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真・恋姫無双アナザーストーリー 蜀√ 桜咲く時季に 第09話 [愛紗・オマケ拠点]

葉月さん

人気投票1・2位になります。

やっぱり愛紗はいいですね~。愛紗ラブ!ビバ愛紗!
そして気になる内容は!
愛紗は一刀の為に何かをしたいと考えていた。

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2011-06-05 19:03:24 投稿 / 全12ページ    総閲覧数:9148   閲覧ユーザー数:6479

真・恋姫無双 ifストーリー

蜀√ 桜咲く時季に 第9話 拠点二回目

 

 

 

 

【愛紗の手料理】

 

コツコツコツ

 

廊下に響く足音は規則正しく一定の間隔で鳴り響いていた。

 

「きょ、今日こそは……」

 

廊下で一人、拳を握り締めて頷く私。

 

目的地に近づくに連れて私の鼓動は早くなり顔が熱くなる。

 

静まれ!関雲長とあろう者が、こんな事で動揺してどうする!

 

「すー、はー……よし!」

 

一度深呼吸をして、冷静さを取り戻す。

 

ご主人様はここ暫くご自分の部屋で政務をしていた。

 

なんでも『一人でどれくらい出来るか試してみたい』そうだ。

 

桃香さま達は残念そうにしていたが昼時になるとなんだかんだでご主人様を昼餉に連れ出していた。

 

「今日こそは誰にも邪魔はさせんぞ」

 

そう思い、ここ数日を振り返る。

 

――三日前

 

「そろそろ昼餉の時間か」

 

兵達の調練をしていた私は空を見上げ呟いていた。

 

「よし!昼前の調練はここまでだ!昼食後からはまた厳しくするぞ。覚悟しておけっ!」

 

「「おおっ!」」

 

「よし。解散だっ!」

 

兵達を解散させ私は一足早く調練場を後にした。

 

「確かご主人様はご自身の部屋で政務をしていると言っていたな」

 

軽く手拭で体の埃を取りご主人様の部屋へと向う。

 

そしてご主人様の部屋に近づいてきた時だった。聞き覚えのある声が聞こえ足を止めた。

 

『ご主人様~!お昼食べに行こう♪』

 

『え?もうそんな時間か?』

 

『うん。お日様はもう真上に来てるよ』

 

『本当だ。全然気が付かなかったよ』

 

『それだけ。集中してやってたんだね。ご主人様凄い!』

 

『ははっ。大したこと無いよ。読み書きがまだまだだからね。全然進んでないよ。まあ、仕事の話はこれくらいにして食べに行こうか』

 

『うん♪』

 

しまった。出遅れたか……仕方ない。明日出直すとしよう。

 

――ニ日前

 

「よし……」

 

今日も兵達の調練をしていた。

 

「少し早いが昼前はここまでだ!」

 

兵達は私の声に綺麗に整列しだす。うむ、大分整列も早くなってきたな。

 

「解散だ!各自武具の整備を怠るなよ!」

 

「「おおっ!」」

 

元気良く返事をする兵士達。

 

ふむ。これだけ元気があれば、昼食後はもう少し厳しくしてもいいだろう。

 

そして、急ぎご主人様の元へと向う。

 

『あ、あのご主人様いらっしゃいますか?』

 

ん?この声は朱里か?むむっ。今日も出遅れてしまったか……

 

『あ、あのお昼はお食べになったでしょうか?』

 

『いや?今から食べに行こうかなって思ってたところだけど』

 

『あ、あの……ご、ごご……』

 

『?』

 

『雛里ちゃん、がんばってっ!』

 

『う、うん!あ、あのご一緒にお昼を食べにいきましぇんか!あぅ、噛んじゃったよ朱里ちゃん』

 

『はははっ。いいよ。一緒に食べに行こうか』

 

『あわわ……撫でられちゃったよ』

 

『いいな~。雛里ちゃん』

 

むむむっ。なんだか仲睦まじいではないか。致し方ない明日出直すか……

 

――一日前

 

「今日こそは!」

 

「ん?どうかしたの愛紗ちゃん」

 

「いえ、なんでもありません」

 

「?ならいいけど」

 

今日は桃香さまとの政務。

 

今日こそはご主人様と!

 

「ん~っ!もうそろそろお昼だね」

 

「え、ええそうですね」

 

まずい!このままでは桃香さまがご主人様のところへ言ってしまう!

 

「あ、あの桃香さま?」

 

「うん?どうしたの愛紗ちゃん」

 

「あ、あのですね……」

 

「うん」

 

しまった!何も考えずに話しかけてしまった。

 

「?どうしたの愛紗ちゃん。なにか言いづらい事でもあるの?」

 

「い、いえ。そう言う訳ではないのですが」

 

『桃香ーっ、居る?』

 

「ん?白蓮ちゃん?うん!居るよーっ!」

 

「すまん。入るぞ」

 

「どうしたの白蓮ちゃん?」

 

「ああ、実は桃香に相談したい事があってな。今時間あるか?」

 

渡りに船とはこのことだ。運よく公孫賛殿が来てくれた。

 

「大丈夫だよ。あ、でも……」

 

桃香さまそう言うと私のほうを見てきた。

 

「い、いえ。私の用事は些細な事です。公孫賛殿を優先していただいて構いません」

 

「そう?それじゃそうさせてもらうね」

 

「で、では。私はお邪魔でしょう。お先に失礼します」

 

「うん。それじゃ、お昼の後もよろしくね愛紗ちゃん!」

 

「はい。では」

 

私は礼をとり執務室を後にする。

 

「急がねば。また誰かに先を越されてしまう!」

 

私は急ぎ足でご主人様の元へと向う。

 

だが……

 

『お兄ちゃーーーーーんっ!!』

 

『ぐはっ!』

 

『にゃははっ!鈴々とお昼食べに行くのだ!』

 

『わ、わかった。だけどもう少し優しく抱きついてくれないか?』

 

『にゃはは。お兄ちゃんを見たら嬉しくなって止められなくなったのだ!』

 

『そ、そっかそれじゃ仕方が無いね』

 

ま、また先を越されてしまったーーーーっ!

