ここは、夏口に駐屯している黄祖の支配下の一つの町である・・・
そこでは一人の男が、都督を務めていた。名を、蘇飛・・・
この蘇飛は、文武両道のお手本とも言え、武は孫策にも匹敵するとも言われ、智は周喩にも劣らず、その上優しさもあるため、この当たり一帯では、かなりの評価を得ていた・・・
呉軍本陣(天幕)にて・・・
孫策「・・・」
黄蓋「・・・」
周喩「・・・」
凌操「・・・」
魯粛「蘇・・飛・・・様・・・?」
誰もがそれを見つめる・・・
蘇飛「・・・・・・・・・・・」
目を閉じている蘇飛を・・・
甘寧「くそっ!!」(ゴンッ!)
孫策「甘寧、あなた・・・」
悔しさを、地面にぶつける・・・
甘寧「くそっ!くそっ!くそっ!」(ゴンッ!ゴンッ!ゴンッ!)
何度も何度も、血が出ているにもかかわらず・・・
甘寧「くそっ!」(スッ)
次に拳を振り上げたとき・・・
魯粛「もうやめてください・・・」
魯粛が甘寧の腕を掴んだ・・・
甘寧「ふざけるな!!コイツは私のせいで「だから何も言わないでください!蘇飛様のためにも・・・」・・・・・・」
仕方なく、腕を下げる・・・
孫策「いつまでも悲しみに、浸っている暇は無いわ・・・行くわよ・・・」
甘寧「はい・・・わかりました・・・」
魯粛「・・・・・・・・・」
各々が天幕から出て行く・・・
黄祖軍本陣・・・
黄祖「蘇飛は死んだか?」
鄧龍「まず、間違いないでしょう・・・」
黄祖「そうか!やかましい敵兵と裏切り者を葬ることが出来て一石二鳥だ!!」
鄧龍「全くです・・・では、あなたにはそろそろ消えてもらいましょうか、呂公殿」
黄祖「はっ?お前は何を・・・」
ガチャ、と扉を開けて入ってきた・・・
呂公「・・・・・・・・・」
喋らない、違う・・・喋れないのだ・・・
鄧龍「では、殺しなさい」
呂公「・・・・・・・・・」(スッ)
剣を鞘から抜き、おもむろに剣を振りかぶる・・・
黄祖「や・やめ・・・ギャアアアアア!!!!!」(ストン)
ころりと『それ』が転がった・・・・
鄧龍「おや?抵抗するかと思いましたが?まぁ、いいでしょう・・・自害しなさい」
また命令通りに動く、人形でしかない・・・ズシャ!・・・・・・
鄧龍「ふむ・・・一応『アレ』を回収しておきますか・・・」
そして、スゥゥ・・・と消えた・・・・・・
呉軍本陣・・・
蘇飛「・・・・・・・・・・・」
鄧龍「呆気ないものですね・・・大きな力には大きな代償が必要と・・・」
先ほどからかなり離れた場所に現われた・・・
鄧龍「ですが、貴方の場合『魔眼を使う代わりに、記憶を失う』といったところでしょう・・・」
ある意味独り言のように、感じるが・・・
鄧龍「どちらにしろ、危険物ですね・・・」
そういって近づいていき、目に触れようとした瞬間・・・
蘇飛「食らえ!!」(ヒュン!)
隠していた暗殺器具を投げた・・・グサッ!という効果音を立てて、鄧龍が崩れ落る・・・・・・
蘇飛「やったk!?、グハァ!!!」(ドボドボ!!)
口からすごい勢いで血を吐いた・・・
蘇飛「ゲホッ!ゲホッ!」(・・・ポタポタ)
鄧龍「おやおや、そんなに死に急がなくても・・・」
蘇飛「!?」
振り返ろうとしたが・・・ブシャァァ!!、と背中から血が噴出して、前向きに倒れていく・・・
蘇飛「く・・そ・たれ・・・が・・」(ドシャ!)
鄧龍「いけませんね、私としたことが・・・ですが、後は時間の問題でしょう」
血だまりの中で、苦しそうにもがく蘇飛・・・
蘇飛「ヒュー・・・ヒュー・・・」
鄧龍「おや?そんな顔で見ないで下さいよ・・・」
蘇飛は鋭い目つきで睨む・・・
鄧龍「ここにいても、もう意味はありませんね・・・それでは、さようなら・・・」
スゥゥ・・・と消えていく、後に残ったのは死に掛けの人間だけ・・・
蘇飛「ヒュー・・甘・・ヒュー・・・・寧・・」
僅かに出した小さな声・・・それに反応したのか定かではないが・・・天幕の入り口が開き・・・
甘寧「蘇飛!!」
愛しい人が駆け込んできた・・・・
少し前・・・
甘寧「孫策様、少し遅れていきますので・・・・」
孫策「・・・わかったわ、だけど早くしなさいよ・・・」
魯粛「あなた・・・」
魯粛が甘寧を呼び止めようとしたが・・・
甘寧「大丈夫だ・・・だから少し、落ち着かせてくれ・・・」
魯粛「・・・・・戻りなさいよ・・・」
甘寧「分かっている・・・」
そういって、小走りに去って行った・・・・
魯粛「・・・・・・・」
孫策「あなたは行かなくていいの?」
魯粛「私なんかじゃ駄目ですよ・・・」
孫策「負けちゃったみたいね・・・」
魯粛「あはは・・・そう、ですね・・・」
そして、一滴の雫が流れ落ちる・・・
甘寧「もう一度、アイツの顔を見ておこう・・・」
天幕近くまで来たところでそう呟いた、その時だった・・・
蘇飛「ヒュー・・甘・・ヒュー・・・・寧・・」
甘寧「!!・・・蘇飛!!」
もう聞けないはずの声が聞こえた・・・
甘寧「蘇飛!!生きて・・・え?」
天幕に入ってみると、蘇飛は血だまりで苦しそうにもがいているし、周りは血だらけ・・・
蘇飛「ヒュー・・甘・・ヒュー・・・・寧?・・」
甘寧「あぁ!私だ!!しっかりしろ!!」
しゃがんで、体を抱き起こす・・・
蘇飛「ヒュー・・・良・・かった・・無事・ヒュー・・・だった・」
甘寧「私よりも、お前が!」
蘇飛「は・はは・・・負けた・・ヒュー・・ヒュー・・・・完敗・・だ・・ゴホッ!」(ビシャッ!)
