No.221674

鳳凰一双舞い上がるまで 雛里√ 8話

TAPEtさん

真・恋姫無双の雛里√です。
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コメントは外史の作り手たちの心の安らぎ場です。

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2011-06-09 21:08:53 投稿 / 全6ページ    総閲覧数:4363   閲覧ユーザー数:3751

雛里SIDE

 

初めて見た街を襲う盗賊。

…いいえ、経験したのは初めてではないです。

私たちのお父さんやお母さんも、盗賊たちによって殺されました。

私は盗賊たちの姿を見たことはありませんでした。ただ、死んだご両親のことを考えると、こんなことをする盗賊たちが憎くて仕方がなかったです。

でも、自分に武の才能がないのはわかったから…そんな時水鏡先生のところに来て、自分が軍略や、軍師としての才があることをわかりました。あの時から思いました。

これに私の全てを賭けよう。これ以上私みたいな親を失って悲しむ娘たちができないようにしよう。人たちを悲しむ盗賊なんて居なくすればいい。

そう思っていました。

 

だけど、実際こんな時が来てしまうと、私に出来ることが何もありませんでした。

私なんて、他の人たちが戦う気を持たなければ一人じゃ何もできなかったのです。

むしろ、街を守ろうとする一刀さんの気持ちを邪魔するばかりで……

私がもし、この街の人たちに一刀さんが天の御使いだなんてことを言ってなければ、ものがこんなに難しくならなかったかもしれません。

一刀さん自身で、人たちを奮い立たせることができたかもしれません。

 

私は知らなかったのです。

人たちが自分が知らない何かにあんなに無茶な願いを持つなんて思ってなかったです。

まるで相手を人として見ていませんでした。

昂くみようと、それとも自分たちより低い位置に見ようと、結局同じく自分たちの良いようしてしまうのでした。

 

結局天の御使いというのはなんなのでしょう。

朱里ちゃんたちの言う通りなのでしょうか。

一刀さんはたしかに強いですけど、普通の人間です。

そんな人に、何か天からの凄まじい力を求めることは、不可能な願いなのです。

それでも、人たちはそれを願い、それができないと不満をだしてきます。

…人って、こんなに自分勝手だったのですね。天が人たちを今まで苦しませてきた理由がわかります。

天は人を助けなかったわけではないです。天はきっと、今までも何度も何度も人を助けようとしたはずです。だけど、その助けを伸ばした手を振り切りもっと下へともぐりこんできたのは……私たちの方かもしれません。

 

 

「お嬢ちゃん」

「……へっ?」

 

ふと現実から頭が外されて居ました。

 

「それで、俺たちゃこれからどうすればいいんだ?」

「…あ、はい」

 

そうでした。

何はともあれ、今は現実に立ち向かわなくてはいけません。

自分を罵ることもまた、何の意味な成さないことですから。

 

「それでは、街の入り口に賊の移動を防ぐための柵を立ててください。材料は壊された家とかでなんとかしてください。それから、街の自己警備に使う武器があるはずです。何人か行って持ってきてください」

「わかった。…おい!そこの三人、俺と一緖に倉の方に行くぞ」

「おう」

「おい、こいつらはどうする!騒いでるうちに逃げたらやべぇぞ。いっそここで殺しちまえば…」

「それはいけません!」

 

一刀さんが連れて行ったこの群れの隊長以外、まだ捕縛されている賊の人たちが居ました。

たしかにこの街に被害を与えた罪はありますが、こちらではまだ奇跡的に死人は居ません。

そんな状況で賊だからと言って殺してしまえば、こっちの方がもどう非道なようになりますし、それに一刀さんが賊との協商に行ってる時に仲間を殺したりしたら不味いです。

 

「殺してはいけません。何人か常に警備しておいてください。何かあったら直ぐに他の人たちも集めてください」

「わかった」

 

賊たちを縛っている縄は家や城壁を建てる時とかに使う太いもので、それを何重に重ねて縛られた賊の人たちが荒ぶるとしても、中々外されることはありません。

だけど万が一の状況もまたあり得ます。

もし一場所でも脱出できたら後はあっという間に皆解放されてしまうかもしれません。

 

ここで私が出来ることは、もしも一刀さんが失敗した時、街の防衛戦が出来るように、街と街人たちを準備させておくことです。

もちろん、一刀さんが思った通りに、賊の人たちがそのまま引いてくれたら尚いいですけど…

 

