ここは、夏口に駐屯している黄祖の支配下の一つの町である・・・
そこでは一人の男が、都督を務めていた。名を、蘇飛・・・
この蘇飛は、文武両道のお手本とも言え、武は孫策にも匹敵するとも言われ、智は周喩にも劣らず、その上優しさもあるため、この当たり一帯では、かなりの評価を得ていた・・・
戦場・・・
ワァァァァァア!!!!!!! ガキン!!ガキン!!
大きな声と金属音が飛びあう・・・
孫策「つまんないわね~・・・」
黄蓋「本当じゃな・・・」
凌操「全くだ・・・」
周喩「・・・あなた方は、何を言っていらっしゃるのですか・・・」
さすがは孫呉の小覇王とr「「(ギロリ)」」まだ言ってない!?・・・
甘寧「邪魔だ!!」(ヒュッ!)
黄祖軍兵士「ぎゃ!?」(ズバッ!)
黄祖軍兵士「化け物だ!!逃げろー!」
あたふたと逃げていく・・・
甘寧「(奴はどこだ!)敵将出てこい!」
高々に叫んでいる・・・・
前線・・・
蘇飛「はああ!!」(ヒュン!ヒュン!)
呉軍兵士「ぐわっ!!」(グサッ!)
呉軍兵士「ぎゃあ!!」(スバッ!)
自前の槍を使って敵を倒す・・・
蘇飛「はぁ、はぁ、残っているのは・・・いないか・・・・」
ただ自分だけを残して、味方はいない・・・
呉軍兵士「敵は疲れている、手を休めるな!!」
呉軍兵士「うおお!!」(ヒュン!)
蘇飛「チッ!」(ガキン!)
流石に数の差には敵わない・・・
蘇飛「しかたがない・・・」(スッ)
目を閉じる・・・
呉軍兵士「?なんだか分からんが、隙あり!」(ブンッ!)
敵の刃が迫る・・・
蘇飛「(悪いな・・・俺はまた、同じことを繰り返す・・・)はぁ!!」(ヒュン!)
振るった槍が、兵士の剣にぶつかると、『パキン』と折れた・・・
呉軍兵士「へ?・・・」(スパン!)
兵士はとぼけた声を出して絶命した・・・
蘇飛「おらぁ!!」(ブオン!!)
呉軍兵士が武器を一太刀ごとに破壊され、死んでいく・・・
呉軍兵士「・・・あわわ・・こんな奴に敵うわけない・・・」
その時、蘇飛の目は青く輝いていた・・・
孫策「っ!?なんか嫌な予感がするわね・・・」
黄蓋「策殿、どうした?」
その時だった・・・
呉軍兵士「伝令!兵士たちが次々と逃げてきます!!」
孫策「何ですって!?敵は!・・・」
おもむろに出した声は・・・
呉軍兵士「それが・・・一人だけです・・・」
前線・・・
甘寧「はぁぁ!!」(ブンッ!)
黄祖軍兵士「!?」(スパッ!)
声を上げる暇もなく・・・
甘寧「どこだ!」
少し視線を巡らすと・・・
甘寧「なんだ?この静けさは?」
自分たちよりも前に行ったであろう者たちの声が聞こえない・・・
甘寧「あれは・・・」
真っ赤な塊がこちらに向かってきている、否、あれは人間(鬼)だ・・・
全身真っ赤、目は青く輝いている・・・・
甘寧「蘇飛なのか?・・・」
その言葉に、返した答えは・・・
蘇飛「オマエモコロス」
片言な喋り方で言った後に、『ビシャ』、何かが顔についた・・・
甘寧「・・・・・」(スッ)
恐る恐る触ってみると、赤赤赤赤赤赤・・・・周りには先ほどまで生きていたであろう塊・・・
甘寧「おい!!」
蘇飛「アレ?ナンデシナナイ?」
また鮮血が飛び散る・・・
甘寧「やめろ・・・」
また・・・
甘寧「やめろ・・・」
そして・・・
蘇飛「シネ」
呉軍兵士「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!!!」
甘寧「やめろーーーーー!!!!!!!!!!」
『ブシャ』と音を立てる、周りには誰もいない・・・
蘇飛「アハハ・・・アハハハハハハハハハハハハアハッハハハハッア!!!!!!!!!!!」
甘寧「貴様ーーー!!!!」(ダンッ!)
