No.221495

終わりなんて無いんだよ

終わりがあるから始まりがある。
そんなことは誰でも知っている。
……じゃあさ。みんなは終わりを認識できているのかい?

2011-06-08 19:31:32 投稿 / 全5ページ    総閲覧数:1000   閲覧ユーザー数:996

終わりがあるから始まりがある。

そんなことは誰でも知っている。

だけど、皆知っているのは始まりだけで終わりは知らないんだ。

始まりは知っている。

行事、就職、偶然、きっかけ、何気ない人とのふれ合い……つまり出会いだ。

出会う。

始まりだね。

始まらない人間なんていないし、人は身近なところで色々な始まりを経験しているんだ。

人と極端に触れ合わない人もそう。本や作品に触れる出会いもあれば何気なく聞いているテレビニュースの雑音やカラスの鳴き声だって一つの出会いさ。

でもね。

終わりは無いんだよ。

終わらないんじゃない。

終わりは存在する。

だけど、終わりなんてものは無いんだ。

なぜなら、僕たちは常に別れた人、日常、作品を知らない間に触れなくなって、忘れてしまって、そのまま別の出会いを始める。

つまりどういうことかって?

 

終わりには【告知】がないんだよ。

小学校の頃、クラスで仲のよかった同級生。最後に遊んだ時どうだったかい? これでこの人と遊ぶのが最後だって思ったかい?

ボクはこれからも当たり前に続くと思っていた。

だけどそれが最後だった。

別に不慮の事故で遊べなくなっただとか、そんなドラマみたいな展開はない。

勉強が忙しくなったりクラスが別々になって話す機会が減っていったりと些細なきっかけ。何気ない日常を過ごしていたばかりだ。

それだけの理由であんなに楽しかった友達と遊ばなくなった。

もしかしたらその時はあんまり楽しくなかったかもしれない。

けれど今振り返るとその当時のボクの毎日は輝いていた。思いで補正かもしれないけどね。

 

中学の時、近所の公園でバスケットを教えてくれる先輩がいた。いつも1on1をしていた。勝ったり負けたりで面白かった。

ある日突然来なくなった。

飽きたのかもしれない。

近くの公園を通るとき、いつも目で先輩がいないか無意識に確認してしまう。

やがて公園にも行かなくなる。

終わりだ。

先輩と、その公園と、1on1をやっていた日常と。

 

社会人になりバリバリ働き、自分の夢を追うために今の会社を辞めた。

仲の良かった先輩や同僚。頼りがいは無いけどどこかほうって置けない後輩。

飲みに行く約束を交わしてから3年。

まさかあれが最後に交わした言葉になるとは思わなかった。

 

家にあったアルバムを眺めて見る。

父さんにお願いして買ってもらった安物のギター。

最後に弾いたのがいつなのかも思い出せない。

 

終わりの告知が無いだけでなく、終わった事実さえもその瞬間にしか確認できなかった。

人は、出会いと別れを繰り返して成長する。

……って誰かが言ってた。

それなら、誰もが成長して立派な人になっているはずだ。

でもご存知の通り大多数の人間は成長しない。

未熟で、わがままで、身勝手で……醜い。

大多数の人間がそうさ。

大切な出会いを分からなければ重要な別れを認識することさえもできない。

クズだね。うん。クズだと思う。

大多数のクズの一人であるボクが言うんだから間違いない。

人は出会いと別れを繰り返して成長する。

かっこいい言葉だね。そうかもしれない。

でも、別れなんて認識できない。

強いて言えば、恋人との別れや親戚の他界ぐらいだ。

それでようやく、人はほんの少しだけ成長する。

激しい後悔と罪悪感。自分自身の無力さに失望して、その負の感情の大きさに比例してほんの少しだけ成長する。

 

ひどい話しだね。

絶望するまで成長できなくて、絶望して初めて理解できるなんて。

まるで何かのおとぎ話だ。

今日できることを明日まで延ばすな。

なぜベストを尽くさないのか。

お前の無駄な一日は、誰かが生きたかった明日なんだ

……かっこいいよね。

皮肉なんかじゃなく、自分を追い込むのは素晴らしいことだと心から思うよ。

毎日を後悔しないように一生懸命生きる。

うん。かっこいいよ。

 

でもね、違うんだ。

そこまで努力したら疲れるんだよ。

 

完璧な毎日を望んで、自分の理想通りに向かって走り、壁にぶち当たってもそれを歯を食いしばって乗り越えていく。

うん。無理。

疲れるもん。

あははは、クズだね。

 

じゃあどうやって毎日を生きて行くのが楽で後悔しない正しい生き方なの?

ガチガチに自分を縛って前を向いて歯を食いしばって生きて行くのは疲れるよ。

別れ、終わりで人は成長するとしても”終わりは終わりを教えてくれない”から成長できないよ。

 

ボクは一つの声を出した。

別れを噛み締めて、何気ない別れを胸に刻むだけでいい。

終わりに出会った時に後悔しないように、毎日小さな後悔を胸に刻んで生きていく。

それだけで。頑張らなくてもさ。

少しは毎日に胸を張れる気がするんだ。

諦める……トレーニングだね。

 

感情なんて他者と比較できないんだからさ。

ボクはこの錯覚で毎日を終わらせるんだ。

 

……その錯覚さえも終わりが告知してくれないことを知らずに。

 

 

 

 

"終わり"

コミケ当選したんで、宣伝も兼ねて書いてみました(オリジナルの自分に酔っちゃったポエムで宣伝とか言っちゃったよ……)

というわけでオリジナルのギャルゲーでシナリオ担当するから近くで買い物するならついでに覗きに来てくれると嬉しいっす。

8/13(土)二日目 土曜日東地区Vブロック24a

 

あー、ちゃんと宣伝するならティロフィナーレの二次創作でも書くかなー。

 

 

 


 
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