だけど、

御願いします、一刀さん。

無理はしないでください。

 

 

一刀SIDE

 

 

「ちっ!」

 

先、旗を見ていた丘に、街を襲った賊の大将を連れて上がってみると、もう敵の騎馬隊はその前まで来ていた。

 

「うまく行ったらいいが」

 

その逆なら…正直雛里に言った通りにはならないかもしれない。

この無茶な作戦は、あくまであの盗賊の群れの大将、つまり裴元紹が元々この街を襲うつもりでなかったことを前提する。

彼がここに来たのは、単に自分の命なしでこの街を襲った連中を裁くため。

でも、もしそうでなくてこの街を襲うことに加勢するためだったり、もしくは最初は裁くつもりだっただけでも、途中で気が変わっていたりすればあの街は正直守りきれない。

もしその場合は……大将の裴元紹の人なりに頼るしかないだろう。

 

「どっちにしろ、世の中片方が考えるようにばかり動いてるものではないからな」

 

今回だけ、今回だけでいいからうまく言ってくれ。

あの街には雛里も、他の多くの人たちもいる。

これ以上血を流すわけにはいかない。

賊のものでも、民間人のものでも…

 

どんどん騎馬隊が近づいてくる。

 

俺は、賊の小隊長の頭巾を木刀に巻いて旗のように振った。

こっちのことを知らせるためだけど、うまく行くが正直分からない。

知らないで突っ込んで来そうだったら……悪いが馬一、二頭ぐらいは犠牲になってもらう。

 

ガガガ――!!

 

「!」

 

騎馬隊がここから数十歩前のところで止まった。

そして、その中で前にあった一頭だけが前に進んでくる。

 

「……」

 

あれが裴元紹か。

 

ダガダガダガ

 

速度が上がる。

念のために姿勢を……

 

「しゃおらあああ!!」

「ふっ!!」

 

カキン!!

 

騎馬状態の相手が走りながら薙いで槍を木刀で返しながら馬の向き先から離れる。

重い……馬に加速されたのもそうだけど、相手自身の力もまたすごい。

流石は賊の総大将も名乗れるものだ。

 

一合終わって通り過ぎた騎馬はこっちを振り向いた。

そして今度はゆっくりと歩いて来る。

 

「……何者だ、貴様は!」

「……俺は北郷一刀、あの街の代表だ」

 

馬の上にのって勢いを持った声でこっちを薙ぎ払うかのように叫んでくる。

 

「お前がこの群れの総大将と聞いている」

「そうだ!俺がこの山賊の大将だ」

「…山賊?」

「そうだ!山に潜って通る商人らを襲って生きる山賊よ」

 

たしかに、裴元紹といえば三国志演義でも黄巾党の張角らが死んだ後、周倉と一緖に山賊になったという。

でも、黄巾党ではなく山賊を名乗るというのなら、ますますここまで出てくる理由はないはずだ。

ああ、これで明らかになる。この街を襲った連中は勝手に出回っただけだ。

 

「山賊なら山に居ればいい。何故街を襲おうとしているんだ」

「……そいつらは俺の部下じゃねえ」

「?」

「俺の命を無視して勝手に街を襲うために出ていった。武装や武器など持ってよ。まったくとんでもねー連中だ」

「なら、こいつの勝手な攻めだったと言うのか?」

 

俺はまだ気絶している小隊長の奴をさしながら言った。

 

「……ああ、違いねー、他の奴らの言った通りだな。…殺したか」

「いや、殺してはいない。他の連中も街の中に捕縛してある」

「…ほぉ…」

 

裴元紹は鋭い目でこっちを見た。

 

「この街を攻めるつもりでなかったとしたら話は早い。お前らの部下を連れて帰ってもらいたい」

「は!例え予定でない街奇襲だったとしても、賊の俺たちがそんな条件で帰るとでも思うのか。それに、そいつらは裏切りものだ。連れ帰ることなく全員切り落とす」

「なら、それもまだ構わんとしてだ。このまま街を放っておけ。既に街は大きな被害を受けている」

「…断るとすれば……?」

「……ここで貴様を斬らせてもらおう」

 

 

 

 

「がはははっ!!」

 

馬の上の裴元紹は豪快に笑い始めた。

 

