No.223919

鳳凰一双舞い上がるまで 雛里√ 10.8話

TAPEtさん

真・恋姫無双の雛里√です。
雛里ちゃんが嫌いな方及び韓国人のダサい文章を見ることが我慢ならないという方は戻るを押してください。
それでも我慢して読んで頂けるなら嬉しいです。
コメントは外史の作り手たちの心の安らぎ場です。

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2011-06-21 05:39:37 投稿 / 全9ページ    総閲覧数:4039   閲覧ユーザー数:3342

一刀SIDE

 

 

「いつか使う時が来ると思ってつくっておいた荷馬車さ。まだ馬たちを着けてみたことはねーけど、まぁ、大丈夫だろうよ」

「………」

 

------

俺は雛里に一体なんてことを言ったんだ?

それはもちろん雛里が嫌いなわけではない。それだけは決してない。

だからと言って、さっきのあれは何だ?完全に告白じゃないか。それも中学生並の……

 

<<ひひいぃーー>>

 

「よし、よし、ちっと我慢したれ。これからは人じゃなくてこういうのにも慣れてもらわんとよ」

「おじさま、これどうやって付けるのか分からない」

「あー、それはな」

「…………」

 

------

どんだけ雛里が衝撃だったら気絶するんだよ。

この前のキスしてしまった件もそうだけど、お前は自分の考えどおりにいかないとやることがむちゃくちゃになるのが悪いくせだ。

一体雛里が起きたらなんと言うつもりだ?

もう両手を空にあげて\(^o^)/オワタと叫ぶしか方法がないじゃないか。

 

「よし、これでえーな。おい、北郷よ!」

「………」

「……おい!聞いてるか、北郷!」

「……うん?あ?何?」

 

全然聞いてなかった。

うわっ!いつの間にか目の前に荷馬車が準備できている!

何これ、シン○レラのカボチャ馬車?俺はどこに行けばいいんだ?

 

「大丈夫なんか?さっきから……お嬢ちゃんが倒れたのが気にかかってるのか?」

「うん?あ、まぁ……うん…」

「大丈夫さよ。ここはこの時期地味に熱いからよ。森の中だと言っても日射病にかかることもある。涼しいところに移してるからもう大丈夫さ」

「……あぁ…ありがとう」

 

そう、思い出した。俺が倒れた雛里を抱いているのを見て裴元紹は雛里を他のところに置いて、倉と一緖にここに来た。

馬が乗れない俺や雛里が遠い道を歩いていくわけにもいかないし、だからってここの人たちと一緖に行くわけにもいかない。行くのは俺と雛里、そして倉のみになるのだ。

となれば、移動手段に困ったことになってしまった。それで、裴元紹がつくっておいたものがあると言ってここまで来たのだった。

それでこの荷馬車か。

 

「そういえば、倉は馬には乗れないのか?」

「さー、あいつは今まで一度も外に出たことがねーからな」

「一度も!?」

「ああ、俺たちが来る前からもずっとここに居たそうだし。その後もずっとこの辺りと倉の中でしか動いてなかったさ」

「………」

 

倉、ますます変な娘だな。

初めて見た時は髪もまったく整ってなかった上で、着ている服だってボロボロの布。寝るのは倉の中、暗くて狭いところ好きで、誰にも教わってもないのに棒術はなかなかのものだったし……一体誰なんだ、あの娘は?

 

「……おじさま、これ、なんか上にかけた方がいい」

 

倉が言ったのは荷馬車の乗るところのことだった。

木材で形は整っている立派なものだったけど、上に日差しを防ぐ天幕が張ってなかったのだ。

 

「あ、そうだったな。なんか使えそうなものあるかな…」

「……倉にいいのがある」

 

そう言いながら倉は倉の方へ向かった。

 

あれ?でもそういったのに使えるものってあったっけ………

 

………?

