No.221928

呉外伝~春に蓮なる思い 二幕

蒼華さん

今回は前作の続きである思春を書きました
更新頻度の遅さがたまに傷ですが・・・温かい目で見てやってください
ではどうぞ!

2011-06-11 00:44:43 投稿 / 全8ページ    総閲覧数:2313   閲覧ユーザー数:2025

熱い・・・

 

 

体が熱い・・・

 

 

でもそれ以上に・・・

 

 

胸が熱い・・・

 

 

「・・・私は・・・」

 

 

「私は・・・どうすれば・・・いいのだ?」

 

 

呉外伝~春に蓮なる思い 二幕

 

 

 

「・・・」

 

 

気づけば私は、寝台の上で目を覚ました

 

 

「・・・」

 

 

何かの悪夢を見たような気分になっている。その凄さを、汗が物語っている

 

 

「・・・」

 

 

ここ何日か、同じ夢を見る

 

 

その夢の内容は・・・

 

 

「・・・何故、あいつが出てくるのだ・・・」

 

 

北郷一刀が出てきた夢だった

 

 

 

 

「思春?大丈夫?」

 

 

「はい・・・大丈夫です」

 

 

私はいつもどおり、蓮華様の護衛をしているのだが

 

 

「何かあったの?最近顔色が悪い日が続いてるみたいだけど・・・」

 

 

「いえ・・・」

 

 

あの日・・・公覆殿が私にこう言った日から

 

 

「それは、恋というものじゃ」

 

 

「・・・」

 

 

そして、それを言われてあいつに会ってから

 

 

「俺に逢いに来てくれたの?」

 

 

「・・・」

 

 

それ以降のここ最近、まともに眠れていない

 

 

眠ろうとしても、あいつが夢に出てきて、その度に目が覚める

 

 

その繰り返しで、ここまで苦しめられるとは思わなかった

 

 

いや、苦しめられているという感じではない

 

 

これは・・・

 

 

「・・・ドキドキしている」

 

 

「・・・思春?」

 

 

「・・・はっ」

 

 

私は今・・・何を言っていたのだ?

 

 

「本当に大丈夫?」

 

 

「・・・はい」

 

 

「なら良いけど・・・今日は書簡の処理でもしましょうか」

 

 

「御意。お手伝いたしますか?」

 

 

「ううん、書簡の処理くらい一人で出来ないと、冥琳に叱られてしまうわ」

 

 

「では・・・」

 

 

「そうね。今日は自由にしていいわ。気晴らしに何処かに散歩にでも行ってみたら?」

 

 

「・・・そうですね」

 

 

そして私は、ある場所を避けるように歩いていった

 

 

 

「さて、どうしたものかな・・・」

 

 

また公覆殿にからかわれるのを不安に思った私は、城の中に居るのをやめ、街に来ていた

 

 

「何をすればいいものか・・・」

 

 

特に目的も無く来たため、やることがない

 

 

何かしらの趣味でもあれば女の子は喜んで来るものなのだが

 

 

「むぅ・・・」

 

 

そこで、あの人との回想が思い出される

 

 

「・・・ファッションですか?」

 

 

「うむ」

 

 

さかのぼること何日か前の時だ

 

 

日頃の寝不足の気を紛らわすために城を散歩している間に、運悪く祭に見つかっていたのだ

 

 

「興覇殿、お主は武人とはいえ一人の女性であることに間違いはない」

 

 

「はい・・・」

 

 

「女性として、殿方を落とすのに特技や趣味がないのはかなり不利なことであるのじゃ」

 

 

「なっ・・・!別に私は、北郷を気に掛けてなど!」

 

 

「誰も北郷とは言っておらぬが?」

 

 

「んなっ・・・!」

 

 

・・・この人には敵わない気がする

 

 

「まぁ興覇殿が素直になるとも思ってはおらんのでな。心配なされるな」

 

 

「何の心配ですか・・・」

 

 

「そこでじゃ。ここは一つ、興覇殿にも意外な一面を作るというのはどうじゃ?」

 

 

「意外な一面、ですか?」

 

 

「うむ。俗に言うギャップ萌えというものじゃ」

 

 

「ギャップ・・・萌え?」

 

 

「北郷が言うには、見た目に反して可愛いところを見せる色気の一つだそうでの」

 

 

「はぁ・・・?」

 

 

何を言いふらしているのだか、あいつは

 

 