 

「くっ!なぜだ!私が一体何をしたと言うのだっ!」

 

「今頃、鈴々は兵の調練。朱里と雛里は町の視察。桃香さまは町で警邏……この好機を逃してなるものかっ!」

 

私は急ぎご主人様の元へと向う。

 

「おや?愛紗ではござらんか」

 

丁度角を曲がった時だった。後ろから声を掛けられた。

 

「む?星か私に何か用か?」

 

「特に用は無い。ただ、見かけたので声を掛けただけだ」

 

「そうか。すまんがこれで失礼するぞ」

 

「なんだ。つれないではないか愛紗よ。何か急ぎの用でもあるのか?」

 

「そ、そう言う訳ではないが……」

 

「……ふむ。なるほどな」

 

「な、なんだ」

 

星は私を見て答えに行き着いたのかニヤリと笑っていた。それを見た私は一瞬後ずさってしまった。

 

「いや、なに。丁度、良い酒が手に入ったのでは。北郷殿と昼がてら一緒にどうかと誘いに行こうと思いましてな」

 

「それはダメだっ!」

 

「はて?なぜだ愛紗よ」

 

「そ、それは……」

 

くっ!星め……わかっていて聞いているな!なんと底意地の悪い。

 

「とにかく!だめなものはダメなのだ!それにこんな昼間から酒など。何を考えて居るのだ」

 

「非番に私が何をしていようが構わぬと思うのだが」

 

「なら一人で飲んでいろ!ご主人様はこの後も仕事があるのだぞ!」

 

「ふむ。それもそうか。なら、公孫賛殿を肴に呑むとしようか」

 

星はそう言うと流し目で私の横を通り過ぎて言った。

 

「まったく……」

 

人をからかうだけからかいよって……

 

「っ!とにかく急がねば」

 

私は急ぎご主人様の元へと向った。

 

「……ご、ご主人様は居るだろうか」

 

少し耳を澄ましてみる。すると中から文字に悪戦苦闘しているのかうめき声が聞こえてきた。

 

ほっ。ご主人様は居るようだな……ならばっ!

 

(コンコン)

 

「ご主人様、いらっしゃいますか?」

 

私はご主人様に教えられた『のっく』なるものをしてご主人様に訊ねる。

 

『ん?愛紗か?入ってきていいよ』

 

ご主人様は私だとわかると中へ入る許可をくれた。

 

「失礼します」

 

「やあ、どうしたんだ愛紗。何か用?」

 

「あ、あの。そろそろお昼なのですが」

 

「え?……ああ、本当だ。もうこんな時間だったんだね」

 

ご主人様は窓から空を見上げて陽が真上にあることを確認していた。

 

「それじゃ。お昼食べに行くか。愛紗も一緒に行くだろ?」

 

「あっ!いえ!」

 

ご主人様は椅子から腰を上げたので私は慌ててそれを止めた。

 

「?」

 

「あ、あのですね?そ、その……」

 

ご主人様は私の様子に首を傾げておられた。

 

「い、今から昼餉を作るのですがっ!ご、ごご、ご主人様も如何でしょうかぁ!?」

 

勢いに任せてご主人様に私が昼餉を作ってもいいかと訊ねた。

 

くぅ~。ご、語尾が裏返ってしまった。

 

「え?愛紗が作ってくれるのか?」

 

「は、はい……ご迷惑だったでしょうか?」

 

「ううん。そんな事ないよ!ちょっと驚いただけだよ。女の子の手料理なんて母親と妹以外作ってもらった事なかったからさ」

 

「そ、そうですか!では、今から作ってまいりますのでお待ちくださいっ!」

 

「え、今から?あっ!愛紗っ!……」

 

部屋からご主人様の呼び声が聞こえていた様に思えたが今の私にはその声は耳には言ってはいなかった。

 

「失礼するぞ」

 

「これは関羽将軍。どうかいたしましたか?」

 

「少々。調理場を使わせてもらいたいのだが良いだろうか?」

 

「勿論構いません。こちらをお使いください」

 

「ああ、すまんな」

 

料理人の一人が快く調理場を使わせてくれることを許可してくれた。

 

「材料は如何いたしましょうか?」

 

「うむ。炒飯を作りたいのだが」

 

「了解いたしました。材料は余っていますので持って参ります」

 

「重ね重ねすまんな」

 

「いえ」

 

「よし。お待ちくださいご主人様。必ずや美味しい炒飯をお持ちします!」

 

そして、私はご主人様の為に腕を振るい始めた。

 

《一刀視点》

 

(ばんっ!)

 

「お兄ちゃ~~んっ!お昼なのだ!」

 

扉を壊さんばかりに元気良く入って来たのは鈴々だった。

 

「お兄ちゃん。一緒に食べにいこ!」

 

「ごめん。今日は愛紗がお昼を作ってくれるって言うから一緒に行けないんだ」

 

「……にゃにゃっ!?」

 

「そうだ。鈴々も一緒にどうだ?なんだか気合入ってたから得意なんだと思うけど」

 

「えとえと……鈴々は遠慮するのだ」

 

あれ?いつもは大はしゃぎで乗ってくるのに今日は乗ってこないのか?

