この作品はキャラ設定が崩壊しております。原作重視の方はご注意ください
一刀くんがチートです
時代背景等がめちゃくちゃです
それでもいいかたはどうぞ
部屋の隅にある椅子に腰掛けながら、一刀は窓の外を見る。そこには笑顔を浮かべ、何か談笑をしながら洗濯物を干している月と詠の二人が居た
一刀が保護した月と詠は、一刀が二人を保護する条件として名を捨てていた。董卓と賈駆という二人を殺すことは、今回の反董卓連合における主要目的の一つでもあり、名を捨てなければいつまでも命を狙われるというのは二人とも重々承知していた
故に一刀の提示した条件を二人は素直に受け入れ、名を捨てた。しかし、ここで一刀には予想外な出来事が起こった
それは二人が偽名を使わなかったということである
名を捨てた二人が偽名を使わないとなると、残った名は真名のみとなり、二人はそれがさも当然かのように真名を使って普段の生活をしていた
この世界における真名とは命と同等に考えてもおかしくないほどに、重いものであるため一刀は二人が偽名を使わないことが不思議でならなかった
しかし、一刀は二人にも何かしらの考えや決意があるのだろうと考え、無理矢理に自分を納得させると、このことについて考えることをやめていた
華琳「それにしても、まさか一刀が董卓と賈駆の二人を保護してたのは予想外だったわ。これが他の諸侯にでも知られたら、今度は私を討伐するための連合が組まれかねないわね」
一刀の部屋の中央に設置されている机の上のお菓子をつまみ、茶を啜りながら窓の外を見て華琳はそう呟いた
一刀と月、詠の三人は華琳が本拠地としている許昌の城で一緒の部屋に住んでいる
と言っても二つの部屋を中の壁に扉をつけて無理矢理一つにしたようなものであり、別々の部屋に住んでいると言ったほうが正しいのであろう
一刀「そこまで大きな問題でもないだろう? 詠が言うには本物の月の素顔を知っているのは、華琳、袁紹、袁術ぐらいで他の諸侯が知ってるのは偽者の月だ。まぁ、詠については少し言い訳が苦しくなるが、実際に暴政を振るっていたのは董卓であり、配下の賈駆は実際のところその暴政を抑えようとしてた存在であったとでも言えばいいだろう」
窓の外で、部屋の中にいる一刀に気が付いた月がどこか恥ずかしそうに手を振っているのを見つけ、それに笑顔で手を振り替えしながら一刀は華琳のぼやきにそう答える
華琳「本当に苦しい言い訳ね…」
一刀の苦しすぎる言い訳にさすがの華琳も苦笑いを浮かべる。そんなとき、一刀の部屋の外から声が聞こえてきた
楽進「隊長。入ってもよろしいでしょうか?」
一刀「あぁ」
一刀が返事をすると、部屋の扉が開かれ楽進が部屋の中へと入ってくる。そして、部屋の中を軽く見回し華琳の姿を見つけると、どこか安堵したような表情を浮かべた
楽進「華琳様、桂花様が探しておりました」
華琳「そう。わざわざありがとう。それじゃあ一刀、そこの書類。頼んだわよ」
華琳はゆっくりと立ち上がると、一刀の政務用の机の上に積まれている書類を指差して笑顔でそう一刀に言った。それに対して一刀は、大きなため息を吐き手を軽くプラプラ振って返事をした
そんな一刀を見ながら華琳は楽しげな表情のまま、一刀の部屋をあとにした
楽進「隊長。お疲れ様です」
一刀の机の上に積まれた書簡の量を見て、そう一刀に声をかける楽進の表情には、まるで雨でずぶぬれになった猫を見るようなものであった
そんな楽進の表情に気が付いたのか、一刀は自分の頬を軽く叩いて気合を入れると『備前長船長光』と『村雨』を持ち
一刀「俺の部屋に来たってことは警邏の準備が終わったのかな」
そう声をかけた。楽進は軽く返事をするとそのまま部屋から出て行き、そのあとに続くように一刀も自身の部屋を後にした
一刀と楽進が向かっている集合地点では、すでに警邏担当の兵士達が綺麗に列を組んで並んでいた。その列の前には李典と于禁の二人が居り、二人は楽しそうに談笑をしていた。だが、一刀と楽進が近づいてきているこ
とに気がつくと、二人は談笑をピタリと止めた。まるで初めから談笑などしてなかったかのように…
そんな二人に楽進は大きなため息を吐き、一刀は小さく笑っていた。そして一刀と楽進の二人は集合地点に着くと、一刀は警邏隊の前に、楽進は李典、于禁の間に並んだ