「例えばの話じゃが、あの堅物の冥琳殿の部屋が、見てみれば可愛いぬいぐるみでいっぱいだとしたら・・・?」

 

 

「確かに・・・皆の予想を遥かに上回る意外性ですね」

 

 

「であろう?そういう意外性を見せるのをそう呼ぶらしいぞ」

 

 

「なるほど・・・」

 

 

「だからじゃ。興覇殿も、そういう意外性を見せるのが大事なのだぞ?」

 

 

「・・・」

 

 

何か納得出来ない気がするのだが・・・反論出来ないのも事実

 

 

「そういうことじゃ。何か新しい物に目覚めるのも、悪いことでは無いぞ?」

 

 

「・・・そうですね」

 

 

「ふむ。ならば私の話はここまでじゃ。後は自分で考えてみることじゃ」

 

 

そういって、上気分になりながら祭は去って行った

 

 

「・・・」

 

 

相変わらず、酒瓶を持ち歩きながら

 

 

「といってもだな・・・」

 

 

そんな回想を思い出したところで、何の役に立つというのだろうか

 

 

「・・・意外性、か・・・」

 

 

そんなことを思いながら歩いて辺りを見回していると

 

 

綺麗なアクセサリーを身に付けて、愛しいあの人を惚れさせてみよう!

 

 

という看板が

 

 

「・・・なんというあからさまな」

 

 

これは誰かの陰謀なのだろうか?ため息混じりにそんなことを考えてしまう

 

 

どうせやることもないのだ。暇つぶしにはちょうど良いだろう

 

 

 

「いらっしゃいませー」

 

 

店内に入ってみたら、思ったよりお客が居るようだ。主に居るのは

 

 

「ねぇ、これ可愛くない?」

 

 

「そうだね、凄い似合ってるよ」

 

 

「ホント?じゃあこれ買っていい?」

 

 

「良いよ。すいませーんこれください」

 

 

このようなカップル連れが大半である

 

 

「・・・」

 

 

何か、虚しい気持ちになっている気がする

 

 

「・・・何を考えているのだ。私は」

 

 

そんなことを呟きながら歩いていると

 

 

「・・・」

 

 

あるコーナーに目が入った

 

 

「・・・イヤリング?」

 

 

見本にある写真の女性は、耳になにやら小さいものを付けている

 

 

「こういうのを付けてなにになるのだ・・・?」

 

 

そう思いながらも月の形をしたイヤリングを手にとって

 

 

「だが・・・確かに可愛いな・・・」

 

 

私も・・・これを付ければ、気づいてくれるだろうか?

 

 

あいつに、似合ってるよと・・・言ってもらえるのだろうか?

 

 

「・・・らしくないな、私も」

 

 

こんなことで考えるまでになっているとは

 

 

前までは、考えることもなかったのに

 

 

今は、あいつに気に掛けてもらいたい気持ちが出ていて、それで胸が痛くなって

 

 

こんなところにいて、こんなことを思いながら

 

 

「・・・まぁ、物は試しといういうからな」

 

 

決して私自身が欲しいとかそんなのではなくてだな、そう、これは・・・

 

 

「・・・あいつがどれほど鈍感なのかを確かめるだけ・・・だからな、うん」

 

 

そんな端から言えば言い訳に聞こえるようなことを思いながらも

 

 

「・・・これを、ください・・・」

 

 

 

「さてと・・・」

 

 

あの後部屋に帰ってきた私は、さっそくあいつを呼び出していた

 

 

勿論、さっき買ってきたあれを試すためなのだが・・・

 

 

「・・・」

 

 

なんでだろう

 

 

「・・・・・・」

 

 

物凄く・・・胸が熱くなっていて、落ち着かない

 

 

それも、夢で感じる並みの熱さだ

 

 

「・・・どうしたのだ?私は・・・」

 

 

あいつに逢う

 

 

そう思ってから胸の熱さが止まらない

 

 

「・・・楽しみだと言うのか?」

 

 

「あいつに逢うのが・・・?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

どうしよう

 

 

そんな感情がまで生まれてきた

 

 

「くそぅ・・・どうしたのだ私は」

 

 

何回目かの自問をしていると

 

 

「思春ー居る?」

 

 

「!?」

 

 

扉の向こうからあいつの声がした

 

 

「やっと来たか・・・少し待っていろ」

 

 

「うん、わかったよ」

 

 

