始めに、主人公を始めとした登場人物の性格にズレがあるかもしれません。
そういうものだと納得できる方のみ、ご観覧ください。
第完話 堂々完結ですか? by于吉
さあ、知らん by左慈
ふふふ、はっはー by一刀
「左慈、于吉。俺、何か悪いことしたかな?いやさ、そりゃ色々したけどさ。でもさ、幾らなんでもこれは無いんじゃないかな?どうしてさ、俺達三人だけで戦場に立ってるわけ?」
三人って言っても、兵士は居るけどさ。
季衣ちゃんも、凪ちゃん達もいないけどさ。つまり、三人とはメインキャラが三人って意味。
「知らん。したんだろ?」
「さあ。何かやったのでしょう?」
「特に、やってないと思うんだけどな~」
数日前の話だ。突然、怒り狂いドリルを覇回転させた華琳が部屋に入って来た。
その後、こういうやり取りがあった。
『ふふふ。まさか、こんなことをするなんていい度胸じゃない。一刀』
『はい?』
『けど、まあいいわ。一刀がその気なら私も本気を出すまでよ。一刀に従いたがってる兵士は全てくれてあげるわ。左慈と于吉もね。一刀の手駒なのでしょう?』
『はい?』
『勝負よ!北郷一刀!!』
『はい?』
そんなことがあって、何がどう間違ったか分からないけど、何故か華琳に敵認識された。
それからというもの、大変だった。春蘭には威嚇され、秋蘭には悲しい目で見られ、桂花には嗤われた。
凪達、初めての部下は解任を命じられ、今は季衣の下に居る。
ちなみに、季衣ちゃんだけは何も変わらない態度で接してくれた。やっぱり、この物語のヒロインは季衣ちゃんのようだ。
「ふ、遂に俺も暗黒面に手を出さなきゃいけない時が来たようだ。ダークサイド一刀の始まりだぜ!!フォースの力を見せてやる!」
「于吉。北郷が俺みたいなこと言ってんだけど、大丈夫かな?」
「一刀君。左慈にまで心配されてますよ。元に戻ってください。痛い子になりたいのですか?」
左慈は本当に心配そうに眉を歪めている。于吉はため息をついていた。
ため息をつきたいのは俺の方だ。
「でもさ、幾らなんでもいきなり敵は酷いだろ。流石の俺も泣きそうだぞ?マジで。そりゃ、ちょっとはふざけてたと思うけど。基本、俺は華琳の為に尽してただろ。仕事だって、ふざけながらだけどちゃんとやってたんだぞ?」
仕事中にふざけるなって言われればそれまでだけど。けど、それにしたっていきなりこれは無いだろ。
まずは言葉で叱ってくれよ。罵ってくれよ。踏んづけてくれよ。喜ぶからさ。
「まあ、それは確かにそうだな。むぅ」
「はい。一刀君の言う通りでしょう。華琳さんは何を考えているのやら」
左慈と于吉も同意してくれた。誰が見たって同意してくれると思う。
「しかし、一刀君。今は、この戦いに集中しましょう。華琳さんにはこの戦いが終わった後、話を聞いてみるといいですよ」
「そうだな。うん。そうする」
俺はため息をついてから、前をみる。戦いが始まろうとしていた。
敵は黄巾党。『黄巾党の糧食を焼いて、飢餓にしちゃおう作戦』で黄巾党は追い込まれ、さらにはその時はまだ俺の部下だった凪の働きで黄巾党の連絡員が捕縛された。
それによって、さらに追い込まれた黄巾党は今、華琳の軍に囲まれている。
前の方に曹の旗が見える。涙が出そうだ。
「よし!于吉!左慈!何時までもウジウジしてるのは俺らしくない!ここは手柄を立てた後、華琳に土下座でも何でもしよう!俺にはその覚悟がある!」
