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遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-第一章・最終話

月千一夜さん

どうも、こんばんわですw
一章、最終話・・・ついに、更新しますw

今回、ホントにとんでもないフラグを一刀君が立てちゃいますww
知らない人は、検索してみようwwww

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2011-06-17 23:01:51 投稿 / 全7ページ    総閲覧数:8576   閲覧ユーザー数:7067

「おぉ・・・」

 

「んぐ・・・」

 

 

並べられた料理

それを黙々と食べる、一人の青年・・・一刀

 

彼らは現在天水より数日歩いた先

小さな村にある、料理屋に来ていた

そこで、昼食をとっている所である

 

 

 

 

「ごち・・・」

 

 

やがて、全ての料理を食べ終えた一刀

その姿に、先ほどまでその様子を眺めていた店主は上機嫌に彼の背を叩いた

 

 

「いやぁ、兄ちゃん!

いい喰いっぷりじゃねぇか!」

 

「ん・・・けふっ」

 

 

“がはは”と笑う店主もよそに、彼は軽くゲップを一つ

それから、置いてあった水を口に含む

 

 

「なぁ兄ちゃん!

ここで会ったのも何かの縁だ

よかったら、名前教えてくれねぇか?」

 

「名前・・・?」

 

 

言われ、彼は自身の顎に手をあて考えて

そして、コクンと一度頷いた

 

 

「俺の、名前は・・・かずどっ!?」

 

 

言い掛けて、彼はその“衝撃”に表情を歪める

その後ろ・・・彼の頭に“拳骨”を落とした張本人は、深い溜息を吐き出していた

 

 

「一刀よ

出発前に言ったことを、もう忘れたのか?」

 

「祭・・・痛い」

 

「そうじゃろうな

それよりも、思い出したか?」

 

「ん・・・」

 

 

頷き、痛む頭をおさえながら

彼は思い出していた

 

 

それは今から、数日前

天水の街を出る、その前の出来事だった・・・

 

 

 

 

 

 

≪遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-≫

第一章 最終話【その青年の名は・・・】

 

 

 

 

 

「“名前”が、必要だと思うんです」

 

 

それは朝一番

七乃のこの一言から始まった

 

 

「名前、じゃと?」

 

 

首を傾げる祭

それに対し、七乃は“はい”と頷いた

 

 

「これから先、旅をするにあたって・・・一刀さんには、“新しい名前”が必要だと思います」

 

「それは、いったいどうしてじゃ?」

 

 

美羽の問い

七乃は少し考えた後に、ピッと人差し指を立てニッコリと笑う

 

 

「理由は幾つかあるのですが、まずは“一刀さん”という名前

もしかしたらコレは、私たちで言う“真名”にあたる可能性があるからです」

 

「真名に、か・・・なるほどな」

 

 

真名とは、とても神聖なものだ

これは、この大陸に住む者達にとって極々当たり前のことだ

許されていない者がその名を呼べば、殺されても文句は言えない“名前”

七乃は彼の名前、“一刀”がそれにあたるのではと考えたのだ

 

 

「確かに・・・最初に言っていたな

“そう呼ばれていた”と」

 

「はい

それと、もう一つ・・・正直、その話の続きのようになってしまうのですけど」

 

 

言いながら、彼女は苦笑を浮かべていた

その視線の先、一冊の本が置かれている

以前に姜維が置いていった、“天界の言葉が載っている本”である

彼女はその本の中に書かれている、“天の御遣い・北郷一刀”という箇所を見つめていた

 

 

 

「ならもう一つの名、“北郷”と名のればいい・・・とも、思ったのですが

もし仮にその名を知っている人がいたら、マズイことになるかもしれません」

 

「マズイこと、とな?」

 

 

“はい”と、一言

七乃は腕を組みながら、淡々と話していく

 

 

「三国の中で、全ての国が一刀さんのことを快く思っているとは限りません

特にこれから向かう蜀・・・確かに同盟国ですが、中には敗戦国と呼ぶ人もいます

そもそも、一度負けてからの同盟ですから間違いではないのかもしれませんが

そのことを蜀の人々が気にしていた場合、“魏に舞い降りた天の御遣い”を恨んでいる人がいてもおかしくはありません」

 

「なるほどのぅ」

 

「確かに、面倒なことにはなりそうだな」

 

「ぬ~・・・ままならんのじゃ」

 

 

七乃の話に、それぞれ複雑な表情を浮かべる三人

そんな中、七乃はクスリとばれない様笑いを零していた

 