一刀「楽にしてくれ。え~っと、既に聞いてはいると思うが今日から警邏の仕組みが色々と変更することになる。まずは警邏隊の隊長が楽進から俺、北郷に代わる。まだ曹操軍に入って間もないが、やれる限りのことはやりたいと思っているから、力を貸して欲しい。次に今まで巡回していた経路があると思うが、今日からは新しい経路で巡回してもらう。経路については後で説明する。最後に街の要所に詰め所を設置した。そこに数人は宿泊することになる。もちろんずっとということはなく、七日で他の組に交代だ。一応言っておくがこれは仕事だから拒否することは出来ない。それが嫌なら警邏隊をやめて違うところに行っても、俺は文句は言わない。ただ、俺から言わせればこの警邏の仕事はかなり楽な部類だと思う。他にも変更したことは多いが後は仕事をこなしながら覚えていってくれ。さて、やることは多いがまずは行動するための班を決めるかな。この中に既に警邏隊として経験を積んでいる人がいるはずだ。その人たちは前に出てきてくれ」
一刀の言葉に反応して、数十名の兵士が前に出てくる
一刀「それじゃあ、この人たちを中心に班を組む。一人に五人、それ以上でも以下でも数が合わなくなると思うから気をつけてくれ。それじゃあ、適当に班を組んでくれ。余った奴はあとでくじを引いて決めるからな」
一刀はそれだけ言うと一歩下がる、それを合図に兵士たちは自由に動き回りながら班を決めていく。数分後、一刀の予想以上に班決めはスムーズに進み、くじを引かせることもなかった
一刀「無事に決まったようでなにより。次にどの班がどの隊に所属するかだが、楽進、李典、于禁。三人で話し合って、今出来た班を三人で分けてくれ。数的にどこかが少なかったり、多かったりはしないように出来るはずだから」
楽進「了解です。隊長」
李典「あいよ~」
于禁「わかったのー」
一刀に三者三様の返事をすると、三人は小会議を始めた。その光景を見つめる兵士たちの顔には、どことなく緊張が見えた
そして無事に楽進隊、李典隊、于禁隊それぞれに所属することになる班が決まると、それぞれの隊長の後ろに、班長を先頭に班の者が並ぶような形に列を作り直した
一刀「さてと、これで警邏を始めることが出来るな。すでにどの隊がどの経路を巡回するかは決まっているから、あとは隊長の指示に従うように。で、早速で悪いが今から警邏に向かってくれ」
一刀がそう言うと、楽進、李典、于禁が頷き警邏に向かおうとしたが、ふと一刀は李典と于禁の二人を呼び止める
一刀「そうだそうだ。李典と于禁。二人の隊には俺の部下が何人か居るから、もし手を抜いたりしたら随時俺に連絡が入って、俺から華琳に流れることになるから注意してくれ。それだけだから、もう行っていいよ」
一刀の言葉に李典と于禁の二人は目を大きく見開くと、互いの顔を見合わせそのままゆっくりと自分の隊の者を見回していく。そして、一通り見るともう一度互いの顔を見合わせて、どこか真剣な表情で警邏に向かった
楽進「あの……さっきのは…」
そんな二人の後ろ姿をニヤニヤと見ていた一刀を、不審に思った楽進がそう声をかけると、一刀は小さく頷きながら
一刀「もちろん嘘だよ。この警邏は新人の訓練を兼ねている部分もあるからね。そこに俺の隊の人間を入れても無駄が多い。ま、あの二人にはいい薬になったんじゃないかな。さ、無駄話してる暇はないよ」
一刀は楽進にそう答えると、一人歩き出した。楽進は少しの間、一刀のうしろ姿をぼーっと見ていたが、我を取り戻すと慌てて一刀の後を追って駆け出していた。その顔が自然と微笑んでいることにも気が付かずに…
凪拠点
一刀「はい、そこまで~」
李典「も、もう動けへん…」
于禁「げ、限界なの~」
一刀の言葉と同時に李典と于禁の二人は服が汚れるのも気にせず、その場で大の字に寝そべった
楽進「…はぁ…はぁ…」
楽進は座り込んだりはしないものの、両膝に両手をつき肩で息をしていた。そんな三人に順番に、水の入った竹筒を渡していった
一刀「今日の訓練の報告書は、四日以内に提出するように。それじゃ、解散」
李典「なんで隊長は汗一つ掻いとらんのや~」
于禁「ば、化け物なの~」
フラフラと立ち上がった李典と于禁の二人は、そんなことを言いながら自室へと戻っていく
一刀「人を化け物呼ばわりとは…次の訓練で地獄を見せてやろうか…」
一刀は二人のうしろ姿にそう言うと、自身も自室に戻ろうとしたが、楽進が自分を見ていることに気が付き歩みを止める
一刀「何か用か、楽進?」