「男らしいな!流石は俺様の幼馴染だ!」
「その男らしさが、土下座に向いているのが、何とも一刀君らしい」
取りあえず、三人とも笑顔になる。華琳、待っててくれ。
この戦いが終わったら理由も分からず頭を下げるから。
「右翼前進!左翼もそれに続きなさい!弓矢隊!各諸候達の兵は味方です!巻き込まない様に注意を!」
「歩兵隊は足並みを揃えろ!左慈に無理に付いて行こうとしなくていい!死ぬぞ!左慈、出過ぎだ。いったん下がれ!」
「無理だ!男が一度攻めたなら、退ける筈がないだろう!俺様の背に逃げ傷は無し!」
「馬鹿!かっこつけんなよ!そりゃ、白ヒゲの最後は泣けたけどさ!?」
激しい戦闘音の鳴り響く中、何故か俺達の声はよく響いていた。
そんなことをしている間に、戦いは終わった。大した武勲は立てられなかった。
華琳にどうやって謝ろうか、、、、
その日の夜。俺は華琳の部屋に呼び出されていた。
夜、美少女に部屋に呼び出されたというのに、まったく嬉しくない。むしろ怖すぎる。
扉を開ければ、華琳が椅子に腰かけてただ座っていた。よく来たわねの一言も無い。
というより、微動だにしない。ものすごく怖いんだけど、、、どうしよう。
「え、え~と。こんな夜遅くに呼び出すなんてさ、誘ってるんだよな?マイハニー?」
「、、、、、、」
無視だ。シカトだ。何の反応も返ってこない。
「ははははは、はぁ」
取りあえず、ふざけるのは無しにして俺も椅子に腰かけた。机を挟んで華琳と対峙する。
一応、お茶の準備がしてあった。冷めてるけど。華琳が、静かな口調で話しだす。
「一刀。今回の戦。良いところ無しだったじゃない。前の戦いの時のように、何の謀略も用いなかったのかしら?」
「だから、それは誤解だって。前の戦の時、俺は謀略なんて使ってない。俺が華琳に反抗する筈がないだろう」
「じゃあ、前回も今回同様。対した働きもしていなかったのね。つまらないわね。まだ、反旗を考えていたという方が面白かったのに。つまらない男ね、一刀」
華琳の冷たい言葉が響く。俺は眉を顰めながら返した。
「何が言いたいんだよ。華琳ちゃん。俺は与えられた仕事はちゃんとこなしてきただろう。それの何処に問題があった?」
「それが問題なのよ。一刀。どうして、貴方は与えられた仕事だけやって、私の期待以上のことが出来ないのかしら?政務も軍事も」
「どういう意味だ?」
「どうしてその才を全力で使わないのかって聞いているのよ!」
華琳は立ち上がり、机を叩いた。机に置かれたお茶が揺れる。
「不愉快なのよ。貴方のその態度が。無能ならそれはそれで別に良いわ、これから力を付ければいいのだもの。けど、無気力だというならそんな人間、私の覇道には要らない」
「、、、落ちつけよ。華琳。らしくないぞ。それと、何度も言わせるな。俺には左慈や于吉と違って何の才も無い」
ため息をつきながら、机に置かれたお茶を呑む。
「何の才も無い人間が、私の覇気に当てられて、よく呑気にお茶なんてのんでいられるものね?」
思わず舌打ちがでる。嵌められたようだ。
「一刀。もう、隠すのはよしなさい。最初からわかっていたことよ。そして、凪達を手に入れた戦いで確信したこと。普段からふざけ続けていれば隠し通せるとでも思っていたのなら、一刀は私を舐めていたようね」
