No.224764

鳳凰一双舞い上がるまで 雛里√ 12話

TAPEtさん

真・恋姫無双の雛里√です。
雛里ちゃんが嫌いな方及び韓国人のダサい文章を見ることが我慢ならないという方は戻るを押してください。
それでも我慢して読んで頂けるなら嬉しいです。
コメントは外史の作り手たちの心の安らぎ場です。

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2011-06-25 23:23:06 投稿 / 全10ページ    総閲覧数:3621   閲覧ユーザー数:3149

ヒューー

 

ヒューーー

 

「…やっぱ居なくなったかな……」

「一刀さん、そろそろ帰った方が…」

「…そうするかな」

 

街に出て説得作業しているうち、俺が助けてくれた家族が肉屋をしていたようで、そのおじさんになんか羊の肉をもらった。

生でもらってもすごく困るのだったが、断ることもできなく、だからと言って塾に行って焼くというのもどうかと思ったところ、ふとあの狼がまだ残っているだろうかと思って雛里と一緖に来てみた。

この前主狼が他の森に移るって言ってたしもう居ないのかもしれないけど…

まだ日が暮れてもいない……まだ活動時間じゃないのだけかもしれない…

 

「もうちょっとだけ呼んでみて……」

 

ひゅーーー

 

だけど、やっぱり気配を感じない。

 

「やっぱ居なくなったのかな……」

「この辺りだともう狼の群れが食べれるようなものは残ってませんからね…」

「そもそもどうしてそんな風になったんだ?」

 

狼たち、そんなに無計画で自滅するような連中じゃないのに。

 

「最近は天気とかがおかしくて、山にいた鹿とか狼たちに食べられる役の動物たちが飢え死んだり、それとも食べ物がなくて人たちが狩って言っちゃったせいで、狼たちの群れがお腹を満たすほどの食糧が得られなかったのかと…」

「そうか……」

 

色々とあったんだね。

人たちも結局は生きるためにやったわけだし、責めるわけには行かないが……狼たちが犠牲になってしまったと考えると、また良い気にはならないな。

 

「とは言え、他のところに行ってしまったのだったらどうしようもないな……この羊の肉は…まぁ、孔明たちでも誘ってこっそり食べるか」

「そうした方がいいかと…最初から人の目考えずにそうした方がよかったんじゃあ」

「でもなんかアレじゃないか?他の娘たちもたくさん居るのに…」

「自分で心配しなくていいことまで心配するのは一刀さんの悪い癖かと思います」

「嫌、俺は別にいいぞ。ただ……雛里がまたいじめられるようなネタになりそうなことは作りたくないわけで…」

「……」

「……」

「そ、そういうところが余計な心配だと言うのです」

「うーん、そうかな」

「(心配してくれるのは嬉しいですけど)」

 

 

結局そのまま帰って孔明と奏でも誘って一緖にバーベキューでもすることにした。

 

その時に…

 

バサッ

 

「!」

「あわっ!」

 

アイツが来た。

 

ぐるる…<<久しぶりだな、人間。他のところに行くと言ってなかったか>>

 

「久しぶり……そういうお前こそ、まだここに居たのだな」

 

ぐるる<<他の奴らは行かせたさ。俺はここに残る…この森から離れるわけにはいかないのでな>>

 

「群れの長の座を譲ったのか?」

 

<<元なら息子の奴に継がせるつもりだったが…仕方なく他に信用できる奴に任せた。俺は死んでもここで死ぬ。他の所にはいかん>>

 

「……死んでたまるかよ。ほら。街で羊の肉もらったんだが、食べるか?」

 

<<羊の肉か…いいな。だが、話を聞く限り、お前らで食べる計画があったようだが?>>

 

「まぁ……最初はお前にやるつもりだったんだけど…どうせろくに食べてもないんだろ」

 

<<もって帰れ。例え飢え死にしても、俺は狼に残る。人に狩られる犬に成り下がっては堪らん>>

 

「……じゃあ、喰わんと?」

 

<<帰れ>>

 

「っ……」

 

 

雛里SIDE

 

