司馬懿視点
北郷さんと旅を始めて数ヶ月、私達は泰山に来ていた。北郷さんに旅の目的を教えてはいない。
北郷さんの鍛錬も順調に進んでおり始めた頃より随分と腕を上げた。といっても目標まではまだまだですが。
それはさておき此処に着いたとき北郷さんは驚いていた。それはそうでしょう、此処は北郷さんにとって因縁のある場所。左慈様達との最終決戦の場所だから。
驚いている北郷さんを尻目に私は泰山を登り始め、神殿を目指した。
…付いてきていますね。念のため気配を探ってみましたが特に何も無い。
警戒は解かず神殿の中に入り玉座の間を目指す。そこに目的の銅鏡があれば、と。
玉座の間に着き祭壇を見るが何も無い。どうやら此処には無いようだ。だが何か手がかりになる物が無いかと祭壇に手をかざしてみる。
手のひらに意識を集中し術を使ってみる。
この術は残留思念の術。対象となるものに何かしらの思念が残っていないか読み取る術。
だが残念なことに何の思念も残っていなかった。要するにここには誰も来ていないのだ。
この部屋を見渡しても不審な点が見当たらない為調査を終了。
周りを見ると北郷さんは壁にもたれ寝ていた。きっと退屈だったのでしょうし、鍛錬の疲れも溜まっているのでしょう。まあ無理も無いことです。
北郷さんを起こし泰山から降りましょう。
「あ・・いしゃ、・・・りん・・り・、し・・り」
肩に手を掛け起こそうとしたが一瞬手が止まってしまった、北郷さんの口から出たのは誰かを呼ぶ悲しみを含んだ声だったから…
一刀視点
司馬懿と旅を始めて数ヶ月、俺達は泰山に来ていた。司馬懿は何も教えてはくれなかった。
此処に目的があるのだろうか?俺は司馬懿の後を付いて泰山へと上って行く。
しばらく上ると神殿があった、あそこは嘗て俺達が左慈達と最終決戦を行なったあの世界の神殿と同じだった。
司馬懿は何も喋らず、神殿の中に入っていく。俺も置いていかれないよう神殿の中に入っていく。
しばらく歩くと大広間みたいな所へ出た。ここも左慈達と対峙したあの世界の場所と同じだ。
司馬懿は祭壇らしき場所へ歩み寄り何かを調べてるようであった。俺も特に何もすることが無いため、その辺を見てまわることにした。
結局玉座らしきもの以外は壁しか無く見てまわってもすぐに終わった。司馬懿の方は祭壇でまだ何かしているようだったが俺は壁にもたれ司馬懿の行動が終わるのを待つことにした。
壁にもたれてすぐに眠気が襲ってきた。此処最近の鍛錬の疲れだろうか、俺はそれにあがらいもせず意識を手放した。
「北郷!これでこの外史も終わりだ!!」
神殿が、大地が揺れだす。唯の地震ではない。
世界全体が揺れている。そんな感じの揺れであった。
そして足元が割れ始め裂け目から見えるのは闇。
全てを飲み込もうとしている闇であった。
崩れ落ちて最中愛おしいものたちの名を叫ぶ。
「愛紗!」
「ご主人様!」
「鈴々!」
「お兄ちゃん!」
「朱里!」
「ご主人様!」
「みんなーーー!!」
「ご主人様!
一刀(さん・様)!」
「あ・・いしゃ、・・・りん・・り・、し・・り」
「・・き・て・だ・い、お・て・ださい、ほ・ご・さん・・・」
誰だ?誰かが俺を呼んでいる。起きろって…ああ、俺は寝ていたのか。
目を開けるとそこにいたのは心配そうにしている司馬懿だった。
「うなされいるようでしたが大丈夫ですか?」
俺がうなされていた?…あの夢を見たからだろう、あの最終決戦の。
あれ以来今まで見る事が無かったのだが久々に見た、ここに来たからだろうか?
それに頭痛も無くなっていた。司馬懿曰くあの頭痛は自己防衛では無いかと、
あれは俺にとって辛い出来事のため、思い出し精神に異常をきたさないために、頭痛を起こしストップを掛けていたのではないかと司馬懿は言った。
だがあの事件により頭に衝撃が加わった為、ストップを掛けていた物が壊れすべてを思い出すこととなった。
そんなことを考えていると俺が中々返事をしないために再び司馬懿が声を掛けてきた。
「あの、本当に大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫。久々に夢であのことを見ちゃったから…」
「そうですか…、それで泣いてらっしゃるんですね。」
「え!?」
司馬懿に言われて目元に手をやると涙が出ていた。
「あはは…、情けないね、皆の事を思い出して泣くなんて…」
そう言って司馬懿から顔を背けようとしたが司馬懿は俺の頭を自分の胸元へ抱え込んだ。
「え?司馬懿?」
俺は驚き顔を上げようとしたが力がこめられそれが出来なかった。
「北郷さん、無理をすることはありません。あなたは愛する者達と別れ別れになってしまったのです。
悲しいと言う感情は恥ずかしい事ではありません。泣くという行為は情けなくありません。」
司馬懿の言葉を受けて俺は泣いた…
司馬懿視点
「起きてください、起きてください、北郷さん。」
私は彼の体を揺すると彼はようやく起きた。
「うなされいるようでしたが大丈夫ですか?」
目を覚ました彼はしばらく心在らずという感じだったし泣いていた。そして再度問いかけてみる。
「あの、本当に大丈夫ですか?」
「ん、大丈夫。久々に夢であのことを見ちゃったから…」
「そうですか…、それで泣いてらっしゃるんですね。」
「え!?」
彼は慌てて目元に手をやり確認する。
「あはは…、情けないね、皆の事を思い出して泣くなんて…」
そう言って彼は私から顔を背けようとしたが彼の頭を自分の胸元へ抱え込んだ。
「え?司馬懿?」
彼は驚いて顔を上げようとしていたが、少し力をこめてあげさせないようにした。
「北郷さん、無理をすることはありません。あなたは愛する人達と別れ別れになってしまったのです。
悲しいと言う感情は恥ずかしい事ではありません。泣くという行為は情けなくありません。」
彼は泣いた。私の胸で。それがなぜか嬉しかった。先ほど彼が寝言で呟いたの名前を聞いて私は胸が締め付けられていた。なぜそんな風になったかは分からない。こんな感覚は初めてだった。
でも今は私の傍に居る。それが温かかった…
あとがき
昨日一昨日辺りに投稿を予定していたが出来なかった…
急に仕事が入り昨日丸一日会社に閉じ込められたのです。
仕方ないので会社内でひたすら今後の話を妄s…もとい今後の話のネタを考えていたら今回の話
若干の修正等が必要となったが朝家に帰ったら疲れていたため昼から夕方過ぎまで爆眠、
起きてからも飯食い~の風呂入り~のだらだら執筆していたらこんな時間に…
寝起きとかでやると駄目ですねorz(反省
こんな駄目作者でスイマセン。
マア気を取り直して、
ではではまた次回~
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第6話投稿です。
ある場所に着いた司馬懿と一刀
ここには何があるのか?
そして司馬懿に心境の変化が…あるのか?