No.221368

真・恋姫 呉伝 -為了愛的人們-第二十五話

獅子丸さん

第二十五話。


遂に美蓮覚醒(ぁ
そんな話。

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2011-06-07 21:22:53 投稿 / 全3ページ    総閲覧数:23495   閲覧ユーザー数:18399

 

― 孫堅Side ―

 

 

 

 

 

数日前の騒動も治まって寿春は平和な日常を取り戻している。

自分の部屋で杯を傾けながらその事を思い出す。

数日前の出来事・・・・・・。

私と詔、小蓮など戦闘に参加できない者は、一刀が粛清した日の翌日に雪蓮達と合流した。

皆と合流した私が見たものはひどく憔悴した面持ちの一刀。

冥琳から事情を聞いて私は言葉も出なかった。

一刀をあんな風にしたそもそもの原因は私にあるのだと思った。

私が一刀を気に入り自身の息子としてなければ・・・・・。

あんなに純粋だった一刀に最初に出会ったのが私じゃなければ・・・・・・・。

そう思った。

後悔と、自身に対する嫌悪が自分の体を蝕んでいっているような気がした。

私の目の前で死を待つ一刀を助ける事も出来ずにただ佇んでいるだけの自分を殺してやりたいとさえ思った。

あの状況でも私は一刀の命と孫呉の未来を天秤にかけて後者を選んでいたのだから。

一刀は自分の息子だと言っていた癖に・・・・。

そんな状況をひっくり返して見せた美羽と七乃に藍、そして民達にはいくら感謝しても足りない。

心の中で最大限の感謝を述べながら酒瓶を傾けるがそこから何も出てくる事は無かった。

 

 

「・・・・・・飲み過ぎたかしら」

 

 

ふと周囲を見回すと空になった酒瓶が二つほど転がっている。

それをみて苦笑しながらもう一度あの日のことを思い出す。

民に向って自身の罪とそれに対する報いを受けると宣言した一刀の背中を。

自分が『天の御使い』だと語るその背中を。

思い出すだけでも鳥肌が立ち胸が高鳴る。

大勢の民を前にして堂々と言葉を放つ一刀は正しく『天の御使い』だった。

そんな一刀をみて私はこう思った。

 

『王』

 

理屈の問題じゃない。

そう思ってしまったのだから。

一刀が王になれば・・・・・・。

そんな事すら考えてしまった。

だけど一刀は孫呉に下ると言った。

惜しいという気持ちがあふれた。

だけどそれと同時に言い知れぬ歓喜が沸き起こる。

あれほどの者が我等孫家を支えてくれるのだ。

あれほどの男が私達を支ええくれる。

私の息子となった青年。

少し前まで歳相応のあどけない青年。

人を殺してしまったと私の胸で涙を流していた青年。

そんな青年が『男』になった。

それも飛びっきりの『男』に。

一刀を巻き込んでしまったという後悔は捨てきれない。

けれど『男』になった一刀を見て私は忘れていた何かを思い出させられた。

 

 

「うかうかしてられないわね・・・・・・・・・」

 

 

動かなくなった右腕に力を込めてみる。

かすかに指が動くだけ。

 

 

「右が駄目でも左があるわ・・・・・・・」

 

 

明日からまた昔のように鍛錬を始めよう。

幸運な事に右手以外は『全て』問題ないのだから。

まだまだ若い者には負けられない。

武人としても・・・・・・。

『女』としても。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

― 一刀Side ―

 

 

 

 

 

「はい!私が行く!!」

 

「姉様は駄目です!!私が行きます!!」

 

「蓮華様が行くのであれば・・・・・」

 

 

あの大宴会から一週間。

ここは毎度のごとく大広間。

何を揉めているのかと言うと・・・・・。

時を二時間ほど遡ってみる。

 

 

「報告します!朝廷からの使者が到着しました」

 

 

そう報告があったことがそもそもの始まり。

 

 

「玉間に通しなさい。さて、随分と遅い到着だな」

 

「まぁ、今の朝廷ならこんなもんじゃないか?」

 

「そうだな。・・・・・・さて、吉と出るか凶と出るか・・・・・考えるまでもない・・・・・・か」

 

「そうそう♪さぁ、冥琳、一刀。私達も行きましょう」

 

「あぁ」

 

「了解」

 

 

他の皆にも招集をかけて玉間に集まった。

俺の立ち位置は玉座に座る雪蓮、その左に冥琳。

そして段を降りて右側の先頭に俺。

孫家に下ったのだから当たり前の立ち位置。

だけど何で他の皆を差し置いて武官筆頭の立ち位置に俺がいるんだろう・・・・・。

あれよあれよと言う間に最後尾から今の位置に移動させられた。

まぁ、そんな事は置いといて・・・・・。

 