 

「どこか体の調子でも悪いのか?」

 

「そんな事ないのだ!鈴々は元気一杯なのだ!」

 

「ならいいけど。あんまり無理はするなよ?」

 

「うん!お兄ちゃんも体には気をつけるのだ」

 

「ああ。ありがとう鈴々」

 

「お兄ちゃん……」

 

鈴々に微笑みながらお礼を言うとなぜか鈴々は涙目になった。

 

「鈴々?」

 

「元気でなのだっ!」

 

「お、おい!鈴々っ!」

 

鈴々は一言告げると一目散に部屋から出て行った。

 

「なんなんだ?」

 

元気でってまるで暫く会えないみたいな言い方なんかして。

 

「まあ、いいか。とりあえず愛紗が来るまで出来るだけ仕事をしちゃおう」

 

俺は椅子に座りなおし、書簡に目を戻した。

 

《愛紗視点》

 

「関羽将軍。材料をお持ちしました」

 

「うむ。世話をかけたな」

 

料理人に材料を持ってきてもらい早速調理に取り掛かった。

 

「まずは、野菜を刻まねばな」

 

最初に手に取ったのは玉葱だった。

 

「よし。では刻むぞ」

 

玉葱をまな板の上に置き包丁で刻み始める。

 

「むむ。コロコロと転がり刻み難いではないか」

 

くっ!だがこんな事で諦めてなるものかっ!

 

「この関雲長!玉葱如きに後れなどとるものか!はぁぁぁあああっ!」

 

(バーーーンッ!!)

 

包丁を振り上げ玉葱に向かい勢い良く振り下ろした。

 

「……うむ。これでよし」

 

玉葱は綺麗に真っ二つになりこれで刻みやすくなっただろう。

 

「あ、あの関羽将軍」

 

「ん?なんだ?」

 

「そのまな板が……」

 

「……」

 

目線をまな板に向けると玉葱と共にまな板も真っ二つになっていた。

 

「す、すまん。少々力み過ぎたようだ」

 

「は、はぁ……では、新しいものをお持ちしますね」

 

「あ、ああ。申し訳ない」

 

もう少し。力を抜いてやらねばいけないな……

 

新しいまな板を持ってきてもらい。その上で玉葱を刻む。

 

「う、うぅ……」

 

「か、関羽将軍?如何いたしましたか?」

 

「な、なぜか判らぬが涙が止まらぬのだ……」

 

だが!これしきの事で諦める私ではない!ご主人様待っていてください!必ずご主人様に炒飯をお届けします!

 

――一方その頃

 

「あっ!鈴々ちゃんだ!お~い!」

 

丁度、桃香が城門に辿り着いた時だった。前から鈴々が走ってくるのに気が付いて手を振った。

 

「にゃ?……あっ!桃香お姉ちゃんだ!」

 

「鈴々ちゃんもこれからお昼?」

 

「そうなのだっ!」

 

「それじゃ、これからご主人様を誘って一緒に食べに行こうよ!」

 

「にゃ~。それは止めた方がいいのだ」

 

一瞬、鈴々の顔色が青ざめたようになった。

 

「えっ。なんで?」

 

「……愛紗が料理してるのだ」

 

「そうなんだ!それじゃ愛紗ちゃんのお料理を」

 

「それはダメなのだっ!」

 

「ふえ?な、なんでダメなの?」

 

「とにかくダメなのだ!お姉ちゃんは鈴々と街でお昼を食べに行くのだっ!」

 

「わわっ!ちょ!り、鈴々ちゃん!?」

 

「お姉ちゃんはこんな所で死んじゃダメなのだ!」

 

「え?え?それってどういうこと!?」

 

鈴々は桃香の手を取り無理やりに街へと向っていった。

 

《愛紗視点》

 

「痛っ!」

 

指を切ってしまったか。だがこんな事で諦める私ではない!

 

あれから半刻。私はやっと材料を刻み終えた。

 

「よし。次は炒めるだけだな!」

 

備え付けの鍋をを手に取り其処に米を入れた。

 

「……火が弱いな。もっと強くできないのか?」

 

「で、出来ますが。お止めになったほうが……」

 

「構わん。やってくれ」

 

「か、かしこまりました」

 

火は強いに越した事はないからな!

 

「おおっ!これくらいでなくてはな!ではさっそく!」

 

(ジャーーーーッ!!)

 

「「っ!?!?!?」」

 

なんだか後ろで料理人の者が騒いでいるようだが。まあ、気にしないでおこう。

 

「よし。もう少しで出来上がりだ。だが、なんだか物足りないな。ご主人様にもっと美味しく頂いてもらえるように手を加えるか……」

 

辺りを見回して何かないか確認する。

 

「おっ!これなんかよさそうではないか!よし、ではこれを入れて」

 

(ジャボジャボッ)

 

「「っ!?!?!?」」

 

「ふむ。きっとこれも入れればよい味に変わるだろう!」

 

(ボトボトッ)

 

「「っ!?!?!?」」

 

「うむ!会心の出来だっ!そして最後にこれを振りかけて完成だ!」

 

そして最後に塩を手に取り振りかけた。

 

(パッパッパッ!)

