「・・・あいたたた。華琳、無事か?」
「大丈夫よ、一刀が地面との間に入ってくれたお陰で。さて、この荒野。見覚えは?」
華琳をお姫様抱っこしているような状態で、俺はこの外史への大地に叩きつけられたようだ。
以前なら、お互いに照れがあるこの格好も、さも当然のように収まっているのは、いいのか悪いのか・・・。
「ああ、この後野盗が現れて、そこを星・・・趙雲、稟、風に助けてもらう流れだね」
「・・・一度許されたとはいえ、真名は迂闊に呼ばない方がいいわよ。ついうっかりというのも洒落にならないから」
「うん、気をつける。
二人ともフランチェスカの制服だし、おまけに華琳の髪が黒に変わっているのも、意味があるんだろうな・・・」
そう言いながら、ポケットから取り出した手鏡を華琳に見せる。
黒髪ツインドリルの華琳は、今、フランチェスカの制服を着ていることもあり、まるで俺と同じ日本人に見える。
「あら。これはこれでありね。春蘭のような、綺麗な黒髪もとてもいいものだと思っていたし」
うんうん、と頷く華琳。うん、俺もすごくありだと思います。
「この服も着馴れたものだけど・・・って、お客さんよ」
振り向くと、覚えのある黄色いバンダナを巻いたのっぽ、ちび、太っちょの三人組。
あぁ、本当に帰ってきたんだなぁ。
「へへ、兄ちゃん姉ちゃん。荒野のど真ん中で抱き合うなんて、お熱いことだな」
「無粋と思うなら、放って欲しいものだけど?」
「ははは。そんな珍しい恰好してる若い男女を見逃すわけがないだろう。・・・さぞ、高く売れるだろうしな」
はぁ、と心底呆れたため息をつき、華琳が俺の腕から滑り出る。
「一刀。一人ぐらい相手なさい。今の貴方なら、三人でも何とかなるでしょうけど」
「判った。多少は腕が上がったかどうか、実践するいい機会だ」
どこからともなく、華琳は婆ちゃんから託された鎌~『陽』を取り出し、俺は静かに爺ちゃんから譲り受けた模擬刀を構える。
「な、なんだ。やろうってのか!」
「違うわ」
「んだと・・・?」
「身の程を教えてあげる、というのよ」
久しぶりに見る覇王の笑み。黒髪だろうが、金髪だろうが、華琳はやっぱり華琳だ。
哀れな三人組の末路に心の中で合掌しながら、俺たちは戸惑っている奴らに攻撃を開始した───。
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魏アフターを書きたくてしょうがなくなって、おもむろに書きだした。
・・・ちょっと後悔している。打ち切り臭的な意味で。
始まりは魏ルートをもう一度なぞってますが、さて、どの陣営に行ってもらおうか。
しばらくは現代編を書くので、その間に決めてしまおう・・・。