「一つ言っておくと、隠そうとしてふざけてたわけじゃないぞ。その方が楽しいからふざけてたんだ。暗い奴より、明るい奴の方が俺は好きだからな」
「それ以外は否定しないのね。いい加減、教えなさい。一刀、どうしてあなたは本気を出さないの?」
華琳の顔を見たあと、天井を見上げる。俺はまだ本気を出してない。
なんて、中二病全開のセリフを言うのは左慈の役目なんだけどな。
「華琳、知ってるか?双頭の蛇は成長につれて頭を食い合うんだぜ?俺に才能なんてない方が良い、その方が華琳の為でもある。それじゃ、駄目なのかよ」
言葉を言い終わる前に、絶が俺の首筋に添えられる。
「それは、、私のことを馬鹿にしているのね。残念だわ。まさか、私が一刀に自分より劣る女だと嘲られていたなんて」
怒りに歪んだ顔に似合わず、目は悲しみに満ちていた。
「違う。そんなこと考えてたわけじゃない。ただ、華琳と争いたくなかっただけだ。こういう事態が起こるのが怖かったんだよ!」
「わかっているわよ!それでも、駄目なの!私は何れ、天下を取る。それなのに、天に手加減されていたなんて、私の覇道の恥でしかないじゃない!これは、誇りの問題なのよ!」
「華琳は俺より誇りが大切だって、そう言うのかよ!」
「ええ、そうよ!」
華琳は言い切った後、はっとした様に俺を見る。しかし、その言葉を訂正することはなく。
もう一度、呟いた。
「そうよ。一刀より覇道の誇りの方が大切。当然じゃない」
「ああ、そうかよ。わかった。なら、俺は、『愛することじゃなくて、得ることを選ぶよ』!!」
前に街であった管路という占い師の言葉を思い出す。
まったく、あの爺さんの言う通りになっちまったじゃねえか。
ほんと、他人の思い通りになるなんてらしくない。
ため息をついた後、部屋を出ようとした足を止めて華琳に向き直る。
「今まで、ありがとう。華琳、君に会えたのは今でも幸せだと思ってる」
「出て行くのね?」
頼むから、そんな悲しそうな顔はしないで欲しい。華琳が言ったことから始まったことなのに。
「ああ、俺が華琳と対するとしても、それは内側でやることじゃないだろう。城の中に渦巻く陰謀劇なんて俺らしくない」
勝てる気もしない。俺の味方って基本的に左慈と于吉だけじゃん。季衣ちゃんは味方になってくれるかな?
無理だろーなー。
「どうせなら、派手にドンパチやろう。後悔しろよ。華琳が俺より優先して選んだ覇道。絶対にぶっ壊してやる」
逆恨みだ。見事なまでにストーカー男の理論みたいだ。俺以外の誰かと歩むなんて許せねえ!
「そう。わかったわ。けれど、あなたも覚えておきなさい。私は欲しい物は必ず手に入れる。一刀が私の元から離れると言うのなら、必ず連れ戻してあげるわ。完膚なきまでに貴方を叩き潰してね」
「、、、、そこまで執着するなら手放して欲しくないんだけど」
「言ったでしょう。これは誇りの問題なのよ。安心しなさい、すぐに取り戻してあげるから」
凝り固まった思想。誰が何を言っても聞かない性格。意味不明に自信だけに満ちた心。
もしかしたら、華琳はものすごく、めんどくさい女なんじゃないだろうか?
ここは、同じくめんどくさい電波な美少女を落とすため奮闘した従兄にならって言ってみよう。
腹の底要らずの淡白なセリフで、さん、はい。
「あっそ」
その言葉を最後に、俺は華琳の元を去った。
これで名実ともにニートになった訳だけど、これからどうしよう?