 

「「~~~~~~っ!?!?!?」」

 

「よし!完成だ。あとはこれをご主人様の元へお届けすれば。みな、すまなかったな厨房をつかわせてもら、い……?」

 

辺りを見回すと料理人たちは全員床に倒れていた。

 

「ふむ。昼時はここは戦場だと聞いていたがまさにその通りであったか。だが休むのなら部屋で休んだ方がいいぞ」

 

私は一言告げて厨房を後にした。

 

私が去った後の厨房では……

 

「……お、おい。関羽将軍が最後に入れてた調味料って」

 

「……酢に豆板醤と砂糖だ」

 

「だ、だけどなんであの材料でここまでの匂いが……」

 

「それにあの火力だと米に芯が残っている可能性が」

 

「あれを食べるお人は一体……」

 

「か、考えなくてもわかるだろ。劉備様か御遣い様だろう」

 

「「……」」

 

「無事を祈るしかあるまい」

 

「ああ、だが俺もそろそろ、げん……か…………い…………だ………………(ガクッ)」

 

(コンコンッ!)

 

「ご主人様。お待たせしました!」

 

扉を『のっく』して部屋に入る。

 

「遅かったね。様子を見に行こうしていたところだったんっ!?」

 

笑顔で出迎えてくれたご主人様だったか急に顔色を変えた。

 

「?どうかなさいましたかご主人様?」

 

「い、いや。なんでもないよ」

 

笑顔で答えてくれたご主人様だったが何処か表情が固く見えた。

 

「そ、それよりお昼作ってきてくれたんだろ?」

 

「は、はい!どうぞ。こちらです」

 

(コトッ)

 

ご主人様の目の前に炒飯を置く。

 

「……これって」

 

「はい。炒飯になります!」

 

「そ、そうか。……うん。炒飯だ」

 

「ど、どうぞ。お食べください」

 

緊張の面持ちでご主人様を見る。

 

美味しいと言ってくださるだろうか……

 

「そ、それじゃ頂くよ」

 

「は、はい」

 

(カチャ)

 

蓮華を取り炒飯を掬うご主人様をただじっと見つめる。

 

「あ、あのそんなに睨まれてると食べ辛いんだけど」

 

「も、申し訳有りません!」

 

どうやら。見詰めすぎて睨みつけてしまっていたようだ。

 

いかんいかん。普通にいつも通りでいるのだ!だが、緊張する!

 

「……パクッ!」

 

(ゴクン)

 

ご主人様は口の中へと炒飯を入れた。私はそれを見詰め、思わず喉を鳴らしてしまった。

 

「い、如何でしょうかご主人様?」

 

「~~~~っ!?!?」

 

「……ご、ご主人様?」

 

「う、うん。とっても美味しいよ。初めて食べる味で」

 

「~~~~っ!そ、そうですか!よかった!やはり手を加えて正解でした!」

 

「え?」

 

「い、いえ!こちらの話です!ささ、どうぞお食べになってください!」

 

「あ、ああ……~~~~っ!!」

 

ご主人様はそのあと勢い良く炒飯を食べ始めた。

 

そんなにお腹が空いていたのですね。よかった……

 

「ご、ごちそうさま……うっぷっ!」

 

「お粗末さまです!ど、どうでしょうか?」

 

「と、とても美味しかったよ。また食べてみたいな」

 

「はい!ご要望とあらばいつでもお作りします!」

 

私は満面の笑みで答えた。

 

「それでは私は後片付けがあるのでこれで失礼します。仕事頑張ってくださいご主人様」

 

「ああ、ありがとう……」

 

「~~♪」

 

私は意気揚々とご主人様の部屋を後にした。

 

「ふふふ。そんなに美味しかったか。鈴々は『もう愛紗の料理は食べたくないのだ!』などと言っていたが。まったく、鈴々のやつめ……

 

「そうだ。私もまだ昼食を摂っていなかったな。ご主人様のことで忘れていた。少し炒飯が残っていたはずだからそれを頂くとしよう」

 

私は厨房に戻り、鍋の中にある炒飯を皿に移し机についた。

 

「それで頂きます……はくっ……うん、うまっ~~~~~~っ!?!?」

 

「げほっ!げほっ!な、なんだこれは!?」

 

一口食べると口に広がる味。

 

甘く、酸っぱく、辛く、そして苦い。それらの味が入り混じりとても美味しいとは言える味ではなかった。

 

「だがご主人様は美味しいと……っ!」

 

まさか、無理をして食べてくれたのだろうか?

 

でもなぜ。ご主人様はまずいと言ってくださらなかったのだ?

 

そんなこと考えなくてもわかるではないか。

 

ご主人様は私を気遣ってくださったのだ……

 

「だがこれでは……私が道化ではありませぬかご主人様」

 

美味しいと言われ、浮かれる私。これでは馬鹿ではないか……

 

「……おい!起きろ!」

 

私は未だに床に寝転がっている両輪の一人を起こした。

 

「な、なんでしょうか。関羽将軍……」

 

「私に……私に料理を教えてくれ!」

 

こうして私の料理の修業が始まった。

 

《END...》

オマケ其ノ一

 

 

 

 

【璃々のお父さん】

 

「お母さん!」

 

「なにかしら璃々?」

 

旅の途中、璃々は私を見上げて話しかけてきた。

 

「あのね。お兄ちゃんたち元気にしてるかな?」

 

「そうね。きっと元気にしていると思うわ」

 

お兄ちゃんと言うのは、数ヶ月前、盗賊にさらわれた璃々を助けて頂いた殿方のこと。

 