甘寧「喋るな!喋らないでくれ・・・」
蘇飛「ヒュー・・甘・寧・泣い・・・ヒュー・てい・・る・ヒュー・・か?・・ヒュー・・・・」
甘寧「泣いてなどいない・・・」
そういって、笑顔を見せる・・・
蘇飛「ヒュー・・甘・・ヒュー・・・・寧・・」(スッ)
甘寧「蘇飛?」
血だらけの手で触れられるがそんなことはどうでもいい・・・
蘇飛「・甘・・寧・笑っ・・た・・ね・・・」
甘寧「私とて女だ・・・笑うさ・・・」
蘇飛「やっぱ・・り・・嫌・・だ・な・・・」
甘寧「何がだ?」
蘇飛「まだ・・・一緒・・に・い・・たい・・な」
甘寧「なら、生きろ!!」
蘇飛「あ・・はは・・それ・・は・・無・・・・・理か・・・・も・・・ご・・・め・・・ん・な・・・」
息継ぎが難しいようでゆっくりとしか話せない・・・
甘寧「死ぬな!!生きてくれ!!」
蘇飛「ご・・・め・ん・・な・・・思・・・・・・春」
甘寧「え?・・今なんと・・・」
蘇飛「お・・・前・・・は・・・俺・・・の・・・こと・・・・を・・・」
甘寧「まさか、あの時の・・・・」
蘇飛「・・そう・・か・・・・・・思・・・・春・・ま・・・た・・な・・・・・・・・・・・・・・・・・」(フラッ)
手がだらんとぶら下がる・・・
甘寧「おい!・・・おい!!・・・嫌だ!・・蘇飛!!・・目を覚ませ!!!!」
甘寧「うわぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!!!!!」
甘寧「絶対に強くなって見せる・・・守りたいもののために・・・
昔、あるところの子供が・・・・・・
男『ほら、鈴やるよ!』
女『え!いいの!!』
男『いらないか?』
女『いる!いるから!!』
男『ふっ・・・ほらよっ』
ほいっ、と鈴を渡す・・・・
女『わぁぁあ・・・そうだ、私の真名をあげる!!』
男『あほか・・・』
女『いらないの?・・・』
男『・・・わかったから!、そんなに見るな!』
昔から押しの強い奴は苦手だった・・・・
女『えへへ、私の真名は【思春】だよ!///あなたは?』
男『そうだな・・・今度会った時に教えてやるよ・・・』
女『えぇ~、今がいい!今がいい!』
男『頼むから、騒ぐな!俺はな・・・』
思春「まさか、あの時の奴だったのか・・・」
思い返してみればそうかもしれない・・・
だが・・・
?「思春~、姉様から【天の御使い】とやらについて書いてあるのだけど・・・思春?」
思春「・・・はい、なんでしょうか?蓮華様?」
蓮華「貴方・・・今、恋する乙女の顔だったわよ・・・」
思春「~~~~~~蓮華様?///////」
顔から火が出そうだ・・・
蓮華「フフ・・・」
思春「え、えと・・・そう!天の御使いなど胡散臭いです///////」
蓮華「そうよね!全く、姉様は・・・・・・・」
思春「私も大変だな・・・・・・きっとまたお前に会えるかな?」
?『会えるんじゃないか?』
思春「そうか・・・・またな・・・・慶太・・・」
またひとつの物語が終わり・・また一つの物語が始まった・・一つの正史の人間から・・・・
【完】
あとがき
最後は適当にしました・・・
文句を言わないで下さいね・・・
此処からのお話は、皆さん知ってとおりのやつですので・・・
それでは!(・-・)n・・・・
幾多もの戦場を乗り越え、そしてきっと・・・希望を手に入れろ・・・
信じるのは己だけ・・・どんな苦難が待っているかはわからないが・・・・
これだけは言える・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
『光あれ』 終わり
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ふっふっふ・・・疲れた(>_<)
(・-・)n、うぱ~・・・