膝についていた両手を離して、真っ直ぐ立った楽進は二、三歩近づくと一刀に向けて構えをとり
楽進「手合わせをお願いします」
その一言に、一刀は一瞬驚いたような表情をしたが、それはすぐに呆れたものに変わる。そして、楽進と同じように二、三歩近づくとそこから一気に駆け出し、楽進の腹に思いっきり拳を叩きこんだ
楽進は、一刀の動きを目では追えたものの、身体が疲労のせいで動かず防御すらできずに後方に吹き飛ばされた
二回ほど地面をバウンドした後に地面を転がり、声も上げることが出来ずに蹲る楽進の側に一刀が近づき見下す
一刀「そんな状態で手合わせとか言うもんじゃない。そもそも楽進はだな……って聞いてないか。ちょっと強くしすぎたか。むぅ…手加減は難しいな」
そう呟いた一刀の視線の先に居る楽進は完全に意識を失っていた
一刀はそんな楽進をお姫様だっこすると、楽進の部屋へと運んでいった
~凪side・始~
額にひんやりとした何かを感じる。これは…濡れた布だろうか? ありがたい………あれ? なんで視界が暗いんだ? そもそも私は何をして……
「そうだ!! 手合わせっ!? ~~~!!」
先ほどまでのことを思い出して、慌てて飛び起きれば腹に強烈な痛みが走り、私は思わず寝台に寝転んだ
少し落ち着いて周りを見渡して見れば、自分がいつの間にか自室に居ることが分かった
北郷「目覚めたか。悪かったな、思ったよりも強かったみたいだ」
声のするほうを見てみれば、椅子に座った隊長がこっちを向いて軽く頭を下げていた
「隊長が運んでくださったのですか?」
北郷「まぁな。俺がやったことだし…で、とりあえず謝罪はすんだから楽進が気になっていることにさっさと答えるとしようか」
私は隊長の話よりも先に、運んでくださったお礼を言おうとしたが、それを手で制された。そして隊長は、椅子ごと私の寝台の隣に移動してきた
北郷「いいか、まず楽進が強化すべきは脚力と持久力。氣については後回しでもいい。楽進は武器の特性上、他の奴らと違って攻撃できる範囲が極端に短い。それを補うためには、常に動き回る必要がある。しかし、今の楽進は正直持久力も、それを維持する脚力も不足している。だから訓練でも後半になると動きの精彩さがなくなってくるんだ」
私が気にしていることを簡単に言い当ててくる隊長。ここまで見透かされていると、どこか清清しく感じる
北郷「他にも楽進としては色々と気になってるところがあるかもしれないが、まずは今俺がいったところを重点的にやってみろ。そうすれば他の気になっているところも、同時に解消される可能性もあるからな」
そこまで一気に喋ると、隊長は満足そうな顔をして椅子から立ち上がり、さっさと部屋から出て行こうとする
なんというか、気を使ってなのか自然となのかがよく分からない人だ。ただ…いい人だというのは、一緒に働くようになってからいつも思う
部下や町民ともすぐに馴染んで……
「あの…」
気が付けば私は、部屋から出て行こうとしていた隊長に声をかけていた。特に引き止める理由はないはずなのに…
見れば、隊長は呼び止めたのに何も言わない私を不思議そうな表情で見ていた。こういった表情は始めてみるかもしれない
そうだ…一つだけ言いたいことがあった
「私のことは凪と呼んでください」
一刀「……そうか。俺の真名は一刀だ。まぁ、好きなように呼んでくれ」
私の言葉に少し考えるように視線を外した一刀隊長は、再び私と視線を合わせると、それだけ言って今度こそ部屋から出て行った
一人残された私は、再び寝台にねっころがると目を閉じた。部屋からは、いつもと少し違った臭いがした
~凪side・終~
ここからは白蓮さんの拠点となります
白蓮拠点
春の兆しを感じさせる暖かい日差しが、窓を通って部屋の中を暖かく照らしている
その部屋の中央にある円卓に茶を置き、椅子に腰掛けている青年は、大きなあくびをすると窓の外で自由に飛ぶ鳥を見ながら一言
一刀「平和だな…」
そう呟いた
そんなのほほんとした一刀の視線は、窓から部屋の奥にある政務用の机に向けられた。そこには山積みになった書簡が、無造作にのっけられその一部から僅かに人の手が出ていた
???「うぅ……」
その手がピクリと動いたかと思えば、書簡の山の中からうめき声が聞こえ、書簡の山がプルプルと震えだす
書簡の山がプルプルと震えている間に、一刀は机の周りの割れ物などを移動させ、円卓を倒すと盾のように構える