 

「おい、倉?あれはないぞ。おい、待て!」

 

あいつ絶対布団張る気だろ。

 

 

 

 

結局いろいろあって荷馬車は使える形を整った(上の張り物はいつもの如くキャリーケースから調達してもらった)。

 

「おい、これ部下たちに頼んで野菜いくつか収穫しておいた。一緖に持って行って協商時に使ってくれ」

「お、いいな。ありがとう」

 

流石に被害を受けた街の人たちが易々と許してくれるはずもないしな。

 

「で、どうするか。出発は…?まだお嬢ちゃんが起きてないみたいだが…」

「………」

 

どうするか。

起きるまでまつ?

いや、起きたらまたギクシャクになりそうだし……ここでまたあんなシチュエーションになるのもごめんだ。

何か言い訳分を作らないとまずい。

 

「いや、今直ぐに行くとしよう。雛里は後に倉と一緖に置くといい」

「そうか。…悪いな。こんな急な頼みになってしまってよ」

「問題ないさ。こっちが言い出した話なんだ。それに、あんなものを見せられてはいつまでもここの皆のことを賊扱いさせていてはたまらない」

「………ありがとうよ、北郷」

 

裴元紹はその荒くれな顔からできるだけの感謝の気持ちを表す緩めな顔をしながら言った。

 

「ここにあるやつらを代表して礼を言わせてもらう。お前がここに来てなければ思いもしなかったことだ」

「まだ感謝するのは早い。本当に雛里の思惑通りに行くとも限らないんだ。失敗する可能性もある」

「それでもだ。今まで盗賊としか見られてなかった俺たちを、お前とあのお嬢ちゃんは違う視線で見てくれた。それだけでも、ここまで頑張ってきた甲斐があったというもんだ」

「裴元紹……」

 

……今まで生きてきてこんなに感謝されてみたことなんてなかった気がする。

……いや、そうじゃない。

今まで、こんなに人の人生に関わろうとしたことがなかったんだ。そしたら、人も俺の人生に関わらないから。

互いに無視することで今まで自分を守ってきた。

 

だけど……

こんなに嬉しいことだったんだ。人に感謝されるって。

 

「約束しよう」

「?」

「必ず街人たちの話を成立させる。ここの人たちが賊の名を捨てて平民に戻れるように……最善を尽くす」

「……ああ」

 

俺は約束は必ず守る。

俺は俺を信用してくれた人を信用する。

それが俺の鉄則だ。

 

 

 

「雛里が起きたら俺に言ってくれ」

「……わかった」

 

裴元紹と皆に挨拶をして、俺は倒れている雛里と倉を荷馬車に乗せて街へ向かっていた。

前に座って馬を操りながら後にいる倉に声をかけた。

 

「…そういえば、倉は外に出るのが初めてだって言ってたな」

「………うん」

「どうして今まで一度も……?」

「…分からない……なんとなく」

「なんとなくねー……寂しいと思ったこととかないのか?」

「……………………おじさまたちが居るから」

「でも、その前は一人だったんだろ?」

「……わからない」

「え?」

 

俺は後を向いた。

倉は少し複雑な顔をしていた。

 

「……おじさまたちが来る前のことは、あまり覚えてない。気がつけば……そこに居た」

「それって……?」

 

記憶を失ったってことか?

何か記憶を失うほどの酷いことがあったとでも……

 

<<ひひいい~~>>

 

「うわっ!?こらっ!」

「!」

 

操縦に集中しないと馬車がひっくり返るわ!

 

「ぁ、ごめん!ちょっと慣れなくて……」

「……危ない」

「悪い。気をつけるから」

 

前だけ見ていた方がいいな。

 

「……一刀、鳳統ちゃん、起きた」

 

 

え?

マジで?

今の衝撃で起きたのか?

ど、どうすれば、

 

取り敢えず平常心を保とう。

まるであんなことなんてなかったかのように、

そうあのキスした時を忘れた時みたいに……

ってかまた思い出してるだろうが(涙)

 

「あ、ほんと?雛里、大丈夫?」

「は、はい……」

 

ずっと前を見てないと危ないから後は見てないけど、雛里の声はあまり健気ではなかった。

今起きたばかりなのもあるだろうけど、多分、あまりにも俺が何もなかったかのように言うから呆気無くしているのではないだろうか。

 

「あの、どうなってるんですか?」

「今街に行ってるんだ。裴元紹から馬と荷馬車を借りたよ。そこにあるのは親善用の賄賂」

 

取り敢えず現状確認。

俺たちは今街に向かっている。

俺たちの武器は少しの賄賂と、言い訳、そして頭脳。

 

どれだけ通用するかは分からない。

自分たちを助けるためにも力を振り絞らなかった人たちだ。

正直こんな器用な考え方に乗ってくれるほど頭が冴えているとも思えない。

でも、約束したんだ、なんとかしなければ……

 

「あわわーー!!!」

「一刀…鳳統ちゃんが……発狂してる」

 

ヤバッ!