 

「皇帝陛下からのお言葉を述べさせていただく。

『袁公路からのたっての願いにより孫伯符に寿春太守の権限の移譲を認める』」

 

「御意。・・・・確かに承りました事を陛下にお伝えください」

 

 

いつもの雪蓮らしからぬ口調に噴出してしまいそうになるが冥琳からとんでもなく鋭い目で睨みつけられ慌てて居住まいを正す。

 

 

「さて、これとは別にもう一つ・・・・・・・『天の御使い』というけしからん輩はどこにおるのじゃ?」

 

 

来た来た。

って、皆そんなにピリピリしなくても・・・・・・。

まぁ、仕方が無いか・・・・・。

さて、はじめるか。

静かに気合を入れて口を開く。

 

 

「この大陸の『天』は自分の配下に口の利き方も教えてないのか?」

 

 

出来うる限り目に力を込めて使者にガン飛ばしてみる。

 

 

「っひぃ!?」

 

「俺が『天の御使い』北郷一刀だ・・・・・・・用件があるならさっさと言え」

 

 

もう一度、ガン飛ばしてみる。

 

 

「へ、へへへ陛下のご意向を・・・も、申し付ける!

『天の御使い』早急に洛陽に来られたし!!もし来ぬ場合は相応の対応をさせて頂く!!」

 

「それだけか?」

 

「そ、そうじゃ」

 

 

さて、そろそろいい頃かな・・・・・・。

 

 

『ッドン!!』

 

 

持っていた自分の武器の石突で思いっきり床を叩く。

すると・・・・。

 

 

『ッバキ!!ドサドサドサ!!』

 

 

天井のいろんな場所が崩れ落ち、見るからに刺客らしき人間が数人落ちてくる。

 

 

「ひぎゃ!?」

 

「これはどういうことか説明してもらおうか?」

 

 

落ちてきた刺客に見事につぶされた使者を睨みつけながら言葉を放つ。

ちなみに使者から見れば俺が行った行動で刺客がやられたと思う様に仕向けている。

実際は天井裏に北郷隊の細作達を配置して、既に始末していた刺客を俺が石突で床を叩くと同時に各所から天井を砕いて落とす様に工作しただけ。

使者に脅しをかけながら喋ったのは正常な思考を断つ為であり、この状況を『天』の力と誤認させる為。

この事を知っているのは雪蓮と冥琳と俺だけ。

他の皆には悪いけどリアリティーを出す為に内緒にしていた。

だから皆はそれぞれこの状況に対処するための行動に出る。

刺客は外傷がない手段で倒されているから使者が幾ら刺客の死因を調べてもわかるはずがない。

あくまで『天』の力で倒したと誤認してもらう。

 

 

「っし、しらぬ!!私は何もしらん!!」

 

「お前もこうなりたくなかったら正直に吐け・・・・・」

 

「知らん!私は知らん!!・・・・・っあ!?も、もし私を殺せば朝廷が黙っておらぬぞ!!」

 

「こんなくだらない事しか出来ない『天』に俺が負けると思うか?

・・・・・・・まぁいい、お前の主である『天』に直接話をつけるとする・・・・・。

帰って伝えておけ、『天』が会いに行くから首を洗って待っていろと・・・・・あぁ、それともう一つ。

俺が『仕える』孫家に手出しする素振りを少しでもを見せれば『天』の怒りで『朝廷』を消し去るともな」

 

「け、消し去るだと!?そ、そんな事出来るはずが・・・・・・」

 

 

さてと、最後の追い討ちをかけますか。

 

 

「今、自分の目で見ただろ?・・・・・信じられないならお前自身で味わってみるか?」

 

「っ!?わわわわかった!!ちゃんと伝える!!」

 

 

よし、これで完了。

後はこいつが誇張して伝えるだろう。

それだけじゃ心もとないから各地の細作達に噂を流してもらう。

 

『天の御使いが朝廷からの刺客を天の力で手も触れずに葬った』

 

あとは各地の民達が尾ビレや背ビレや胸ビレに手足までつけてくれるはず。

実は、この噂が何処まで大きくなるかちょっと楽しみだったりして。

そんなこんなで使者が玉間から出るまで思いっきりガン飛ばしながら、急に手足を動かして脅かしつつ丁重にお帰りいただいた。

その後、今の策を知らない皆に色々説明して冒頭の会話に繋がるわけだけど・・・・・・。

 

 

「雪蓮、王がここを離れてどうする・・・・・」

 

「そうです姉様!!なので私が一刀とについて洛陽に行きます!!」

 

「蓮華様が行くのであれば私も・・・・・・」

 

 