意を決して、強く大地をける・・・
蘇飛「ア?」(ブシャ!)
その声と共に、真っ赤な液体が降り注ぐ・・・
甘寧「はぁ、はぁ、はぁ・・・」
斬ってしまった、その感情がこみ上げてくる・・・『ガシャン』・・・
甘寧「っ!?」(バキッ!)
すばやく剣を盾にしたが、その剣は見るも無残な形となった・・・・
蘇飛「コロス!コロス!」
同じ言葉を何度も繰り返す、もはや、甘寧に武器は無い・・・
甘寧「此処までか・・・」
もはや諦めて目をつぶる・・・蘇飛は止めに槍を振るう・・・だが、いつまで経っても痛みがこない・・・おそるおそる、目を開けると、寸前で槍が止まっている・・・
蘇飛「・・・・・・・・・・」
甘寧「蘇・・飛・?」
蘇飛「ごめんな・・・甘寧?」
見ると、蘇飛の目は青から黒に戻っている・・・
甘寧「馬鹿者がっ!!」
いきなり怒鳴りつける、だがその顔は嬉しそうだ・・・・
蘇飛「甘寧?泣いているのか?」
甘寧「馬鹿か!!泣くわけないだろ!!」
蘇飛「馬鹿って、酷い・・・・」
甘寧「知らん!お前など知らん!!」
言葉の刃が降り注ぐ・・・・
蘇飛「そんなn「(ガバッ!)」はっ?・・・おいいいいいい、甘寧!?////」
いきなり抱きついてきた・・・・
甘寧「うるさい、静かにしろ・・・////」
蘇飛「落ち着けるか!!////」
やっと、戻ってきた、そう感じた・・・
鄧龍「おやおや、もうですか・・・全軍、斉射の準備を・・・」
黄祖軍兵士「しかし、蘇飛殿が「聞こえなかったのですか?」・・・・・・・はい、かしこまりました」
先ほどとは違う兵士たちが、そして・・・兵士たちは矢を構え・・・
鄧龍「一斉斉射!!」
言葉と共に、矢の雨を放つ・・・
孫策「あれは・・・!?」
黄蓋「策殿?・・・・・!!」
周喩「まさか!味方ごと!?」
呉軍兵士「甘寧様ー!!」
増援だろう、呉軍兵士が近づいてくる・・・
だが違和感を感じた、蘇飛は・・・
蘇飛「ん?あれは・・・!!」(ドンッ!)
甘寧「何をする!?///」(ドサッ!)
甘寧に覆いかぶさるように倒れこむ・・・
その時・・・
孫策「全軍、退けぇぇぇぇえええ!!!!!」
黄蓋「その場から、離れろぉぉぉぉおお!!!」
次の瞬間、『ザザザザザザザザザザ!!!!!!!』まるで本物の雨の様に・・・
呉軍兵士「ぎゃ!」(グサッ!)
呉軍兵士「ぎっ!?」(グサッ!グサッ!)
一本どころではない、『雨』が襲ってくる・・・
蘇飛「グッ!!!!???」(グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!グサッ!)
甘寧「?、どうし・・・た」
次の瞬間視界が広がる・・・
周りには、針鼠のようになった兵士たちが、そして・・・
蘇飛「大丈夫か?甘n」(ドサッ!)
甘寧「おい・・・しっかりしろ!!!!」
自分を庇って、背中には大量の矢が・・・・
甘寧「おい!!蘇飛!!!」
必死に揺さぶるが、ピクリともしない・・・
『せっかく、取り戻せたはずなのに・・・・』
【続く】
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