思い出したのか?

 

「今忙しいからなんとかしてー!」

 

言い訳じゃないんだ。今ほんとに馬が暴れ気味なんだよ!

この馬何でこんなに暴れるんだよ。ちょっとおとなしくしろってーの!

 

ひいぃぃーー!!

 

「俺馬語はわかんねーんだよ!」

 

馬見たこともねーよ!

 

「っ…!!」

 

って、前に人!?

 

<<ひひぃいいい!!>>

 

ガタン!!

 

「ひゃっ!」

「!!」

「ごめん!」

 

何でこんなところに人が……え?

 

「危ないじゃないですか!」

「いや、それがさ……」

 

水鏡先生が…いらっしゃってる。

 

 

それから水鏡先生に概ねは話を説明し、一緖に街に帰ることになった。

水鏡先生はどうやら、昨日街であったことを聞いて、雛里を取り戻すために単身で俺たちが居た山まで行こうとしていたらしい。

無茶すぎるとも思えるが、それほど大事な弟子を危険に晒してしまった自分の罪の深さも感じる。

 

水鏡先生に倉のことをあの群れの大将だと言ったら、先生は我々の狙いを完全に読みきっていらっしゃった。。

流石と言うべきか、無駄がなく話を進めそうで助かった。

 

「それにしても、まさかあの盗賊の群れが山奥であんなことをしていたとはね……驚きました」

「…もしかして、水鏡先生は以前からあそこに山賊の群れがあったことを…」

「ええ、知っていました。以前、あそこに大きな火事が起こって、その後から山賊たちがそこに巣を作っていました。今まで官軍とかが来なかったのは、彼らの的確が居場所が分からなかったせいです」

 

なるほど…たしかに山賊を討伐するには居場所を知らなくてはならないけど、あんな鬱蒼な山で、しかも裴元紹はなかなか用心な人だ。なかなか見つかることがなかったのだろう。

 

「それが、まさかこんな子供があの山賊の群れにいたとは」

「……おじさまは、悪い人じゃない」

 

倉は水鏡先生にそう訴えたが、結局のところ前科というものがあるというのは確かだ。

そこからは逃れない。でも、それを許してもらった上で、元の生活に戻れるということが大切だ。

 

「分かっています。もしあの群れが本気で街を襲っていたとすれば、この街はあっという間に彼らの手に落ちたでしょう。私もその点を街の長老たちに知らせておきました」

「あわわ、水鏡先生、街の長老たちに会ったのですか?」

「ええ、うちの生徒が賊に攫われるのをみすみす見逃したのです。ただで見過ごすわけには行きません」

「あわわ……」

 

雛里がすごく困ったような顔をしているが、良く考えて見れば当たり前な話だ。

自分の幼い生徒、しかも自分たちを助けようとした娘が、賊の群れと一緖に行くのを見るだけだったというのは、あまりにも自分たちの安全だけを計りすぎていた。

いくらなんでも、これが人間というものなのだろうか。恐怖が呼び寄せた混乱が人を愚かにしていたのだろうか……

 

「だけど、こうしてあなたたちが無事にかえってきてくれたからもういいでしょう。彼らも私が説得すると必ず二人が思った通りに、山賊の群れを受け入れてくれると思います」

「水鏡先生は彼らの群れが危険だとはおもってないのですか?」

 

そう敢えて聞いたのは、ただ疑問だったからだ。

先生があまりにもあっさりだったので、その理由が聞きたかった。

そしたら、

 

「二人のその顔が何よりも証拠です。その心に決めた思いがしっかりとみえていますから」

「「!!」」

 