確かお名前は北郷一刀さんと仰いましたか。

 

「えへへ。璃々ね。お兄ちゃんがたすけに来てくれたとき、お父さんがたすけにきてくれたのかとおもっちゃったんだ」

 

璃々のお父さん。つまりは私の夫。

 

璃々は夫の顔を覚えていない。いえ、知らないといった方が正しい。

 

夫は璃々が生まれて直ぐに盗賊の討伐に出かけた時に命を落としてしまった。

 

だから璃々は夫との温もりを知らない。だからなのかしら北郷さんをお父さんと勘違いしたのは。

 

「ふふふっ。璃々は北郷さんがお父さんだと嬉しいのかしら?」

 

「う~~ん……わかんな!でも、だっこしてもらったときすっごくうれしかったよ!」

 

「あらあら。それは良かったわね」

 

「うん!」

 

璃々の頭を優しく撫でてあげる。すると璃々はくすぐったそうに目を細めていました。

 

「……北郷一刀さん……天の御遣い……」

 

たしか管輅という占い師が詠っていましたわね。たしか……

 

『蒼天を切り裂く白き流星と共に現るは天の御遣いなり。 かの者、乱れし世を照らす一筋の光なり』

 

『その光、太平……』

 

なんだったかしら。この続きが有った様な気がしたのだけれど忘れてしまったわね。

 

「お母さん?」

 

「なんでもないわ」

 

「それでね!璃々、お兄ちゃんと遊んでみたかったんだ!」

 

「あらそうだったの?ならまた逢えるといいわね」

 

「うん♪」

 

また逢えるといい……この時代でそれが叶うのはことがあるのでしょうか?

 

民は疲弊するなか、税金は高く官の方々は誰も手を差し伸べてくれず私腹を肥やす。

 

挙句の果てには黄巾党なる農民の一揆が起きる始末。

 

きっとそれは難しい事かもしれないわ。

 

でもここで否定するのは簡単な事。それでも希望は捨ててはいけない。

 

それに。わたくしはまたあの方に逢えるような気がしています。

 

敵か味方か、それはわかりません。ですがどういう形であれ、北郷さんたちとは何れ出会う事になとわたくしは思っています。

 

(――っ)

 

「……っ!」

 

どこかでわたくしを呼ぶ声が聞こえたような気がした。

 

その声は優しく、わたくしを包み込んでくれる様な声でした。

 

「あなた……璃々は元気に育っているわ。見ているかしら?」

 

もうここには居ない夫に語りかけるように呟く。

 

「そうそう。あなたに報告しないといけない事があったわ。わたくし、また恋をしてしまいそうよ」

 

目を閉じてその殿方を思い浮かべる。

 

北郷一刀さん。わたくしに女としての喜びを思い出させてくれた人。

 

北郷さんはお優しく。まるで全てを包み込んでくれる様なお方。

 

そのくせ、可愛らしいところもあって守って差し上げたいと思わせる人よ。

 

「もう、恋はしないと思ったのだけれど。あなたは許してくれるかしら?」

 

空を見上げて流れる雲を見詰める。

 

「……ふふ」

 

「?お母さん?」

 

「なんでもないわ。さぁ、行きましょうか璃々。もう少しで次の邑に着くわ」

 

「うん!」

 

璃々の手をとり歩き出す。

 

「お母さん」

 

「あら、なにかしら璃々」

 

璃々が袖を引っ張ってきた事により我に返り笑顔で答える。

 

「あのね!桔梗のおばちゃん!元気にしてるかな!」

 

「……り、璃々?桔梗の事は、桔梗さんと呼びなさい。わかったわね?」

 

「?は~い!」

 

桔梗とは私と古い友人。名を顔厳という。彼女も私と同じ年なのだけれど……

 

流石に璃々に対しては苦笑いを浮かべて許してくれるでしょうが一緒に居るとわたくしまで心に傷を負いそうでならないわね。

 

「璃々は桔梗に会ったらどうするのかしら?」

 

「うんとね。う~んとね……ごあいさつして遊んでもらうの!」

 

「あらあら。それは素敵な事ね」

 

「うん!早くつかないかな~♪」

 

璃々は桔梗に会える事が楽しみなのか鼻歌を歌って歩いていました。

 

「……」

 

わたくしはそれを微笑みながら見守っていました。

 

《END...》

オマケ其ノ二

 

 

 

 

【斗詩はあたいの嫁!】

 

「おーほっほっほっほ、おーほっほっほっほ」

 

「すいません、すいません。ほんとーにすいません!」

 

高らかに笑う姫の横で、私は一人見せの店主に頭を下げていた。

 

うぅ~。姫ったら。あんなことしたら怒るに決まってるじゃないですかぁ~。

 

それはつい先程の事でした……

 

………………

 

…………

 

……

 

「あら。何かしらこれは?」

 

私と文ちゃんは姫の後ろに付き街を歩いている時でした。姫は急に立ち止まり露店に目を向けていました。

 

「どうかしましたか姫?」

 

私の隣で文ちゃんが覗き込むように姫の見ている露店に目を向けました。

 

「壺、ですね」

 

「壺ですわね」

 

「その壺がどうかしたんですか姫?」

 

「こんなみすぼらしい物をよく売っていると思ったまでですわ」

 

「なっ!」

 

「ちょ!ひ、姫っ!そんなこと言ったら」

 

「ふ、ふふふざけるな!」

 

案の定、店主は怒り出してしまった。

 

