか?
「一刀は、優しい。月にも、優しい」
「、、、、まさか、アレ、見てたのか?」
こくん、と恋は頷く。
まさか、、見られていたなんて、、、、恥ずかしいな。
「恋にも、優しい。どうして?」
「いや、どうしてって言われても、、」
「やっぱり、、、、馬鹿だから?」
「それは違う」
その理屈だと、馬鹿な奴は全員優しいってことになるな。
いや、馬鹿で悪い奴もいるだろ。馬鹿だから悪い奴になる奴が多いと、俺は思うけど。
「そうだなぁ、強いて言うなら、、」
「いうなら?」
「月も恋も可愛い女の子だからじゃないかな。二人が男だったら、此処までして助けようとなんてしなかったぞ」
「恋が、、可愛いから?」
「そうだよ。可愛いから、助けるんだ」
理由も無く、誰かを助けようと思うほど、俺は出来た人間じゃない。
月と恋達が女の子だから、俺は助けるんだ。下心だって、あるんだろう。
俺は英雄じゃない、ただの平凡な、人なのだから。
「お待たせしました~♪」←店員さん
丁度いいところで、笑顔の店員さんが山の様な点心を運んできた。
「よっしゃ、食べようぜ、恋」
「ん、、、食べる。、、けど、一刀は全部、三個まで、、」
いや、まあ、別にいけど。
肉まんとあんまんと豚まんとピザまんとフカヒレまんと青椒肉絲まんと桃まんと豚角煮まんとラーメンまんを各3つずつでも、計27個だし。
それだけ食えば、腹だってふくれるだろう。
でも、それにしても、、、
「なあ、恋ちゃん。なんか今日、ちょくちょく意地悪じゃないか?」
「恋、、意地悪?」
「まあ、言うほどじゃないかもしれないけどな」
意地悪でいうなら、華琳の方が数段上だし。
懐かしいな、華琳のいびり。
「よかった、、、」
「よかったの?」
怪訝な声が出る。恋はコクンと頷いた。
「ちんきゅがいってた、男の人と仲良くするには意地悪するのがいいって」
「ふ~ん。時代先取りのツンデレか?流石は陳宮だな。見事な策かもしれない」
「そして、『勘違いしないでよね。あんたなんか犬以下なんだから』って言って帰って来いって、」
「まった、そのツンデレは少し上級者向けすぎる。する方も、される方も」
「、、、恋には、わからない」
「まあ、いいや」
後書き
て す と が お わ る
も う す こ し
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董卓軍と北郷軍。拠点~