いや、落ち着け、俺。その話じゃない。

裴元紹たちの話をしていたんだ。

 

「どうしたのですか、二人とも。あそこで何事でもあったのですか?」

「あわわ…そ、それで、先生。あの…街に帰ったらまず倉が着れそうな服が必要かと思うのですけど…」

 

雛里ナイス。取り敢えず俺たちの話はでないように頼む。

 

「そうですわね……こんなもの、服とも言えないものですし…」

 

倉が着ている服は、服とも言えない布並だった。

たしかにあんなのでいきなり人前に出ると、女のターザンが現れたような感じになるだろう。

 

「街に新しく注文しておいた制服がいくつがあるでしょうから、それでまずなんとかしましょうか」

「それがいいかと…どうせ着るようになるでしょうし」

「そうですね……」

「………??」

 

 

 

雛里SIDE

 

「……嫌」

「あわわ……」

 

街の服屋で、私たちの制服と同じものを試着して出た倉ちゃんはまずそう言いました。

 

「…ちょっと似合わないな」

「一刀さん…だからって、あのまま歩かせるわけにもいかないじゃないですか」

「それはそうだけど……」

「……こんなふわふわするの、嫌」

 

倉ちゃんはスカートの裾を抑えながら言いました。

以前に着ていた布はそれでも体にくっつくようにできていたので、ちょっとスースーするみたいです。

というか倉ちゃん下着はちゃんとしてるんですか?

いえ、期待はしてませんけど、あの最初会った時の髪型を考えたら……

多分、女らしいものとか全然なかったでしょうし…

 

「俺はファッションとかあまり得意ではないが……倉は性格上あまりリボンとかつけなさそうじゃないか」

「そうは言いましても……」

 

だったらどんな服が……

 

「こういうのはどうかしらね」

 

振り向くと先生が持っている服は制服よりもっと体にくっつくような短いチャイナドレスでした。

 

「どうだ?倉」

「………<<ふるふる>>」

「駄目なの?」

「……一つなの、着にくい」

 

上下一緖なのが嫌だそうです。

難儀ですね。

スカートも嫌って言いますし…

 

「……元の服着る」

「駄目だよ。せっかくだしちゃんとした服でしなきゃ……」

「………/////」

 

倉はずっと制服がきになるのか下の方を抑えています。

 

「……つまりスカートじゃ駄目だってんだろ?袴にすればいいんじゃないか?」

「女性用の袴はここじゃ需要が少なくて置いてないのですよ」

「……難儀だな」

「「はぁ……」」

 

……って、なんですか、この一刀さんと二人で倉ちゃんの服を悩んでいるこの構図。

なんかおかしくありません?

 

「あの、一刀さん」

「あ、じゃあ、男子服屋に行ったらいいじゃん」

「え?ああ…それもありますね…でも……やっぱり女服の方が……」

「……ちょっとここで待ってて」

「あ、ちょっと、一刀さん」

 

…逃げちゃった。

 

……そういえば…あの時のあれって…どういう意味だったんでしょうか。

あの時はあまりにも驚いてそのまま気絶しちゃいましたけど、ほんとはそういう意味合いではなかったのかもしれません。

ただ、自分だけ勘違いして一刀さんがその……私のことを………

 

「…鳳統ちゃん、どうしたの……?……また日射病?」

「あわっ!?う、ううん、何でもないよ…」

「……これ、脱いでいい」

「あ、ちょっと待って、今一刀さんが……」

「待たせた!」

 

一刀さんがもどってきました。

 

「北郷さん、なんですか、それは…?」

「はい、えっと、これブルージーンって言って自分の世界じゃ男子問わずに着るものなんですけど……」

「そんなものを持ってたのですか?」

「え、ええ……まぁ…はい…もう慣れてきてます」

 

一刀さんが最後に何か呟きましたが、気にしないことにします。

 

「店主、これを使って、この娘に合うほどの意匠にしてもらえるか」

「これは……変わった皮ですね……ちょっと待ってください。少し寸法を合せるのできてもらえますか?」

 

店主がそう言って、倉ちゃんが店主と一緖に中に入りました。

 