白蓮「すみません!! ごめんなさい!! もう目立ちたいなんて言いませんんんんん!!!!!!!!!!」
一刀が盾を構えたのとほぼ同時に、書簡の山に埋もれていた人物。白蓮が涙目で意味の分からないことを言いながら、急に立ち上がった
そのおかげで白蓮の上に山積みになっていた書簡は、部屋中に飛び散った
一刀「おはよう、白蓮。同じ部屋で生活してる者としては、起きるときにはもう少しゆっくり起きて欲しいね」
白蓮「へぁ? …あぁ、おはよう一刀。ところで一つ質問なんだが、何で私と一刀の部屋が書簡だらけなんだ?」
盾の様に構えていた円卓を元の位置に戻した一刀は、あらかじめ汲んでおいた水に布を浸して、軽く絞るとそれを白蓮に手渡す
一刀「涎がたれてるよ。書簡については記憶を辿れば分かるんじゃないかな?」
頬を赤く染めて恥かしがりながら、慌てて一刀から布を受け取り涎を拭く白蓮。そんな白蓮を横目に一刀は部屋に散らばった書簡を、一つ一つ拾い上げて円卓の上に綺麗に置いていく
白蓮「ああ。思い出した。ついこの間まで『平和記念祭』の準備とかで忙しくて、まともに政務が出来ず。『平和記念祭』が終わったと思えば、私は風邪を引いて二日前までは安静にしてて……そこからは政務と食事以外の記憶がないな…」
一刀「そうだね。昨日の深夜に最後の一つを終えると同時に、書簡の山に顔を突っ込んで寝たときは、さすがに焦ったよ。それで、自由を得た気分は?」
白蓮「とりあえず外に出たいな。馬に乗って近くの森で水浴びをしたい」
一刀「そっか。なら行こう」
白蓮「へ?」
一刀の言葉に呆気にとられている白蓮の手をとった一刀は、そのままグイグイと引っ張っていく。そして、二人はそのまま馬に乗り近くの森へと出かけた
適当な場所で馬を降りると、二人は森の奥へと進んで行く。そして、少し開けた場所に出たかと思えば、そこには小さな川が流れていた
白蓮「へ~。こんなところがあったのか」
そう呟きながら靴を脱いで、さっそく川の中へと入っていく白蓮。嬉しそうに川の中を動き回る白蓮を、一刀は優しい表情で見つめていた
一通り川を堪能した白蓮は満足したのか、一刀の隣に腰を下ろすと、頭を一刀の肩に預けた
白蓮「そういえば、ここ一ヶ月はこうして一刀と落ち着いて過ごしてなかったな」
少し不満そうな声色でそう呟いた白蓮は、川に小石を投げ込むと一刀の太ももをつんつんと人差し指で突いて、いじりはじめた
一刀「『平和記念祭』とかがあったんだから仕方ないだろ? 変わりに、それが終わればこうしてゆっくりと過ごせるんだから」
そう言いながら一刀が両手で膝をポンポンと叩けば、白蓮は心底嬉しそうな笑顔を浮かべて頭を一刀の肩から、膝へと移動させる
白蓮「はぁ~。なぁ一刀」
一刀「ん?」
一刀に膝枕をしてもらったまま一刀の顔を見上げる白蓮。そんな白蓮の頭を優しく撫でている一刀
どこか恥かしそうに口ごもっていた白蓮だったが、甘えるような目をして真っ直ぐ一刀の目を見つめ
白蓮「んっ」
唇を少し尖らせながら目を瞑った白蓮。それを見て一刀は一刀で、恥かしそうに後ろ頭を掻くが、ゆっくりと顔を近づけると優しく口付けをした
一秒、二秒…白蓮から唇を離すことはできず。一刀は自分の思いの分だけ口付けを続ける
長い時間、口付けをしていた二人は唇を離すと同時に息苦しそうに息を吐いて、ゆっくりと深呼吸をした。まるで互いの心音が聞こえているような錯覚が、二人を同時に襲い
白蓮「えへへ///」
一刀「ははは///」
二人はこれまた同時に顔を真っ赤にした
大陸中の人が望んだ平和な日常を勝ち取った国の主役とも言える二人は、大陸中のどんな人たちよりも、この平和な日常を謳歌していた
どうもkarasuです。
いかがだったでしょうか? 楽しんでいただけたでしょうか?
白蓮さんの拠点に予想以上に時間が持っていかれました。。。
昴拠点をリクエストいただいた方。少々お待ちを、代役といいますか、昴さんが出てくる作品はこの次に試作品という形で投稿いたしますので・・・
次回から本編・・・かな?
ここまで読んでいただきありがとうございます。
これからもひっそりと続けさせていただきます。
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投稿です。
過度な期待はせずに生暖かい目で読みましょう。