「中々度胸のいい奴だ!気に入った!俺の部下にならねーか」

「……は?」

 

一瞬、奴が何を言っているのか分からなくてつい真面目な顔から素に戻って問い返してしまった。

 

「そいつは中々気に入ってる奴だったが、あんな狐みたいな真似をする奴ならもう用はねー。代わりに貴様を俺の部下に入れてやると言っているんだ」

「…断るとすれば?」

「その時は遠慮なくあの街を襲ってもらおう」

「ちっ!」

 

そう来るか。

いや、しかし、

俺一人で引いてくれるとすればまだ良い話だ。

どうせこの街を出るつもりだったではないか。

賊というのは少し気にくわないけど、街を守るためなら一応はその条件を飲むことも考えられる。その後のことはその時になって考えればいい。

 

「………分かった。貴様の部下になろう。街には手を出すな」

「いいだろう……ははっ!こいつは裏切り者を処理した代わりに大物を釣ったぜ」

「……一度街に帰らせて頂こう。持ってくる者もある」

「構わん!だが、俺の部下も何人か連れていってもらうぜ。残りの裏切り者どもを連れていくためにもな。安心しろ。俺の言うことなら聞く連中だ。街に害することはさせん」

「……ならいいが」

「おお、そうだったな。部下にするのなら名前をしっとかねーとな」

「裴元紹だろ?既に聞いている」

「何だ、知っていたのか。まぁ、俺のことはお頭でもなんとでも呼ぶといい。名で呼ぶ連中は居ないがな。がっははー!」

 

見た目としてはかなり威圧ありそうな顔だったが、言うことは割りと街のちょっと豪快のおじさん並だ。

 

「お前の名は何だ」

「…姓は北郷、名は一刀。字はない」

「北郷一刀か。珍しい名前ではないか」

「………」

 

俺が何も言わないで黙っていたら、裴元紹は後で待機している部下の何人かを呼ぶ寄せた。

 

「こいつと一緖に街に行って他の連中を連れて来い。後で陣に戻ってまとめて裁くから殺したりするな」

「「「「はっ!」」」」

「後、お前はこいつと一緖にこいつの私物を持って来い」

「わかりました」

 

他に俺の監視役を命じられた者と、他の四人ぐらいは乗馬したまま頭を下げた。

 

「お前、馬は乗れるか」

「…嫌、乗れん」

「そうか。まあ荊州の者はそれほど変でもない。ほらよ!」

「なっ!」

 

裴元紹の手が俺を無理やり引っ張って馬に乗せた。

なんという力だ。

 

「行くぞ!」

「ま、まっ…うわぁっ!!」

「がっはは!しっかり捕まえてろよ。落ちて馬に踏まれたらもったいねーからな!」

 

無茶言え!

何だ、どうして人間は他の動物の背に乗って移動することなんて考えやがっ……って落ちる!

 

 

 

 

 

雛里SIDE

 

 

「お嬢ちゃん!!彼処から何か来るぞ!」

「!一刀さんですか?」

「いや、馬がいくつか……」

 

私は街の人の言葉を途中まで聞いて簡易で作った柵の上に上がって砂塵がする方を見ました。

馬が何匹かこっちに向かってます。

攻めてくるわけではなさそうですけど……警戒はしておきます。

 

馬たちは柵のちょっと前に止まりました。

 

「!一刀さん!」

 

その中で、一頭の馬の後側に一刀さんが乗っていました。

 

「どうなってるんだ?」

「知らん。あの数で来たと言うわけでは…ないだろうが」

「…多分、一刀さんが協商に成功したのだと思います」

 

ここに攻めてくるつもりなら、あの数だけでここまで来るはずはありません。

 

「ホンマか!」

「よっしゃーー、これで街は無事だぞ!」

「俺たちは助かったー!」

「あわわ!まだ気を抜いてはいけません。決まったわけではありませんから」

 

取り敢えず一刀さんのことを聞かなければ……

 

「雛里」

「一刀さん!」

 

他の賊の人たちを一緖に来た一刀さんを見て私は柵を越えて走って行きました。

 

「大丈夫なんですか?」

「ああ……こいつらに仲間を渡してくれ。それで帰ってくれるそうだ」

「…そうですか」

 

よかった。

一刀さんも無事みたいですし、街もこれ以上襲われることもないでしょう。

 

「後…」

「…はい?」

「引き取り条件に連中の仲間になることになった」

 

 

 

「…………え?」

 

自分の耳を疑いました。

一刀さんが……

 

「一刀さん……」

「麓に置いてあった鞄を取ってそのまま行くつもりだ。悪いが、ここでお別れにしよう」

「ちょっ……ちょっと待ってください……」

 

一刀さんが…盗賊の仲間入り……?