「一刀さん、あんなにどこから…」

「…鞄の中に…」

「でも、前私が見た時は何も入って…」

「そこに触れるな、危険…」

「…え?でも…」

「触れるな、危険」

「……何で倉ちゃんに寸法に合うような服が一刀さんの鞄の中に入ってるんですか?」

「何で雛里は年はそれなのにそんな子供っぽ……」

「そこに触れたら殺します♡」

「はい」

 

 

一刀SIDE

 

店から出て俺は荷馬車を置いておいたところに行ってキャリーケースの前に立った。

 

「……」

 

このケース…

その時に必要なものが出る辺り、一体どうなっているのかは分からないが、必要な時には使わせてもらった方がいいよな。

 

がちゃ

 

「………あれ?」

 

出てきたものは…プルージーン一つだった。

女ものではあったけど、ちょっと倉が着るには長いかな。

そこは店の人に調整してもらってもいいはずだけど……

 

さて、何でここに女ものの服が入ってるんだ。

及川よ、これはほんとにお前が詰め込んだものなのか。それともこのケースが単なる4○元袋になってるんだ?

 

「いや、そこには触れないようにって言っただろ、俺」

 

行けない。アレについて考えたら負けだ。

ちゃっちゃと持って行って倉の反応を見るとしますか。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

店の人と倉が中に入って一時間ぐらい過ぎると倉が出てきました。

 

 

「………」

「へー」

「ほー」

「まぁ」

「…………どう?」

 

さっき俺が持ってきたブルージーンを最大に切り取ってホットパンツになっていた。

そして、ブルージーンを切って残った部分を広げて、それを倉に合うほどの寸法のジャケットにしていた。

雛里たちの制服の白いシャツの上にジャケットを着て、下はホットパンツ。

なんとまあ活発的な娘って感じがした。

実際はあんなもじもじしているが…

 

「へー、ジャケットにしたのか。店主、器用だな」

「いえ、いえ、中々興味深いものでしたので、つい念を入れてしまいました」

「倉、どうだ?」

「……いい。いつもの感じ。スースーしないし」

 

倉ちゃんも気に入ってるみたいだね。

 

「これでいいんじゃないか?本人も嫌じゃなさそうだし」

「はい、いいんじゃないでしょうか」

「似あってますわよ、倉」

「……///////」

 

倉は恥ずかしそうに顔をうつむいた。

 

「もっと他の服もあった方がいいでしょうかね」

「今はまだいいだろ。別に服選びが目的じゃないんだから」

「あ、そうでしたね、そういえば」

「おいおい……」

「……ふふっ」

「「?」」

 

話していたら後で水鏡先生が小さく笑みをしていたので俺と雛里は同時に後を向いた。

 

「…先生?」

「あ、いえ…ちょっと、二人とも見ないうちに仲良くなったと思いましてね…」

「「……あ」」

 

そういえば…なんか普通に会話してるな、俺たち……

あんな事件もあったのに。

 

「二人が倉の話をしているのを見ると、なんとも娘の服を選んでる新婚夫婦みたいで…」

「あわわっ!?」

「ちょっ、水鏡先生!そういうご冗談は些か……!」

 

いや、自分の弟子もうちょっと大事にしてください。

 

 

 

それからまた一時間後、下着屋から倉の下着まで買った。(もちろん俺は外で待機)

何故か下着屋から出てくる雛里の顔が優れていなかったのだが、何かあったのだろうか。

 

それはそうとして、倉の服装も整ったわけで、俺たちは水鏡先生に大体の俺たちの考えを話した。

山にある山賊と思われている人たちだが、実は既に山賊としての活動はほぼしてあらず、ここの街人たちさえ協力してくれれば彼らは完全に足を洗うことができる。

でも、それだけだと外見から見ての大義名分がないから、倉を先生に弟子入りさせることで、彼らを守る名分を得る。

言わば、水鏡先生の名声を背負ってせねばならない策ということだ。

 

「お名前は?」

「…倉(そう)……」

「いつからあそこに居たのですか?」

「……ずっと前から……おじさまたちが来る前から…」

「じゃあ、その以前はずっと一人で住んでいたのですか?」

「……良く覚えてない。誰か…居たかもしれない。良く分からない」

「…………」

 