「何だよ、せっかく持ってきたのにあの態度は……<<渋々>>」

「キャハ、美味しそうですね」

「はわわ、一緖にもらっちゃっていいの」

「うん、どうせ二人で食べるには多いし」

 

一刀さんは主狼に断られて何か不機嫌そうに渋々と言いながら羊肉を焼く準備をしています。

倉ちゃんと朱里ちゃん、そして奏ちゃんまで誘って全員5人揃って食べることにしました。

水鏡先生は誘ったものの遠慮してくれました。

 

「食器一つ余っちゃいましたね」

「?…いや、合ってるぞ」

「え?私六つ持ってきてますよね」

「うん、今ここ六人いるじゃん」

 

……え?

 

「…一刀さん、そういう話怖いからやめてもらえませんか」

「…………お前も不憫だな…」

 

なんですか、私の横に一体何が見えるんですか!?

 

 

一刀SIDE

 

「……まだ?」

「まだですよ。羊は焼くのに時間かかりますから」

「……早く食べたい」

 

倉は焼き終わる途端に俺の前に皿を出す準備万全だ。

 

「キャハハ、それにしてもまさか本当にここまで来るとは思いもしませんでしたね」

「まぁな……」

 

正直なところ、俺は今まで生きてる中で人のために一番頑張った気がする。

二週間も街中めぐりまくったわけだし…

 

「倉ちゃん、明日街の長老たちと一緖に山の方へ行くんだけど一緖に行く?」

「!<<コクコク>>」

 

もう二週間以上裴元紹たちに会ってない倉がその誘いに乗らないわけがなかった。

それにしてもいよいよ明日だ。

あれがうまく行くと来週からには街の人と裴元紹たちの間の商売が動くはずだ。

 

「………北郷さん」

「?どうした、孔明」

「…明日、私も一緖に付いて行ってもいいでしょうか」

「え?」

「朱里ちゃん?」

 

俺も雛里も孔明の話に驚かざるを得なかった。

孔明はその後この話については全然話をしなかったのである。

賛同することも、反対することもなくただ俺たちがやってるまま放っておいた。

だからこそ、今になって俺たちと一緖に行くというのが不思議に感じた。

 

「それは構わないけど…いきなりどうして」

「別に大した理由じゃありません。ただ、雛里ちゃんがアレだけ頑張ったことがどういうものだったのか自分の目確かめたいというのだけです」

「…そう…まぁ、こっちとしては断る理由はないけど…雛里は」

「私もいいです。…ありがとう、朱里ちゃん」

「………」

 

雛里は孔明が自分がやっていることをやって理解してくれたと思って嬉しそうに言ったが、俺が見る限り孔明の様子はきっと雛里が思っているそういう類のものでは見えなかった。

でも、口にはしないでおこう。雛里、うれしそうだし。

 

と、そろそろ食べれるかな

 

「食べるか?」

「てわわ、ありがとうございます」

 

ヒョイ

 

「てわわ!」

「あ、こら、倉!」

「……一番ノリ」

「キャハ、もういいんですか?」

「ああ、いいんじゃないか?」

「キャハ、おいしいそうですね」

「肉だけじゃなくて野菜も取れよ」

「キャハ、はーい」

「てわわ……私のお肉…<<うるん>>」

 

後であげるから我慢しろ。

 

 

「はー、美味しかったです」

「羊肉、初めてだけどなかなか美味しかったな」

 

結局そうやって六人(五人?)で食べ終わって、残ったのは消しかかっている火と骨に、食べ終わった食器だけになった。

 

「後片付けは奏たちがやるのですよ」

「ああ、頼む」

「…美味しかった」

「ほら、倉ちゃんも手伝うのですよ」

「…うん」

 

奏と倉が食器と骨を回収して先に退場して行った。

「キャハ?何で使った食器が六つなのでしょうか」「……わかんない」という会話が聞こえた気がするけど……

強く生きろよ…ってまた居ないし。

 

「孔明さ」

「はわ?」

「……いや、何でもない」

 

食べる間に誰も気づかなかったよな。

 