えーと・・・・・・。

簡単に説明すれば、一人で向わせるわけには行かないから護衛をつけるということらしい。

実際は一人じゃなくて影と北郷隊が二百人ほど付いてくる。

 

 

「・・・・・・いいわよ雪蓮、行ってきなさい。洛陽を見ておく事も必要でしょう」

 

「堅殿!?」

「美蓮様!?」

「母様!?」

 

「さて、お許しも出た事だし♪洛陽楽しみだわ~」

 

「雪蓮これだけは言っておくわ」

 

「なに母様?・・・・っ!?」

 

 

一瞬でその場の空気が氷りついた事は流石の俺でもわかったわけで・・・・・・。

その原因は美蓮さんからあふれ出ていた何とも言えないもの。

 

 

「孫伯符・・・・・・王としての責務を忘れるな。

朝廷と民、洛陽の全てを見て孫家の糧にせよ、いいな?

それと、もし一刀に何かあったら・・・・・・・・・・・・わかっているわね?」

 

「っは、はい!!わかりました母様!!!」

 

 

あれが王としての風格なのか・・・・・。

最後の方は何か違う気がするけど・・・・・・・。

 

 

「ふむ、美蓮殿が雪蓮に釘を刺してくれたので私からは何も言う事は無いな。

一刀、私個人の頼みなのだが・・・・・・」

 

「ん?」

 

「亞莎を北郷隊の軍師として一緒に連れて行ってくれはしないだろうか?」

 

「えぇぇぇぇーーーー!?どうして私なのですか!?」

 

「別にいいけど・・・・どうして?」

 

 

突然の事に驚く亞莎を尻目に、冥琳は説明を始める。

冥琳曰く、亞莎はまだ軍師としても文官としても知識と経験が足りない。

文官に関しては城で学べばいい、けど軍師としては城で学ぶだけじゃ駄目だという。

そして、これが一番重要なことだそうだ。

まだ経験が浅いからこそ俺の隊に付けたい・・・・・・それが亞莎の今後の為になる。

経験が浅いからこそ、いろんな事を吸収できる。

俺の隊の事、天の知識の事、その知識の中にある軍略や陣形その全てを出来うる限り亞莎に教えて欲しいらしい。

俺の持つ知識なんてたかが知れていると思うんだけど・・・・・。

それでも良いと冥琳は言う。

亞莎と違って冥琳や穏は既に多くの知識を吸収している。

その所為で定石と呼ばれるものから外れた事が無意識に出来なくなっていると・・・・・。

その点、亞莎はまだ定石に縛られていない。

だからこそ、それが今後の亞莎の力になる。

そういえば亞莎ってあの呂蒙なんだよな・・・・・・。

未来の大都督か・・・・・・。

冥琳はそのつもりなんだろうな。

なら俺は少しでも力になれるように頑張るとするか。

 

 

「わかった。その話し受けるよ・・・・・・と言うわけで亞莎、よろしくな」

 

「え?は、はひ!!」

 

「決まったようじゃの。実のところ儂も行きたかったんじゃが・・・・・」

 

「ふふふ、それは皆さんも一緒だと思いますよ」

 

「大丈夫なの?一刀」

 

 

蓮華が心配そうな視線を俺に向けてくる。

 

 

「大丈夫、さっきので種は蒔いておいたしね・・・・・・・」

 

 

とりあえずは第一段階終了かな。

次は洛陽に行ってからだ。

孫家がこの先安定してこの国を治める事ができるようにするためにも失敗は許されない・・・・・。

 

 

「よし、早速準備するか!!」

 

 

黄巾の乱も近い。

協力者もいる事だし、さっさと行ってさっさと終わらせ・・・・・うん、なぜか物凄く不安だ・・・・・・・。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

美蓮フラグがやっとったった!!獅子丸です。

美蓮フラグがかけなかった!!

ここ最近のスランプの原因ですw

どこで立てようか、どのように立てるべきか・・・・・・それが思い浮かばずにもがいてました。

色々悩んだ24話で地味にフライングし、25話で補完と言う形を取らせてもらった次第です。

さて、亞莎軍師フラグも立ち、次回からは洛陽ステージへ・・・・・。

今後の予定は洛陽→黄巾となりますが洛陽は一体何話ぐらいで終わるかさっぱりです。

1話で終わるかもしれないし3.4.5話と長引くかもしれない・・・・・・。

話の筋はしっかりと決まっているのに話数は行き当たりばったりと言うのが獅子丸の書くSSです。

当初は50話程度で終わるつもりだったのに、気づけば25話も書いていて今だ黄巾に至らずw

まぁ、もっと上手くまとめられるようにがんばって行きますので応援よろしくお願いします。

 

では、今回はこの辺で

 

次回も

 

生温い目でお読みいただけると幸いです

 

 

 

 

 

 


 
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