そういって私は、例のイヤリング付けた

 

 

「うむ・・・これでいいな。入っていいぞ」

 

 

「オッケー」

 

 

さて、あいつはいつわかるのか・・・

 

 

いや、腐っても節操のない女好きのあいつだ、すぐに気づくだろう

 

 

「やぁ思春。どうしたの?」

 

 

「・・・」

 

 

「もしかして、また怒らせるようなことした?」

 

 

「・・・」

 

 

「いや、そんな蓮華が嫌がるようなことはしてないつもりだよ?俺もそこまで学習しない人じゃないし・・・」

 

 

「・・・」

 

 

「思春?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「おーい・・・?」

 

 

「・・・貴様」

 

 

「え?」

 

 

「何故・・・気づかぬ?」

 

 

「えっと・・・なにがで?」

 

 

「私の・・・」

 

 

「あの・・・思春さん?」

 

 

「私の変化にどうして気づかぬのだ貴様は!!」

 

 

「・・・はい?」

 

 

「蓮華様の変化には嫌と言うほど・・・殺したくなるほど気づく貴様が!どうして私の変化に気づかないと言っているんだ!!」

 

 

「えっと・・・その・・・」

 

 

「なんだ!?私にはそういう変化は必要ないというのか!?そうなのか!?」

 

 

「いやいやいや思春さん落ち着いて!」

 

 

「私は至極冷静だが!?」

 

 

「そんな鈴音を握りながら言っても説得力がないですから!」

 

 

「貴様のせいだろうが!!」

 

 

「わかった!わかったから!一回落ち着いてくれ!な?」

 

 

「・・・ふん」

 

 

そう言って私は鈴音を収めた

 

 

「待ってくれ?今探してみるから・・・」

 

 

「・・・」

 

 

やっぱりこいつに期待した私が馬鹿だったのだろうか

 

 

「あー・・・えっと・・・」

 

 

「・・・」

 

 

「もしかして・・・イヤリングのこと?」

 

 

「・・・ようやく気づいたか貴様」

 

 

全くだからこいつは・・・

 

 

「へぇー・・・思春がイヤリングか・・・」

 

 

「・・・なにか言いたいことでも?」

 

 

「いや、鈴音に手を掛けながら聞かないで・・・」

 

 

「ふん・・・」

 

 

「それにしてもさ」

 

 

「なんだ?」

 

 

「似合ってるよ」

 

 

「・・・!」

 

 

・・・これだ

 

 

この言葉が聞きたくて

 

 

私は・・・

 

 

「・・・」

 

 

「思春?どうかした?」

 

 

「い、いやなんでもない・・・」

 

 

照れているのか私は。全くらしくない・・・

 

 

「でも、何で急にそんなのを?」

 

 

「な、なんでもいいだろ。き、貴様には関係ない」

 

 

「そっか・・・でもさ」

 

 

「?」

 

 

「そういう思春も・・・可愛いよ」

 

 

「んなっ・・・!?」

 

 

可愛いとかそんなこと・・・!

 

 

「思春!?また顔が真っ赤だよ!?」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「どうしたの?思春?」

 

 

「・・・・・・・・・・」

 

 

「あれ?この流れは・・・」

 

 

「調子に・・・」

 

 

「あれ?これはまた・・・?」

 

 

「可愛いとか言って調子に乗るなああああぁぁぁぁぁああああ!!」

 

 

「またk・・・そげぶ!」

 

 

気づいたら、ボクサーもダウンさせれそうなアッパーをかましていた

 

 

「くそおおおおぉぉぉぉぉぉ!!またかあああああぁぁぁぁぁ!!」

 

 

そう言いながらものすごい速さで走っていた

 

 

でも・・・

 

 

 

「気づいてくれて・・・ありがとな」

 

 

 

あとがき

 

 

はい、最後まで見ていただいた方々、ありがとうございます

 

 

更新の頻度が物凄く遅い蒼華です

 

 

なのに内容はかなり薄っぺらいと言う・・・最後とか妥協して締めてしまいましたし

 

 

今回は、前回で続き希望のあった思春のお話パート2でした

 

 

正直単発で終わる予定だったのですが・・・気づいたら書いていましたw

 

 

なので、続き所望とか言われてもかなりきついので勘弁してくださいw

 

 

まだまだ未熟な自分ですが、これからも頑張っていきますので、よろしくお願いします!

 

 

ではでは!


 
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