天の御使いになると思った人が……

一緖にその道を行きたいと思った人が、盗賊に…

そんな…ことが……

 

「あぅぅ……」

「!雛里!?」

 

 

一刀SIDE

 

「雛里!」

 

俺の話を聞いていた雛里がそのまま倒れてしまい、俺は倒れる彼女を支えた。

 

「おい、そのお嬢ちゃん、大丈夫なのか」

 

後から裴元紹が声をかけた。

 

「……大丈夫だ。気にする必要はない」

「……衝撃だったようだな。貴様が俺の部下になるというのが」

「………」

「何なら、そいつも一緖につれて来てもかまわねーぜ。なぁに、女はあまり居ない物騒なところだが」

「ほざけ」

 

俺は鋭く木刀を裴元紹の頸に指した。

 

「貴様!」

「やめんか、お前ら!」

 

部下たちが俺にむかって槍を薙ぐのを裴元紹は厳しく止めた。

 

「悪い、今の言葉は謝ろう」

「……もう一度そんな話を口にしてみろ。街も何も貴様のその頸を胴体から切り落としてくれる」

「厳しいやっちゃなー。まぁ、俺もそんな気持ちを知らないわけではないからな。大事な娘を守りたいというのは…」

「…そういうものではない」

 

俺は木刀をおろしながら言った。

 

「……用事だけ済ませてここを去ろう。俺が戻ってくるまで雛里や街人に傷一つでもさせたら……」

「心配すんな。これでも俺は約束を大事にする男だ」

「…その言葉を信じよう」

 

俺は気を失った雛里を抱き上げて街の中の方を向かった。

そして、街の人に雛里の面倒を見させ、彼らが仲間たちだけ返せばおとなしく帰ってくれると説明した。

俺のことについては言わなかった。そうする必要もないし、言ったところで良いこともない。

 

悪い、雛里。

あまり良くない別れ方だが、これで潔くお前から離れることが出来る。

 

 

 

街から塾の間に置いてあったキャリーケースは倒れたせいで開かれていたけど、特に問題はなかった。

 

「何だ、それは…」

 

監視役に来た賊の連れが聞いた。

 

「……私物だ、大したものではない」

 

いや、正直すごく大したものだけどな。

今はまた中に何も入ってなかった。

でもこの前は木刀があって、その前は時計が入ってたり、そしてさっきは雛里がスタンガンを持ってきていた。

どう考えても、普通の品物ではない。

ないが……

 

深く考えないことにしようと思っている。

考えたところで何かわかることもなければ、今はそんなことは別にどうでも良かった。

 

「……そういえば、塾では街のことを知っているのだろうか」

 

今孔明は他の人に会ったらすごく変な状況だからな。

街人もそこまで考えが回らなかっただろうし、後で話すようにしておくか。

 

「帰るぞ」

「用事はそれだけか?」

「構わない」

「お頭は度胸がある奴が好きだ。さっき捕まった奴はお頭に媚ってばかりだったが、こんな独断なことをして許されるほど愛されてはいない」

「彼はそうとして、付いて来た連中はどうなる」

「それは君次第だろう。恐らく、お頭は君にあいつの代わりをさせるおつもりだろうからな」

「………」

 

盗賊の幹部にさせるというのか。

……あまり良い気になる話ではないな。

どうするべきか……

 

「用がそれだけならさっさと戻ろう。この上には水鏡先生の私塾があると聞く」

「それがどうした」

「お頭は学問はないが、その御方がどれほど徳望ある方がは知っていらっしゃった。だからこの街を今まで攻めることがなかったのだ」

「…なら、他の街は……?」

「……詳しい話はお頭に聞くがいい。だが、俺たちは君が思っているようなそういう賊の群れではないとだけしれ」

「…ふん」

 

まぁ、行ってみればわかることさ。

 

・・・

 

・・

 

 

 


 
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