「煩いですわね!みすぼらしい物をみすぼらしいと言って何が悪いんですの!わたくしの街にこの様な者は必要ありませんわ。わたくしの街に必要なのは雅で可憐な神々しいものでなくてはいけませんのよ。おーほっほっほっほ、おーほっほっほっほ」

 

そして、今に至る感じです。

 

「もう、姫。ダメですよ。あんなこといったら」

 

「ふん。思ったことを口にして何が悪いというのかしら顔良さん」

 

「はぁ~。文ちゃんも何か言ってよぉ」

 

「姫に言っても無駄だからいわな~い」

 

文ちゃんは頭の後ろで手を組み笑っていた。

 

「も~。文ちゃん!」

 

「そうカリカリするなよ斗詩~。折角の可愛い顔が台無しだぞ」

 

「誰のせいだと思ってるの文ちゃん!」

 

「でも、安心しろ!斗詩に貰い手がいなくてもあたいが結婚してやるからな!」

 

「何でそんな話になるわけ?」

 

「だって斗詩はあたいの斗詩だし」

 

「意味がわからないよ。はぁ……それに私だって好きな人くらい……その、居るんだからね」

 

(ぴくっ)

 

「なに?だれだ!あたいの斗詩を唆した男は!でてこい!」

 

「ちょ!文ちゃん!?」

 

文ちゃんは行き成り暴れだした。

 

「貴様か!貴様が斗詩を斗詩を~~~っ!!」

 

「ぶ、文ちゃん落ち着いて!姫も文ちゃんの事、止め……姫!?ど、どこですか!?」

 

いつの間にか姫は居なくなっていた。

 

「もうこうなったら斗詩に色目使ったやつは全員ぶん殴る」

 

文ちゃんは周りに居る男の人たちを射殺さん限りに睨みつけていた。

 

「も~!文ちゃん!前に話したでしょ!私を盗賊から助けてくれた人の事!」

 

「……あ~。そんな話されたっけな。もしかして!その筋肉ムキムキの怪物みたいなおじさんが斗詩の好みなのか!?」

 

「な、なんでそうなるんだよぉ。それに北郷さまは筋肉ムキムキでもおじさんでもないよ。多分私達と同じ年くらいだよ」

 

「そんな優男にあたいの斗詩はやれねえな!」

 

「だ、だからなんでそうなるの。そんなことより姫が居なくなっちゃったんだよ!早く探しに行かないと!」

 

「あー……そうだな。斗詩を唆した男も気になるけど。姫を放って置く方が危ないもんな」

 

「もぉ。そのことは忘れてよ。それに、唆されてないからね!」

 

私と文ちゃんは言い合いをしながらも姫を探しに言った。

 

文ちゃんには後でちゃんと北郷様の事を話して理解してもらったとおもいます。……多分。

 

《END...》

オマケ其ノ三

 

 

 

 

【一姫の決意】

 

「~♪」

 

日曜日の朝。一姫は意気揚々と道をスキップして歩いていた。

 

なぜこんなに気分がいいのかというと今から大学の寮に行ってお兄様を起こしに行くから。

 

「えへへ♪お兄様ビックリするかな?」

 

頭の中でどうやってお兄様を起こそうか妄想、想像する。

 

『お兄様。起きてください』

 

『ん~。後五分……』

 

『もう、そんな事言ってる悪戯しちゃいますよお兄様』

 

『それじゃ、悪戯されないようにこうしちゃおうかな~』

 

『お、お兄様!?』

 

『ん~、一姫は温かいな~』

 

『も、もう、お兄様?早く起き、ひゃんっ!ど、何処触ってるんですかお兄様!?』

 

『もふもふで気持ちがいいな~。……ぐぅ~』

 

『うぅ~。は、恥ずかしいですよお兄様。でもお兄様なら』

 

………………

 

…………

 

……

 

「えへ、えへへ♪や~ん!こんなことになったらどうしよう!」

 

両手を頬に当ててブンブンと首を振る。

 

「待っててねお兄様っ!あなたの一姫が今行きますから!」

 

私は逸る気持ちを抑えることなく。走ってお兄様が住んでいる大学の寮へと向かった。

 

「すいませーん。北郷一刀様にお取次ぎをお願いします」

 

寮の受付で寮長に告げる。

 

「ん~?ああ、妹ちゃん」

 

「その呼び方止めて下さいって前に言いましたよね?」

 

「いいじゃないの。こんな通い詰めてる妹ちゃんは北郷君の妹ちゃんだけなんだから」

 

だからって『妹ちゃん』と呼ばれる理由にはならないと思うんだけど……

 

「と、とにかくお兄様にお取次ぎください!」

 

「あれ?そのお兄様から聞いてないの妹ちゃん」

 

「?なんのことですか?」

 

「北郷君。引越ししたわよ」

 

「……え、えええええっ!?い、いつですか!?」

 

「一昨日」

 

「そ、そんな話一姫聞いてないよ!」

 

「あれ?ご家族には話して了承貰ったって言ってたわよ?」

 

「ちょ、ちょっと待ってくださいね!」

 

一姫はポケットから携帯電話を取り出して自宅にかけた。

 

(ピッピッピ……プルルルル……プルルルル……ガチャッ)

 

『もしもし、北郷ですが』

 

「あ、お母さん!」

 

『あら、一姫そんなに慌ててどうしたの?』

 

「どうしたの?じゃないよ!お兄様の事!」

 

『あ~……』

 

お母さんは何か思い当たるところがあったのか声をあげた。

 

「どうして黙ってたの!?」

 

『だって、あなたに言ったら「一姫もお兄様と一緒に住む!」なんて言い出すでしょ?』

 

「う゛……」

 

た、確かに今それを言おうとしてたけど……

 

『だから言わなかったのよ。少しはお兄ちゃん離れしなさい』

 

「お兄様と離れるくらいなら死んだ方がましだもん!」

 

そうだよ。お兄様と離れ離れになるくらいなら!