「それじゃあ、私もすることがあるので先に失礼させていただきます」

「?雛里と一緖に行かないのか」

「………」

「……?」

 

なんか雛里がこっち見てる。

 

「それじゃあ、雛里ちゃん、話が終わったら帰ってきてね」

「…うん」

「それじゃ、北郷さん。お休みなさい。また明日」

「あ、ああ」

 

そう言って孔明は先に帰った。

そして、雛里と俺と二人だけが残った。

 

「……何か、話があるのか?」

「…はい」

 

雛里がこっちを真剣な顔で見つめていることに気づいた俺は、さっきまで一緖に遊んで高揚した感情を抑えて雛里を見つめた。

 

「そろそろ寒くなるし、中で話すか?」

「いえ、そんなに長引く話じゃありませんから…ここで大丈夫です」

 

 

雛里SIDE

 

二週間、一刀さんとずっと一緖に居ました。

色々ありましたけど、結果的には私たちが望んでいた通り、山賊の人たちと街の人たちの間での交流は希望的です。

だけど、

その後は……

 

「今やってることが終わったら…一刀さんはどうするつもりですか?」

「…どうするって……」

 

一刀さんはどうするんでしょうか。

また、どこかに行くつもりでしょうか。

もし行くとしたら、今度は私のことを連れて行ってくれるのでしょうか。

そしてなによりも、聞きたいことがあります。

 

「あの時、私が『好き』と言ってましたよね」

「……!」

 

その言葉を聞いた一刀さんは私を見ていた目を逸らしました。

分かっています。

自分でも分かっています。

今までお互いに黙っていたのです。あんなことがあったこと、それ以前からも、それ以後も、気まずそうなことが起きる度で二人揃って約束したかのように水に流して、それからまった何にもなかったかのように振舞っていました…

それは、一刀さんにとってあまりにも気まずい状態に陥ることを防げ、私にとってはそんな数々の恥ずかしい状況を凌げるためでした。

 

だけど、

だけどもうそうしている時間がありません。

これから、街の人たちを説得する作業が終わると、私はまた一刀さんと一緖に居られる口実を失ってしまいます。

そしたら、また一刀さんが一人でどこかに行こうとしても、今度は勝手に無理言って付いていくことができません。

私には朱里ちゃんも、元直ちゃんも居て、それから倉ちゃんだってここにずっと居ます。

もし、いえ多分絶対、一刀さんはここから出ようとするはずです。

そして、その原因が私にあるということは、以前の出来事で既に学習済みです。

 

だから、ここではっきりさせます。

私は…あなたに付いていくべきなのか、それともこのまますれ違う仲になるのか。

 

「……それって、今でもまだ続いてますか?」

「………」

 

 

一刀SIDE

 

祖父さんを失ったあの時から、俺には大切な存在と言えるものがなにも残っていなかった。

他の人たちには興味がなかった。

皆他人だった。

学友、先生、道場の人たちさえも、俺に人生に大きく関わるような存在にはならなかったし、なれなかった。

 

失うことの辛さを知ってしまったら、得ることさえも怖くなっていた。

だから、人たちが近づく前に追い払っていた。

そうでもしないと、今度またそんなことに会ってしまったら、俺はきっと壊れてしまうと、そう思っていたからだ。

その喪失感に圧倒されて、壊される……それが怖かった。

 

なのに

あの時、俺は雛里に『好きになりそう』だと言った。

だけど、今はそうじゃない。

二週間の間を一緖に行動して、一緖にご飯を食べながら俺は気づいた。

 

「愛してる」

「!」

 

はっきり言う。

『好き』というと色々ある。

友人として、恋人として、親子、兄弟、姉妹、触れ合う人たちの中なら誰でも好きと言える。

人たちの触れ合いの中で『好き』という感情はそれほど大した話ではない。

だからはっきり言う。

 

「初めて見てから一目惚れだった」

「あ……私は……」

「18年生きて家族以外の人にこれほど関わりたいを思ったこともないし一緖に居たいと思ったこともない……」

「………っ!」

「初めてはただの面白い女の子だと思っていたのに日々つづく度にどんどんお前の存在が俺の中で大きくなって行くのが怖くてお前から逃げようとした時もあった。だけど今は……」