 

(でも一番の理由は・・・私たちの家族の名前を、知らない人に気安く呼ばれたくないだけなんですけどね~

言ったらからかわれそうだから、絶対に言いませんけど)

 

 

などと一人思い、やがて彼女は“そこで”と皆の視線を集める

それから、ニッコリと微笑みを浮かべたのだ

その視線が、一刀に向かっている

 

 

 

「良い方法っていうか、面白い決め方を考えたんですけど・・・」

 

「良い方法、じゃと?」

 

「はい♪」

 

 

 

ニッコリと笑う七乃

その彼女の笑顔を見つめながら、一刀はわけがわからずに首を傾げていたとか・・・

 

 

 

 

「と、いうわけで・・・はい、ドーゾ♪」

 

「・・・・・・ぇ?」

 

 

満面の笑みを浮かべる七乃が指を差す先

床一面に散らばった幾つもの“木片”

それが何なのかわからず・・・いや、そもそも何が“ドーゾ”なのかわからずに

一刀は、首を傾げることしかできないでいた

そんな彼の様子に気づき、彼の肩を叩きニッと笑うのは祭である

 

 

「先ほど、言ったじゃろ?

お主が名乗る為の名を考える良い手段が見つかったと」

 

「それが・・・“コレ”?」

 

「うむ♪」

 

 

笑顔のまま頷く祭

動かした視線の先、散らばった木片を見つめたまま彼は小さく笑みをこぼしていた

 

 

 

「どうすれば、いいの?」

 

「この木片一枚につき、文字が一つ書かれているんです

この中から姓を一枚、名を一枚

それから~・・・字を二枚、引いてもらって決めようかなと」

 

「ん・・・わかった」

 

 

頷き、彼は其の場にしゃがみ込む

それから、視線を散らばった幾つもの木片へとうつした

そして・・・集中

 

 

「ん・・・」

 

「ぁ・・・」

 

 

やがて、手に取った一枚の木片

美羽が微かに反応したところを見ると、これは恐らく彼女が書いたものなのだろう

続いて彼は、無表情のまま木片を手に取っていく

 

数分後・・・彼の目の前には、“四枚”の木片が並べられていた

 

 

 

「これで、いい?」

 

「はい、いいですよ♪」

 

 

一刀の言葉に笑顔で頷き、七乃はその四枚の木片を眺めた

それから、皆の顔を見渡し再びニッコリと笑った

 

 

「それでは、皆さん・・・さっそく、開いてみましょう♪」

 

 

七乃の一言に、皆は一斉に息を呑んだ

そんな中、一刀はゆっくりと木片を裏返していく

一枚、一枚、ゆっくりと・・・その木片に記された文字を、その目に焼き付ける様に

やがて、四枚すべてが裏返った時

皆は、顔を寄せ合いその木片を見つめる

 

 

 

「これは・・・ふむ」

 

「うはは、これは妾が書いた文字なのじゃっ♪」

 

「美羽様が“なんかカッコいい形だから”っていう理由で書いたやつですね~

それにしても、案外やってみるものですね

正直、不安だったんですけど」

 

「ああ・・・中々どうして、ちゃんとした名前になっているではないか」

 

 

四人の言葉

一刀は、難しそうに表情を歪めていた

そして、一言・・・

 

 

 

 

「読めない・・・」

 

「「「「・・・っえ?」」」」

 

 

 

時刻は、まもなくお昼になろうという頃

彼らの家では、微妙な沈黙が流れていた

 

 

 

それが、天水を出る少し前の出来事

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「まいどあり~」

 

 

店主の爽やかな声に見送られるよう、彼らは歩き出した

青々とした空の下、この道の向こう

 

目指すは“蜀”

仁徳の王として知られる、“劉備”が治める国だ

そこを目指し、彼らは再び歩き出したのだ

 

 

 

「あ・・・」

 

 

そんな中、ふと一刀が足を止めた

何かを思い出したのか、その目はスッと先ほどの店

その前に立つ、店主へと向けられている

 

 

「名前・・・」

 

「は、はぁ・・・?」

 

 

呟き、フッと・・・微かに笑みを浮かべる

それから彼は、店主の傍へと歩み寄り自身の胸を軽く叩いた

 

 

「名前、教えてなかった」

 

「ああ、そのことですかい」

 

 

一刀の言葉に、店主は軽く笑う

そんな店主もよそに、彼はふと空を見上げ・・・それから、小さくつぶやいた

 