 

『まったく……?お、お父さん?何ですか行き成り……え?代わってくれ?別にいいですけど……』

 

「?」

 

なんだか電話の向こうでお母さんがお爺ちゃんと話し合ってるみたい。

 

『おお、一姫。元気にして居るか?』

 

「お爺ちゃん!元気だよ!」

 

『そうかそうか。息災で何よりじゃ』

 

「それより聞いてよお爺ちゃん!」

 

『まあ待て。言わんでもわかっておる。一刀のことじゃろ?』

 

「う、うん」

 

『ほっほっほっ!あ~、すまんがお茶を持ってきてくれるかな?(はいはい)すまんの』

 

電話の向こうでお爺ちゃんがお母さんにお茶を持ってくるように言っていた。

 

『よし。邪魔者は居なくなったぞ。一刀の暮らしている場所じゃったな』

 

「う、うん!お爺ちゃん知ってるの!?」

 

『当たり前じゃ。いいか?住所はな――』

 

「うん……うん……ありがとうお爺ちゃん!大好き!」

 

『ほっほっほ。孫に大好きと言われてしまった。まだまだこの老いぼれ捨てたもんではないな』

 

電話の向こうでお爺ちゃんは笑っていた。

 

「よ~っし!待っててお兄様!今から一姫がいくからね!あ、寮長さん失礼します!」

 

「はいよ~。北郷君はいないけどいつでも遊びにおいで。大歓迎だよ」

 

「はい」

 

寮長さんに別れを告げてお兄様の引越し先に向った。

 

「ここが、お兄様の引越し先……」

 

出来たばかりらしく。とても綺麗なマンションだった。

 

「お兄様。こんな高そうなところに住んでるの?家賃とか大丈夫なのかな?」

 

とにかくまずはお兄様が本当に居るのか確かめないと……

 

マンションの入り口で玄関を掃除している人が居たので聞いてみた。

 

「あ、あのすいません」

 

「あらあら、可愛らしい女の子ね。何か御用かしら?」

 

「あのですね。ここに……」

 

「ああ、北郷さんの妹さんね」

 

「っ!な、なんでわかったんですかお兄様の妹って!」

 

「ふふふ。わたくし、占いもしているのよ。それで今日、北郷さんの妹がお見えになると出たのよ」

 

「う、占い師ですか?」

 

「ええ。ああ、これがわたくしの名刺よ。相談も受け付けているから気兼ねなく会いにきてくださいね」

 

「は、はぁ……」

 

これなんて読むんだろ?『かんろ』?でいいのかな。

 

「それで間違いありませんわ。それで『管輅』と読みます」

 

「っ!喋ってないのにどうして判ったんですか!?」

 

「ふふふっ。わたくし、読心術に長けていますので。北郷さんでしたら1-3号室ですよ。ご案内しますか?」

 

「いえ!一人で大丈夫です!」

 

『――――っ!』

 

歩き出そうとした時だった。マンションの中が急に騒がしくなった。

 

「あらあら、また始まったわね。ふふふっ。今日は誰が北郷さんの部屋に忍び込んだのかしら?」

 

「……え?い、今なんていいましたか?」

 

「あらあら、顔が引き攣ってるわよ」

 

そんな事はどうでもいいの!今、重大な事をこの人が喋った事が重要なの!

 

「ふふふ、昨日は確か~。雪蓮さん、だったかしら?今日は誰なのかしらね~」

 

「な、なんですって~~~~っ!!」

 

一姫は急いでお兄様の部屋へ向う。

 

そして、近づくに連れて騒ぎの声が大きくなってきていた。

 

『別にいいじゃんよぉ!昨日は雪蓮が一刀君と寝たんでしょ?だった次は私の番だもんね!』

 

『なんでそうなるんですか!?わ、私だって一刀さんと一緒に寝たいのに~』

 

『ああ、煩いわね!だから順番を決めれば言いと昨日も言ったでしょうに!って!待ちなさい雪蓮!何処に行こうとしているのかしら?』

 

『てへ、ばれちゃった♪』

 

『ばれちゃった♪ではありません!一刀様を独り占めしようなどと!』

 

「な……な……な、なんであんたたちまでここに居るのよぉ~~~~っ!!」

 

一姫はその光景を見て思わず叫んでしまった。

 

「「「え?」」」

 

廊下で言い争うをしていた面々は一姫の声で一斉に一姫を見た。

 

「あっ!一姫ちゃんだ~。おはよ~」

 

「一刀様の妹君ではありませんか!」

 

「なんであの子がここに居るわけ?」

 

「雪蓮教えたの?」

 

「教えるわけないじゃない。そもそもそう言うことは一刀が教えることでしょ?」

 

みんな言いたい放題言ってくれるわね!

