過保護少尉は夜型中尉しかありえないって人は閲覧注意。
イタズラ好きの♦1やツイてない人を知らなければスルー推奨。
キャラ崩壊は絶対に許さないとか言う人もやっぱりスルー推奨。
上記三つをクリアしてそれでも見たい人だけどうぞ。
自室のベッドの中、ニッカは頭を悩ませていた。
これもそれも、現在進行形で抱きついてきているこの悪戯好きのイッルのせいなのだ。
気持ちよく眠っていたのに、急な違和感に起きてしまい、目の前にはイッルが。
心臓は跳び跳ねるし、先程までの気持ちの良い睡魔はどこぞかへと去ってしまった。
流れるような艶々とした長い髪。
いつもの人を小バカにしたような顔もすっかり成りを潜め、あどけない表情を浮かべている。
手は後ろに回され、胸に頭を埋めるような抱きつき方。
意識してしまうともうダメだ。距離が近すぎる。
このダイヤのエース様はなんで人のベッドを占領するのだろうか。
そしてなんて無防備な姿をさらけ出しているのだろうか。
ん?……抱きついてきてるんだから、こっちも寝惚けたふりして抱きしめても問題ないはず。
自分の中で自分をの行動を擁護して、起こさないようにゆっくりと彼女の後ろに手を伸ばす。
柔らかい華奢な体。力を入れれば壊れてしまいそうなほど繊細なものに錯覚する。
顔が見たくて、薄目を開けると彼女と眼があった。
そこに浮かべるのは面白いものを見つけたと言わんばかりの青く透き通った瞳。
「そんなに私の事を抱き締めたかったのか」
ニヤニヤと擬音が付きそうな顔。顔が急激に赤く染まっていくのが分かる。
「お、お前がだ、抱きついてきてたんだろっ!」
「だから抱き締め返してくれたのか、ニパは可愛いナー」
「イッ、イッルのバカッ!」
振り上げようとした手は上がることはなく、華奢と称した腕に包み込まれていた。
「実を言うとまだ眠いんダ、だから目が覚めそうなことは止めてくれよ」
イッルにとって、私を抱き締めることは目が覚めることじゃないのかよ。
自分だけがドキドキして眠れそうにないことがなんだか悔しくなる。
「じゃあ自分のベッドで眠れば良いだろ」
向かいにある家主の居ないベッドを指差す。
「ムリダナ。ニパは暖かくて気持ち良いから、抱きつくと落ち着くんダ」
本当に安心しているような顔を浮かべられてはもう抗いようがない。
惚れた弱味なんて言ってやらない。
だからこの一言をイッルに、
「きょうだけ「キョウダケダカンナー」っ! イッルが言うな!」
くすくすと笑いながら、こちらを見るイッル。
「ニパ、これは私のセリフだゾ」
言いたいことは言ったとでも言いたげな顔で、胸に顔を埋めたイッルにもう何も言えやしない。
それからすぐに聞こえてくる寝息。
抱き締められた腕の力が弱まり、自由になった手でプラチナブロンドの髪を撫でる。
身じろぎする程度で、手を離すと何事もなかったかのようにまた体を寄せる。
本当にイッルは何も分かってない。
何気ない動作、悪戯な仕種が私を惑わせることを。
だからイッルが眠ってる今だから。
「イッル、大好きだよ」
腕の中で眠る彼女が顔を伏せた気がしたけれど、今は思った以上に真っ赤になった顔と跳び跳ねる心臓を宥めるのに必至だった。
翌朝、朝食の場で目に隈を浮かべた二人が、同僚にからかわれたのはまた別のお話。
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ニパイラ
ニパはスオムスだからいらないなんて言うナー。
※注 キャラ崩壊あり 妄想混入:大