 

 

 

「名前・・・俺の、名前は・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

≪“鄧”“艾”“士”“載”・・・これはな、こう読むんだ≫

 

 

 

 

 

 

 

 

「“鄧艾”・・・字は“士載”

それが、俺の名前」

 

 

サァと、風が吹き抜けていく

“鄧艾”と名のった青年はそのまま、再び歩き出した

 

向う先、自分に向い手を振る家族の姿に

ほんの少しだけ、頬を緩ませながら

 

 

 

鄧艾“トウガイ”、士載“シサイ”

真名を・・・“一刀”

 

それが、彼の新しい名前だった

 

 

 

「遅いのじゃ、一刀っ」

 

「ごめん・・・」

 

 

 

歩む先

この、蒼天の遥か先

 

 

 

「それじゃ、皆・・・」

 

 

 

“待っている人がいる”

それが誰なのか

どのような人なのか

何も、知らないままに

それでも・・・彼は、その歩みを止めないだろう

 

 

 

 

 

「行こう・・・“蜀”に」

 

 

 

 

 

 

例えその先に・・・“どんな終わりが待っていようとも”

 

 

 

 

 

 

ーーーー†ーーーー

 

 

「おっちゃん、勘定ここに置いとくで~」

 

「あいよ、まいどあり~」

 

 

店主の声に見送られ店を出た先、見あげた空はとても“青い”

“蒼天”

そんな清々しい空の下、“彼女”は思い切り体を伸ばしクスリと笑った

 

 

「しっかし・・・ホンマ、つくづく一刀やなぁ」

 

 

言って、彼女・・・“張遼”が見つめる先

五人の背中は、もう豆粒ほどにしか見えない

それでも、彼女には何処に彼がいるのか“視えていた”

 

 

「ホンマ・・・とんでもない“フラグ”を立てていきよった」

 

 

“フラグ”

彼女はそう言うと、また笑った

無邪気なその笑みは、彼女を少しだけ幼く見せる

 

 

 

「そんじゃ、ま・・・ウチも行こうかな」

 

 

 

やがて、彼女は笑みを浮かべたまま歩き出す

向う先・・・先ほどまで見えていた背中は、もう見えない

それでも、彼女は歩き出す

 

向うのは・・・“蜀”

 

これから向かう先、待っているであろう“出来事”にほくそ笑み

黒き外衣を靡かせて、背に背負った“偃月刀”の重みに心地よさを感じながら

 

彼女は、歩いていく

 

 

 

「さぁて、次はどうやってウチを楽しませてくれるんかな・・・あの、“馬鹿共”は」

 

 

 

その道には・・・たった独り、彼女しかいない

 

 

 

 

 

夢から覚めた、一人の青年は歩み出す

 

その心に、大切な想いを

その傍らに、大切な家族を

 

それぞれを胸の奥、大切に仕舞いながら

 

向うのは、遥か彼方

 

 

 

“遥か彼方、蒼天の向こうへ”

 

 

 

その先には、いったい何が待っているのか

 

今の彼は、何もわからない

それでも、歩んでいくのだ

 

 

さぁ・・・

 

 

 

 

 

 

 

“外史への扉を、開きましょう”

 

 

 

 

 

 

 

≪遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-≫

第一章【夢から覚めて】

 

 

・・・END・・・

 

 

★あとがき★

 

ども、皆さんこんにちわ

月千一夜です

 

長かった一章が、ようやく終わりを告げましたw

いやぁ、本当に長かったww

 

魔王軍の幹部も、ちょいちょい出てきた一章

それでもまだまだ、謎だらけな物語

まぁ今回の章のテーマは【目覚め】ですからw

一刀君が目をさまし、歩み始めるまで・・・と、当初から考えていたものですww

ようやく、物語が始まった感じですかね

 

これから、一刀君も大切な仲間と共に戦っていきますw

最期の最後で、とんでもないフラグがぶち込まれましたがww

どんまい、一刀wwww

 

 

 

 

・・・次回

物語は、ついに新たな舞台・・・“蜀”へと

そこで出会う、“2人の愚かな王”とは

そして生まれる、“新たな絆”とは

 

 

 

~新章~

≪遥か彼方、蒼天の向こうへ-真†魏伝-≫

第二章【愚かな王の、愚かな願い】

 

 

・・・・・それは愚かな王が願った・・・“愚かな願い”・・・・・・

 

 

 

どうぞ、お楽しみに♪

 


 
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