「…………!!」

「………」

 

あ。

 

 

雛里SIDE

 

怖かった。

 

「愛してる」

 

突然のこと。

覚悟していたことよりも遙かに沢山の言葉注がれてきて……怖くなってました。

 

「初めて見てから一目惚れだった」

 

この人が良い人だと思ってました。

一緖に居たいと思いました。

この人が好き……だと思っていました。

 

だけど、

 

「私は……」

「18年生きて家族以外の人にこれほど関わりたいを思ったこともないし一緖に居たいと思ったこともない……」

「っ!!」

 

一刀さんはどんどん私に迫ってきて、私はそんな一刀さんから一歩ずつ後ずさって…後に一刀さんの部屋壁に背中が当たると当時一刀さんの両手によって横に逃げる道まで塞がれてました。

 

「初めてはただの面白い女の子だと思っていたのに日々つづく度にどんどんお前の存在が俺の中で大きくなって行くのが怖くてお前から逃げようとした時もあった。だけど今は……」

 

怖い。

この人の想いが…

ぶつけて来る言葉が怖くて…自分がこの人をどう思っていたかが分からなくなってしまうほどに……

私が思っていたことがこの人と同じものなのかが分からなくなって……あまりにも大きいその想いに答えることが出来なくて…

 

「……っん!」

「………………すまん」

 

……え?

 

「泣かせるつもりじゃなかった」

「え?」

 

え、どういう……

 

「あ」

 

あ……私…泣いてる。

怖くて…迫ってくるこの人のことが泣いてしまいました。

 

「俺はただ……」

 

目の前には、さっきまでの自分の大きな想いをぶつけてきた人の代わりに慌てて私から離れる一刀さんが居ました。

 

「……ごめん」

「……あ…の」

 

嫌です。

 

「そう言えば、この先どうするって話だったな」

 

違います。

そうじゃないんです。

 

「そうだな、まず旅がしたいな。中国大陸なんて滅多に来れるところではない。しかも俺は、この時代の多くの英雄たちを知ってるんだ。彼ら皆、歴史に名を残すほどのこの世に大事な人たち…その人たちをこの目で見たい」

 

私が言いたかったことはそういう話じゃ……

 

「近いところから行くかな。荊州だと…一番有名な人たちがもう大分見ちゃったけど…でも黄忠とか魏延とかもここに居るだろうし、そういう人たちに会って見るのも悪くないかな。後は孫堅や孫策たちとかも…」

「一刀さん」

「それから中原通って河北に行ってみよう。あそこにも中々人が多いからね」

「一刀さん」

 

こっちを向いてください。

どうしてこっちを向いて話してくれないんですか?

 

「曹孟徳、劉玄徳、袁本初…まだ黄巾党が動いている時期だからまだまだこれからってところだ。本当の乱世が始まる前に会ってそのうちどこかに仕えたりするのもなかなか……」

「一刀さん!」

 

ピタッ

 

ぺらぺらとしゃべっていた一刀さんが突然口を閉じました。

でも、まだ背を向けたままです。

 

「………」

「……こっちを…見てください」

「…何故?」

「……」

「…さっきのはほんとごめん。ちょっと……感情が先走って口が止まらなかっただけだよ。雛里のことも考えずに吐き出しちゃって本当にごめん。だから……許して」

 

何をですか?

許してくださいと言いたいのは私の方なんですよ。

 

一刀さんのそれに比べれば、あまりにも安易だった自分の感情で…一刀さんを泣かせてしまって……

 

 

一刀SIDE

 

ふざけていた。

何もかも……

こんなの俺じゃないはずだったのに…

こんな考えるまま言葉を吐き出して……雛里を泣かせてしまった。

それが本当にそういう感情なのかもしれないくせに……

 

俺は馬鹿だ。

少なくも及川がこれを見ていたら大笑いものだろう。

 