「で、俺は思ったわけだよ。華琳を手に入れるには自転車で坂を猛スピードで下って海に向かってフライしなきゃいけないのかな?流石にあれは嫌だな~。下手したら死ぬじゃん。下手しなくても、右腕折れるんだろ?」
「、、、、北郷。突然夜に部屋に来たかと思えば、何を言ってるんだ?」
「ああ、左慈。それとどうでもいいかもだけどさ、今から城を出て行くぞ。荷物纏めとけよ」
「はあっ?何故?」
「良いから、、何も言わずに付いて来てくれよ。俺達、友達だろ?」
暗い顔でそういう俺。左慈は驚きながらも首を縦に振ってくれた。
「よし、じゃあ左慈。于吉も起こしに行くぞ」
「おう。わかった」
于吉の部屋に行くまでの間も左慈は俺が華琳の元を離れる理由は聞いてこなかった。
「左慈、本当に良いのか?春蘭とも離れ離れになっちゃうぞ?」
「北郷。なぜ、そこで春蘭の名前が出てくる」
「え?だって男女の関係なんだろ?」
「それはお前が流したデマだろ!?お前の所為で、お前の所為で俺がどんな目にあったと思ってるんだ!しまいには春蘭に『男女の関係って何だ?』とか聞かれたんだぞ!?」
「あ~、左慈。今言うことじゃないかもだけど、于吉の部屋に着いたぞ。起こしてこい」
「本当に今言うことじゃねえ!?」
文句を言いながらも左慈は于吉の部屋に入っていく。
少なくとも、左慈はここでの暮らしを楽しんでいただろう。なのに、俺に付いてきてくれると言った。
「ほんと、お前は最高の友達だよ」
感慨深くそう呟いていると、部屋の中から声が聞こえる。
『はっ、左慈が何故夜遅くに私の部屋に!?ふ、ふふふ。そうですか。遂に私の愛に答えてくれるのですね?』
『は?な、何を言っているんだ。于吉!?何故、服を脱ぐ!止めろ!腰を動かしながら近寄って、く、来るなあ!!』
『大丈夫ですよ、左慈。優しくしますから!!!』
『ア、ア――――――――!!』
俺は笑いを堪えながら言う。
「ほんと、学習しないところとかマジ最高。ぷっはは」
いまだに続く于吉の奇声と左慈の悲鳴に堪え切れなくなった俺は床を転げ回った。
なんか、自分で言うのもなんだけど、台無しだった。
そんなこんなで、俺達は城を出て夜道を歩いていた。
ちなみに、ヒロインの季衣にだけは別れの挨拶をしてきた。
寝ぼけていたから、伝わったかどうかは不明だけど。
「それで、これからどうするのですか?一刀君」
「そうだぞ。まさか、何も考えてなかったとか言うんじゃないだろうな。北郷」
于吉は何故か肌をつやつやにしながら。あの部屋の中で何が起こったのかは触れたくないな。
左慈は全員の荷物を荷車にのせ、引きずりながら聞いてくる。相変わらず立ち直りの速い奴だな。
「目的地は決まってないけど、目的は決まってるよ」
「なんです?」
「なんだ?」
「天下だよ」
左手を空に輝く月に伸ばしながら言う。
「ほお。遂にその気になったのですか、一刀君。ふふ、それでこそ貴方らしい。やはり、貴方は人に使える人種の人間ではありませんよ」
于吉は月を見ながら笑う。
「ふん。良いじゃないか。それでこそ、北郷だ。それに、華琳と対すると言うならようやく春蘭とも決着が付けられるというもの!」
左慈は月を見ながら叫ぶ。
「左慈、于吉。取るぞ、天下。ただ一人、ただ一人の寂しがり屋の女の子を嫁に迎える為だけに」
俺は月に伸ばした手を握りしめる。月を、この手に掴む為に。
長すぎる前置きを置いて、ようやく、青年達の物語が始まる。
これは、一人の青年と少女の天下を賭けた恋物語。
「取りあえず、アレを言っておこう」
「またですか。はぁ」
「だが、それも一興!」
「「「俺達の戦いは、これからだ!」」」
天遣三雄録 第一部。 完
後書き
そう言う訳で、ふざけ度満載、一刀の送る物語。堂々完結!!
って、ちょ、、ま、まて。それだけは!?、、は、早まるなあああ!!
やり過ぎた感、というかやらなかった感が満載だが後悔はしたくない。
まあ、取り合えず一先ず休憩。続きは、、まあ、どうしようかな?
書くかも知れないし、書かないかもしれないし。
どっちにしろ、今まで見たいに毎日更新とは二日に一話更新とかそういうペースは維持不能。
そして、書くとしたら。華琳を手に入れる為に天下を目指す一刀の話です。
、、、正義も大義もありません。情欲です。愛欲です。悪しき欲望を満たすために天下を目指します。
けど、まあ、ありじゃないかな?
真では覇道とか武力による平和とか目指してた華琳だけど、
無印では大陸中の美少女を手篭めに知るために天下を目指してたし。
なら、一刀が華琳を手にする為に天下を目指したっていいじゃない。
そういう言い訳を残して、また何時かに会いましょう。
ドロン
消えたよ。
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思い違い、勘違い、そして二人はすれ違う。
青年と少女は袂を別つ。