 

「なんで皆さんがここにいるんですか!ここはお兄様が住んでるところですよね!」

 

「なんでって、言われても私達もここに住んでるし」

 

雪蓮のとんでもない一言に一姫は目が点になってしまいました。

 

「……はい?い、今、なんと仰いましたか?」

 

一姫は自分の耳がおかしくなったのかと思いもう一度聞きなおしてみることにしました。

 

「だから、私も優未も桃香も愛紗も琳もみんなここに住んでるんだってば」

 

「……」

 

きっかり三秒。

 

「えーーーーーっ!?!?!?じょ、冗談ですよね!」

 

「こんなことで冗談言ってもしょうがないでしょ?」

 

「ぐっ!」

 

雪蓮の一言に何も居えなくなりました。

 

「……なら」

 

「ん?何か言った?」

 

「なら!一姫もここに住む!」

 

「「「「……は?」」」」

 

「だから!一姫もここに住んです!」

 

そうだよ!ここに住んでお兄様に悪い虫が付かないように守らないと!

 

「別にいいけど。お金あるの?」

 

「……え?」

 

優未の一言に思わず声を出した。

 

「ちなみにここのマンションの家賃はこれくらいよ」

 

そう言って琳は一姫にいくらか教えてくれた。

 

「えええっ!?こ、こんなにするんですか!?」

 

一姫のお小遣いじゃ全然足りないよぉ!

 

「……そうだ!」

 

そうだよ!別に一姫がお金出さなくてもいいんだよ!

 

(ピッピッピ……プルルルル……プルルルル……)

 

「どこにかけてるんですかね?」

 

「実家じゃないの?どうせ、住まわせて欲しいとか言うんでしょ」

 

外野が煩いけどそんなことにかまってる暇は無いの!

 

(ガチャッ)

 

「あっ!一姫だけど!」

 

『おお、掛かってくると思とったぞ』

 

「お、おじいちゃん?」

 

『ほっほっほ。どうせ、一刀の住んでるマンションに住みたいというのじゃろ?』

 

「う、うん!よくわかったねお爺ちゃん」

 

『可愛い孫の考えることじゃようわかるぞ。この老いぼれがお金を出してあげよう』

 

「ホント!?」

 

『ああ、だが。お母さんを説得するのは自分でやるんじゃぞ。それが出来なければこの話は無しじゃ』

 

「うん!うん!任せてよ!必ずお母さんを説得して見せるから!お爺ちゃんありがとう!」

 

(ピッ)

 

「ふ、ふふ!見てなさい!絶対にここに住んでやるんだからねっ!」

 

私は電話を切って雪蓮たちに宣戦布告するように告げてマンションを後にした。

 

「絶対にお母さんを説得して見せるんだから!」

 

一姫は走って家に向かっていった。

 

《END...》

葉月「さて!拠点二週続けてお送りしましたが如何だったでしょうか?」

 

愛紗「むぅ……まさかこの話を持ってくるとは思いもしなかったぞ」

 

葉月「やい。ある意味王道ですよ!これが無いと愛紗じゃないです!」

 

愛紗「全然喜べないぞ」

 

葉月「大丈夫ですよ!これから料理の修業して上手くなるんでしょ?そうしたら一刀に本当の美味しいが言ってもらえるじゃないですか」

 

愛紗「う、うむ……もちろん頑張るぞ」

 

葉月「うんうん。いいですね」

 

愛紗「それでオマケだがなぜ3つも?」

 

葉月「いや~。思いのほか紫苑と斗詩の話が短くなっちゃったんで。一つ追加してみたんですよ」

 

愛紗「なるほど」

 

葉月「その割りに一姫の話が長くなっちゃったんですけどね」

 

一姫「お兄様ともっとイチャイチャさせなさいよ!」

 

葉月「はい。何か聞こえたけど気にしないで進めましょう」

 

一姫「ちょっとぉ!」

 

愛紗「意外と酷いなお前」

 

葉月「それじゃ。一刀とイチャイチャさせていいんですか?」

 

愛紗「さあ、話を進めようか」

 

葉月「愛紗も酷いですね」

 

愛紗「ふ、ふん!それより次回はどんな話なのだ?」

 

葉月「次回はいよいよ。黄巾党討伐編に入ります」

 

愛紗「と言う事は。あの者達が出てくるのだな」

 

葉月「はい。いよいよ別軍勢が出てきます。もう、みなさんはお解かりだと思いますが」

 

愛紗「うむ。ところでもう一つの軍勢はまだ出てこないのか?」

 

葉月「そうですね。折り合いを見て出していきたいと思っています」

 

愛紗「なるほど。では楽しみに待つとしようか」

 

葉月「それにしても一姫が静ですね。何をして」

 

一姫「ふ、ふふ……ふふふっ一姫を無視するなんていい度胸ですね。葉月!覚悟してください!」

 

葉月「どわっ!どこから取り出したんですかその薙刀!」

 

一姫「そんなの乙女の秘密です!ご覚悟を!」

 

葉月「覚悟なんか出来ません!ここは逃げます!」

 

一姫「逃がしません!」

 

葉月「あっ!あんな所で一刀があられもない姿で!」

 

一姫「ええっ!お兄様が裸で一姫を求めているんですか!?どこ!どこですか!」

 

愛紗「ご、ご主人様!こんな公衆の面前で一体何を!」

 

葉月「いや。嘘だから。愛紗も何騙されてるの?」

 

愛紗「……ほほう。いい度胸だな葉月よ」

 

葉月「あんな嘘に騙されるほうがどうかと思いますが!?」

 

愛紗「問答、無用っ!!」

 

葉月「ひゃ~~~っ!またこんなオチですか~~~!?ではみなさん次回までお別れです!さようなら~~~!」

 

愛紗「まて~~~~っ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一姫「どこ!どこにおいでなのですかお兄様~~~~~~っ!!一姫はここにいますよ~~っ!!」


 
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