お茶屋で少し休みながら水鏡先生はいくつか倉に質問したが、名前からして俺たちが来る前にはなかったのだ。ほぼ得る情報がなかった。

大体本人が、裴元紹たちが来る前の記憶がほぼないというのだ。

 

「幼い時に賊たちに街を襲われて、ご両親を失った衝撃で記憶を失ったという話はそう珍しい話でもないです」

 

雛里はそう言っていたが、そう言われると益々倉については疑問が深まってきた。

だけど、この疑問もまた後ほどの事件によって彼女に抱くことになる疑問に比べればまだ堅実的な好奇心だった。

 

 

 

「それにしても、倉、あなたは大丈夫なのですか?」

「………?」

「一応、私の弟子に入れるからには私の塾で生活させてもらわなければなりません。そしたら、今まで一緖に過ごした山賊のみなさんとは一緖に居られないようになりますよ」

「……!!」

 

倉は目を丸くした。

そういえば、そういうことはちゃんと説明してなかったな。

 

「…もう、会えないの?」

「会えないわけではないよ。これから裴元紹さんたちが街に来れるようになると、街に降りてきて会うこともできるし…でもあまり頻繁には駄目かも…」

「………全然会えないってわけじゃなければ……大丈夫、我慢する」

 

でも案外に、倉の決意は堅かった。

それが裴元紹たちを助けたいという気持ちから来たということは言うまでもないだろ。

他の人たちが見ると彼らは盗賊でしかないが、彼女にとっては、彼らは家族なのだ。

 

「そう…あなたがそう覚悟したのなら、私も協力しましょう」

「街の長老さんたちにまず話して、街の人たち全員に許しをもらうには随分時間がかかるでしょうね」

「ええ…でも、長老たちさえ説得すればあまり問題になることはありません。それに、彼らは今回のことで私とあなたたちに借りがありますからね。直ぐにでも長老たちを集めてこっちの話を進めましょう」

「はい」

「わかりました」

「……頑張る」

 

その後、直ぐに水鏡先生の頼みで街の長老たちが集まり、俺たちは街と協商に入ることになった。

 

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

下着屋の中であった話

 

「はい、胸囲を計りますので、胸のサラシを外してください」

「あ、倉ちゃん、サラシ着けてたんだね」

「……うん。ないと擦って痛いから」

 

ススッ

 

「…!?(あわわ…わ、私より大きい)」

「はい、それじゃあ、計りますね」

「……」

「あの…倉ちゃんって年分からないよね」

「……うん」

「……」

「……でも、多分鳳統ちゃんの方が年上」

「あわっ!?ど、どうして?」

「……なんとなく…そんな気がする」

「(いや、背だけでなく胸の大きさにまで負けてるのに年だけ上って悪夢でしかないよ……)あわわ……」

「……最近、また大きくなる気がする」

「あわわ…!」

 

なんでだろ。倉ちゃんを助けようとした気持ちが薄まってゆく。

 

・・・

 

・・

 

 

 

 

あとがき

 

倉ちゃんの設定をまとめるに尺を全部使ってしもうたOTL

でも、これで大体外見は整いました。

 

倉ちゃん 年:雛里より下(彼女曰く)

 

服:ブルージャケット&ホットパンツ

 

記憶がある時には既に山の奥に住んでいた娘。

倉の中でいつも過ごしていると言って、裴元紹たちには倉番(くらばん)と呼ばれていたが、雛里が倉(そう)と名前を付けた。(後の○倉でry)

外に出たことがなく、常に暗くて狭い倉で過ごしていたため肌が白くて暗いところで灯りがなくても良く見る。

 

 

 

まだ出てない設定が残っていますが、スポイラーになるので後にしておきましょう。

 

あ、それと彼女が倉の中に灯りを付けないことですが、

 

「おっとそれ以上いけませんわ」

 

ビシッ

 

なっ!

ガクッ

 

「まったく、困った作者ですこと……さて、次回の鳳凰一双舞い上がるまでは第11話です。お楽しみにしてくださいね」

 

ではでは♡

 

ノシノシ

 


 
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