今まで大切な人たちを失ったのは避けられない運命だったけど、今回ばかりは俺自身の過ちでそうなってしまうだろう。

一生で、自分で出来る一番馬鹿な真似をした。人に自分の想いを晒すこと。

 

「一刀さん」

 

後から雛里が俺に近づいてくる足音が聞こえた。

だけど、数歩でその音は止まった。

 

「……ごめんなさい」

「……俺も、すまん」

「お休みなさい」

「…お休み」

 

そして、足音は俺から遠くなって行く。

その足音がまた俺に近づいてくることは、もうないだろう。

そして、そうさせたのは俺自身だった。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

朱里SIDE

 

ガタン

 

「あ、雛里ちゃん。……雛里ちゃん?」

 

先に灯りを消して横になっていたら、門を閉じる音が聞こえて私は雛里ちゃんが帰ったことに気づきました。

でも、何故か返事がありません。

 

「…雛里ちゃん?」

「………朱里ちゃん…」

 

雛里ちゃんは閉じた門の前でそのまま座り込んでいました。

声を低くして、雛里ちゃんは泣いていました。

 

「どうしたの、北郷さんと何かあったの?」

「…ううん、何でもない」

「……私に言ってもらえないの?」

 

雛里ちゃんが北郷さんと一緖に居る時間が増えてきてから、私はずっと友たちを失った気分に晒されてました。

ずっと一緖だった友たちが、いつの間にか自分が知っていた人と違う誰かになって行くような気がして……

昔の雛里ちゃんなら、私に隠しことなんて絶対しません。

お互いに秘密なんて作らないのが、私たちの仲でした。

なのに、そんな雛里ちゃんが私何があったのか話してくれないままこうして泣いているなんて……私はどうすればいいのかわかりませんでした。

 

「朱里ちゃん…」

「雛里ちゃん………」

「重いの……私が思ってのよりずっと…ずっと重くて…堪えられなかったの」

「……」

「どうすればいいのか分からなくて……そのまま逃げてきちゃった…」

「…きっと大丈夫だよ、雛里ちゃん。だから…元気だして…」

 

ただ出来れば…

力になってあげたい。

 

でも、もう自信がないよ、雛里ちゃん。

怖いの。雛里ちゃんがもう私の手に届かないところまで行っちゃったのではないかって。

もうあなたに付いて行こうとしても遅いんじゃないかって思ってしまう。

 

「……<<ぎゅー>>」

 

でも今は、一緖にいてあげる。

それが雛里ちゃんに慰みになれるかは分からないけど…

ずっと一緖に居るから……

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

 

???

 

「こんな時期だぜ。そういう肥沃な土地は中々ねーんだよ。この街でもあまり状況は良くねーだろ」

「それは確かじゃが…だからと言ってそんな賊の真似ができるわけが…」

「馬鹿か!どうせその山も元々お前らの所有地だろうが。あいつらさえ居なくなれば、全部お前らのものになるんだ。あの地、そこからでる作物。そこから出る金を考えてみろ。街の連中には一部だけ出して、残りは俺と分けるんだよ」

「………」

「あのような話を信じるはずあるまい!考える価値もないぞ」

「いや、待ってみろ。奴の言う通りじゃ」

「!お主、何を言っておる」

「所詮は賊の群れだ。私たちが取引をしたところで、下手すると同じく見られて街ごと官軍に荒らされる可能性もある」

「馬鹿を申すな。司馬徽さまがある限りそのようなことは…」

「…最近は荊州での徳操の声も以前ほどえはない。下手すると…彼女を警戒する者たちにいい口実になる。そしたら……」

「…うぅむ……」

「じゃあ、決まりだろうがよ。なーに、後ろめたいことはねー。お前らだけ黙って俺の言った通りにしてくれたら後は全部お前らの物だ」

「………わかった。明日まで答えを出そう」

「へへっ、賢明な判断を待ってるぞ」

 

「(へへっ、待ってろよ、裴元紹。俺さまを逃した時点で、貴様はおしまいだ。貴様らだけいい思いさせてたまるかよ。あの天の御使いと一緖にくたばれ)」

 

・・・

 

・・

 


 
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